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2014年9月25日 (木)

Last Flight 5(1)

 お気づきのとおり新方式なんてほとんど形骸化していて、いつもの「にせ要約」方式に逆戻りしています。それというのも、このLast Flightが読みやすく、解釈しやすいからなんですけどね。
 なんかさくさく進むなと思ったら、Asunder(ペーパーバック400ページ)よりもずっと短い300ページくらいでした。ところが、あれだけ四苦八苦したThe Masked Empireは320ページだから大して変わらない。やっぱスタイルの違いはかなり大きいようです。

 何度か言っていますが、グリフォン・ライダーというこのジャンル、故アン・マキャフィリイ(Anne McCaffrey)の「竜騎士」(Dragonriders of Pern)シリーズとどうしても比べられてしまう。マキャフィリイがあまりにも有名なので、同じジャンルに飛び込むというのは、実はとてもリスキーなお仕事なんですね。ただしあちらはファンタジーのスタイルを借りたサイファイなんで、見かけ以上に似ているわけではないのですが。

***

第五章

5:12 エグザルテド

 アンティヴァ・シティーの鐘々が鳴り渡る。長く大きく轟き渡り、雷鳴が青銅に囚われたかのよう。大音声は耳をつんざかんばかり。 

 イセヤがグリフォンたちの待つ高見まで戻ると、眼下の街が燃え盛っているのが見えた。チャントリーの大聖堂の窓は橙色に輝き、通りは黄金の河のようだ。
 日没ではない。アンティヴァ・シティーが燃えている。煙が厚く空を覆い、城壁からあがる人々の叫び声は鐘の音によってたちまちかき消されるが、同じことを告げている。武器を手に、武器を手に、街が襲撃を受けている。
 ダークスポーンがやってきた。

 ウォーデン・コマンダー・トゥラブは間違っていた。アンティヴァ・シティーは数日も持ちこたえることなどできなかった。ダークスポーンはすでに城門から侵入し始めている。イセヤは、オーガの大きなツノが家屋の回りを動き回るのを見た。人々はいたるところで叫び、逃げ、死んでいた。 

 後から来たデンジが、お前の気にすることではない、ただちにグリフォンに乗れ、と告げた。若いエルフは呆然としたまま頷いた。リーヴァスの背に跨ると、アマディスの手を引きあげた。ヒューマンの女は、ちょうど昨日のイセヤのように後部の鞍に腰を据えた。

 イセヤは手綱を握り、黒い羽根の生えた首の上に前のめりになって、これまで口にするのを夢にまで見て来た一言を告げた。「飛んで」

 リーヴァスは王宮の石だたみに爪を立て、筋肉を固くし、黒い翼を二回羽ばたいて、中空に浮かび上がった。イセヤの顔を風が洗い、めまいがするほどの揺れの中、世界は眼下に小さくなっていき、純粋な陽気さが、ひとときの間ブライトの恐怖を脇に追いやった。彼女は飛んでいた。
 そして足下では、アンティヴァ・シティーが死にかけていた。
 その眺めは彼女の生まれたての喜びを奪い去った。遠目であることと、煙のせいで細部が目に入らないのは幸運だったが、人形のような人々の姿がオーガの手で建物から引きずり出され、炎の中に投げ込まれているのはわかった。組織的な抵抗はどこにもなかった。ときどき、一人きりの、あるいは少数の小さな人影が、ダークスポーンの波に囲まれて戦っていたが、流れに呑まれる小枝のようにあっさりと消え去った。 

 グレイ・ウォーデンはブライトを打倒すると誓ったはずだが、今は逃げ出している。その不正義が、イセヤの喉に棘のように刺さっていた。
「まず、生き残る」 アマディスが後ろで言った。別の女性の声はエルフを身じろぎさせた。彼女が同乗していたことを忘れていたのだ。「生き残り、そして報復する」
「ダークスポーンにどうやって報復するというの? 殺すことはできても、奴らは気に病んだりしない」
「じゃあ、殺しましょう」 アマディスがあまりにあっさり言ってのけたので、イセヤは拍子抜けした。彼女が乗客のほうを振り返ると、相手は無表情に惨劇を見下ろしていた。短い黒い髪だけがアマディスの顔の中で動いていた。

「あなた、何者?」 イセヤが尋ねた。「ただのアンティヴァン淑女じゃないでしょう。剣の扱いに長けている」
 アマディスは笑った。「アンティヴァン淑女のことなんて大して知らないでしょうに。クロウから編みものの稽古を教わる者だっているのよ。でも、たまたまだけど、当たっているわ。私はアンティヴァの生まれでもなんでもない。私の家族はスタークヘイヴンにいる。ここで友人たちや良人を見つけるように送り出されたの。次女は、得られる助けをなんでも必要とするのよ」
「スタークヘイヴンの淑女が殺し屋?」
「中にはいるわ」 アマディスは微笑んで見せたが、冷たい黒い瞳は笑っていなかった。「中にはとても長けている者もいる。ブライトのときには役に立つ、そう思わない?」

 イセヤは前に向きなおり、髪を耳の後ろにまとめた。固く結んでいたが、グリフォンが速すぎて、またほつれてしまったのだ。顔を風に向けていなければ、長い茶色味を帯びた金髪は瞳を無残に打ち据えてしまう。「殺さなければならないダークスポーンの数は多い」
「そうでもない。たった一匹でしょう? アーチディーモンを倒せば、ブライト全体が崩壊する」

 アマディスが話す間にも、ブライトの奇怪な嵐はふたりの目前に広がっていた。病んだ紫色の稲妻が灰色の幕を突き刺し、あらゆる方角の雲を切り裂いて、その下腹に幽霊のような光を投げかけていた。
 その嵐のただ中をアーチディーモンが飛翔していた。その翼はぼろぼろで巨大、胴体には曲がりくねった棘の筋。瞳には不吉な炎が燃えている。外見はドラゴンに似ているが、内部がそれほどまでおぞましいドラゴンなどいない。闇がその回りを取り巻いており、闇こそがその魂だ。

 そいつは、放たれたばかりの矢のように空を駆け上り、重力などあっさりと無視して、編隊の先頭を飛ぶグリフォンを追撃した。紫色の「反」光の奔流がアーチディーモンの顎からほとばしり、そのとき覗かせた一本一本のぎざぎざの歯が、一瞬だけ悪夢のように鋭く浮き出て見えた。 

 そしてグレイ・ウォーデンたちとそのグリフォンたちが錐もみし、螺旋を描きながら、まるで黒ずんだ雪片のように落下していった。イセヤにはどれがどれかわからなかったが、それらの、ダークスポーンの群れの中に堕ちていく小さくなった姿は、デンジと、ハブルと、アンティヴァの女王、そしてその父なのか叔父なのかわからない誰かだった。さらには彼らの乗っていたグリフォン、ブラックタロンとスクリアクス、最良の二頭だった。 

 苦い衝撃に揺さぶられ、彼女の舌の上に突き刺すような痛みが走った。トゥラブも他の者たちも、もちろん彼女に警告を与えていたが、彼らが死ぬことがあるなんて、実際にはまったく信じていなかった。こんな風に、あっけなく、戦らしさの欠片もなく死ぬなんて。彼女は、彼らの悲鳴さえ聴いていなかったのだ。

「こっちに来るわよ」とアマディスが言った。
 彼女の言うとおりだった。邪悪な空にその翼を大きく広げると、アーチディーモンは向きを変え、残りのウォーデンたちの方に向かって素早く滑空してきた。その後ろでは、雲から雲に伝わるように光る稲妻が、積乱雲の大きく太い柱の間を水平に、ジグザグに走っていた。

 イセヤは、鼓動一回分の間だけ、鞍の上で凍り付いた。それから彼女は、ガラヘルが進路を変え、迎撃に向かう様子を見てとった。気でもふれたのか

 彼が選んだ白ぶちのグリフォンは驚くほど速かった。クロッキーテイルは翼を胴体に寄せて折り曲げ、脚を固く縮め、まるで急降下するハヤブサのように空中を切り裂いていった。アーチディーモンが他のウォーデンたちに取りつく前に、そのグリフォンが辿りつくのは不可能に見えたが、イセヤがその二体の角度と軌道を見ると、どうやら兄は、それを狙っているらしいことがわかった。

*** 

 ええ・・・。主要登場人物リストとか、まだ作成をはじめなかった理由がお分かりになったかと思います。

 

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