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2014年7月13日 (日)

The Masked Empire Epilogue(2)

 セリーン。

*** 

 この世のものではない光に顔をしかめながら、セリーンは道の最後の数歩を進み、エルーヴィアンから歩み出た。
 彼女はブリアラにヴァル・ロヨーに戻すように頼んだ。結局それが、彼女の当初の目標であり、その頃には愛する相手とチャンピオンがいた。ギャスパードの前にオーレイを手に入れ、ギャスパードの襲撃が失敗したことをはっきりと示し、それからオリージャン軍の総力を結集して、叛乱軍を打ち破る。
 そして、それはうまくいくはずだった。

 だがセリーンは、女帝の要求を聞いているブリアラの顔を見た。ブリアラの情熱的な目には、計算高さを示す些細なきらめきが見えた。彼女は、自身がブリアラの立場であれば、同じようにしただろうと思った。
 だから彼女が、強いエナジーの波に逆らって目を開け、エルーヴィアンから足を踏み出したとき、エルフの遺物で飾られた質素な食堂に立っていたことにも驚きはしなかった。

 そこには庭園が見下ろせる素敵な窓があるため、彼女はときたまそこで朝食を摂ることがあった。
 彼女は、ハラムシラルのすぐ外にある、自分自身の冬の宮廷にいた。
 セリーンはため息をつき、首を振った。よりひどい結末の可能性もあった。少なくともブリアラは、彼女をどこかの忘れ去られた霊廟に送り込み、死に至らしめるようなことをしないくらいには優しかった。彼女が振り返ってエルーヴィアンを睨んでいると、しばらくしてから、表面に現れていた深紅の雲が消え去り、鈍い青っぽい灰色になった。

 彼女にはチャンピオンもなく、軍もなく、隠密の手練れもなかった。権力の座から遠く離れ、ギャスパードが占領しているだろう街の近くにいた。
 彼女の心は引き裂かれ、後から泣き叫ぶことになるのはわかっていた。だが強情にも、彼女のある小さな一部は、心のずっと奥底の闇の部分では、笑っていた。彼女は、ヴァル・ロヨーに身寄りのない十六の頃に戻ったような気分がしており・・・、そして彼女が最後にそう感じたときには、勝利をその手に収めたのだ。
 当分の間は、たとえ一人寝するとしても、朝遅くまで何の苦も無く眠っていることができるだろう、そう彼女は気が付いていた。

 彼女は目を閉じ、耳をそばだて、それから大広間から回廊に忍び出た。幼い頃、冬の間はこの家族の宮廷で過ごしてきたため、裏手の廊下が人目につかないことは知っていた。
 しばらく後、彼女は自分の部屋に辿り着いた。彼女は寝台横の灯り台の傍にある銀の呼び鈴を手に取り、大きく鳴らし、そして待った。
 宮廷の召使いのひとり、がっしりした体格の威厳あるヒューマンの女性が、困惑した様子で部屋を訪れ、衝撃に目を見開いた。
 セリーンは、まだ盗んだ鎧を身に着けたままで、薄汚く、マスクも身に着けておらず、ただ待っていた。

 一呼吸の後、女性は深々と会釈した。「輝けるお方」 
 鍵は、他の全ての事柄と同様、自信だった。
「ハラムシラルについての報告、入浴、それから強いお茶を一杯」と彼女は言って、召使いがそれに従おうとしてあわてる様子を見せたときには、微笑みを隠した。

 入浴の準備が整ったとき、彼女は全裸になり、鎧は焼き捨てるように命じた。水に浸かって身体を洗っている間、彼女は、年老いた宮廷の家宰、背が高く痩せた男で、彼女が赤ん坊の頃から知っている彼が、目隠し用の衝立の後ろで、ピエール卿がギャスパードに降伏し、続いて彼がこの冬の宮廷の衛兵たちもまた軍門に降るよう要求していることについて話すのを聞いた。
「ハラムシラルのピエール卿に伝令を出して、降伏についての話し合いのため、彼ひとりでここを訪れるように伝えて頂戴」と彼女は言って、言葉なく身振りで、召使いたちにラヴェンダーの香りの石鹸をもっと沢山使うよう指図した。

 召使いたちが彼女にコルセットと夜会服を着つけている間、彼女は、茶の最初の一すすりを嗜んだ。夜会服は濃い紫で、金の獅子の飾りが施されており、いずれも彼女の家の象徴であるとともに、オーレイそのものの象徴でもあった。茶は熱く、強く、極上で、彼女は深く飲み下すと至福のため息をつき、それから年老いたエルフの侍女が化粧を施せるよう、顔の動きを止めた。

 召使いたちがピエール卿の到着を告げたのは、セリーンが丁度、代えのマスクを見つけたときだった。彼女がそれを身に着けると、顔に当たる感触と、視界の隅にある小さな壁に、一瞬不思議な感覚を覚えた。もう何十年もの長い間、それを被らずに過ごしてきたような気がした。

 彼女は、ピエール卿が招き入れられたとき、気楽に視線を避けていることのできる、白い螺旋階段のてっぺんで待っていた。彼女は、ピエールの進む足音と、それに伴う宮廷の衛兵たちと彼の兵士たちの金属の鎧が鳴る音を聞いていた。彼は誇り高きオリージャン貴族の礼儀正しさを示しながら、家宰に挨拶をした。

「お望みどおりここに参った」と彼は言った。「そして私は、そなたとそなたの手の者たちにできうる限りの寛大な措置を約束しよう。心配めさるな、今は我々皆にとって困難なときであり、私もハラムシラルそのものの惨状からそう学んだのだが、そのような強大な力に直面したとき、降伏することは何ら不名誉なことではない」

 彼が話し始めるのにあわせ、セリーンは階段を降り始めた。何年にも渡る実践のおかげで間合いは完璧であり、ピエール卿が話を終えた丁度そのとき、玄関の広間から彼女の姿を目にすることができた。

「そのような高貴なお言葉を耳にできてうれしく存じます、ピエール卿」とオーレイの女帝セリーンが言うと、ピエール卿はそこに立ったまま、口もきけないほどの驚きを露わにして見つめていた。 「そして皇帝が、貴族を不忠のあったその場で処刑するような暗黒のときであるとしても、あなたの言葉はわたくしの心を打ちました」 彼女は階段の下まで降りたときに微笑み、彼女の宮廷の衛兵たちが進み出てその脇を固めた。「であるから、あなたの降伏を受け入れることにいたします」

 ハラムシラルのピエール卿は、善人で、優しい男だったが、心の強い人物ではなかった。エルフの叛乱を自ら鎮圧するほどの度胸はなく、ギャスパードに逆らう勇気もなかったが、そのどちらもセリーンには驚くべきことでもなかった。
 長い間があってから、ピエール卿は片膝をついたが、それも彼女には驚くべきことではなかった。「女帝陛下」
 わずか二、三時間前に戻ってきたセリーンは、すでに最初の街を奪回していた。

***

 女帝セリーンは、愛人も、チャンピオンも、軍も、玉座も領土も失ってはいるものの、物語が始まった時より、何段もパワーアップしてしまった感じです。
 物語劈頭、口舌で相手を意のままに操っていた彼女が、最後にもまた同じように言葉のみで相手を籠絡する。
 でも、それにしてやられているのは常に野郎のような気もするのですが・・・。

 女性キャラクターには誰一人「甘い」人物がいなかったような気が。つうか一人残らず全員「デンジャラス」な、油断も隙もないキャラクターたちでしたね。

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