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2014年11月15日 (土)

Last Flight 18(3)

 ガラヘル。

***

 彼女の兄はひとりきりで、亡きデ・ラ・ヘイン卿の蔵書だったカークウォールのカビ臭い歴史書を繰っていた。腰掛けていた彼は、入ってきたイセヤに弱々しい笑顔を見せる。「イセヤ。お前の顔を見ると、いつもほっとさせられるよ」
 「ガラヘル」 メイジはほんの少しの間だけ兄を抱擁し、すぐに後ずさりした。彼女が見ない数週間の間に、兄はまた一段と痩せこけたようだ。羊毛と柔らかい革の服の下の骨さえ感触でわかった。「わざわざここに来るなんて、一体どんな急用なの?」

「そうじゃないことなんてあるかい?」 ガラヘルは髪を掻き上げた。銀色の部分が目に見えて広がっている。「フリー・マーチズには危機が訪れている。アーチディーモンは、それぞれの主要な都市に散発的な攻撃を加え、次に敗走したように装うことで、彼らの結束を分断することに成功した。そして、そう装っているだけなんだよ、イセヤ、そこを間違えちゃいかん。だが諸都市の支配者たちはそれが策略であることを信じようとしない。軍隊を手離そうとせず、一か所に留まらせて、徐々に消耗させてしまっている。あと数か月もすれば、彼らが我々の指揮の下結集するかどうかは無意味になる。ダークスポーンに打ち勝つだけの者たちが残っていないからな」

「私に何をしろと言うの?」とイセヤは尋ねたが、彼の答えはとっくにわかってるという強い感じがした。
「都市からの脱出を指揮してくれ。おそらくカンバーランドとカークウォールを選ぶのがいいだろう。すでに多くの者たちを喪っているから、ヘイン要塞の残りの部分に住まわせることができるはずだ。都市の住民たちを安全に移し終えれば、支配者たちにもようやく理屈が通じるようになるかもしれない。だが、今すぐやらねばならん。日を追うごとにアーチディーモンは彼らの兵力を削り取っていく。これ以上の損失は耐えられない」

「難民の移送を護衛する兵さえも、それほど多く出せないのではないかしら」とイセヤが言った。
「残念だがそのとおりだ」 ガラヘルは顔をしかめた。「それぞれの都市の軍隊は、お前たちが街に出入りする間は守り切るだろうが、フリー・マーチズを丸ごと縦断する間の護衛はつけられないし、そして俺には、それに割けるグレイ・ウォーデンもいない。移動のほとんどの間、護衛はお前たち自身に頼らざるを得ない」

 イセヤは、ただ兄を見つめるしかなかった。「正気の沙汰じゃないわ」 ようやく彼女は、なんとかそう口に出した。「ここにいる二十一人のウォーデンのうち、六人は戦闘に耐えられないほど負傷している。隊列を牽引できるグリフォンは十頭、うまくいけば十二頭で、戦いに出せるのはその半分。他は興奮しすぎて自分の身体を傷つけてしまう。そして避難民にはそんな任務をこなせる者は誰もいない。無茶よ、ガラヘル。都市から脱出させろというなら、いいわ、やるけど・・・、自殺任務にならないくらいの兵は必要」
「俺たちに手持ちはないんだ」 彼女の兄は繰り返した。「だが、お前にはある」
「ないわ。さっきまで一体何を聞いていたの?」

 彼はすぐには答えなかった。その代りに、彼は外套から目の粗い布の袋を取り出した。汚れて血がこびりついていたのは、戦場の中から回収したためだろう。
 ガラヘルはそれを開けると、二つ目の袋を取り出し、そちらは柔らかい革製で黄金色のメイジの印章が付いていた。青と黄金の絹で織られた締め紐から、イセヤにはレリウムの粉末が中に入っていることがわかった。一パウンド丸々、ひと財産分あるに違いない。

 レリウムの粉末が入った袋の隣に、彼は黒い粘着性の液体が入った彫刻入りのガラス瓶を置いた。瓶はガーゴイルの顔と握りしめた爪の形に彫り込まれており、それは内容物のもたらす、またはそれが部屋の中にあるという事実がもたらす、真の恐怖を匂わせることのない風変りな飾りであった。

 イセヤは首を振り、壁に背中を打ちつけるまで闇雲に後ずさりし続けた。彼女はぶつかった痛みすらほとんど感じなかった。「いやよ、いや、いや」
「それしかないんだ」と彼女の兄が言った。彼女には耳にした言葉を信じることはできなかった。その顔から、彼もまた自分の言葉が信じられないと感じていることがわかった。だが、言葉は続けられた。「選択の余地はない。あの都市群から住民を脱出させなければならず、そして俺たちはそれを小さな、動きやすい兵力でこなさなけれなならない。お前の手にしているグリフォンは多くなく、ほとんどは傷ついている。だが、お前がシュライクにしたことを他にも施せば、その数の十倍の力で戦い、その傷は問題ではなくなる。
 フリー・マーチズを救う手段は、他にはないんだ、イセヤ。お前の秘密を守ることはできなかった、それを何千人もの命と引き換えにはできなかった。ファースト・ウォーデンはすでに命令を発した。ヘイン要塞のグリフォンたちに、ジョイニングの儀式を受けさせるんだ」

***

 11章の最後、ガラヘルがイセヤに謎めいたことを告げる場面がありました。
 ディープロードの入り口封鎖を命じられたイセヤが、ガラヘルに答えるところ。

"I'll try not to disappoint."
"You won't." The smile stayed on her brother's face, but his eyes took on a faintly sad cast. "I know you, Isseya. You can't."

英語特有のテンポある掛け合い、日本語訳には苦労します。私のはだいぶ悩んで唸ったが、結果的に原文よりだいぶ長く、大して上手ではなかった。

「がっかりさせないよう、努力するわ」
「そうはならないさ」 兄の顔はまだ笑顔のままだったが、瞳はかすかに悲し気に見えた。「お前のことだ、イセヤ。そんなことはできない」 

 解釈も難しかった。ガラヘルは随分前から、いずれイセヤが「犠牲を払ってでも」兄のために何かを成就することがわかっていたのか。この兄と妹はそのような関係にあったのだろうか。そして兄は妹の心の中には「頓着」せず、そう思っていたのだろうか。なぜなら、そのときがくれば、ガラヘルもまた妹のため「無頓着に」自らの命を投げ出すだろうから。

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