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2014年10月 2日 (木)

Last Flight 7(1)

 とまあ、再開してみるわけですが、冒頭でいきなりプロットの混乱か勘違いが見られる。とりあえずありのまま訳しますので、詳細は後ほど。

***

 生き残ったのはお前たちだけか、とウォーデン・コマンダー・セナステに問われ、イセヤは、もう千回も答えたかのように感じることを伝えた。王族も、残りの者たちも、皆アーチディーモンに吹き飛ばされた。 

 セナステの狼狽ももっともだ。皆、狼狽え、怒り、恐れていた。アンティヴァンの王族丸ごと全部、そしてウォーデン・コマンダー・トゥラブを喪ったことは、グレイ・ウォーデンの権勢と名声にとって甚大な打撃だった。

 他の者たちは計画どおりワイコムに集結していた。船はオスティヴァーとフェナダール、彼らの乗客たちを乗せてまだ海上にいたが、グリフォン・ライダーが定期的に無事を確認している。

 ブライトは、追い風を受けた野火のようにアンティヴァに広がっており、今の安全がいつまで続くかはわからなかった。どの諸国も目立った抵抗を組織してはいなかったが、中でもフリー・マーチズの自由都市国家連合が一番ばらばらだった。まるで生存と独立が同じくらい重要だと考えているようで、ダークスポーンが城門に迫っても、アンティヴァと同じように現実から逃避しかねなかった。

 ワイコムの街中も不信と覚悟の間で揺れている。日々、日が登る前から夜遅くまで、急ごしらえの民兵を訓練し、城壁を補強しているが、ウォーデンの誰が見てもそれらは無駄な努力だった。城壁は守りに不向きで、人々の勇気に見合う技倆も数も足りない。市民を海越しの諸島に逃がし、兵はカークウォールに送るべきだ、とイセヤは思った。
 だがワイコムは漁師街で、沿岸用の漁船は遠洋航海には耐えられない。商船はすでに逃亡した後であり、かりに船旅に賭けるとしても街の皆は救えない。
 だから踏みとどまって戦うしかなく、それが実る望みもなかった。オスティヴァーの船が到着する前に、街は陥落しているだろう。

 セナステが冷たい調子である理由はそれだった。彼女は滅多に敗北を経験したことのない女だった。横柄な金髪の戦士は、グレイ・ウォーデンの二十年に及ぶ任務で鍛えられ、これまでの人生でうまくいってきたように、進路を妨害するものは粉砕しなければ気が済まなかった。
 だがブライトは、彼女に望まない敗北を味あわせ、また別の敗北に直面させていた。そのほうが、アンティヴァの王族や、ふたりのグレイ・ウォーデンとそのグリフォンが喪われたことよりも彼女の怒りを募らせていた。

 トゥラブとデンジがやられた戦いで、どうしてイセヤたちは生き延びることができたのか。ワイコムの民兵隊長から接収した事務所の中で、壁に掲げられた古い槍旗や記章を見つめる素振りをしながら、ウォーデン・コマンダーが尋ねた。イセヤは、そのほとんどが兄ガラヘルとそのグリフォンの働きによるものだったと答えた。自分の手柄があったとしても、それは実際には自分のグリフォンのものだった。それからアーチディーモンが正体不明の魔法を放ったときには、ガラヘルの乗客であったカリエンの力で救われた。自分はほとんど何もしていない。

 セナステが若いエルフの方に振り返ると、高窓から入り込む陽光が彼女の短い、ほとんど白色の髪を照らした。アーチディーモンの目の前で囮になることは、「ほとんど何もしていない」とは呼ばない、と彼女は告げた。そして、今回がイセヤの最初の戦闘であったことを確かめると、立派な働きであったことを認めた。スタークヘイヴンのアマディス・ヴェイルと、カリエン・デヴァリステは貴重な友軍であり、他の三人のグレイ・ウォーデンと乗客たちの安全な脱出を確保したことの功績は言うまでもない。ウォーデン・コマンダーは、心を決めるようにしばし黙り込むと、それから活発に頷きながらこう告げた。ウォーデンは全員スタークヘイヴンに帰投する。だがそこでの守りを固めたら、イセヤと兄ガラヘルにはアンダーフェルズに赴いてもらうことにする。

 アンダーフェルズ、とイセヤはおうむ返しに繰り返した。
 ワイコムはもたない、とセナステが続ける。守りはあまりに薄く、ブライトからあまりに近い。仮に一晩で軍隊を招集できたとしても、ダークスポーンが沿岸に到達する前にここにたどり着くためにはへとへとになるまで強行軍を続けねばならず、そして疲弊した兵は死んだ兵と同義だ。セナステは近くの地図を手でなぞった。ブライトはリヴァインも呑み込むだろう。半島はすでに大陸から分断されており、ダークスポーンがそちらに進行すれば救いはない。船とグリフォンを送って住民を避難させることはできても、国そのものは亡ぶ。
 だが、スタークヘイヴンとカークウォールなら、踏みとどまることができるかもしれない。そこでなら、ブライトを阻止するための時間も、兵力も手に入る。彼女の鷹のように容赦のない蒼白い瞳がイセヤを見つめた。もしそこに、十分な同盟軍を結集することが可能なら。 

 オーレイとテヴィンター帝国のほうが強力だ、とイセヤが困惑とともに言った。どうしてアンダーフェルズなのか? 
 両大国は確かに強力だが誇りも高い、とセナステが応じた。イセヤとガラヘルには地位も血統もないどころか、さらに悪いことにはエルフだ。使者として送り込めば、それは相手から侮辱と受け取られる。だがアンダーフェルズでは、その者が何をなしたかで評価される。アーチディーモンと戦って引き分けたふたりなら、称賛されるのは間違いない。

 だがそこで兵を結集するのは、容易でもなければ短時間で済む話でもない。アンダースはほとんどが小さな街や村に点在して住んでいる。都市と呼べるものはまずない。街道も少なく、土地は辛く厳しい。グリフォン・ライダー以外にかの地で兵を招集できる者はいない。
 自分にそのグリフォン・ライダーの役割を果たせということか、とイセヤが尋ねた。とても無理な話に聞こえた。自分は鞍ずれを防ぐためのまともなたこさえまだできていない新米なのだ。ウォーデンの威厳が重く彼女の肩にのしかかり、それを用いてアンダーフェルズの村人たちをダークスポーンとの戦いに駆り出すことなど、想像もできなかった。

 だがセナステは間違いなく真剣だった。その通りだ。イセヤと、兄ガラヘル、そして、おそらくカリエンを含む他の者たちも向かうことになる。イセヤたちの英雄譚を聞けば、かの地の者たちは集結するだろう。
 もし、集結しなかったら。ウォーデン・コマンダーはイセヤの問いに肩をすくめ、壁に張られた地図に向き直った。物腰には先ほどまでの氷の壁が戻っていた。
 集結する。させるんだ。
 それはまた厳とした退室の命令だった。イセヤは途方に暮れたまま一礼すると、部屋を辞した。

 外では、太陽が明るく輝く青空をレースのリボンのような白い雲の筋が横切り、風の気配はなかった。ブライトの終わりなき嵐は、傷を負った親指の紫色の指紋のような形で、ここからは遠くのほうに微かに見えるだけだった。

 だがその存在は街に重くのしかかっていた。煮られたタールの匂いと、いくつもの調理の竈から立ち上る煙があたりに立ち込めていた。ワイコムの民は、家畜を片っ端から屠っては、その全ての肉を塩漬けや燻製にして籠城に備えていた。枝を網んだ棚には、尾頭付きの魚の列が、牛やヤギの輪切りにされた肉の隣に並べられている。彼らは、日が沈んだずっと後までその準備に勤しむようで、その時分には燻製用の火の灯りが、防柵を築く者たちの手元を照らし出すことだろう。
 勇敢だが、破滅に突き進むだけの空しい努力。イセヤは見ていられなかった。

 彼女は街の市場の唯一の門に向かった。ワイコムには四つの門があるが、二頭立ての荷車が通過できるほど大きいのはそのうちひとつだけだった。小さな商人地区がその回りを取り囲んでおり、イセヤが目指したのはそこであった。近くの居酒屋は、なんとか希望を見出そうとして口々に語り合う人々で一杯であり、イセヤにとってそれは聞くに堪えなかった。

*** 

 デンジとともにアーチディーモンに吹き飛ばされたのは、ハブルだったはず。ウォーデン・コマンダー・トゥラブは、フェナダールたちと一緒に船に向かうと言っていたはず。
 きっと混乱しているんでしょうね。ハブルについて触れられることがないので、取り違えたかな・・・。むーん。 

 なお、地名については、ネットのDA Wikiなどで見つかるセダスの地図をご覧いただければ一目瞭然です。
 ワイコム(Wycome)は、アンティヴァ・シティーから沿岸沿いに南に下ったマーチズの街。

 スタークヘイヴン(Starkhaven)は、地図でわかるとおり山間の要衝。アフガニスタン、あるいはマーチズがバルカン半島をモデルにしているなら、ギリシャからブルガリア、さらには旧ユーゴ諸国まで連なる山岳地帯のように、守りやすく攻めにくいってところでしょうか。
 カークウォール(Kirkwall)はご存知のとおりですね。こちらもまた高い絶壁に囲まれた地形。ほぼ唯一の進入路である回廊状の水路は、ダークスポーンが水を渡れないために、むしろ防壁として機能する、ってことでしょうか。

 セナステ Senaste

 以下は、フルネームが判明したふたり。

アマディス・ヴェイル Amadis Vael
カリエン・デヴァリステ Calien d'Evaliste 

 DA2をプレイした方には言うまでもなく、スタークヘイヴンの王子(公国ですのでプリンスが当主にあたる)は代々ヴェイル家の出身であった。セバスチャン・ヴェイルの一門です。

 

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