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2014年10月26日 (日)

Last Flight 14(1)

 前回のくだりは、「動物のお医者」(略)みたいで、正直辛かった・・・。やっぱ戦闘シーンは楽です。

***

第十四章

5:19 エグザルテド

「来るぞ」 リズメが告げた。彼は左目に当てた真鍮製の望遠鏡を目を細めて覗き込んでいる。「焦天陣のところまで接近中」

 両性具有のメイジは、ディープロードを封鎖する戦いで受けたピンク色の傷跡がまだ残っていたが、それも衣裳の趣向の一部に仕立てていた。今日は男の格好で、黒髪は肩よりも下まで垂らし、同じだけの長さの髭を伸ばしている。頭蓋の左側に残る生生しい斜めの縞状の傷跡の回りだけは髪も髭も綺麗に刈り取られ、ピンクの輝く傷口が剥き出しとなっていた。 

「数は?」とイセヤが緊張気味に尋ねた。彼女は兄からグリフォンに乗ったメイジとアーチャーの小部隊を委ねられていた。部下の全員が手練れの古参ウォーデンだったが、規模は大きくなかった。この戦での役割は補助的なもので、重要だが小さい。ダークスポーンが予想よりも大規模なら任務遂行は不可能だった。

 彼女たちの任務は、ホスバーグの南方にあるラッテンフラス河の分岐にいるダークスポーンを殲滅することだった。友軍の大部分はガラヘル麾下で街の北西に位置しており、ダークスポーンの軍勢のうち最大の群れと対峙している。
 南方の戦線は比較的静かだったが、その空虚さこそ欺瞞だった。誘うような間隙は、ダークスポーンが軍勢の大きな部分を割いて後方から奇襲を仕掛けるよう仕向けるためのもので、ウォーデンは弓と剣ではなく、策略と魔術で敵を粉砕することを意図していた。

「二百か、あるいは二百五十」 リズメがしばらくして答えた。望遠鏡を下ろすと、肩越しにイセヤのほうを振り返る。風が彼の髪を捕え、彼の後ろに黒い絹のバナーのようにはためかせた。「ほとんどがハーロックで、シュライクも少し。オーガは三匹いる」
「アーチディーモンはいない?」とイセヤが尋ねる。
「いない」とリズメが認めたが、驚くべきことでもなかった。アーチディーモンはここ何週間も目撃されていない。直近の信頼に足る情報は、アンティヴァ・シティの廃墟の上空、六日前のものだ。

 アーチディーモンが今日の戦いに現れないのは安堵でもあり、失望でもあった。現れればブライトを終息させる機会だが、また一方ではより大きな破壊に見舞われることも意味した。七年続いた籠城の後で、ホスバーグの守りにそのような強敵と会いまみえる力は残されていない。

 リズメは再び望遠鏡を構え、接近するダークスポーンの姿を覗いた。イセヤには地平線に見える動く闇にしか見えない。ラッテンフラス河の輝く流れは、ブライトのもたらした旱魃のため、今や土手から二十ないし三十ヤードも下がっており、進軍する鋸の歯のような群れの後ろでたどたどしく流れている。
 やつらの前方、ウォーデンたちとグリフォンたちが待ち伏せを仕掛けている場所までの丁度中間あたりには、焦天陣が敷設されている。

 ドワーフたちがディープロードでダークスポーンどもと戦う際に用いる罠から翻案された焦天陣は、沢山の壊れた鎧、鋭い岩、その他の破片が一杯に詰まった、地中に埋められた大きな土器群のことだ。それぞれの土器の中心には特別仕立ての石がいくつか入れられ、それぞれの石にはレリウムでルーン文字が記されており、ドワーフたちが彼女の兄に請け負ったところによれば、適当なときに着火すれば爆発する仕組みになっているということだった。精度は悪いと言わざるを得ず、失敗しやすい仕掛けではあるが、レリウムの紋様がダークスポーンどもに壊滅的な打撃を与えることを保証するはずであった。

 墓標には斃れた者たちの武器が飾られており、それはオーレイやテヴィンター帝国の一部における習わしだった。セダスの文明国に土葬を風習とする国はほとんどない。ディーモンや悪意あるスピリットが死骸を乗っ取る危険があまりに大きすぎるためであり、代わりに屍を焼き、武器を飾るのだった。

 ところがアンダーフェルズでは、生活は厳しく、武器は死者に奉じるにはあまりに貴重すぎた。ダークスポーンがヒューマンの習慣を少しでも知っていれば、貴重な矛槍や槍が岩だらけの墓標に飾られているのを訝しく思ったにちがいない。
 だがガラヘルは、ダークスポーンがそのような些細なことまで気にするはずがないと考え、また連中が敵の死骸から優れた武器を漁る機会を見逃すはずがないと見込んでいた。ハーロックやジェンロックには鍛冶の才能がなく、追従するグールたちの手練に頼っていたが、グールたちも鍛冶場の作業に長けているわけではない。故に彼の見立てによれば、四つの墓標に置き去りにされた武器を目にしたダークスポーンどもが、そのような戦利品をみすみす見逃すはずがなく、先を争って奪い合うに違いなかった。

 そしてダークスポーンが槍や矛槍や、金物付きの得物を手にしたとき、やつらは死ぬ。それらの武器に結び付けられた導火線が隠された焦天陣まで続いている。少しの間を置いてレリウムのルーンが起動し、そして願わくば、より多くのダークスポーンが殺到してきた頃に、焦天陣はその名の通りの働きをなす。

 イセヤは近くで目撃したかった。火を用いる技術は何でも好きで、ドワーフの作った爆弾は優れものに違いなかった。ウォーデンたちは、それを今まで一度も用いたことはない。数か月前に受け取ったばかりで、ガラヘルの終わりのない同盟集めの努力の成果だった。ドワーフたちは数多くの戦士を割くことは嫌ったが、鉱山カースト出身の二人の女性とともに、いくつかの荷車に山と積まれた資材を送りつけて来た。

「もうすぐだ」とリズメがつぶやいた。「準備しろ」
 イセヤは頷き、他の者たちが待つところまで退いた。少し後にリズメもやってきて、低く腰を屈めながら、依然として望遠鏡でダークスポーンの動向を監視している。

 仲間のグレイ・ウォーデンはわずか二十三名で、一ダースのグリフォンを伴っていた。彼らは、ホスバーグの鉱夫たちが渇き壕になるように堀り広げた自然の渓谷に隠れている。何年も前にはラッテンフラス河が壕を水で満たしていたが、ブライトが長く続き、河の水位が下がってしまったため、壕の底は今や固い泥がむき出しになっている。そこには、残念なことに、待機するグレイ・ウォーデンたちを悩ますブヨどもが棲みつく程度の湿気は残っていた。
 ブヨの雲を手で振り払うと、イセヤはリーヴァスの鞍に跨った。カリエンはすでに後ろの鞍に掛けており、他の者たちも同様にしていた。全ての乗騎が二人乗りで、ダナロのシュライクだけは、ジョイニングの後で相当気が立ったままなので、主人一人だけを乗せていた。

 シュライクは他のグリフォンたちから少し離れ、思い悩むような不機嫌な様子でしゃがんでいた。イセヤの儀式の後、あっというまに回復したが、その経験に怒りを覚えているようだった。苦難から復活した後はずっと怒りっぽく、他のグリフォンたちもシュライクに対して同じように敵意を顕わにしていた。シュライクは他のグリフォンとすでに二度喧嘩をして危うく殺しかけ、夕飯用のヤギを届けた後も長くそこに留まってしまった厩舎番の片腕にもひどい怪我を負わせた。ダナロだけが、威嚇の啼き声や、憎悪に満ちた視線や、それ以上悪いことに見舞われることなく、彼のグリフォンに近づくことができた。
 シュライクに二人目を乗せないのは当然だった。イセヤは、そのために今日彼らが苦労することのないよう願った。

 北方の遠くからは、戦太鼓の鳴る音と、進軍を促す喇叭の騒がしい音が聴こえて来た。ホスバーグの戦いが間もなく始まる。
 ダークスポーンもまたそれを聴いて知っている。何匹かが迷っているように引き返そうとしているのは、ラッテンフラス河を渡って戦いに参加すべきかどうか逡巡しているからだろう。さらに多くは駆け出して、墓標の傍の武器の方に突進を始めていた。

 オーガどもが先頭に出て、回りの小型のダークスポーンどもを弾き飛ばしながら、自分たちの図体が大きすぎて使えもしない戦利品を目指した。やっとこのような口をしたシュライクどもは、オーガの足元に纏わりつき、大型の仲間に先んじようとしている。

 墓標に辿り着くと、ダークスポーンはそこに留まり、頭を持ち上げて空気を嗅いだ。風向きはやつらの方に向かってはいなかったが、それでもイセヤは緊張した。ダークスポーンの能力は計り知れず、ときに彼らもまた、ウォーデンたちと同じように、ジョイニングの儀式で同族となったグレイ・ウォーデンの存在を察知することができるのだ。

 やつらが壕に潜むグレイ・ウォーデンの存在を察知したとしても、それを示す動きはなかった。オーガどもは、気味の悪い、鳴き声を挙げるシュライクどもと争うように墓標に押し寄せた。たこまみれのでかい手とともに、針のような爪のついた痩せこけた手が槍や杖を掴むと、罠仕掛けの武器を持ち上げ、勝利の叫びとともに空中に掲げた。ハーロックとジェンロックもやってきて、羨ましそうに吠えたり、鳴いたりし、叫び声をあげるシュライクどもから小さな武器を奪い取ろうともみ合った。その周囲ではオーガどもが、戦利品を取り合いながら踊りを踊るようにぐるぐる回っている。

 そして、やつらの足元の地面が爆発した。

***

 島国では、かつては(儒教の影響もあって)安上がりな土葬文化、仏教の影響を受けた後は火葬文化も生じたので違和感はないでしょうが、USでは火葬が宗教上禁忌と見なされることもあり、あまり一般的ではないようです。
 一方UKなどでは火葬のほうが一般化しているそうで、ここら辺詳しいところ良く分からないのですが、(火葬が流行したのは)この島国でも土地の有効利用のためもあったそうで、文化だけではない要因も影響しているのでしょうね。

 西アフリカ諸国の一部でも、火葬は習慣上禁忌なところがある。焼かれた死者は再生できずに、この世を呪われた亡霊として彷徨うとの言い伝え。
 そのためエボラ熱の死者が焼却されるのを避けるため、家族や親族が隠してしまうことがあるとか。死んだ直後の死体からの感染確率が一番高いので、親族も続いて死んでしまうのではないか。
 禁忌を犯すくらいなら死んだ方がまし。国連の低能どもは、諸国の文化の違いをきちんと理解できるのだろうか。

 島国では幽霊がメジャーで、あちらではゾンビやスケルトン(まとめてリヴィング・デッド)がメジャー。そんなところにも関連していそうです。まあ・・・、あまりに爆発的に死人が出て火葬する暇がない場合は、島国だってゾンビだらけになるわけですが。

 以前、ゲイダーさんが反省とともに述べていました。、DAOリリース直前のテストで、レッドクリフに「土葬」の墓があるのを見つけ、あわててアート部門に怒鳴り込んだが、時すでに遅しで修正不可。大量の書類を渡しただけで、設定をきちんと説明していなかったライター衆も悪かった。
 死者が蘇る話そのものが進行中のレッドクリフに土葬の墓。さすがにそれはまずいわけですよね。

 skyburners、スカイバーナーズ、「焦天陣」と訳しましたが、要は敷設爆弾、偽装爆弾、大掛かりなブービー・トラップなのですね。戦利品目当てに殺到してブービー・トラップに引っかかる。近代戦争では至るところで行われていた(今も「いる」)策略のようです。

 ところで「ブヨ」は関東弁なんですね? 漢字は蚋(ブユ)しか出ないのだ。
 果たしてあちらでいうgnatsが、この島国でいう「ブヨ」(ブユ)と同じかどうか定かではないが。

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