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2014年7月14日 (月)

The Masked Empire、感想・グチその他(完)

 正直間に合うとは思っていませんでした。また今週これから仕事で海外、ちょくちょくそうやっているうちに、次のDA小説"The Last Flight"が手元に届く。なんだかんだで、すぐに発売開始になっちゃいますね、「なんちゃらの軌跡II」(DAIちゃうんかい!)。

 そろそろエンディングも近いはずのPQもあまりやらずに完了させた。

 パトリック・ウィークス氏の、多少饒舌にすぎるきらいはあるとはいえ、原文では流れるような、ときとして緩急を織り交ぜた見事な長文の連続。ハードボイルド調に慣れている私としては新鮮だった。ところが日本語文にしようとすると、日本の中学高校で教えているとおり、一番後ろから全部逆向きに訳さないといけなくなりそうな、この上ないイライラが募る書き方。

 私も今回学びました。描写の順番は意地でも変えない。さすがに日本語として意味が変になってしまうくらい許容範囲を超えるときは断念しましたが、極力、原文(センテンス)中のイベントやら、描写やらの順番を変えないように努めた。省エネルギー翻訳。
 日本語としては「こなれていない」とか、「もっと違う表現が」とか講釈つける輩が出てきても気にしない。目的はあくまで内容の紹介ですから。しかも理に適っているし。人間たる者、最初に提示した話題が一番大事なのがふつう(あるいは、場合によっては意図的な仕掛けがある)。この前の文の場合は、「人間」が大事。どの言語だってそれは変わらないはずという含意があるわけです。

 とはいえ、(大筋に影響ないとはいえ)センテンス丸ごと見落として抜けているところも今頃発見したので、こっそり直しておきますが。

 それと、固有名詞も最初のほうと後の方で若干揺らいでいたり、一人称、二人称もたまに統一を忘れていたりと、粗いままの部分ありますが、なにしろ今は気力が・・・。気が向いたらしこしこ剪定します(そう言って、やった試しがあまりないけど)。

 何が怖いって、DAIでたとえば主要登場人物である"Gaspard"の発音が、フレンチ寄りのガスパールだったり、ギャスパーだったりと判明したとき、どうすんだよ、ということ。ひとつづつ検索して全文修正(笑)。ココログはお金を払わないと一括修正できないのだ。

 中身については、もう途中でだいぶ書いちゃいました。ファンタジーの剣と魔法の戦いを描写するのって並外れた面倒くささなのでしょうが(と翻訳していて思いましたが)、(はるかにお金がかかるとはいえ)ヴィデオゲームや映像であっさりやられちまったら、辛いものがあるなあ、という虚しさもあり。映画「ホビット」のドラゴンは、あれがすべてのファンタジーRPGの原典であることをヴィジュアルで示すという、エポックな偉業であることは認めるとしても、もう、ドラゴンの造形があれで決まりになっちゃいましたね。

 途中でも書きましたが、レヴナントやディーモン・メイジはともかくとして、シルヴァン(木ね)、ヴァーテラル(虫ね)など、とてもお行儀よく原典に忠実、オリジナル・ゲーム準拠ではありますが、はっきり言ってシャビーな(正直個人的にはどうでもいいような)化け物との対決シーン。シルヴァンについては、ぜんぶすっとばそうかと真剣に思った(そうしてしまうと、いつの間にか馬が死んでしまうので、後の方で話がつながらなくなる)。 
 この小説、半分はエルフの物語なので仕方がないのでしょうし、シャビーだと感じるのは、私の個人的趣味でしかないのですが。

 エルーヴィアンの間の「道」については、訳していて二重の意味で頭痛がした。グチしか出てこないので、省かせていただきます。

 
 紹介中に、EAのDAI公式でいきなりばらされてしまったのですが、セリーンが復活することはあらかじめ決まっていた。よって(メタ的に見て)結末は、いかにしてセリーンに簡単な復活を許さないか、これにかかっていたわけです。
 そこから逆算してしまうと、おのずとこの小説の結末の答えが出てしまうのですが、一筋縄ではいかない粋な仕掛けもあって、ヒューマン(じゃなくて、エルフも)ドラマのほうはまあまあ、愉しめました。 

 私としては、どのキャラクターにも感情移入しにくい、アタッチメントの要素が少ない小説でした。きっと、セリーンかブリアラにぐっとくるかどうかにかかっているのでしょう。
 フェラッサンが感じたように、ミシェルは心があまりにも「少年」すぎる「ガキ」。逆にフェラッサン自身は、謎の隠者の「お約束」を避ける意味か、ウィークス氏の自己投影か、やたらと饒舌である。典型的「親分キャラ」であるギャスパードにアタッチする人はあまりいないだろうから、野郎キャラの場合も二人のどちらかにのめりこまなければ、突き放して見る(デタッチメント)しかないのかな。 

 リマッチェについて何か書こうと思っていたんですが、もういいかな。伝統主義、差別主義、剣の達人、さらには陰謀公家とか色々なキャラクターを背負わされて、ノブレス・オブリージュを示すこともありながら、最期は親分の手で殺されてしまう。色男だという描写が結局最後までどこにもなかったので、それは私の脳内生成物であることがはっきりした。でも、この小説を映像・画像にするなら、きっとそうするよね。セリーンに顔を傷つけられたから逆上したわけでもないのでしょうが。

 心に残るところ、すでに書きましたが、ミシェルがギャスパードの説教を聞き、ディーモン退治を心に決めるところがひとつ。
 後は、しいてあげれば、フェラッサンとブリアラの関係でしょうか。

 フェラッサンのブリアラへの恋慕は、そしてあるいは本人では気が付いていないブリアラの彼へのそれは、このくらい控え目でちょうどよいということなのだろうか。これじゃあ、気が付かない人がいそう。

 フェラッサンはドリーマーであった。彼はブリアラや、最後にはミーリスからも、彼の部族のところに連れて行ってほしいと何度か懇願されますが、その都度言を左右にはぐらかす。
 存在していないんでしょうね。はるか昔、おそらくハラムシラルの時代ではなく、もっと昔のアーラサンの時代に置き去りにしてきたのかもしれない。その場合彼は、長い歳月を経て再びこの世に現れた。
 あるいは、彼はすでに滅びた部族の生き残りで、夢の世界を駆け巡ることができるドリーマーであるがゆえに、エルヴェナンの時代に精通しているのかもしれない。「君と私でこの世界のあらゆることを何百回となく見て来た」というディーモンのセリフをどう解釈するかで変わりますが。

 彼は負け犬根性のデーリッシュは大嫌い。ブリアラは彼が本当にデーリッシュであるかどうか疑いを持つが、彼の思いがけない恫喝の前に、その答えを知ることを断念した。
 かつての彼は誇り高いエルフのメイジ、しかもドリーマーだった。貴族だったのかもしれない。ミシェルとの森の中の会話では、当時のことを何か仄めかそうとしていた。

 もはやこの世の者ではない、定命の者ではないがゆえに、彼のブリアラへの思いは成就しないことがはじめからわかっていた。
 彼がフェイドの存在に殺されるのを覚悟の上で、ブリアラにエルーヴィアンを託した理由は、理性ではなく感情、計算ではなく恋慕。私はそう思います。
 そしてそうすることで、フェラッサンはフェンハレルの教えにも背いた。身の安全を計らずに、感情や憐憫に流されるのはフェンハレルの行いから最も縁遠いこと。
 いや、果たしてそうでしょうか。
 

 彼は、ブリアラにエルーヴィアンを託し、そしてまたフェンハレルの教えも伝承した。
 たとえその身は滅しようとも、弟子であり、最愛の友でもあった娘がやがてその思いを継き、大願を成就するのであれば、彼こそ「ゆっくりした矢」の名に相応しいのかもしれません。

(なんだよ、しっかりアタッチメントしてんじゃん) 
 んー、おっさんだからねえ。そうなればわかると思いますよ。

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コメント

強行スケジュールのアップでしょうか?
本当にお疲れ様でした。ありがとうございます。
登場人物それぞれの思惑に、オーレイのゲームやディーモンの憑依が絡み、いつ誰が裏切り・裏切られてもおかしくないスリリングな展開を楽しむことができました。
戦闘場面も、かつての私のドルイドの血が騒ぐくらい面白かったです。

序盤はセリーン側からの視点が多かったこともあって、セリーン寄りかと思ったのですが、そうじゃなかったんですね。
この物語には際立った善・正、あるいは悪・邪はなく、それはそれぞれの立場や状況によって当然変わるものというのがよく表れてたと思います。
キャラクターに感情移入しにくい原因の一つかもしれませんね。
単純な勧善懲悪には、DAシリーズはならんからなぁ。

>フェラッサンのブリアラへの恋慕
うん、これもビミョーなところですよね。ロマンスとかとも違うし。
フェラッサンほどの存在で長く生きてきた者でさえ、手が届きそうで手が届かないもの、大切でたまらなく愛おしい、失いたくない存在ともいえるし、難しい。
生きる為に、エルフの為に、たとえ困難に遭っても、自分で考え自分の意志で動くブリアラに、しなやかな活力や新たなる可能性の輝きを見たのかもしれません。

>彼こそ「ゆっくりした矢」の名に相応しいのかもしれません
そう、私もこの言葉に尽きると思います。

ありがとうございます。最後はあせってやったのでまだ細部粗いまま。読みにくかったら申し訳ない。

あのディーモンの話はこの後に続くのかなあ。絶望した者たちの「選択」を弄ぶなんてRPG世界そのもの、オールマイティですしね。
戦闘シーンはさすがに疲れました。しかもその最中に、また別なプロットを進行させようとしてるから込み入りまくり。
フェラッサンの造形は典型的な「ドルイド」らしくならないようにしてあるんですね。ドルイドと言われて今気が付きました。
根が単純なので、Asunderのエヴァンジェリンみたいなのに惹かれちゃうんです。闇の中の一筋の光。こちらは誰の闇がどれだけ深いか競争しているようなもの。ギャスパードが一番闇から無縁だったというおち。
フェラッサンから見たブリアラはそのとおりですね。彼女の中に停滞と諦観を打破できそうな「活力」を見出したのでしょう。ブリアラがフェラッサンの賢さに憧れていただけじゃなく、彼も彼女の「若さ」に憧れていたのかもしれない。なんとなくレミゼのラストにも通じるかも。

これで私もしばらく束縛から解き放たれました(笑)。PQ終わらせようっと。

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