フォト
無料ブログはココログ

« Last Flight 1(5) | トップページ | 【DAI】ジ・エネミー・オヴ・セダス »

2014年8月11日 (月)

Last Flight 1(6)

 第一章は今回まで。ちょっと細かく切りすぎたけど、こちらとしては使える隙間時間から考えて、このくらいが実はコンファタブルです。さて、第二章以降はどうすっぺ。(というか、紙版は9月16日発売になってしまったが、Kindle版も同じタイミングに延期されるのだろうか?)

***

 調べはじめた途端から、ダークスポーンの群れが地図に登場した。やつらの軍勢は、その苛烈さの脅威を示すように単純な黒い印で描かれていた。やつらはどんどん進軍を続け、諸国を呑み込み、村、街、都市の名をその猛攻とともに消し去っていた。だがその印に区別がないことから、ヴァルヤはどのダークスポーンがどれであり、それがやつらの征服にどう影響をもたらしたか知ることはできなかった。

 彼女はかわりに、注意をウォーデンの行軍に向けた。おそらく、敵の群れに対する彼らの反応の行動様式を探り当てるほうが容易であろう。

 ダークスポーンと異なり、ウォーデンの地図上の印は全てが同じではなかった。グリフォンは定型化された鷲の頭として、ときに青色、ときに赤色に描かれていた。彼女は、それぞれ別のふたりの指揮官の配下にあったのだろうと目星をつけた。騎兵は馬の頭で示され、やはり様々な色分けがされており、歩兵は槍の先として描かれていた。槍の下に描かれた小さな三角形の槍旗は、それらがウォーデンの部隊か、あるいは諸国から派遣された同盟軍であるかを区別している。 

 だが、やはりそこから大した行動様式を見つけることはできず、少なくとも脈絡を知らないままで地図から何かを語ることはできなかった。他のメイジたちも徐々に同じ結論に達し、その場を離れ、トランクを開け、原資料を漁りはじめた。 

 ヴァルヤは粘り強く地図に没頭した。他の方法に頼る前に、少なくとも書物の最後までは見ておきたかった。 

 一枚の地図の余白に記されたメモが目に留まった。最初、それはスタークヘイヴン近郊のどこかの街か村を示しているように見え、ダークスポーンの群れの丁度端のあたりにあって、間もなく破壊されることが疑いないように思われた。そこに特筆すべきことはない。

 だが、その名はエルフ語で「グリフォン」を示すものであり、ヒューマンの村の名としては相応しくないように思われたし、その下の部分の羊皮紙に刷り込まれた粉が微かに輝いていた。レリウム。それはほんの僅かの量で、相当に希釈されていたが、サークル・オヴ・メジャイで何年もアプレンティスの地位にあったヴァルヤは、即座にレリウムの粉であることを判別した。緑青色の輝きは、この現世とフェイドのどちらであっても変わりなく、完全にセダス特有のものだった。

 彼女は肩の後ろを振り返った。彼女に注意を払う者は誰もいない。皆手紙や日誌の調査に没頭している。

 注意深く、だが好奇の気持ちに満ちて、ヴァルヤはフェイドからマナの流れを引き出し、魔法のレンズで地図を眺めることを試した。彼女の杖の薄い青色の瑪瑙の輝きはほんの微かで、彼女のほうを誰かが見たとしても、陽光が反射しただけだと言い逃れすることができるだろう。

 だが、誰も彼女を見る者はおらず、地図を見下ろしたヴァルヤは結果に満足した。エルフ語の文章が一行、地図の上で輝いており、それを描いたレリウム入りのインクの魔法の流れが蒼白く見えた。 

 ラスボラ・ヴィラン。

 ヴァルヤは、その文字を目にした途端にフェイドとの繋がりを断った。文字は羊皮紙の表面で見えなくなったが、彼女の心の中には鮮やかに留まっていた。ラスボラ・ヴィラン。

 綴りは古代のもので、書体もそうであったが、彼女はその言葉の意味に違いないことがわかっていた。ヴァルヤの知る限り、どのヒューマンの言葉にも正確に翻訳はできなかったが、その語句をぎこちなく訳せば、「喪われた愛の場所へ続く道」となる。それは、デーリッシュやエイリアネイジの口承を通じて伝わる、何人かの偉大な詩人の詩文のひとつからの引用で、人生で実際には決して体験することのできなかった美に対する、切ない渇望を表現している。甘く、心痛める感傷で、郷愁にも似ているが、より強い苦さを伴っており、それというのも、懐古する者は喪われた悦びを覚えている一方で、ラスボラ・ヴィランを体験する者は、決して知ることのできない事柄を思い焦がれるからだ。   

「黒苺の蔓の下で、余は感じる」 ヴァルヤは小声で囁いた。その詩文はそう始まる。熟した黒苺の麝香にも似た、苦く、甘い香りとともに、長く忘れ去られたアーラサンの香りを呼び覚ましたいという祈り。 

 その詩文そのものがラスボラ・ヴィランであり、なぜなら彼女が出会ったエルフで、それを原語のエルフ語で記憶しているものは誰もいなかったからである。エルフたちはその詩文のいくつかの言葉の断片と物語の骨格は知っているが、詩文そのものはヒューマンの言葉でたどたどしく再創造されたものに他ならない。エイリアネイジのエルフで、喪われた自民族の文明の文芸作品を再現できるほど、自分たちの歴史や民の言葉に十分明るい者はいない。彼らは元々の題名すら知らない。「黒苺の蔓の下」とそれは呼ばれるが、それも真の題名を知る者がもはや誰もいないからだ。

 それを第四のブライトの軍用地図から見つけたというのも奇妙な話だ。ヴァルヤの胸中には、レリウムで記された言葉が、地図が描かれた時期と同時代のものであることに対する疑いはなかった。なにしろ、その文字を普通の目から逸らすため用いられた呪文は、地図上のよりあからさまな印を保存するために用いられたものと同じ魔法なのかもしれないのだ。

 だが、なぜ? なぜ誰かが詩文の断片を隠し、メイジにしか発見できず、かつエルフしか理解できないように仕組むのか? それが、単なる奇抜な郷愁のための言葉ではなかったとして・・・。 

 他の部屋の彫刻の中に、黒苺はあったかしら? 

 ヴァルヤは、確かめるため戻ることにした。大書庫にはほとんど人影はなく、ひとりの白髪交じりのウォーデンが、窓の外の中庭でさえずる小鳥たちを眺めているだけであった。ヴァルヤは静かに彼のいるところを通り過ぎ、壁に彫られていた果物を調べた。 

 彼女が覚えていたとおりであった。無花果、柘榴、柑橘類・・・、そしてひとつきりの黒苺の蔓が広い花弁の花をつけ、横には固い蕾と実り豊かな苺の実があった。彫刻の蔓は、二つの書棚の間に挟まれた壁の松明用の燭台の回りを取り巻き、それから、壁に埋め込まれた灰色の石造りの長椅子のほうに垂れ下がっていた。

 ヴァルヤは燭台の下を覗き込んだ。そこに目につくものは何もなかった。だが長椅子の下の壁石のひとつには、別の微かなレリウムの粉が刷り込まれていることを示す輝きがあった。今度のはとても薄く、すでに一度フェイドとの繋がりを通して目にしていなかったとしたら、決して見つけることはできなかったであろう。

 今度も背後を見やって、誰も見ていないことを確かめ、彼女は再びフェイドと繋がり、これで二回目になる魔法の小さな流れを石の上にもたらした。彼女の魔法がレリウムの刷り込まれた石に触れると震動が起き、その一部の塊が一インチだけ外側にずれた。 

 焦りにも似た予感のため緊張しながら、ヴァルヤは石の塊の両脇を指先で掴み、それを不器用に細かく動かしながら引き出した。とうとう抜けそうになると、彼女はそれを注意深く床に置き、ほとんど音を立てなかったことに対して静かな安堵の息を吐いた。 

 抜けた塊があったところの背後の壁には小さな穴が開いており、その穴の中には、小さいが分厚い一冊の書物があった。その表紙は擦り切れ、血糊が付いており、ページは長い間湿気に曝されたためたわんでいたが、それでも良好な状態だった。唇を噛みしめ、ヴァルヤはそれを引き出し、それから石の塊を慎重に元に戻し、何事もなかったかのように長椅子に腰掛けた。 

 彼女は何を期待していいかわからないまま、書物を開いてみた。中は書きなぐったような乱雑な筆跡でぎっしり埋まっており、女性の手になるようだが、柔和な感じは一切なかった。 

 5:12 エグザルテドの年にそれは始まった、わが兄、ガラヘルと私はアンティヴァ・シティーに飛んだ。

*** 

 んー。ここで途切れちゃうんで、最後の一行は暫定でお願いします。ヴァルヤが見つけた書物(実際には手帳に近いのだろうが)は、ガラヘルの姉妹?の手になるものでしょうか。だとすると「わが兄弟」はちょっと場違いですね。それとも同僚の女性ウォーデンのものか? その場合はOKなのかな。

 さて。どうしたものですかね・・・。

 実は、この小説は「枠物語」の体裁なんですね。この後、おそらくは、ジョイニングの儀式を待つ若きメイジたち一行の物語と、はるか昔(物語の「今」は9:41ドラゴン、書物の筆跡は5:21エグザルテドですから420年前)の第四のブライトの時代の物語が並列進行するのかな(第四のブライトは5:12エグザルテド、アンティヴァ・シティーの崩壊をもって幕開けする)。

 まあ・・・。最大の問題は、この小説がどこまでDAゲーム本編に繋がるのか、ってところなんですが。DAIには流石に間に合わないだろうから、その後の(マーク曰くの)DA4?に関連するのかしないのか。
 「つまみ食い」方式で紹介するのがいいのかなあ。

 とりあえず続きを読んでみてからの話ですか。

« Last Flight 1(5) | トップページ | 【DAI】ジ・エネミー・オヴ・セダス »

ゲーム」カテゴリの記事

Dragon Age Inquisition」カテゴリの記事

DA: Last Flight」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Last Flight 1(6):

« Last Flight 1(5) | トップページ | 【DAI】ジ・エネミー・オヴ・セダス »