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2014年7月10日 (木)

The Masked Empire 17(3)

 十七章は少し回数が増えます。今回を入れて後三回かな。

***

 ブリアラは戦いの趨勢が変わるのを見守っていた。ミシェルが優勢に見えたが、いつしか彼の全ての攻撃が敢え無く大きく逸れ、ギャスパードの攻撃はことごとく的を捉えた。
 彼女は以前にも戦いの趨勢が変わる様を見たことがある。彼女は、決闘者たちが卓抜したけん制や弱点を仄めかす手口で敵をおびき寄せる様子を目にしてきた。彼女は、負け戦の瀬戸際にありながら、最後に驚くべき力を振り絞って敵の不意を突く戦士たちを見て来た。
 これは違う。

 ミシェルがよろめきながら立ち上がり、その途端にまた別の一撃を鎧に受けた。彼は必死に受け流し、彼の鎧はギャスパードが次々と打ち付ける攻撃のため火花を散らした。
 ブリアラの傍らで、セリーンが拳を握りしめていた。彼女は鋭く息を呑んだ。
 もう一方では、ミーリスとリエンヌが静かに立っていた。
 ブリアラが気づいたのはそのときだった。
 彼女は向きを変え、彼女たちの傍らに歩み寄った。「やめなさい」と彼女は、声を荒げずに言った。
「何をやめろと?」 ミーリスは、彼女を見もせずに言った。

「ミシェルに呪いをかけている」 ブリアラはリエンヌにそう言い、相手は微笑んだが何も言わなかった。彼女はミーリスに言った。「そしてあなたはそれを隠している、魔法がもたらす輝きを覆い隠している」
「なんですって?」とセリーンが振り向き、リエンヌの微笑みを見たとき、ギャスパードに叫んだ。「ギャスパード! 今すぐやめさせなさい!」 ギャスパードとミシェルは剣を合わせていたが、ギャスパードはミシェルを荒々しく突き放し、セリーンのチャンピオンを再び長椅子の一つに激しく打ち付けた。

「聴こえやしないわ」とミーリスが言った。
「大公閣下は、少なくとも彼の知る限り、正々堂々勝つの」 リエンヌが依然微笑んだまま付け加えた。「そしてあなたが抗議する頃には、彼はあなたがただ負けを認めることのできない、名誉にもとる女だと思うのみ」
「フェラッサン」とセリーンが言った。「ふたりともやってしまって」

 フェラッサンの唇が歪んだが、彼が杖を掲げるや否や、ミーリスも自分の杖を掲げた。その先端は煤けた赤色に輝いている。「本当にやる気?」と彼女は尋ねた。彼女が微笑むと、顔の刺青が歪んだ。「リエンヌの呪いを覆い隠すため、私はこの場所丸ごとをエナジーで埋め尽くしている。お前がそのささやかな浄化の術を講じたら、その結果招いた爆発はヴェイルに大変な傷を負わせるでしょう。今度は、一体どんな奴がやってくるのかしら?」
お前にはわかっている」とブリアラが言った。「なぜなら、お前はそこからやってきたから、違う?」

 ミーリスはにやりと笑い、何も言わなかった。リエンヌは杖を掲げたまま、近い方にいるブリアラと、ギャスパードとミシェルの間に等しく注意を払っていた。
 貴族の娘、とブリアラは思った。才能はあっても訓練は知らず、溺愛する両親たちの手によってサークル送りを免れ、強行軍にも、その他の労苦にも不慣れ。彼女が弱点だ。彼女がきっかけだ。

「どうしてわかった、ダーレン?」 背後からフェラッサンが彼女に尋ねた。
何がわかったですって?」とセリーンが尋ねた。 
 ミシェルは剣を激しく振ったが、その攻撃はギャスパードの盾に敢え無く弾かれた。ギャスパードの反撃は金切り声をたてながら鎧を切り裂き、ミシェルの脇腹に突き刺さった。
「山ほどの些細なことから」とブリアラは言った。「野営地では、ミーリスは癒し手だったけど、真に腕の立つメイジの片鱗さえ見せず、杖の魔法を変えることができるだけの才能はなかった。以前は白かったのではなかったかしら?」

 リエンヌはミーリスの赤く輝く杖に目をやったが、それはそのような問いかけの後では誰しもしがちな自然な動きであり、とりわけ緊張に見舞われているときにはなおさらだった。彼女の注意が、ほんのわずかの間だけブリアラから逸れた。ブリアラの企みどおりだった。
 ブリアラは注意を招くことなく気軽な優雅さでもう一歩近づき、手にしたダガーをリエンヌの腹に滑らかに沈めた。
 若い貴族の女は喘ぎ、彼女の顔が死人のように蒼ざめ、そしてよろめいた。
「癒しの腕は確かなんでしょう、リエンヌ」 貴族の娘が崩れ落ちるのを、ブリアラは抱き留め、静かに地面に横たえた。「そうしようと思えば、自分のことも癒せるのでしょう。でも、自分を癒しながら、同時にミシェルを呪うことまでできると思う?」

 リエンヌは毒気を帯びた視線を彼女に浴びせ、苦痛にあえぐような息をした。「私が・・・お前を・・・殺してやる・・・、このナイフ耳の売女」 
 それは貴族の恫喝だった。ブリアラは、リエンヌの母親であるレディ・モンツィマードが料理にけちをつけ続け、とうとうシャトレインが鞭打ちを与えると召使いたちを脅す羽目になったことを覚えていた。リエンヌはそこから学んだのだろう。大声で喋り、召使いを脅しつけ、なんの仕返しも恐れることなく、自分の思うままの仕打ちを与えることができると知らしめる。
 だが、ふたりが今いるのはヴァル・ロヨーではなかった。

「あら、そう? じゃあ、あなたに慈悲を与えた私が間抜けだったということね?」とブリアラは尋ね、彼女の喉を掻き切った。
 それは決闘のためだったが、刃先が肌を切り裂くときに浮かんだ彼女の笑いの一部は、レディ・マンティロンの死に際を見つめ、この世に多少の正義がもたらされたときのものと同じだった。

 大理石の長椅子の間で、ギャスパードの剣が振り降ろされたが、今度はミシェルの盾がそれを真っ向から受け止め、突き出されたミシェルの剣がギャスパードの兜をかすめた。大公はたじろいで後ずさり、ミシェルが立ち上がると、血だらけだが生き生きとして、再び全力で戦いはじめた。
「ミシェルは生かしておかない」 ミーリスが杖を掲げた。
「それはお前の選択でしょう」とブリアラが言った。「イムシャエル

 ミーリスは動きを止め、セリーンはブリアラに疑いの目を向けた。フェラッサンが頷く。
「言ったように」 彼女は、つい先ほど貴族の女を殺したばかりではないかのように話し続けたが、彼女の心が驚くべきほど平静なため、思考はまるで巨大なドワーフのパズルに水晶の欠片が次々と嵌められていくように感じられた。「お前の魔法への理解は以前より増し、ただのデーリッシュの癒し手が知りようもないほどの知識を踏まえて魔法について語った。そして今、ミシェルとギャスパードの心を曇らせて私たちの姿が見えないようにしているのは、一番はじめに、あのディーモンがミシェルを誘惑して、石の輪の中に連れ出したときと同じこと。そもそも、もしお前が言った通り、イムシャエルが一族の他の者を皆殺しにしたのだとしたら、どうしてひとりのデーリッシュの娘だけ命を救ったのだろうと疑問に思っていた」

「なぜなら、彼女が選択をなしたから」とフェラッサンが言った。「彼女はイムシャエルを一族のただ中に解き放ったミシェルへの復讐を望み、それを実現するために、自分自身が憑依されることに同意した」
 セリーンは嫌悪に満ちた顔でミーリスを見た。「ディーモンに憑依された?」
「スピリット」とミーリスが正し、自分で思わずそう口にしたことに気が付いて、くすくす笑った。彼女が再び話し出したとき、彼女の声は深まり、あの輪の中に立っていた男のものになった。「ああ、つまらん。君も見かけよりは多少狡猾だと思っていたが。そのとおりだ、女帝よ、私はこの若きミーリスと一緒に動き回れるようになる見返りに、彼女にちょっとした力を与えることを申し出た」 ミーリスの身体の中の存在が微笑んだ。「そのどれもが、私があの厚かましいサー・ミシェルをたった今殺し、取引きした約束を果たすべきではないことの説明にはならない」

 ミシェルとギャスパードは再び真剣にぶつかり合い、ふたりの剣の達人が手を変え品を変え繰り出す二振りの剣の音が鳴り響いたが、ブリアラは無視した。ミシェルの命と彼女の企ては、彼女がどれだけ早く考えを巡らすかにかかっている。

「前にも彼を殺すことはできた、最初に戦ったときに。でもそうしなかった。なぜ?」
「なぜなら、ミーリスが選択しなければならなかったからだ」 フェラッサンが答えると、ディーモンは面白そうに微笑んで、彼の方を向いた。「そいつはミーリスに、私たちに殺されるのを覚悟で攻撃するか、それとも身を引いたまま休戦に従うか、その選択を与えた。彼女は従うほうを選択した
「では、彼女は選択をなした」とブリアラが言って、イムシャエルを見た。「それでお前は取引きどおりに約束を果たした」

 ディーモンは肩をすくめた。「かもしれん、娘よ。だが、君と君の可愛い女帝がエルーヴィアンを手に入れたら、どうするつもりだ? 私が望むのは、この世界を旅し、自暴自棄になるあまり衝動にかられる者たちを弄ぶことだけだ。君の帝国は私に何を手渡すのだ、ギャスパードからは手に入らない何を?」

「わたくしはエルフたちを解き放つ」とセリーンが言った。「その混沌、その機会に思いを馳せるがよい。力の均衡が・・・」
「慎重に維持されるのをか、いつものように」 ディーモンは見透かしたような視線をセリーンに送った。「君は準備が整ってから、安全になってからエルフを解き放つ。君が私に与えるのは上品な晩餐だ」と彼は言い、ミーリスの杖を所在なさげに振り動かした。「ところが私が欲しているのは、飢えた者が素手のままでがつがつと食らいつくような暴食だ。エルフたち、テンプラーたち、メイジたち・・・、彼らは何千もの者たちを殺すかもしれないが、それは炎と剣によるものに過ぎない。炎と剣はつまらん」 彼の瞳が輝いた。「この素晴らしき世界には、もっと数多くの事柄があり、人の度量を示すもっと数多くの方法がある」

「お前にわたくしの帝国を脅かさせはしない」とセリーンが冷たい声で言った。「お前を野放しにすることで、わたくしの民を危険に曝すくらいなら、わたくしはギャスパードの剣先に身を投げるでしょう」 
 イムシャエルは驚いて彼女を見た。「本当にそうする気だな? そして私は、君が玉座以上に重きを置いているものは何一つないと考えていた」

「まあ、確かに言う通りだ」とフェラッサンが言った。「炎と剣は確かにつまらん。だが、より大きな何かが訪れるとしたらどうだ?」
「言うがよい、ゆっくりした矢」とディーモンが言った。「一体、君に何ができるのだ、汗まみれの定命の者たちが渇望し、しがみつき、血を流し、その命を無駄にしてきた間に、君と私はあらゆることを何百回となく目にしてきたではないか?」
 フェラッサンは何も言わず、ただ微笑み、その顔中の刺青が歪んだ。
「なんとまあ」 イムシャエルは息を吐いた。「それは約束か?」 
「まあ、私はむしろ脅しのつもりだったのだが」

 イムシャエルは、彼をおぼつかなげに見るセリーンの方を向いた。「女帝よ」と彼は言った。「君の幸運を心から祈ろう。きっとそれが必要になるだろう。何が起きようとも、この先しばらくの間、オーレイがとてつもなく刺激的な場所になるには違いないのだから」
 そしてミーリスの身体の回りに光が輝き、彼女は膝から崩れ落ち、杖の輝きが氷のような白い色に戻った。しばらくの間、煙のような姿、彼女の身体に纏わりつく靄がミーリスを取り巻き、それからそれが壁の鏡のひとつに向かって矢のように部屋を横切り、その鏡がまばゆい赤色に燃え上がり、それから再び働きをやめて動きのない澱みに戻り、ディーモンが去って行った。

 ギャスパードとミシェルがお互いの身体を離し、ふたりともリエンヌとミーリスのほうに一瞥を加えた。そして言葉を発することなく、彼らは戦いに戻った。
 ブリアラはルーンの迷宮を見た。その紋様は複雑だが、セリーンとミシェルが見えないと言っていたそれが、ブリアラの目にははっきりと見えた。
 次に彼女がセリーンを見やると、彼女は優し気な頷きを返し、再び決闘に目を向けた。
 そして最後に、彼女はフェラッサンを、木に縛られたフェンハレルの物語を彼女に教えてくれた彼のほうを見た。

*** 

 ここはなかなか面白く、気に入っている場面ですが・・・。まだ決闘が終わっていない。
 話が非常に込み入っているので、別のときにしましょう。

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