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2014年10月12日 (日)

Last Flight 9(1)

 続きます。

***

 第九章

 9:41 ドラゴン

 

「グリフォンたちに何が起きたのでしょう?」とイセヤが尋ねた。
 チェンバレン・オヴ・ザ・グレイが答えるまでには、しばらく間があった。正確には老人とは呼べないが、彼は容易にそう見間違えられる。穏やかで夢見がちで、髪の薄くなった自らの頭の中に迷い込んでいるように見えることもしばしばだった。どこまで本気かわからないカロネルの言葉によれば、来客が彼をトランクィルと見誤ることもよくあるそうで、両者がぼんやりした雰囲気を確かに共有していることから、彼女もさもありなんと思っていた。

 彼は彼女に振り向き、フクロウのように目を瞬いた。「グリフォン?」
「第四のブライトの後で、みな消えてしまいましたよね?」
「そうだ」 チェンバレンは書庫の通路をすり足で進み、灰色の陽だまりを通って闇の中へと入ると、再び振り返った。ヴァルヤは彼の隣について歩き、その日届いたチェンバレンへの手紙の束を詰めた肩掛け鞄の位置を直した。ほとんどの信書はファースト・ウォーデンの注意を引く目的で認(したた)められていたが、過去数年、あるいはそれよりも長い期間、日々ワイズホプトに届く些末な手紙の処理を行っているのはチェンバレンだった。ファースト・ウォーデンの心は、より重大な物事に向けられていた。
 新米が毎日交替で、チェンバレンの身の回りの世話係を担うことになっていた。通常であれば、ジョイニングの儀式を終えたばかりの成り立てのグレイ・ウォーデンたちが担う役目であったが、ホスバーグのメイジたちも分担するように命じられていた。

 ヴァルヤは気にしなかった。それが意味するのは、静かな一日、楽な仕事、そして頭の中からなかなか消えない疑問への答えを求める機会でもあったからだ。チェンバレンは肩書きを一切気にしない、穏やかな気質の男であった。彼女はあたかも対等な立場で彼に話しかけることができた。「それで、グリフォンたちはどうなったのでしょう?」
「死んだのだ」
「でも、どんな風に?」
 チェンバレンは白髪交じりの眉毛を片方持ち上げた。彼の眉毛は恐ろしく長く、睫毛に触れんばかりだ。「君たちは第四のブライトについて調べているんだな」
 
 ヴァルヤには、それが問いかけなのかどうか定かではなかった。そうは聞こえなかったし、チェンバレン・オヴ・ザ・グレイは、彼女が過去何か月かにわたって彼の書庫をつつきまわっているよそ者のひとりであることは百も承知しており、なぜならそれは彼の仕事のためであるからだが、そうであっても彼女は、それがただ事実を述べている言葉には思えなかった。
「はい、もちろんです」

 彼は頷き、ローブの肩にかかった、薄くはなっているがもつれた灰色の後ろ髪を払いのけた。「そして、その当時の戦いで、我々にあれほどの栄光をもたらした獣たちのいく末について知りたがっている。彼らによって成し遂げられた魔法のような驚異を、我々がもはや手にしていない理由を知りたがっている」
「そうです」
 チェンバレンはため息をついた。彼の顔は切ない笑顔で皺になった。「誰しもが知りたがっている。私もかつてそうだった。だがグリフォンは喪われたのだ、娘よ。彼らはブライトで死んだ。戦いであまりに多くが死に、生き残りは頭数を支えられなかった。次第に弱っていった。最後には新しく生まれるべき命が卵の中で死んだ。そして途絶えた。大いなる犠牲。大いなる悲しみ」
 大いなる嘘、ヴァルヤは思った。

 彼女は口には出さなかった。チェンバレン・オヴ・ザ・グレイが嘘をついてると信じるに足る理由もなかった。彼の語り口にそう告げるようなところもなく、グリフォンがブライトの終焉とともに姿を消したのは事実だった。戦は果てしない年月の間続き、そのほとんどの期間、グリフォンが狩りをし、子を産み、巣を作っていたと伝えられるアンダーフェルズ中に戦火をもたらした。彼らは、本当にブライトによって皆死んでしまったのかもしれなかった。
 だが彼女は、心の奥底に宿る疑いの小さなねじれを消し去ることはできなかった。

 チェンバレンは彼女の沈黙を同意と受け取ったようだ。彼は再びため息をつくと、私室の扉を開けた。部屋の中には際限なく散らばる紙の塊が、乱雑な山となって聳え立っており、多くは厚い塵埃に覆われていた。かつて来客用の椅子だったものには、机の上にもましてうず高く紙が積まれている。木彫りの背もたれのてっぺんだけが、その堆積の中から顔をのぞかせていた。
 

 ゆっくりと、ギシギシと音を立てながら、チェンバレンは書斎の中でその用に供することができる唯一の椅子に腰を落ち着けた。革は古びて座席の両脇で裂けており、尻と背中のクッションは、その上級ウォーデンの身体にぴったりあわせて完全にへこんだままだった。椅子にもたれるとチェンバレンはヴァルヤに身振りで促した。
「今日はどのような手紙が来ているかね?」

「ああ」ヴァルヤは手紙鞄を急いで降ろすと、中身の巻物や小包をごそごそと探った。「一通はヴィジルズ・キープから。デネリムからも一通きていて、でもすみません、私にはどのアールの紋章かわかりません。あとはオーザマー、スタークヘイヴン・・・」
「南からは? オーレイは?」
「いいえ、ないと思います」彼女は残りの手紙の封緘と紋章を見た。「外からそれとわかるものはありません、少なくとも私に印の意味がわかるものの中には。もちろん私が見逃していても不思議はないですが」

「うーん」 チェンバレンは頭を後ろにそらし、椅子に深く腰掛け、目を閉じながら彼女にもう一度手を振った。「いやいや、君が正しいと思う。年寄りの他愛もない思いつきなのだ、たまたま支援を必要としていないかもしれないのに、ウォーデン・コマンダー・クラレルから便りが途絶えたのはなぜだろうと・・・。人が手紙を書くのはいつも要求があるときで、満足しているときには決して書かない。あるいは困らせようとしてふざけているか。どちらであっても問題ではない。ヴィジルズ・キープからは何と言ってきている?」

 ヴァルヤは蝋の封緘を親指で破り、折りたたまれた小包を開いた。最初の数行に目を通して悲しげに笑い、首を振った。チェンバレンは正しかった。「新任のウォーデン・コマンダーが、レリウム、武器、装備の補給を丁重に要求してきており、それらは・・・、ああ、ディーモンに憑依された木々との戦いで喪われたとか。火事で燃えて。具体的な目録が添付されています」
「そうだろうとも」 チェンバレンが鼻を鳴らして言った。目を開けさえしなかった。「それから、デネリムの謎のアールはなんと?」

 それもまた別の支援の要求だった。酒瓶を取りに地下室に降りたアールの妻がジェンロックを見かけたので、彼の葡萄酒の酒蔵にディープロードから疑いなく侵入したダークスポーンを退治するため、ウォーデンの一部隊を派遣するように求めていた。アールまたはその妻が、目撃当時どれだけ泥酔していたかについては手紙に記されていなかった。
 他の手紙はさらに取るに足らないものだったが、ほとんどが何かを要求しているに違いなかった。メイジとテンプラーは敵との戦いに支援を求めており、テンプラーとメイジの双方とも避難先を求めていた。アンダーフェルズの偵察たちは、ダークスポーンの目撃談とその活動形態について知らせている。ドワーフたちは、ディープロードにおけるダークスポーンの活動について似たような知らせをもたらし、また、コーリングのためその地を訪れたウォーデンたちの到着、旅立ち、そして死を伝えていた。

 ヴァルヤがオーザマーが伝えて来た名前の一覧を読み終えたとき、とうとうチェンバレンが身体を起こし、目を開けた。「もういい」と彼は言って、彼女に向かって書斎から出るよう手振りした。「もういい。行きなさい。他に仕事があるだろう。残りの手紙は置いていきなさい」
 お辞儀をすると、若いエルフは退室した。
 彼女は、ガラヘルの記念碑がある書庫に向かい、ホスバーグのメイジたちと調査を再開するつもりだったが、後から気づいたことには、他の者たちは昼餉のためすでにその場を離れていた。図書館に残っている唯一の人物は女性テンプラーのレイマスで、机に一人で向かい、閉じたままの一冊の書物を目の前に置いていた。

 ヴァルヤは、その女性が閉じた書物で何をしていようとも、そのまま続けていてくれればありがたかったが、彼女は図書館の静寂を通して呼びかけて来た。「あなた。ヴァルヤ」

***

 「彼は彼女に振り向き、フクロウのように目を瞬いた」
  "He turned and blinked owlishly at her."

 あるいは「しかめ面で」目を瞬いたのかもしれない。
  フクロウのように見つめる("stare owlishly at")だと「しかめつらで睨み付ける」だそうで。フクロウってしかめ面してましたっけ? 目をぱちくりのイメージしかないんですが。

 ところで最初はミミズクとやっていた。
 ミミズクとフクロウの違いは何でしょう?

 「耳」の有無なのだそうだ。ズクがフクロウを意味するから、「ミミフクロウ」。
 耳といっても正しくは「羽角」。グリフォンにもあるやつですね。
 よって英語でミミズクを区別するときは"horned owls"。

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