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2014年10月13日 (月)

Last Flight 11(1)

 Amazon KindleのコンテンツがPCのブラウザ(Cloud Readerなる呼び名がついている)でそのまま読めるようになったのは、非常に助かる。といっても私の場合、英語原書のみしか確認していませんが。日本語の書籍はPCでは閲覧不可。日本のコミックがいけるそうだが、Kindleでは一冊も買っていないので不明。
 もちろん本国ではとっくに実現しているはずで、島国なんて後回しにされたのだろうが、ないより全然ましである。

 Kindleは移動中、外出時にはそりゃあ便利で助かるけど、マルチ大画面環境の自宅にいるのに、なにが悲しゅうてちっちゃーい画面を見ながら翻訳せなならんのでしょうか、とずっと思っていたのでした。

 いやいや、それは単なるわがまま。以前はペーパーバックとにらめっこして訳していたかもしれないじゃないですか(残念でした、Asunderを翻訳することにした時点でKindle版を入手していました)。
 英文と和文を横に並べて作業するほど効率的なことはありません(上下でやってみることもあるが結構きつい)。
 唯一、オンラインの辞書がサポートされていないのが残念だが、まあそれも些細なことです。

***

 

第十一章

5:19 エグザルテド

 ホスバーグの城に帰還するや否や、イセヤは、ダークスポーンが用いるディープロードの入り口を発見したことを伝えた。手はずどおり、落後した一匹を追跡して見つけたことにした。ここからさほど遠くなく、メイジたちの力で封鎖することができるくらい狭い。 

 やつらの補充を遮断できると考えているのか。随分前に帰還したらしいガラヘルの金髪が黒く見えるのは、すでに入浴を済ませたことを示しており、騎乗用の鎧は柔らかい寝室用のローブに着替えていた。アマディスもまた同じように入浴と着替えを済ませており、妹が見ている前で、ガラヘルの腰に両手を回していた。ふたりの間の愛情表現は、恥知らずなほど人前をはばからなくなっている。
 だが、この女を一体誰が躾けることができるだろう? 特段法を犯しているわけでもなく、ブライトを目の前にしている今、お行儀について頓着するのは馬鹿げた話かもしれなかった。 

 そのとおりだ。イセヤはリーヴァスの装具を外し、その下で皺になった毛皮を繕うように撫でつけながら答えた。カリエンは、無言のままグリフォンから降りたところだ。

 いつやるつもりか、とアマディスが尋ねる。できるだけ早く、明日にでも。イセヤはふたつの鞍を順番に取り外し、世話役の召使いの傍に重ねて置いた。ダークスポーンは入り口を要塞のように固めたりしないし、警護もしない。出会うのは、付近をうろついている少数のダークスポーンだけだろう。

 イセヤがそう望んでいるだけ。アマディスが言った。彼女のローブの帯には、さっきまでなかったはずのダガーの柄が挟まれており、次の瞬間にはまた消えていた。
 それはどうやるのか、イセヤが尋ねたが、女は決して教えてくれないだろう。七年ずっと一緒にいても決して。

 イセヤは、そのとおり楽な仕事であることを期待している、と答えた。手に負えないとわかれば中止してまた別の日に試みればよいだけだ。やつらは性質上、拠点を築くことはしないし、その入り口にしても今夜まで目立たず、発見できなかったわけだから。

 よくやった、とガラヘルが言った。アマディスの腕を腰から外すと、彼女の手をとり、自分たちの自室に向かって中庭を歩き始めた。明日そこまで飛んでみることにする。警護が厚くなければ崩落を試みよう。警護が厳しければ戻ってくる。そして、必要なメイジは何人か、とイセヤに尋ねた。

 イセヤは肩をすくめ、意見を求めるような顔でカリエンを見た。三人か、四人。入り口は狭く、ドワーフの築いた古い門などではない。時間さえあればメイジひとりでもなんとかなるが、近くにダークスポーンがいれば、こちらの企みに気づいて怒って襲ってくるかもしれない。素早くさっさと片付けるためには、最低三人。
 カリエンも同意した。頭巾を引いて顔を隠しているため、言葉はまるで深淵の底から届いたように聴こえた。

 アマディスとガラヘルが視線を交わした。では、明日、とエルフが言った。メイジ三人、イセヤとカリエン、それにおそらくエラカスだが、彼の場合はフェリスに無理を言って借り受ける必要がある。
 イセヤが同意した。兄は頷くと、アマディスとともに城の中に姿を消した。

 すでに夜はかなり遅く、召使いもすでに辞し、ときおり巡回してくる衛兵たちを除けば、自分たちの他に中庭に残っている者はいなかった。
 ジェンロックに魔法をかけたとき以来、カリエンは言葉少なだった。イセヤは、彼が帰還後早々に自室に戻ると思っていたが、驚いたことにまだその場にとどまっていた。イセヤにはリーヴァスに餌を与え、世話をする仕事が残っていたが、彼がとどまる用事は何もないはずだった。

「あなたは休まないの?」と彼女が尋ねた。
 彼は頭を小さく振った。わずか数フィートしか離れていない彼の言葉はほとんど聴き取れなかった。「なぜ、ブラッド・マジックを学びたがる?」
「なぜなら、有益そうだから」とエルフが答え、油を滲み込ませた布で固くなっているグリフォンの翼を優しく拭いた。「そしてブライトと戦うため、役に立つどんな手段でも使う。あなたの理由は?」

「私はアポステイトだった」 カリエンが変わらぬ静かな声で言った。彼の瞳は見えなかったが、どこか遠くを見ているに違いなかった。彼女にではなく、過去の彼の亡霊に向かって話をしているようだった。「私はアポステイトで、そして生きたかった」

「そして生きた、役に立ったじゃない。誰が教えたの? クロウの誰か?」
「違う」とカリエンが不機嫌そうに答えた。彼は、自分の身体を預けるように寄り掛かっている杖をゆっくりと回しており、その先端の水晶が城の篝火に輝いた。「ディーモンだ」

 五年前なら、イセヤはその告白に衝撃を受け、怖気を奮っただろう。だが今はただ頷いただけであった。ブライトの恐怖は、彼女が師匠たちから受けた古い警告を、取るに足らない色褪せたものにしてしまっていた。ブルードマザーにされるため引きずられていく女性の悲鳴をはじめて聴いたとき、その惨劇を終わらせるためなら、自分はディーモンとの間で千もの取引きをしたかもしれない・・・。そして何年もの間、そのような誘惑に負けないよう、イセヤは自分自身を強く持つことを学んできたが、考えが完全に消え去ったわけではなかった。「どこで見つけたの?」

「我々のある契約から。アポステイトのブラッド・メイジがアンティヴァに逃亡してきた。追ってきたひとりのテンプラーは彼女を倒すこともできず、倒そうともせず、自分の任務をクロウに肩代わりさせることにした。
 我々は、花売りに身をやつしていた彼女をトレヴィソで見つけた。楽な殺しのはずだったが、実際には・・・、違った」 カリエンはしばし黙り込んだ。それからため息をつき、中庭の井戸の近くにあった低い壁に近づき、そこに腰を下ろして頭巾を脱いだ。顔はやつれて疲弊しており、口の回りにある疲労を示す皺が、篝火のためくっきりと照らし出されていた。「彼女を捕まえたとき、あのテンプラーがあわてて我々を雇った理由がわかった。彼がアンティヴァン・クロウと事を構えたくないからではなかった。彼女と対決したくなかったのだ」

「彼女はアボミネーションだったの?」とイセヤが尋ねた。ディーモンの憑依に呑み込まれたメイジがどうなるか、彼女も見知っていた。悪夢に棲む化け物になる。身体は溶け、超自然的な形に代わり、この世のどんなものよりも、不可解な夢で見る幻覚がそのまま現実になったと言うほうが近い。心は消え去り、憑依されたディーモンの傀儡となるか、あるいは、彼女には確かなことがわかるはずもなかったが、完璧に破壊されるかするのだった。

 ブライトの最中には、平時よりも頻繁に生まれる。絶望したメイジが自分で操ることのできる以上の力に手を染め、愚かにもフェイドに心を曝してしまう。才能を抑制する術を学ばないメイジは大変危険だ。ダークスポーンから闇雲に自分を、あるいは自分の家族を守ろうとする未熟な魔法の遣い手たちこそ、ブライトの周縁部で最もよく見られるアボミネーションの正体であった。

 だが、手練れのメイジもまた、戦いによる疲労や不眠のため、その罠に陥ることがある。自ら望んで選ぶこともある。ウォーデン・メイジも例外ではなく、援軍も救助も期待できない敵の真っただ中で、敵に最後の一矢を報いてから死ぬためディーモンを自らの身体の中に招き入れるのだ。強力なアボミネーションは、死ぬまでの間に数十匹のダークスポーンを道連れにすることができる。

 イセヤは、ダークスポーンに連れ去られてブルードマザーにされるくらいなら、自らアボミネーションになると、ずっと以前から心に決めていた。恐怖の中で生きるよりも、その中で死ぬ方がましだ。

「そうだ」とカリエンが言った。「他のほとんどの場合に比べ捉えにくかった。外見には何もおかしなところがなく、少なくとも我々の目には止まらなかった。憑依される以前の彼女を知っていれば話は別だったのだろうが。
 だが我々にわかるはずもなかった。最初に尋常じゃないと気が付いたのは、毒を塗ったダガーをまるでブヨか何かのように叩き落としたときだった。それから襲いかかってきて・・・、わずかの間に、彼女と私の他、その待ち伏せから生き残った者は誰もいなかった」

 イセヤはリーヴァスの向こう側に回ると、もう一方の翼を持ち上げ、同じように油を滲みこませた布で拭いた。拭き終わると、傷の有無を確かめる。グリフォンの勇気と不屈さは、乗り手に苦痛や弱体の兆候を気づかせないことがしばしばだが、風切羽についた傷が戦場では命取りになりかねない。「どうしてディーモンは、あなたに魔法を与えると約束したの? どうしてあなたをただ殺さなかった?」

 カリエンの唇が歪んだ笑みを見せた。「クロウの名は、まんざら伊達ではない。彼女は我々の大部分を葬ったに違いないが、我々も血で購わせた。戦いの最後に死に瀕していたのは彼女のほうで、私のほうはまだほぼ無傷だった。そのまま、あっさりけりをつけることができた。私にもわかっていたし、彼女に憑依していたディーモンにもわかっていた」
「だからディーモンが取引を持ち出した?」
「そうだ。ブラッド・マジックの秘密と引き換えに、やつの定命の器を治癒すること」

「そして、受け入れた?」 彼女はリーヴァスの翼を離し、尾翼のほうを確かめるため回り込んだ。拭き布は砂で汚れで黒くなっていたので、イセヤは逆に折り返してきれいな面を外に向けた。
「そうだ」 カリエンは、自らの告白のため苦しそうにも、また同時に救われたようにも見えた。「私はディーモンの知識の申し出を受け入れ、彼女を治癒した。ほんの僅かだけ。それから彼女の心臓をダガーで貫いた。クロウは約束を破らない。相手がディーモンであっても、顧客でも」
「そして、あなたはブラッド・メイジになった」 イセヤは、リーヴァスの黒い背中の反対側から彼に目をやった。「随分と楽に学んだものね」

 カリエンは彼女に諧謔のない微笑みを返した。「そうだ。教わったのではない。ディーモンが私の頭蓋に穴をあけ、誰かの記憶をそのまま注ぎ込んだような感覚だった。見たことのないフェイドの場所が見え、聞いたこともない呪文を唱える術を知った。全ての知識はただそこにあり・・・、今日まで誰にも話したことはないし、それに手を触れる気はさらさらなかったと取り繕うつもりもないが、ディーモンの秘密は決して消え去りはしなかった」 

 イセヤはグリフォンの世話を終えた。汚れた拭き布を肘にかけ、リーヴァスの肩を叩き、今夜はお役御免であることを伝えた。承知したような声をたてると、リーヴァスはふたりのウォーデンから歩み去り、空に飛び立ち、月光に照らし出されたアンダーフェルズの地で、ひどく痩せこけているに違いない何かの獲物を探すため出かけていった。

 グリフォンが飛び立つにあわせ巻き起こった埃まみれの風がやむと、イセヤは口から砂を拭き取り、カリエンに視線を戻した。「実際には学んでもいないものを、誰かに教えることができるのかしら?」
「やってみるしかあるまい」と年長のメイジが答えた。「とどのつまり、術が何かはわかっているのだ。自分の大部分の記憶などよりも、ずっと鮮明に覚えている」 彼は間を置き、彼女を見つめた。「まだ本当に望んでいるのか? これは邪道の魔術だ」

「武器よ」とイセヤが言って、瞬きせず彼の視線を受け止めた。「武器であるし、私たちはブライトと戦っている。もちろん望んでいるわ。憑依それだけでも強力な武器になるわけだし・・・、でもあなたの話が本当なら、ブラッド・マジックはとてもそれだけに限らないわけでしょう」
「そのとおりだ」とカリエンが言った。「他にもある」
「何を教えてもらえるのかしら?」
「何もかも」と彼は言った。

*** 

 ここに何度か出てくるブルードマザーのくだり、以前紹介したセダスUKのゲイダーさんインタヴューで初めて話題になりました。

 コーリングに向かう女性ウォーデンは、「運良く」戦いの末斃れればまだよいが、誤ってダークスポーンに囚われてしまえば、あのおぞましいブルードマザーにされてしまうのではないだろうか。そうであれば、女性ウォーデンは、コーリングそのものを忌避するのが普通ではないのか。あるいは(上でイセヤが誓うのと似たように)自ら命を絶つほうが賢明か。

 セダスUKでは話題にならなかったのですが・・・。アリスターの(ゲイダーさんの)コーリング三十年説はここでも「余計な」設定になっちゃうんですね。それによれば女性ウォーデンがコーリングに赴くのは(二十歳前後でジョイニングを経るとすると)、四十台後半、あるいは五十台の場合が多い。その年齢の女性ウォーデンが「ブルード」(繁殖)マザーに供されることがあるのかどうか・・・。
 こんな生々しいことを書いてしまって申し訳ないが、それも「設定」したほうが悪いわけですからね。
 もちろんコーリングかどうかに関わらず、ディープロードで戦う女性ウォーデンにはその危険が常に付きまとう。イセヤが言っているのも、まだ若い彼女の抱く、考えるのも忌まわしい運命のひとつであるのでしょう。

 著者はDAロアをよく勉強してますね、ってところですかね。カリエンとの話は、まるでアボミネーションに関するDA Wikiの記事か、ゲームのコーデックスのようでもある。良く整理されているので、その部分ベタ訳しました。それ以外に意味はありません。というか「伝聞」や「昔ばなし」は、やっぱ迫力の点からすると良くないですね。

Eracas エラカス

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