フォト
無料ブログはココログ

« Grey Warden Hierarchy | トップページ | Last Flight 1(6) »

2014年8月10日 (日)

Last Flight 1(5)

 常々感じますが、まるでこってりした油絵のように畳上げ、これでもかと積み重ねる描写は、魚介類食って育った身には少々きついね。

 でも、あちらの「現代ファンタジー」は、このくらい濃厚でないとそもそも入り口から入れてもらえないのでしょうね。

***  

 彼はアーチ道の傍に立ち、一行を招き入れた。部屋の上半分を占めるいくつもの棚には、同じ革装丁の書籍が整然と並んでいる。公式の史書のように見えるそれらは、書士たちが静謐な部屋の中で事実に基づき記したものだろう。それら灰色の小奇麗な書物の下には、鉄張りの巨大なトランクが壁際にいくつも立てかけられている。うち二つの蓋が開き、書物、文書、羊皮紙片、その他雑記の寄せ集めからなるがらくたの塊が顔をのぞかせていたが、それらは大きさでざっと仕分けられたのみであって、なんら整理整頓されていないようだった。

「トランクには原資料が入っている。報告原本、現場で書かれた覚書、ウォーデンや兵士たちの手紙。我々が探しているものは、きっとその中にある」 アーチ道にいるカロネルがそう言った。

 ヴァルヤは、彼の話をほとんど聞いていなかった。

 部屋の中央には、金箔に縁どられた白い大理石の台座の上にガラス製の棺が立てられていた。そのてっぺんには、巨大な一対の黒い角が螺旋を描いて天井近くまで届いており、先端は闇の中に消えている。棺は明らかに大変古いもので、ほんの少し薄い色が付いているものの、何枚ものガラス板が壁状にあつらえられ、蓋は穴まくれや波うちや、その他古いガラスにありがちな欠陥を持ち込まないように、とても慎重に切り出されていた。 棺のガラス板一枚一枚は、彼女の手のひらほどの大きさもなかったが、どれも傷一つついていなかった。

 まるで何かの眩惑に囚われたかのような感じがして、若いエルフのメイジはアーチ道を潜り抜け、棺のほうに近づいた。ガラスと鉛の格子を通して、彼女はシルヴァライトのプレートメイルの一具が、蒼白い陽光の中で微かに輝いているのを見ることができた。儀仗用の鎧には見えなかった。胸板にはウォーデンのグリフォンが描かれ、兜と肩甲には簡単な装飾が施されていたが、使いこまれた実戦用の鎧に見えた。古い汗の染みの跡が革紐に残されており、最後に磨き上げたのが誰であれ、全てのへこみまで取り除くことはできなかった。

 鎧の虚ろな小手には二つの武器が握らされていた。ひとつは変哲のない革の鞘に仕舞われた長いナイフ、もうひとつは優雅で急な曲線の形をした長弓で、先端には灰色と白色の羽根の一対が飾り房のようにあしらわれている。それらの、歳月のため脆くなったしみだらけの羽根を見たとき、ヴァルヤは突然気が付いて息を呑んだ。

 ガラヘルの得物だ。 

 ガラヘルは、セダスにおけるエルフの最も偉大な英雄であった。グレイ・ウォーデンとして、彼は第四のブライトの戦いになくてはならない同盟を集結させる重要な役割を演じ、また彼自身がアーチディーモン・アンドラルを打倒し、ダークスポーンの群れを打ち破るため自らの生命を捧げた。 

 エルフの子供たちは誰であってもその物語を知っている。ガラヘルは彼らの心の中で特別な誇りの部分を占めている。エルフとして、彼もまた他の皆と同じような侮蔑を受けた。追放され、唾棄され、一切の尊敬に値しないとみなされながら、彼はどうにかしてその蔑視の中から浮かび上がり、仇敵どもを許したのみならず、その避けられないはずの破滅からも救ったのだ。 

 たったひとりで、彼は第四のブライトの終焉を招き、セダスを救った。

 ヴァルヤは自分の指で、棺のガラスの表面をあがめるようになぞった。触れることなど畏れ多くてできなかった。ガラヘルの記憶に手垢を残すことなど、不敬も甚だしい。だが軽くなでることさえも、彼女の肌に痺れるような疼きを与えた。第四のブライトの英雄

 他のメイジたちは、彼女の後ろからおそるおそる部屋に歩み寄ってきていた。彼らもまた、長く黒い角を生やした棺を見ていた。彼らの表情は困惑から畏怖へと変わっていった。ガラスの棺に横たわる武具と鎧が誰のものであったか、各々が黙したまま思い至るにつれて。そして、彼の遺品の上に墓碑がわりに配された、一対の角の由来に気が付くにつれて。

 一行の後ろで、カロネルが微笑んだ。「過去の全てのブライトの遺物は皆ここにある。ここは書庫であるだけじゃない。斃れし者らの記憶を留める場でもあるんだ」 彼は歩み去り、片手をアーチ道から離した。「何かあれば呼んでくれ。書庫には常にウォーデンたちがいるし、チェンバレンの書斎はすぐ近くにある。手洗いは右手の後ろ、オーガの角が飾られているケースの影にある。夕餉どきになったら、また呼びに来る」
 

 そうして彼が去り、四人の一行は、書物の山と、トランクと、アーチディーモンの角とともに取り残された。

「本当にガラヘルの武器だと思う?」 パディンが囁いた。彼女は皆の中で一番年長で、一番背が高く、ぐずな金髪の娘で、両の頬にはあばたが残り、自分を小さく見せようする無駄な努力のために、両肩をすくめて猫背になる癖がある。

「間違いないわ」とヴァルヤが言った。「ウォーデンがまがい物を用意するわけがない」

「どこからはじめる?」とセイカが尋ねた。「正史から、それともトランクの中の文書から?」

 ヴァルヤはたじろいだ。彼女は第四のブライトの本当の史実についてほとんど何も知らなかった。ガラヘルの英雄譚は馴染みある物語であるし、彼女は、「ネズミ喰らいの哀歌」や、「五人の父を持つ孤児」などの、悪名高いホスバーグの包囲戦の時代からある古い歌を聴いたこともあるが、行軍や、それぞれの戦いの詳細については謎のままだった。第四のブライトは十年以上続いたのではなかったかしら? 戦いが繰り広げられた範囲はあまりにも広い。尋常ではないダークスポーン、または任務を放棄したウォーデンたちの痕跡を探すためには、どこから始めるべきなのだろうか?

「軍用地図からはじめましょう」と彼女は決断した。「ウォーデンの行軍からなにかわかるかもしれない。一枚の絵は千もの言葉に勝る、そう言わない?」

「読めればね」とべリスが不平を漏らした。可愛らしい金髪の娘は、カロネルから無視されたせいで、いまだにむっとしたままのようだ。 

 だが、誰も反論はなかった。パディンはとてつもなく大きなウォーデンの公式軍用地図を持ち上げると、慎重にページをめくりはじめた。ひどく古い文書だが、長い歳月に耐えるようなこしらえで、その目的にあった呪文によって強化されており、頑丈なベージュ色の羊皮紙の上の河川や森林を表す色彩のついた描線は、まるでそれが描かれた日のままのように鮮やかであった。

***

 ようやく、一行の全員が紹介されました。

 この時代、サークル・メイジのリテラシー(識字率)は十割であるが、一歩外に出れば、権力の中心にいる者でもない限り非常に低い。ゲイダーさんの小説にそんな場面がありました。DA2でも、敵のチンピラが文字を読めないことを揶揄する際どいシーンがあった(USでは、識字率・文盲は今でもタッチーな話題です)。

 よって、メイジがリサーチ任務に充てられるというのはリーズナブルな展開ではあるのですが。まさか、それを描いてジョイニングまでの時間を潰すわけではないのでしょうけど・・・。

 

« Grey Warden Hierarchy | トップページ | Last Flight 1(6) »

ゲーム」カテゴリの記事

Dragon Age Inquisition」カテゴリの記事

DA: Last Flight」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Last Flight 1(5):

« Grey Warden Hierarchy | トップページ | Last Flight 1(6) »