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2014年9月29日 (月)

Last Flight 6(2)

 毎度のことですが、DA小説の記事がはじまると、読者が減る減る(笑)。理由はもちろんはっきりしているんですが、あくまで老後の愉しみなんで続けます。

***

 一週間後、テンプラーたちがやってきた。

 煉瓦色の砂塵がゆっくりと動くのは到着の何時間も前、正午頃から見えはじめた。時折、灼熱の太陽に反射する鎧のきらめきが見えたが、ワイズホプトの塔の上で望遠鏡を覗く見張りがいなければ、テンプラーとはわからなかっただろう。
 見張りによれば、禁断の地をものともせず渡ってくるのは、重い鎧を身に着けたたった五人のテンプラーたちと、荷馬車を引くロバ一頭。

 ヴァルヤは、他のホスバーグのメイジたちと一緒に弓兵の覗き穴から見守りながら、意図せぬ同情の痛みを感じていた。 望遠鏡なしではひとりひとりの顔まで見えないが、見たくもなかった。戦いになったら、相手が人々だと感じないほうがやりやすい。
 だが彼女は、携帯式オーヴンに身を包んでいたわけではなかったとはいえ、アンダーフェルズの地を旅する難儀さを覚えていた。テンプラーたちに来てほしくはなかったとしても、彼女は憐憫で心を痛めていた。 

 同僚たちは徐々にその場を離れて行ったが、彼女は何時間もそこにとどまり、テンプラーたちが赤い大地を進んでくるのを見守っていた。彼らがブロークン・トゥースの足元まで辿りつき、登攀路に入ると姿が見えなくなった。彼女は時間をつぶすため、イセヤの日記を読み続けようとしたが、まったく気が入らなかった。不安のため文字のインクは霞んで見え、ページをめくる前ごとに、何度も杖を手にしてその感触を確かめていた。

 とうとう、這い進むような永劫の時間の最後に、ワイズホプトの城門が開く音を聴いた。問答する声が耳に届いたが、はっきり聞き取れなかった。耳慣れない震えるようなバリトンが広間に響いた。
 テンプラーの主導者に違いない、ヴァルヤはそう思った。好奇と恐怖半々に突き動かされ、彼女は杖を手にすると、城門まで降りて行った。

 ブロークン・トゥースの日は暮れようとしていたが、テンプラーたちは日没のため赤く見えるのではなかった。鎧も肌も塵塗れであったのだ。ロバも全身塵に覆われ、苺色の糟毛のようにみえた。
 彼らは疲労困憊しており、何かを無理強いしているようには見えなかったが、ヴァルヤは念のため玄関広間の闇に姿を隠した。テンプラーに対する恐怖はあまりに深く植え付けられており、鎧の胸に描かれた炎をあげる剣を見ると、長年培った用心深い敵意が蘇る。彼らと自分の間には、半円形に並ぶグレイ・ウォーデンたちが立ちはだかり、視界を遮ってくれているのが救いだった。

 サルウェが、南方のウォーデンたちからの報せについて尋ねると、先頭のテンプラーが、何もない、と答えた。バリトンの主の口髭は汗で固められた塵で覆われ、その色もわからなかったが、ヴァルヤはそれ以外の顔の部分が見えなかったにも関わらず、彼がホスバーグからやってきたのでないと思った。あそこの上級テンプラーは全員知っていたが、この男には馴染みがなかった。そうでなくとも訛りに聞き覚えがない。

 テンプラーたちが最初に訪れた二カ所のウォーデンの拠点は完全に無人であり、その理由も不明だった。地元の民は、ウォーデンたちから予備の馬や家畜を二束三文で買い取っていた。彼らは急いでいるようだったが、それが何故なのかも、どこに向かうのかも告げなかった。その地域にダークスポーンの噂はなく、テンプラーたち自身も一度も遭遇することはなかった。

 逃亡したというのか、とサルウェが疑わしげに尋ねると、テンプラーも同じ疑いを抱いているようだった。赤い塵を巻き散らかしながら首を振り、逃亡の企てを秘密にしておくことはできないし、一カ所だけならまだしも、二カ所同時というのはあり得ない、と言った。
 片方が他方を説得したのかもしれない。どちらも少数づつしかいなかったのだから、と顔に向う傷のあるウォーデンは、自信なさげに応じた。 

 そうかもしれない、とテンプラーが肩をすくめると、鎧からまた赤い塵が落ちた。そして、何もわからないが、彼らに出会わなかったことだけは確かだと告げた。テンプラーたちは、二つ目のウォ-デンの拠点を過ぎてから、帝国街道をチャーヌーまで抜け、それから北に逸れてここまでやってきた。彼らは道中、他の者たちから手紙や書簡を預かってきていたが、それらは徴用された者たちの家族からのものや、貴族からの伝書であり、グレイ・ウォーデンからのものはひとつもない。もし途中で彼らの誰かに出会ったなら、こんな遠くまでやってくる必要もなかった。 

 サルウェは頷き、カロネルに前に出るよう身振りすると、テンプラーたちが手紙をここまで運んでくれたことに礼を述べ、同僚がこれから部屋に案内すると言った。そして、今夜はゆっくり休んだ上で、ここへの避難については明日の朝に話し合うことにしよう、と告げた。

 彼らも避難民なのか? その考えはヴァルヤの頭の中に混乱を呼び起こした。テンプラーたちはホスバーグのメイジたちを追跡してきたのだと思いこんでいたが、まるでそうではないようだ。自分たちがここにいることすら知らないらしい。

 チャーヌーよりも南からやってきたというのなら・・・、この世界を半分横断してきたことになる。過去二か月にわたりセダスの地図とにらめっこして来た彼女には、その旅がいかに長く、過酷であるか正確にわかった。飼料の確保が比較的容易であり、穏やかな夏の季節であっても、決して気ままな旅とはいかない。

 彼らも、メイジ・テンプラー戦争から逃れて来たのだった。彼女はそれからの数週間で、他にも多くのことを知った。そのテンプラーたちは、セレスティン湖からさほど遠くない南オーレイの出身であった。主導者であるディギエーは騎士団のナイト・ルテナント、騎士副長であった。カークウォールの大虐殺とホワイト・スパイアの大騒動を耳にして、同じ考えの少数の同志たちとともに、紛争には加担しないことを決めたのだった。

 当初は八人いたが、道中ふたりが死んで、ひとりが逃亡した。ヴァルヤがその細部を知るのは苦労したが、死も逃亡も、テンプラーのレリウム中毒に関連していることがわかった。脱走を計ったとき有していた貯えは、ワイズホプトまでもたなかったのだ。
 それは、彼女が他の者たちから仕入れた乏しい噂からわかったことだった。彼女は、直接テンプラーたちと話をすることはなかった。彼らを避け、目を合わせないように身を隠した。彼らには彼女を疑う理由も、かりに疑ってもそう告げる権利もなく、馬鹿げた振る舞いには違いなかったが、彼女はそうしないではいられなかった。長い間の習慣は簡単には捨てられない。 

 彼女は、狼の群れを見つめる牝鹿のようだった。ラロスというドワーフのテンプラーは、自分の体重を支えるのに精いっぱいで、どのみち鎧はきつくて着れなくなりそうなのに、甘い菓子をつついてたべるのを我慢する姿は見ていて忍びなかった。唯一の女性であるレイマスは、冷ややかで超然としていたが、部屋で捕まえた昆虫を外に運び出して必ず逃がしてやる優しさがあった。

 そして、責務を喪ったディギエーは、ウォーデンたちとともに、あるいはひとりで武芸の稽古に勤しむか、小さな礼拝堂で熱心に祈りを捧げていた。彼はほとんど眠らず、食事も摂らず、祈るばかりで、頬はこけ、日に日にやせ細っていった。

「彼は平穏を求めているのさ」 ある朝、ホスバーグのメイジたちが書庫に集まったとき、セイカがそう告げた。季節は秋に変わりはじめ、アンダーフェルズの短い灼熱の夏は遠くに過ぎ去ったようだった。朝は身が引き締まるほど涼し気で、正午までその冷ややかさはほぐれず、厳しい夜を予感させた。
「メイジとテンプラーの間の?」とヴァルヤが尋ねた。他の者たち同様、彼女も借り物の灰色の外套を身につけ、ワイズホプトの手ごわい隙間風から身を守っていた。今はそれで間に合うが、数週もすれば、暖を取る別の手段が必要になるだろう。書庫で何時間もただ座っているだけでは、何の足しにもならない。

 年少のほうのメイジは頭を振り、読んでいた古い地図の方に向き直った。彼らはすでに小部屋にあった文書の半分は調べ尽くしていたが、依然として別の地図、日誌、血の付いた手紙の束が出てくるのだった。彼らはこれまでに、ウォーデンの謎の失踪に関する四つの事例、喋ることができ、理屈のわかるダークスポーンの事例ひとつ、そしてグレイ・チェンバレンが意味を見出すかどうか不明だが、それでも彼に進言することにした関連する事件を二、三見つけていた。

「彼自身の平穏さ」とセイカが言った。「彼が正しいことをしているという、メイカーからの何らかのお告げだよ。さらには、彼がグレイ・ウォーデンになったからといって、チャントリーの責務に背くわけではないというお許し」

 ヴァルヤは瞬きした。「彼はグレイ・ウォーデンになりたがっているの? どうしてそんなことわかるの?」
「だって、聞いたから」とセイカが粘り強く言った。彼の目は大きくて黒く、まじめくさっていた。「テンプラーとだって話はできることくらい、わかってるよね」
「おそらく、あなたはね」 ヴァルヤは口籠った。「私は見ることさえ無理」
「やってみればいい」とセイカが言った。「彼らだって、もうじき僕らの同志になるかもしれないじゃないか、僕らの運が良ければだけど。もしメイカーがディギエーの求めるお告げを授けるなら、ファースト・ウォーデンが抗争でどちらの側にも与しないと決めるのなら」

 ヴァルヤは躊躇った。「どうすればそんなことができるの?」
「メイカーのお考えは彼のみぞ知る。それについてはどうしようもない。でもファースト・ウォーデンについてなら・・・」 セイカは調べていた地図の端を指で丸めると、黄色くなった羊皮紙を彼女に示した。「僕らが何か有益なものを見つける。僕らが役に立つと示せる何かを。第四のブライトについて、グレイ・ウォーデンが見つけたがっている答えが何であっても、それを見つける。何か見つけた?」
「まだ何も」とヴァルヤはいった。「でもそれでいいなら、見つけてやるわ」

***

 ハリポタ度合がどんどん増大していきます・・・。すんません、私はこの類は、実は苦手です。だからといって手抜きはしないけど。セリフの訳がどんどんハリポタ「映画版」みたいになってくる。うわあ。

 最初はpack mule、荷物を運ぶラバと書いてあるが、途中でdonkey、ロバになっている。ま、pack muleというとどっちも区別してないんでしょう。MMOなどで、荷物を持たせるだけのためにロール(キャラメイク)するキャラクターをそう呼びますね。ちょっと悲しいね(笑)。

 ディギエー  Diguier
 仏語ではディグュエイに近いようですが、書きにくいので。 それとここでは英語読みに統一したい。最後の"r"は読んじゃうでしょ。ディジェーになっちゃうかもと思ったが、F1のフレンチ・チームであった「リジェ」はLigierだったので違うか。

 ラロス Laros
 レイマス Reimas

 

 

 

 

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