フォト
無料ブログはココログ

« 【DAI】ロシアではどんなリークも秘密する | トップページ | Last Flight 8(1) »

2014年10月 6日 (月)

Last Flight 7(2)

 日々淡々と続けたいところですが。 ちょっとまじ忙しい。

***

 最寄りの酒場は「硝子の林檎」という名だった。他と同様、店が破裂しそうなほどごった返していたが、イセヤは無理やり中に入った。
 当初、店中の視線が一斉に彼女に集まったが、胸のグレイ・ウォーデンの紋章を目にした途端、人々は酒と会話に注意を戻した。立場さえはっきりしていれば、エルフでも問題にならない、イセヤは苦々しく思った。ウォーデンだろうが召使いだろうが、人々の先入観に逆らわなければいいだけの話。

 彼女はその考えが浮かぶと同時に恥じた。ウォーデンだからとの理由だけかもしれないが、フリー・マーチャーズは他のヒューマンたちよりも彼女に優しい。彼女は自分の罪の意識を減じるためだけに、彼らを貶めたいだけなのだった。
 その煩悶と戦いながら、イセヤはバーに向かった。人々は彼女に道を譲り、グレイ・ウォーデンへの畏敬の念と、ワイコムを救うことへの感謝の気持ちを呟く。彼女は耳を塞ぎたい気分だった。

 イセヤがワインを注文すると、バーテンは誇りと謝罪の入り混じった様子で、ウォーデンにはとても供することのできないような小便臭いものしか残っていない、と答えた。店の水準を下げるわけにはいかない。
 バーテンが奨めるドワーヴン・エール、ブラックウォーター・ラム、ウインター・サイダー(林檎酒)の中から、イセヤは林檎酒を選んだ。バーテンはイセヤから勘定を受け取らなかった。
 

 自分を呼ぶ兄の声がした。店内を見回すと、ガラヘルと仲間たちがたむろしているのを造作もなく見つける。自分たちで指定したのか、それとも与えられたのかわからないが、彼らは店の特等席を占領していた。カイヤとタイヤの他、鼻を鳴らしながらドワーヴン・エールを呑むアマディスもいた。カリエンは部屋の隅に座っており、濃い青色の頭巾で顔を隠している。アーチディーモンに吹き飛ばされた間抜けな羽根つきの頭巾に比べて、彼の見かけは前よりもだいぶ威厳が増している、とイセヤは思った。 

 イセヤは、林檎酒の杯を胸の近くに支え、他の客を押し退けて近づくと、どのくらい前からいるのかと一同に尋ねた。
 ウォーデン・コマンダー・セナステから新しい命令を受けて以来だ、とガラヘルが仰々しく言って杯を呑み干す。彼女と同じ林檎酒の杯をもう随分重ねているようだ。

「大いに酩酊するに十分なくらいだ。来なよ、一緒にやろう」
「私もそうしたいかも」とイセヤが応じた。タイヤが彼女に椅子を譲って、自分は双子の姉妹と椅子を分け合うことにした。
「セナステと話したのね?」
 ガラヘルはがっかりした様子で大げさに肩をすくめた。「ああ。くだらない命令だった。お前は?」
「一緒よ。スタークヘイヴン、それからアンダーフェルス」
 ガラヘルは林檎酒を呑み終えると、杯を指二本で弾き、テーブルの上の沢山の空の杯が並ぶあたりに押しやった。「まあ、みな一緒にいられることには違いない」 
「私もね」とアマディスが割り込んだ。

 ガラヘルが金色の眉毛を片方持ち上げる。「ウォーデン・コマンダーは、お前さんがスタークヘイヴンで役に立つと思ってるらしいぜ」
「ウォーデン・コマンダーなんて、病気たかりのオーガと熱烈に愛し合ってればいいのよ」 長い黒いまつ毛をしばたたせながら、アマディスが甘い声で言った。「私に命じる権利なんてない。スタークヘイヴンで助けが欲しければ、にっこり笑って歯を食いしばりながら、私が好きなようにさせることね」

「彼女はどうしてあなたがスタークヘイヴンで助けになると思っているの?」とイセヤが尋ねた。「あなた、本当はクロウじゃないでしょう?」
「違うわ」 アマディスが笑って、首を振った。彼女は、隅で身動きひとつしていないカリエンを指さす。「彼こそ、アンティヴァン・クロウよ。空の上で本当のこと言ったじゃない。私はフェドラス・ヴェイルの次女、プリンス・オヴ・スタークヘイヴンの従姉妹」
そして、ルビー・ドレイクの首領」とガラヘルが言った。「そっちのほうがより重要じゃないか」

 イセヤはゆっくりと頷いた。ルビー・ドレイクという傭兵隊については聞いたことがあり、新しい首領がフリー・マーチズの若い貴族の娘であるとの噂だった。擁するのは千の歩兵、三百の騎馬、二百の弓兵、さらには二十人の戦闘に長けたメイジたち・・・、そして、その力を誇示する最大の尺度は、チャントリーのテンプラーたちが、それらアポステイト・メイジたちにこれまで一度も手出しをしようとしなかったことだろう。
 グレイ・ウォーデンがドレイクの力を欲しているのは間違いない。それだけの規模の軍隊は、ブライトとの戦いにおいて大変な力となる。参戦の報酬が単に生き残ることのみであることを、傭兵たちが納得すればの話だが。

「あなたが、アンティヴァン・クロウ?」 遅まきながらタイヤが言って、カリエンに視線を投げた。
「そうだ」 メイジは身動きせず答えた。頭巾の下の表情はまったくわからない。たった一言、その耳障りな声が沈黙に溶け込んでいった。
「へえ」 瞬きしたタイヤは、身体半分だけ腰掛けた椅子にのけぞり、頭皮を片手で撫でた。髪が再び伸びはじめた頭は、ごく短い茶色の毛をまぶしたように黒ずんで見えた。「メイジがいたなんて知らなかった。彼らはみんな・・・、だって、ほら。暗殺者でしょう。ナイフ使いの、つまり、呪文じゃなくて。あなた、どんなことをやらされるの?」

「必要なことは何でも」とカリエンが答えた。つっけんどんな声に、暗い諧謔の調子が忍んでいる。
 イセヤは林檎酒を呑み終えた。一日中食事をしていなかったので、その泡だつ酒は頭に直接まわったようだ。「必要なことは何でも、ですって? じゃあワイコムの人たちを連れ出せる?」
 頭巾の奥で、カリエンの目が暗く光った。
「それができんことは知ってるだろう?」

 タイヤがふたりを見比べ、カイヤも隣で鏡写しのように同じようにしていた。「どうして? 魔法では動かせない? 門とか・・・、その類のものでは?」
「無理だ」 カリエンの答えは平板で、打ち止めを意味していた。
「そういう風には使えないの」 イセヤは申し訳なさそうに言った。彼女は話す前からそのことを知っており、タイヤが間抜けに見えてしまったことをすまなく思った。「杖を一振りするだけで、誰かを一瞬で別な場所に移すことはできない」

「何か別のものに変えることは?」 空の杯の塊の影で聞き耳を立てながら、ガラヘルが尋ねた。彼の目には、お馴染みのいたずらっぽい輝きがあった。「ネズミとか・・・、それともゴキブリ? 何か小さくて、街中の者たちを漁船団に全部詰め込めるようにできないのか?」
 イセヤは首を振った。「無理よ。それじゃあ、子供向けのお話じゃない」
 カリエンはほんの少し身体を乗り出し、闇から姿を現した。頭巾は後ろにずれ、酒場に差し込む陽光の中に、メイジの堅い顔と顎をさらけ出した。「お話ではない。私の力が及ばないだけだ。荒野の魔女たちなら、自分たちを獣に変えることができる。私の知る限り、望まない生贄もまたそうできるのだろう。だが私は荒野の魔女ではないし、君も違う」

 ガラヘルは憤然として椅子を揺らし、背もたれを酒場の壁に打ち付けた。「じゃあ、何ができるんだ?」
「アラヴェル」とイセヤがつぶやいた。
 兄は両眉を吊り上げた。アマディスは鼻を鳴らした。「アラヴェル」と黒髪のマーチャーの女が繰り返した。「あの陸の船のこと? デーリッシュが用いるような? 森の中を走る、あのどでかい荷車? あれは実在しないわ」
「実在するの」とイセヤが言った。「そして、魔法の力で森の間を抜けるの。人々を宙に飛ばすことはできないし、ネズミに変えることもできない。でも魔法が使えるし、ちょっとの大工仕事で、漁船を陸の船に変えることができる」

 彼女はその考えがグレイ・ウォーデンたちとその仲間たちの腑に落ちるのを待った。ともかく、誰も嘲って笑ったりしなかった。ガラヘルは興味をそそられたように見え、アマディスは疑わし気で、双子はその提案の斬新さに単純に喜んでいた。

 カリエンは頭巾を完全にかぶりなおした。「アラヴェルに呪文をかける方法を知っているのか?」
「いいえ」とイセヤが認めた。「デーリッシュではないから。彼らの伝承は知らない。でも、できることはわかっているのだから、やり方を探すべきよ。私たちの船は、本物のアラヴェルのように強くも立派でもある必要はない。ブライトに呑み込まれる前に、ワイコムの人々が海の上や河川敷の上を渡れるようにするだけでいい」

「それでも、かなりの労力だ」とカリエンが疑いを込めて言った。「新しい魔法の研究にどれだけかかるか、わかっているのか?」
「一週間」とイセヤが答えた。「なぜなら、それしか時間がないから」 彼女は立ち上がり、空の杯を他の杯の塊のほうに押しやった。「たまたまだけど、グレイ・ウォーデンもまた、クロウと同じような掟に従うのよ。必要があれば何でも。そして、それを七日間で成し遂げるの」

***

 カボチャを馬車に変えてみせましょう!
 ま、つっこむのはほどほどにしよう・・・。
 うーん、ここら辺も真面目にやるんでしょうか?

 アニメじゃない? アニメじゃない?
 これ、アニメですよね・・・。 

 あー、あと傭兵団。出た、女首領。傭兵団とやらが「なんとかの軌跡」には山ほど出てきて、なんかバカみたいに強いことになっていて、設定があまりに子供っぽくて食傷気味なんです。個人的にはここでは避けてほしいかった・・・。

 悩んだのは、その傭兵団ルビー・ドレイク(Ruby Drakes)が登場して、後半だけ呼ぶときは(本物のドレイクと混同しないように)「ドレイクス」とやりたかったのだが、よく考えたらアンティヴァン・クロウ(Antivan Crows)は昔から、「クロウ」とやっていました。ううう。
 「シーカーズ」(Seekers)が登場した時も、この際、「テンプラーズ」(Templars)も統一しようかと考えたのですが、なんかちょっと違うよねえ、と思ってやめた。  

 なんといっても、「ウォーデンズ」(Wardens)と一度もやってませんしね。

 ドレイク団、クロウ団、とやる手はあるが、「死ね死ね団」とか「レッドリボン軍」(あ、団じゃないのか)みたいで、個人的にあまり好きではない。「テンプラー騎士団」もまた、テンプラーにはすでに「騎士」の意味が含まれているのでイヤ。だってその場合「シーカーズ」はどうするのでしょうか?

 あやふやなルールなので、いずれ破綻するかもしれませんが、まあ余計なことはせんとこう。

 原文では、「あなたはクロウなの?」と呼ぶときは、"an Antivan Crow"と単数。これは常識。「ヤンキースの一員」が"a Yankee"と同じ。

 有名な話ですが、Yankeesを形容詞として用いるときは、"the Yankee Stadium"と単数。「ジャイアンツ球場」は日本語ですが、じゃあ英語なら"the Giant Stadium"か?
 それだと「巨大な球場」になってしまうので、実際は"the Giants Stadium"(もう今はないけど)。
 いちいち覚えなならんかったのですね。 

 なお「サイダー」(cider, cyder)は、ここでは林檎のお酒です。アメリカン・カナディアンにはアルコールを含まない林檎ジュースもあるけど、酒場ですからブリティッシュ風に泡立つお酒。
 
 日本の「サイダー」は、あれは違いますね。

« 【DAI】ロシアではどんなリークも秘密する | トップページ | Last Flight 8(1) »

ゲーム」カテゴリの記事

Dragon Age Inquisition」カテゴリの記事

DA: Last Flight」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Last Flight 7(2):

« 【DAI】ロシアではどんなリークも秘密する | トップページ | Last Flight 8(1) »