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2014年9月25日 (木)

Last Flight 4(2)

 んー、なんとかの軌跡IIが本日到着した・・・。メイカー、我に艱難辛苦を与え給え?

***

 若きウォーデンたちが降りると、広間に人影はなかった。壁を伝う薔薇は長い昼の陽ざしの後の黄昏の中で萎れ、王宮室内の白檀の香りの風にそよいでいる。その薔薇の花と、棘のついた枝の間を飛び回る黄色い胸をした小鳥たちの他、動くものはなかった。衛兵も庭師も持ち場を放棄したようだ。

 話が広まったんだろう、とガラヘルが言った。彼の顔から気さくな笑いは消えており、手は帯に差した黒い握りの二本のナイフから離れない。もし民を恐慌が襲ったなら・・・。
 イセヤは背負っていた杖を取りはずした。ルーンをあしらった鋼鉄が魔法のうなりをあげる。彼女は金属の中にフェイドからの奇妙な反響を、この世のものとそうでないものの両方とも感じることができた。彼女はその雰囲気のエナジーを、意志の力で炎にも、稲妻にも、氷にも変えることができ、また純粋な全き破壊をもたらすこともできる。 

 だが、いくらその力を実感したとしても、それを実際に他人に向けるとの考えは彼女の胃を軋ませた。杖を固く握りしめ、不気味に空っぽな広間を進んでいきながら、本当に戦いがはじまると思うか、と傍らを行く兄に尋ねた。
 そうでなければいいが、とガラヘルが答える。だが民が自らの主君たちから裏切られたと考えれば・・・。

 民はそう考え、暴力に訴えた。イセヤは、青銅製の大きなドレイクの彫像を曲がったところで、最初の犠牲者を目にした。当初彫像の翼に隠れていた女性の亡骸が徐々に姿を現す。彫像の目の紅玉のような色の血が、犠牲者の雪のような純白の衣裳に染み渡っている。金の縁取りのある袖から、彼女が王族か、そうでなければ貴族であったことがわかった。身を守った証の傷が皆無であるので、不意打ちを受けたのに違いない。伏せたままの顔はよく見えない。イセヤは、女性が苦しまずに死んだことを祈った。

 まだある、とガラヘルがぶっきら棒に言って、女性の屍の横を通り過ぎた。直後にイセヤも、干戈の交わる音、フェイドから魔法がこの世に持ち込まれるときのシューッという音を聴いた。
 音の出どころは謁見の間だった。一斉に気が付いたウォーデンたちは、一団となって駆け出した。
 アンダーフェルズの男が誰よりも早かった。エルフたちを追い越した彼が部屋の扉を開けた。

 中は戦いの真っ最中だった。ハブルとデンジが机を一つ横倒しにして盾がわりにしている。彼らの目前には半ダースもの衛兵の死骸が、デンジの魔法で焼け焦げたり凍りついたりして、またハブルの剣で斬りつけられたりして横たわっていた。その倍の数の衛兵たちがまだ立っており、血に飢えた叫び声が壁にこだましている。

 エラウディオ王もまた、その屍の中に横たわっていた。彼自身の衛兵の手にかかったのだ。アンティヴァン近衛兵の曲刀が死んだ主君の胸に垂直に刺さっており、その黄金の飾り房は鮮血に染まっていた。
 女王はまだ生きており、一握りの怯えきった貴族たちとともに玉座の影に隠れている。グレイ・ウォーデンがいる限り、敵は彼女たちに手出しすることができないが、ハブルもデンジも疲労困憊しているように見えた。

「臆病者を手渡せ!」 叛逆した衛兵のひとりが叫んだ。「おれたちの敵は貴様らではない! 裏切り者の恥知らずどもだけが望みだ」
「渡さないよ」 デンジが薄笑いで返した。「連れ出すように命じられてるんだ。私らは命令に背いたりしない」 扇状の氷が彼女の杖からまき散らされ、二人の男を立ったまま凍りつかせた。三人目の男が、この世のものでない冷気から身を守ろうとして腕を掲げたが、凍り付いた血が深紅のつららとなって自分の身体から飛び出してくるのを見て金切り声をあげた。 

 扉が開くと何人かがそちらを振り返った。ガラヘルが跳び込んでいく。彼とアンダーフェルズの刺青男は横に並んで、まるで何か月も一緒に稽古をしてきたかのように戦った。アンダーが刃のついた戦用の棍棒を大きく振り回すと、エルフは素早く前後に動き、態勢を崩した敵の弱点を見つけるや否や、尽く突き刺した。

 二人の後ろではイセヤが、フェイドから魔法を可能な限り早く呼び起こし、スピリットのエナジーを形作る間も惜しんで、パチパチ音を立てる紫色の玉に変えて敵に投げつけた。彼女の急ごしらえの呪文は敵を殺すまでには至らなかったが、衛兵たちはその弾幕によろめき、他のウォーデンたちにとどめを刺された。 
 彼女は恐怖も、他者を傷つけることに対する罪の意識も忘れていた。敵対する存在を全て破壊したいという衝動的な欲求だけを感じていた。

 そして戦いは終わった。二組のグレイ・ウォーデンに挟まれ、残りの衛兵たちもすぐに倒された。最後の二人が降伏を申し出たが、その懇願の最中にデンジが別の氷の扇で息の根を止めた。

 アンダーは胸と腕からだらだらと流血していたが、傷は見た目ほど深くはなさそうだった。ガラヘルも眉のところに切り傷をこしらえ、敵の鎖鉄球が当たった横腹がすでに痣になっていた。どれも魔法の力で介入しなければならないほど重傷ではなく、それらを除けばウォーデンたちは無傷だった。

「ここから連れ出すんだよ」 デンジが、生き残った貴族たちのほうを身振りで示しながら命じた。「今すぐに」
「王はどうするの?」 カイヤが神経質そうに尋ねた。つるつる頭の少女は、イセヤがそう感じているのと同じくらい具合が悪そうだ。切迫した戦いが済んだ今、自分たちが造り出した惨状を目の当たりにする機会が生まれていた。

「ダークスポーンが殺した」とデンジがあっさり答えた。「王が最期の瞬間にその民の造反にあったなんてことを世界中に知らしめることはできないし、どのみち間違っていない。ブライトがアンティヴァ・シティーを呑み込まなければ、こんなことははなから起きなかった。ダークスポーンこそが、エラウディオ王の死の原因、直接的かどうかはともかくね」
「でもそれは事実と異なります」 女王が突然言葉を発し、立ち上がった。その蒼白の頬には幾ばくか血の気が戻ってきていた。
「それはまるで違う」
「あなたの民の士気を挫かないためには、それが事実なんだ。後からいくらでも議論をふっかけていただいて結構、そんな贅沢が許されるのであればね」とデンジが言った。彼女はきびきびと動いて貴族たちを前に連れ出し、若いグリフォン・ライダーたちにひとりづつ手渡していった。ハブルがひとりひとりの名前を告げたが、イセヤはこんがらがった肩書きも、神聖なる家名も、はなから覚えておくことができなかった。

 彼女の乗客は小柄な、たくましい身体をした三十がらみの女性だった。彼女の滑らかな黒髪は、上流の貴族というよりも、まるで兵士のように短く刈られていた。アマディスと言う名だったが、イセヤはその家名まで聴きとることはできなかった。

 だが彼女は、隠れていた場所から出てくるや否や、アマディスが即座に衛兵の屍から武器を奪っていたことに気づいていた。黄金の飾り房の付いた曲刀と、三本の曲がったダガーを選ぶと、そのヒューマンの女は小型の刃物を帯に差し、手慣れた様子で並べ直していたので、初めて剣を手にしたわけではないように思われた。

 ガラヘルの乗客はカリエンという名だった。年配で、背の高い、赤と黄金のメイジのローブをまとった男だ。羽根つきの頭巾で顔は見えなかった。イセヤの印象に残ったのは、とがった顎と蒼白く薄い唇、そして濃い茶色の髪の毛だった。彼の杖は、稲妻に撃たれて死んだ木の枝に巻き付く銅の蛇の形に似せて造り上げられていた。職人芸は卓抜であり、杖の全ての部分が力を意味しているが、イセヤは、戦いの間に彼が何かをしていた姿を目にしてはいなかった。
 彼女はそれをいぶかしく思ったが、それも短い間だけだった。目の前で王が弑されたにも関わらず、彼にとってはそれすら脅威ではなかったのかもしれない。

 カイヤとタイヤは残りの二人の貴族を乗せることになった。王が死んで欠員が生じたため、アンダーフェルズの男には割り当てがなかった。残りのふたりのうち一人は、きつめの白い頭巾をかぶったずんぐりしたご婦人で、輪の中にメイカーの輝く太陽を描いた黄金のペンダントを身に着け、それを両手で握ってひと時も離さなかった。残りのひとりはその娘だろう、とイセヤは思った。若くてやせているが、丸いほっぺの顔がよく似ていた。

「では」 最後の貴族を騎手のウォーデンに紹介し終えると、デンジが言った。「行こう。ワイコムが目的地だ、忘れるな。私らが遅れても、決して待つな。皆の任務は乗客たちを無事逃がすことだ。それだけがお前たちの任務だ。彼らを救うためにグリフォンをあてがった。ぬかるな」

*** 

アマディス Amadis
カリエン Calien

 名無しの男は「アンダーフェルズの男」と呼んだり、「アンダー」と呼んだり。ちょっとわかりにくいかもしれないが、DAワールドの国名表記はとても洒落ている。アンティヴァ人はアンティヴァン。フェラルデン人はフェラルダン。オーレイ人はオリージャン。アンダーフェルズ人はなんとアンダー。そして複数だとアンダース。

 つまり、リアル地球でも国名とその国籍名の呼び方がさっぱり統一されていないのを真似している。特に英語の場合はエイジアン(すでにここからはじまってますよ、奥さん)が安易(笑)。ジャパニーズ、タイワニーズ、ヴェトナミーズ、バーミーズ(ビルマ人ね)、なんとかニーズなのに、なぜか突然カンボジアン、なんとかリアン。呼びやすいものを欧州の真似して後付しただけなんでしょうね。

 ゆえに、フェラルデン人とかオーレイ人とかいう無味乾燥な言い方をしたくないので、お付き合い願いたいところです。

Anderfels、アンダーフェルズ。国名、地名。
Ander(s)、ここでは、アンダーフェルズ人。形容詞ならAnderで、「アンダーフェルズの」

(余談)騒がれていたスコットランドですが、スコットランド人はスコット(scot、またはスコッツ、scots)と呼ばねばならない。あるいは本来のスコティッシュ(Scottish)。これをスコッチウイスキーだからといって、スコッチ(scotch)と呼んではならないそうです。非常に良くない意味なんだって。もちろんウイスキーを頼むときはスコッチです。

 あたしゃ、スコットランドが独立した暁には、ハイランド・モルト・ウイスキーがめちゃ高くなると聞いて大変心配していたのだ(それだけかよ!)。

 DAのアンダーフェルズとアンダー(ス)の関係は、きっとこのスコットランドとスコット(スコッツ)の関係からきてんじゃないでしょうかね。他に類似の例があったら教えて下さい。

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