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2014年11月13日 (木)

Last Flight 18(1)

 土木建築工事編。農林水産編。水産は出てこないか。

***
 イセヤは、要塞を復旧するという難題を楽しんでいることに、自分でもかなり驚いた。円滑に進んでいることもその一助だった。ヴィマークの森林の豊富な資源を用いて、ワイコムで用いたよりも大型の乗り物を絶え間なく生産できる。イセヤとカリエンが以前の経験に基づき乗り物の改良点を指摘すると、それを受けたオゴサが、より多くの積み荷を運んで起伏に富んだ土地の上を飛ぶことに耐えうる構造を編み出した。

 イセヤは難民輸送のすべての周回に参加した。へイン要塞のフィールド・コマンダーとしての責務でもあったが、彼女自身とリーヴァスが護衛に欠かせないのだった。都市群の周辺にはダークスポーンが密集しているため、輸送は周辺の街や村落からのものに限っていたが、偵察や落伍した敵、グール化した動物などに遭遇することはしょっちゅうで、戦いのないまま輸送を終えることはごく稀だった。
 その危険は恐怖であると同時に愉悦でもあった。驚くべきことに彼女は、それよりもずっとゆっくりと進む要塞の復旧にも愉悦を感じていた。

 城下の村を見て回り、屋根の真新しいわらぶき、切り揃えられて陽光の下干されている薪の束、綺麗な列に並べて植えられた松の苗木などに目を配る。この遅い季節、栽培できる作物は限られていたが、農夫たちはニンジン、キャベツ、背の低いマメの木などを育てていた。家屋の周りをうろつく鶏たちや斑点のあるもっと小さな家禽たちは虫を啄(ついば)み、厨房の残飯を平らげる巣の中の兎たちは肥え太っていた。
 フリー・マーチズの都市群の周囲に渦巻く荒廃と比べれば、ここはのどかな田園風景だった。だがそれも脆い。イセヤは、一日に一時間だけ村を見て回り、それ以外の時間は本来の仕事に取り掛かることにしていた。

 へイン要塞の聳え立つ壁の地下で、彼女とオゴサは山をくり貫いていた。網の目のようになっていた天然の細い洞窟を起点として「避難所」を造り出すのだ。ドワーフは、手をつければ城の基礎を損なってしまいそうな弱い地盤の部分を推測し、その地図をこしらえていた。イセヤ、カリエン、その他数えるほどのメイジたちが、オゴサの指図に従って力場の魔法で慎重に石を削り取り、瓦礫は空飛ぶアラヴェルの応用版である荷車で外に運び出される。大振りの石は建物の壁や柵の支持として用いられ、細かいものは集められて村までの道に敷く石畳に供された。魔法でくり貫かれた隧道が完成すると、オゴサとドワーフたちが手作業で仕上げを行い、そこに補強のための支柱を配置していく。

 作業は迅速に進み、それは味方があちこちで苦戦しているとの話にも後押しされた。日が経るにつれ、報せは悪化しているように思われた。
 フリー・マーチズのそこここで、グレイ・ウォーデンと同盟軍はダークスポーンに押し戻されていた。アーチディーモンは、タンターヴェイル、カークウォール、そしてスタークヘイヴンに出没し、打ちひしがれた街々に黒き炎をくまなく吐き散らした。ブライトの病は奥地までも蝕み、そこに生き残っていた隠遁者たちや非協力的だった嫌戦派の人々をグールに変え、それらの間で共食いもはじまっているとの噂だったが、絶望した農奴たちの間でも同じことがはじまっているのかもしれなかった。

 前線から遠く離れたへイン要塞では、やることは労働しかなく、みな雨も霧もものともせず、寝ることも惜しんで働き続けた。時折負傷したウォーデンやグリフォンが療養のため訪れると、イセヤは彼らにも静養に害がない程度の作業を与えた。
 二ヶ月のうちに、小さな街の人口を避難させるだけの場所は掘り抜いた洞窟網の中に確保できたが、その人口を支えることは、ごく単純な理由のためできなかった。水が足りなかったのだ。

 イセヤとオゴサは地下深く、メイジたちがくり抜いた瓦礫の上に立っていた。オゴサは、今はむき出しの岩盤の上に窪みをつくり、そこに土を盛るよう指図していた。陽光が差し込む空気孔の近くでは緑の食物を、それ以外の場所ではキノコなどを、ここに避難した者たちが育てることができるようにとの配慮だ。
 だが、数千人分の水はどうやって手配すればいいのか。ヴィマークの山頂から流れてくる雪解け水は今の人口を支えるには十分だが、倍の人口になれば飲み尽くしてしまう。しかも「避難所」の目標規模は今いる人口の二十倍だ。ワイズホプトでは雨水を貯めていた、とオゴサが言うとイセヤは首を振り、こう告げようとした。夏の嵐の時期ならまだしも、今の季節にここでは雨は降らないし、まもなく降雪の季節がやってきて・・・。そこまで言って、イセヤは考え込んだ。

「どないしたん?」
「そして雪が山頂にへばりつく」 エルフは言い終えた。彼女は指をパチンとならした。「それが答えよ。山から雪を掘り出すの」
 オゴサは一歩後ずさりし、背の高い女性のほうに向け首をかしげ、愉快そうな、だが不思議そうな顔をした。「いけるんちゃう。雪原まで飛んで、あんさんらが洞窟くり抜きよったふうに氷の塊吹き飛ばして、アラヴェルで運びよんのかいな・・・」
「それもできるけど」とイセヤは同意した。「でも私が望むよりも時間がかかるし、恒久的な解決策じゃない。戦いになれば、グリフォンが必要になって、それで水の補給が止まってしまう。違うわ、私の狙いは必要とあらば一世紀分の水を確保すること」
「ほんで、どないしたいのん?」
「避難所に貯水池を作る。あなたが非常用の作物を植えるため用意した窪みみたいに、でもその何千倍もの大きさの。そこから、上に向かって掘り進み、雪原につき当たったら炎や力場の魔法で氷を砕き、下の湖に直接降り注ぐように雪崩を起こす。そうすれば何年もの間、避難所満杯の人たちに行き渡るだけの水が手に入る」
「ええ考えや」とオゴサが言った。「せやけど、ひとつある」
「何?」
「先に縦坑から掘りたいんや」とドワーフが言った。「ほしたら、ものごっつい湖の底から瓦礫かたさなかんと往生せんと済む。あとはまあ、正気の沙汰とちゃうけど、それいうたら他もみな一緒や。ほな、はじめよか」

***
 翻訳よりも大阪弁訳に時間がかかりすぎて大儀、往生しました。単に最後のセリフがやりたかったちうのんが、正味の話。 

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