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2014年10月14日 (火)

Last Flight 11(2)

 まるで女子学生が非合法ドラッグにあっけらかんと手を出すように、イセヤ、なんのてらいもためらいもなく、ブラッド・メイジになりました。

***

 夜は知らないうちに明けていた。ブラッド・マジックの不思議な世界を一晩中渡り歩いていた彼女の頭の中は、日の出頃には可能性と疲労のためくらくらしていた。カリエンもまた高揚と疲弊のはざまにいるようだった。二十年近くにわたり秘密をひとりで背負ってきた彼は、その魔術の可能性を探索することに興奮を隠さないイセヤのせいで、ブラッド・マジックを用いることに対する戦慄が緩和されているようだった。彼はイセヤよりもずっと慎重だったが、自分がしばらく前になした取引きに、今ようやく意味が生まれたことを率直に喜んでいるようだった。

 だが城中が目を覚まし始めたころになっても、それがいかなる意味なのか定かではなかった。朝餉の支度のため召使が中庭に姿を現すと、ようやくふたりは実験をやめた。
 魔法で自分たちの傷口を治癒し、実験の痕跡を残さず消し去ると、ふたりは他のウォーデンたちが集まる朝餉の席に向かった。

 今日こそホスバーグが包囲から解放される日だと聞いた。イセヤの隣に並んだフェリスがそう言って、ポリッジ、オート麦の粥とレーズンを匙ですくい、自分の皿に載せた。フェリスによれば、秘密を守るのが苦手な兄ガラヘルは、知りたがる誰であってもその話を吹聴しているようだった。
 兄はまた、期待を現実的なものにとどめることも苦手なのだ。オート麦と薬味を皿に取りながら、イセヤが応じた。今日包囲から解放されるのではなく、そのための血塗られた道に第一歩を踏み出すだけなのだ。

 それでも構わないが、指揮を執るのは誰だろう。フェリスの問いに、当然一番はしゃいでいるガラヘル自身だ、とイセヤは皮肉を込めて答えたつもりだったが、兄こそ適任であることに違いはなかった。この春フィールド・コマンダーに選ばれたのもそのためだった。ウォーデン・コマンダーのような正式なものとは異なり、ここの現状特有の暫定的な職位だが、この地域に派遣された者は皆彼の配下に入ることになる。

 それも当然だった。兄はブライトの戦いの間、何年にもわたり戦闘指揮官としての力量を証明してきており、また彼のグリフォンは、卓抜した運動能力と敵の軍勢の弱みを発見する才能に恵まれていた。ウォーデンの中でも最良のチームで、七年の間生き残り続けた最古参でもあった。

 であれば、今日の出撃に自分を入れてもらうように媚を売っておく必要がある。フェリスは食器を乗せた盆を片手で器用に支え、ガラヘルの座る場所を目指して人混みをかき分け進んでいった。イセヤは湯気の立っている苦い茶の入った椀を掴んでその後を追う。

 ガラヘル、アマディス、カリエンは、他の二人のウォーデンとともに一か所に集まり、塩入れの瓶やレーズンを用いて卓上に描いたディープロードの入り口らしき模型を囲んで頭を寄せ集めていた。
 この地図は正確か、と兄が問いかけてきた。朝食で作ったにしてはましだが、そんなものが必要なのか、とイセヤが言って、ポリッジの入った椀を卓上に置き、茶を一口すすった。苦いどころか、舌が固まるほど渋かった。
 だが徹夜明けの頭をしゃきっとさせるには丁度良かった。できるだけ長く目を覚ましていられるなら何でもうれしかった。もう一口すすってしかめ顔を作ると、そんなに精緻な作戦が必要なのか、と尋ねた。昨夜も告げたように、発見した入り口はなんの警護もされていないのだ。

 そうかもしれないが、念を入れるに越したことはない、とガラヘルが答えた。
 街のすべてのグリフォンを出撃させる気ならば、ダークスポーンですら手薄になったホスバーグに攻め入ろうと考えつくのではないか。イセヤが詰ると、そのつもりはない、と兄が優しく答えた。四頭のグリフォンと八人の乗り手。出撃部隊の規模としては大きいが、ホスバーグの包囲を破るという目的を危険に曝すほどではない。別々の方角に出て行って、ディープロードの入り口付近で落ち合う。封鎖を完了したらホスバーグに帰還する。ガラヘルは、四人のメイジ、空から警護する二人の射手、地上で守る二人の戦士という構成を提案し、イセヤに異存があるかと尋ねた。

「いいんじゃない」
「よし。カリエンはイセヤと行け。フェリスはダナロと、ジョラク、リズメ、それから、ああ、タンクとマンクはどうかな」
 赤毛の射手がのけぞった。「ドワーフたち? 空にあがると必ず具合が悪くなるじゃない。こないだなんて、トラヴェラーの翼から彼らの吐いたものを綺麗に取り除くのに、何日かかったと思ってるの。引き具にはまだ匂いが残ってるんだよ」
「そのとおりだが」 ガラヘルは気楽な平静さを崩さずに言った。「戦いじゃ、誰も連中を突破できやしない。あの兄弟だけで、ホスバーグの城門を何日も支えることができる。それだけじゃなく、彼ら以上にディープロードに精通している者もいない。他の連中が見過ごすものだって見つけるかもしれない。何度もつきあえと言っているんじゃないんだ、フェリス。今回に限り、大目に見てくれ」

 射手は憤然として両手を差し上げた。「しょうがないね。私はダナロを呼びに行く。ドワーフたちは、早いとこここから連れ出したほうがいい。連中が腹の中一杯にしなければ、私が後で拭き取るものも少なくて済むんだから」
「そいつは実に賢い」とガラヘルが言った。彼は、イセヤのほうに手つかずのポリッジが入った椀を押し出した。「お前は、ところで、何か食べといたほうがいい。昨晩は寝ていないんじゃないのか?」
「寝付けなくて」とエルフが認め、椀を手に取った。食欲はまったくなかったが、冷たいオート麦を無理やり食べた。「でも、大丈夫」
「そう願うぜ。食べ終わったら、中庭に出ろ。太陽をできるだけ浴びた方がいい。日が暮れれば、また押し寄せてくるダークスポーンの新手と戦わなくちゃならんのだ」

「イエッサー、フィールド・コマンダー、サー」 イセヤがポリッジまみれの匙を掲げて、ふざけた敬礼をすると、アマディスが思わず鼻先で笑った。「兄さんは一緒に来ないつもり?」
「無理だ」 ガラヘルが真面目くさった顔になった。「俺はフィールド・コマンダーだぜ? ダークスポーンとの戦いに好きなだけ顔を出すわけにはいかない。実際に街の包囲を突破するときには、先頭に立たなくちゃならないし・・・、だが、出撃部隊ひとつなら、お前に任せる」
「がっかりさせないよう、努力するわ」
「そうはならないさ」 兄の顔はまだ笑顔のままだったが、瞳はかすかに悲し気に見えた。「お前のことだ、イセヤ。そんなことはできない」

***

 前の記事では、イセヤとカリエンを「ふたりのウォーデン」と呼んでいます。しかしカリエンはジョイニングを経ていない。これは私が省略してしまったわけではなく、作者の勘違い。またはジョイニング前でも広義のウォーデン(ウォーデン・リクルート)と呼ぶことがあるという言い訳も成り立つ。
 だが七年間もブライトと戦っていながらジョイニングを経ていない者を、果たしてウォーデン・リクルートと呼ぶのかどうか。
 著者は、(これからも事例が出てきますが)勘違いの多い人のようです。

 Danaro ダナロ

 Lisme リズメ 

 Tunk and Munk タンクとマンク

 Traveler トラヴェラー、フェリスの乗騎

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