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2014年7月10日 (木)

The Masked Empire 17(4)

 死闘、その三。

***

「あそこで仕留めたと思っていたがな」 ギャスパードは、彼とミシェルが身体を引き離すとき、荒い息をした。 
 ミシェルは答えなかった。ギャスパードの言葉のせいで、先ほどは危うくやられるところだった。

 彼の腿からは血が流れ、熱く絶え間ない痛みが走り、彼は鎧の下に徐々に血が溜まっていくのがわかった。彼の目は、ギャスパードが盾を用いたなりふり構わない奇策のため、今でも燃えるような痛みを感じ、脇腹と、尻のすぐ上の傷とが、ずっと長い間彼の動きを損なわせていた。彼の腕は疼き、肺には息をするたびに刺すような痛みが走る。彼はそれが単純な疲労によるもので、自分が考えているよりも傷が深いわけではないことを祈った。

 彼は自分の迂闊さを呪った。彼はアカデミーに入学したての頃からこのかた、これほどまで自分がずさんであると思ったことはなかった。その頃、全ての訓練が脅威で、全ての稽古が、自分がまがい物で、庶民に過ぎないことを暴露する危険を帯びていた。
 ペテン師。
 

 ギャスパードが打ちかかってくると、それを受け止める代わりにミシェルも突進した。激突のため鎧が鳴り、お互いがふらついたが、ミシェルは脚を踏ん張り、勢いを失わず、片腕をあげるとギャスパードの中途半端な短い突きを腕甲でなぎ払い、それから剣の柄でギャスパードの面頬を打ち据えた。大公は後ずさり、ミシェルは大上段から振りを浴びせ、ギャスパードの盾もろとも長椅子の一つのほうに向けて弾き飛ばした。

 彼はアカデミーにいた頃、恐怖を怒りで紛らわしていた。稽古の最中に癇癪を起こし、激しく猛烈に戦い、他の訓練生たちに喧嘩を売った。彼の教官たちは、その怒りはごまかしであり、彼がしくじりを恐れているのだと考えていた。年を経るにつれ、彼らは彼を上等な武器に仕立て上げ、喧嘩っ早さを規律ある憤怒に叩き直し、彼はそれ以来の全ての戦いにおいて、それを失うことはなかった。

 ギャスパードは長椅子に飛び乗り、ミシェルを見下ろした。「かかってこい、サー・ミシェル」
 ミシェルは、高所にいる者に突進するほど間抜けではなかったが、待っていれば、長くても数分のうちに、傷のせいで立っていられなくなるだろう。そしてギャスパード、くそ野郎はそのことを知っていた。

 ミシェルは自分も長椅子の上に登り、そこから次の長椅子に飛び移った。にやりと笑うと、ギャスパードが彼にあわせて、長椅子から長椅子へ跳び移り、ミシェルのほうに近づいてきた。
 ふたつの長椅子は一ペースほどしか離れておらず、戦いを交えるには十分に近かった。彼らは、今は慎重に、身体の均衡を保ちながら一振りごと計るようにして剣を交えた。ギャスパードが別の長椅子に跳び移り、ミシェルもまたそれを追い、彼らは斬りつけ、かわし、受け止め、そしてお互いの力を見極めていた。

 ミシェルは、ギャスパードがまた跳び移ろうとするのを見て、自分も実際に跳びあがりながらその中空で、ギャスパードの跳躍は見せかけで、ミシェルが着地したところを待って打ちかかろうとしているのを見てとった。身体を捻じったミシェルは盾をぐいとひねって持ち上げ、着地し、それから即座に長椅子から跳び降り、前方に突進した。ギャスパードの一撃はミシェルの傷だらけの盾のてっぺんを刈り取るが、ミシェルは全身の力を乗せてまっすぐギャスパードに体当たりした。

 彼は、もう十年以上の長きにわたり、ヒューマンのあいのこ、街のエルフのガキではなかった。彼はサー・ミシェル・デ・シェヴィンだった。
 その少年の部分がまだ残っているのは、拭い去れない恐れ、見捨てられるのではないかという恐れ、ごみの中に隠れ、エイリアネイジで乱暴な冒険を繰り広げるシェヴァリエの目に触れないよう祈るときの怖れ、かつてそこから姿を消した少年のことは誰一人覚えていないことを確かめるため、市場のひとりひとりの顔を見ているときの怖れ。
 それと、怒り。

 ギャスパードが後ずさると、ミシェルは強烈な突き上げを食らわせてギャスパードの盾を払いのけ、それから蹴りを浴びせて、ギャスパードの身体を長椅子から弾き飛ばした。
 大公は背中から地面に倒れ、無理やり立ち上がろうとしたが、打ちかかったミシェルの焔の剣が彼の盾に突き刺さった。ギャスパードはミシェルの片足に斬りつけ、ミシェルはそれを防ぎつつ、再び大上段から剣を振り降ろし、それはギャスパードの盾の上を通り過ぎた。

 それはギャスパードの右の肩を捉えた。その部分の肩甲はすでに傷ついていたが、今度の一撃は残りの部分も剥ぎ取り、鎖骨の丁度横の部分を深々と斬りつけた。ギャスパードは声なき叫びをあげ、後ずさり、傷ついた腕を抑えつけた。
 彼はサー・ミシェル・デ・シェヴィン、女帝セリーンのチャンピオン。彼は、長椅子から跳び下り、まだよろめいているギャスパードのところに駆け寄る間、その言葉を一人ごちた。

 彼は盾でギャスパードの盾を払いのけ、それから突き刺した。
 そしてギャスパードは、実は見かけほど傷を負っておらず、長椅子の上に跳び乗り、着地した途端に盾を振り降ろし、鎧を身に着けたシェヴァリエの全体重をそれに乗せて、突き出された剣にのしかかった。

 彼は、ミシェルの剣の小さな傷、最良のシルヴァライトの剣であっても台無しにしてしまう、ほんの些細な欠陥に完璧に狙いを定めた。
 盾と大理石の間に挟まれ、ミシェルの剣は折れ、二つに割れる金属が悲鳴を上げた。
 ギャスパードは長椅子から跳び下りると、自らの剣を振りかざし、ミシェルは折れた剣の残りの部分を突き上げた。

 彼はギャスパードの胸板に残っていた長い傷を狙い、ぎざぎざのシルヴァライトが滑り、それを捉え、貫いた。
 大公ギャスパードはミシェルの上に降り立ち、ふたりは一緒に地面に転がり、それから横転して離れた。

「ああ、メイカー、今度こそ仕留めたと思ったが」 ギャスパードが言葉を吐き出し、ミシェルの剣を見下ろした。折れた剣ではあったが、ミシェルはそれをギャスパードの脇腹にほぼ柄元あたりまで埋め込んでいた。「おぬしの剣の傷を完璧にとらえたが。わしがおぬしの剣を見ていたように、おぬしが昨晩、わしの鎧に気が付いていないわけがなかった」
 ミシェルは思わず微笑んだ。「かつて偉大なシェヴァリエが教えてくれたとおり、名誉は妨げない、戦術を」
 ギャスパードは無理に笑い、その動きで顔をしかめた。「なぜそんな、年寄りの間抜けの話を真に受けたのだ?」
 ミシェルは膝をつき、彼の剣を、ギャスパードが呻くほど力をこめて引き抜き、それから立ち上がって大公を見下ろした。

 彼は剣を見て、それを投げ捨てると、地面に転がったままのギャスパードの剣を手にした。大公には苦しみのない死が相応しく、そしてミシェルは、自分のぎざぎざの剣でそれがかなうとは思えなかった。
 ギャスパードは彼がしていることを目にして、ミシェルが近づいてくると感謝を込めて頷いた。無理をして、大公は自分の手と膝で身体を回し、半身を押し上げ、膝をついて頭を高くもたげた姿勢を取った。「良く戦った、シェヴァリエ」
「貴方もです、シェヴァリエ」 ミシェルは剣を掲げた。

「サー・ミシェル!」 彼の背後から叫び声がして、ミシェルは振り向いた。
 それはブリアラだった。
「借りを返すときです」

 とてつもない恐怖の冷たい両手がミシェルの心臓を包み込んだとき、ブリアラが彼を見て頷いた。
「負けを認めて」

***

(色々書いていましたが、最後の台詞、"Yield."の意味違いました・・・。これは直に「降参しなさい」でないど、後に繋がらなかった。申し訳ない) 

 さて皆さま、謎は解けていますでしょうか? 原文読んだ方は黙ってましょうね。
 物語はクライマックスへ。

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コメント

全然解らない……これは大人しく次回を待った方が良さそう

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