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2014年10月 6日 (月)

Last Flight 8(1)

 ここは、本気ではしょりたい。

***

第八章

5:12 エグザルテド

 七日間は要しなかった。最初のアラヴェルが完成するまで三日で済んだ。

 伝説のデーリッシュのものに比べ、ずんぐりしてみすぼらしい出来栄えだった。荷馬車の車輪の上に漁船を積んだだけに見え、実際まさにそのとおりだった。ウォーデンたちは、街の人々から供出を受けた素材を用いて一から作り上げ、伸び放題の牧草地で試運転した。 

 ウォーデン・コマンダー・セナステがガラヘルたちの企てを知ると、シニア・ウォーデンふたりをつけてくれた。思いつきのような取り組みにそれ以上割く余裕はなかったが、ワイコム全体がブライトに呑み込まれる事態を回避する手段を無視することもしなかった。メイジふたりを差し出すことが、彼女の妥協できる線だった。

 二人のメイジの助けによって、試みは曲がりなりにもうまく行った。デーリッシュのもののように滑らかに進むわけではなかったが、イセヤは、船を空中で支え、安定させる術をなんとかものにした。最初の試みでは力の加減を誤り、アラヴェルを十フィートも宙に舞い上がらせ、地面でバラバラにしてしまっていた。
 だが新しい船はさらに頑丈に造られ、イセヤの力加減も向上し、三日目には、たとえ乗り心地は最悪であっても、なんとかフリー・マーチズを速やかに渡れる算段がついた。
 彼女自身の力だけでは、アラヴェルを空中に静止させることしかできない。引き具をつけたグリフォンがけん引することで、空中に二十フィートほど浮かんだまま前進するようになる。

 あと百台あればいいんだな、とガラヘルが言った。かつて牧草地の柵だった石柱に寄り掛かり、にやけた笑いを隠そうともせず、イセヤが苦心惨憺しながらアラヴェルを宙に浮かせる努力を見ていた。
 それから、あと百頭のグリフォンがいるのじゃない、とアマディスが応じた。草の中からヒナギクを見つけ、暇そうに指で弄んでいる。そして、こんな単純なことに今まで誰も気が付かなかったなんて信じられない、と言った。
 ブライトの脅威がなければ、誰も思いつかないのが当然だ、とガラヘルが指摘する。そして脅威が現にある今であっても、街の者たちがこれに乗りたがるかどうかはなはだ疑問なのだ。

 ふたりとも十分楽しんでいただけているようだ、とアラヴェルを操りながら、イセヤが皮肉を返した。離陸と着陸が一番難しく、乗り物を壊してしまう危険が大きい。今回も彼女は、車輪を痛めることなく上手に着地させることができて満足していた。
 だが、何か役に立ちたいなら、あと百台のアラヴェルを用意する仕事が待っている。それが揃えば、本当に街の人々を皆救うことができるかもしれない、と彼女がふたりに言った。

 セナステはすでにそう命じた、とアマディスが言った。その満足げな笑顔は、カナリアを咥えた猫のようだ。セナステは一時間ばかり前に公式に命令を出し、グレイ・ウォーデンは空中アラヴェル、「エアリアル・アラヴェル」という舌がもつれそうな呼び名のものが二十台揃った時点で、ワイコムの民の避難を開始することになった。自分たちのうち三人と兄妹の二頭のグリフォンが、スタークヘイヴンへの脱出第一陣を護送することになる。 

 イセヤは漁船アラヴェルから離れると、涼しい風に髪をなびかせながら、牧草地をふたりのほうに歩み寄った。周囲の生垣の小鳥たちは、乗り物の不気味な動きのせいで鳴りを潜めていたが、再びさえずりはじめていた。
 セナステは、また賭け金を分散する気だ、とイセヤが言った。そのとおりだが、彼女に賭ける気があるだけましではないか、とガラヘルが応じた。これは本当に街を救える機会かもしれない。
 救えるのは街の一部だけ、との思いをイセヤは口には出さなかった。兄の目に浮かぶ期待と興奮を台無しにしたくはなかった。希望こそがガラヘルの最大の天賦の才であり、フリー・マーチズに今なくてはならないものだった。

 あと二十台必要なら、と彼女は言った。兄たちも大工仕事に勤しんだほうがいい。

*** 

 まだ一回分のノルマには足りないんですが、区切りでもあるので、本日はちょっとここまでにしときます。おやすみなさい(笑)。

 
 

 

 

 

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