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2014年7月

2014年7月30日 (水)

【DAI】Dragon Age Keep Update

 Dragon Age Keep、Twitterを今頃開設したので、めでたいからベータ・キーを増発したんだと。まあ、本編リリースが延期されたので、場つなぎのためのネタ作りでしかない。

http://blog.bioware.com/2014/07/29/dragon-age-keep-update/

 でも私んちに来ないんですが。ベータ・キー。

 既報のとおり、よくわからんがBioWareの新IPらしきゲームの予告、"You've Been Chosen"メールは来た。しかもBioWareは本当にメール登録者から選んで発信したんだそうだ。
 そんな運いらない。ベータ・キーくれ。

 というか、私がDA、ME関係とそれ以外でフォローしている数少ない(全部で10もありません)Twitterでは、ともちんが155万バカと暇人(含む私)に比べて、BioWare40万バカと暇人(含む私)。DAIなんてたった13万バカと暇人(含む私)で、もうすぐBABYMETAL(7万バカと暇人(含む私))にパスされるのではないだろうか。

 つまり、ゲーム・プロモーションにTwitterはあんまし意味ないんじゃないの? ということが言いたい。

 とはいえ、YoutubeでもBABYMETALが最頻で1250万キツネ中毒(含む私)なのに、DAIのマイクレイドロウ解説付きゲームプレイ画像で50万セダス中毒(含む私)。

 自説を補強するデーターのみ用いる日朝新聞のような牽強付会、我田引水をやめよと。わかった、じゃあDiabloIIIだ。Twitterで36万バカと暇人(私は含まない)。WoWは52万バカと暇人(私は含まない)。Bethesda、55万バカと暇人(私は含まない)。

 なんか、同じ50万バカと暇人が、類似ゲーム関連Twitterを片っ端からフォローしているのではあるまいか、と考えることもできそうだ。

 ちなみに万国のゲーマー団結せよ、で見てみると、IGN(US)は163万自称ゲーマー(UKもあるけど15万ガイマー、IGN AUに至っては7千ガイマー)。GameSpotで88万自称ゲーマー。IGNはTVドラマや映画のニュースも含むから、GameSpotあたりが上限値かなあ。
 それにくらべると、ともちんすごすぎ、って地域密集してるだろうけど。

 ところが不思議なことに、WoWは言うに及ばず、Diablo IIIも、Skyrimも、優にマルチ・ミリオン・セールスを突破しているが、ともちんのCDがミリオンだなんて話は聞いたことがない。というか日本の音楽シーンにまだミリオンなんて存在するのかどうか寡聞にして知らない。

 つまり、んなもの、商売とは「無関係」、「無差別」、飾りですよ、飾り、偉い人にはわかんないんですよ、と言いきれないところが、呪術に頼るブードゥー・マーケティング屋のつらいところですね。10月7日から 11月18日(いずれも現地)への変更も、風水(feng shui)かなんかで決めたのかも!(なわけない) 

 またDiabloIIIの三分の一程度のバカと暇人しかフォローしないDAIは、 前者の15 millions (全プラットフォーム)に対して、5 millionsしか売れないという予測も・・・、えっ! それ売れすぎだよ!

【DAI】Gameplay Features – Combat

 先ほどアップデートが来ました。眠いのでそれだけ。

https://www.youtube.com/watch?v=oYZw98f58Xo

 

 コンバット画面。なんか別のゲームみたいですね。

2014年7月28日 (月)

【DAI】SDCCデモ

 こちら、オーソライズされたものなのかどうか知らないけど、SDCCのDAIデモだそうで。

https://www.youtube.com/watch?v=qq0kUf77MwY

 冒頭に出る緑色の髪の姐さん、たしかにBioWareのPRのジェシカなので、オーセンティックであることは間違いなし。

 まあ、お時間あれば(30分くらい)観てください。私もこれから観る。

 んー、でもこれ、マイクが紹介していたのと、おんなじコンテンツかな? 
 ジェシカの語りも、マイクが使っていたものと一緒のシナリオみたいです。
 ヴィヴィアンの発音も・・・・、やっぱヴィヴィアン(ヌ)に聴こえるなあ。

 まじめに聞いていたら、Raptr Q&Aのとき、いまいち不明だった次のマイクの台詞の意味もわかった。 

Q: Will we be able to get Iron bull to throw sera?
A: But she would get a wedge up something fierce! (MD)
A: Think of the mayhem, Mark! MAYHEM. (ML) 

 この最後のマイク(ML)の台詞、作中本当にアイアンブルが言っているんですね(デモだと12分過ぎたあたりのバンター)。セラのことを敵の隊列の向こう側に投げ飛ばすから、そこで戦えと。「考えてもみろ、(敵の背後からの攻撃による)大殺戮(大混乱)を、大殺戮だ」と言う感じ。
 マイク、自分の作品の楽屋落ちで答えるのも、いい加減にしてほしいですね。

 眠いので半分くらい観たところでやめときます。また何か気づいたら追加しておくことで。

【DAI】ぱちもんかと思った。

 なんかネタないかなと思ってみても、ないですね。

 まあ、こんなんでお茶でも濁しますか。

Pcgamer 

 なんすかね、これって一種の営業妨害でしょうか?

 キャスがどうみても極道の人にしか見えません。

 はるか昔、"STAR WARS"が爆発的人気を博した頃、版権取れなかった(取るお金もなかった)メーカーが、"STAR WARRIORS"とか"SPACE WARRIORS"とか、なんかそんなネーミングで似たようなロゴの、作中メカなどと似たようなデザインのプラモデル・キットを売り出していたのですが。

 その箱絵の水準が・・・、そこのルークとかレイアとかの顔が、こんなでした。

 (ちなみに"SPACE WARRIORS"には同名の映画(2013年)がありますが、それとは関係ない。今話してるのは「ど昭和」の話だから!)

 ああ、みつけちゃった。"STAR WARRIOR"でした。英語センスまでダメだったのか。

 なにがおそろしいって、本家"STAR WARS"御用達、知る人ぞ知るRevell(USのほう、いわゆる「レベルモノグラム」、日本ではTAKARAがローカル・パートナーの時代)の「ルーカス著作権あり」の箱絵のルークすら、ぱちもんとあんまし変わらない水準だということに、今検索して気がつきました。武士の情けでここには載せない。
 

 ああ、昭和、あの頃が懐かしい、とか言っているやつら、直視せよ。正直、ろくな時代ではなかったのだ。振り返って、ただ幻想が美しく見えるだけ。
 あたしゃ、あんなへぼい水準の箱絵のプラモとかやっぱり許せません。床屋の代金ちょろまかすようなリスク冒して買うか、あんなの?

 話を戻して、ときは21世紀。上の「PCゲーマー」、なにが悪かったのか。一体どこをどう間違ったのでしょうか?

YOU'VE BEEN CHOSEN

 BioWareのメール配信登録は随分以前からしていますが 、今まで、ろくなメールが届いたことはなかった。

 表題のようなメールが届いたときも、速攻で迷惑メール送りにしようとしてしまった。こんなもの、あぶないダイレクトe-メールの代名詞じゃないですか。「選ばれた貴方だけにお送りします」と一緒だ。

それからBioWareであると気が付き、中身を見て、おおかた、またEAが買収してBioWare部門に割り振ったゲームの紹介だろうと思い、トレイラーを見た。

http://www.youve-been-chosen.com/

 これがもしかして、BioWareの新IPってこと? 

 少なくとも、BioWareのエグゼクティヴ・プロデューサー、ケーシー・ハドソンは、「新IPは『現代のストーリー』(contemporary stories)を語るものとなる」と先月語っていた(次のGameSpotの記事参照)。

http://www.gamespot.com/articles/watch-bioware-tease-its-new-project-with-a-nightma/1100-6421298/

 ホラーだとしたら安直すぎる気がします。すでにジャンルには競合が山ほどひしめいてるのではないか(さすがにクトゥルフものはできまい)。
 やっぱ「選ばれし者」だけに、エスパーものでしょうか?

 最近は洋ドラをほとんど観ないので、どれがどれかわかりませんが、あったよなあ(ありそうだよなあ)、こんなの。
 BioWareがいまいち掴み切れていない、若い世代のぼっちゃん、じょうちゃんに受ける目的でも、「エスパーもの」は無難なのかな。  

 サイトには英語版の他、独語版しかないこと、文中で"Cologne, Germany "がメンションされていることからして、今年のGamescomでより詳しくわかる、ということなんでしょうね。今年の開催は、8月13日-17日(現地)です。

2014年7月25日 (金)

「ゴジラ」、一抹の不安

 謙さんの英語(Inceptionのときと一緒やん、しかも不安的中だし)。

 来週観に行くんです! 

 いやでも、Gyaoで独占?スニークピーク見たら、USS SARATOGA(@COAST OF JAPAN)。

Uss_saratoga

 サラトガはすでに二度沈んだはずだが? (わかる人だけわかればよし!)

 あれ、CV60って退役してないんだ? (いや、してるだろう!)

 CV60 Saratoga(フォレスタル級二番艦は1952年就航)は、かつての空母Saratoga(レキシントン級CV3、DDH-182「みらい」に撃沈されたやつ、わかる人だけわかればよし!)とは関係ない、同名別艦扱いなのですね。

 CV3は、結局保存のための予算がつかず、1946年のビキニ環礁における核実験(クロスロード作戦)での標的艦にされてしまった。で、ゴジラ繋がりですか。納得。

 たとえばエンタープライズ(キティホーク級、CV65のほう)などは沢山の映画に登場しているはず("Top Gun"でも劇中でハッキリ言っていないはずだけど、どうみてもビッグE)だが、サラトガ(CV60)が登場した映画って少ないよねえ、と思って調べたらほんとにほとんどないみたい。ま、事情は色々あんでしょうけど。 

 謙さん、英語まじめに勉強しよう。これは、まじ。

(修正:"Top Gun"の艦内が撮影されたのは、実際にはUSS レンジャー(Ranger、CV61)でした。またCV65 エンタープライズが登場した映画は、言うほど多くなかった。"The Hunt for Red October"には登場していた)

【DAI】ゲイダーさん、コールを手離す。

 久々にゲイダーさんのTumblrから。脚の病気の療養でしばらく自宅から動けなかったらしく、ここのところ珍しくかなりの数のファンの質問に答えていました。

 これはDAコンフェッションの「告白・懺悔」にコメントしているもの。

http://dgaider.tumblr.com/post/92439471594/dragonageconfessions-confession-when-i-heard

 「告白」自体は、DAIのコール担当ライターが(小説Asunderの著者でもある)ゲイダーさん以外に割り当てられたと聞き、当初がっかりしたが、パトリック・ウィークス氏の担当となったと知って期待しているというもの(どこが告白やねん!)。「パトリックはきっと素晴らしい出来栄えを見せてくれるに違いない!」

 以下、ゲイダーさん。

***

 間違いなくそのとおりの出来栄えだよ。

 たしかに私のコールではないが、とりわけ気にかけているわけでもないのは、コールは小説版最後でも容易に変化できるような分岐点にあったからだしね・・・、そしてパトリックは彼を、私のコールから大きく変えたわけでもないんだ(私のアンダースとジェニファーのアンダースの間に比べれば違いがずっと小さいことは確かだ)。乞うご期待。

 コールを別の書き手に委ねるのは、容易なことではなかった。部外者の視点から見れば、我々ライターたちは、くじ引きか何かで誰が誰を書くか決めている、そう思われているのかもしれない。ときにはまるでそうして決めたかのような気がするときもあるが・・・、ほとんどの場合、キャラクターがあるライターの手から別のライターへたらい回しにされるようなときで、納期の問題や、誰が手すきかなどに影響される。パトリックがMass Effectチームからやってきたときに担当することになったのは、他のDAライターたちがまだ手掛けていないキャラクターやプロットだった(日々増殖を続けるかに思われる、不安を誘発する仕事の束)。彼がコールに興味を示したとき、私は心臓発作に見舞われ、それが約三日間続き、やがて、彼を引き渡すか、あるいはゲームに登場させることをあきらめるか、どちらかしか道はないことを悟ったんだ。その頃の私のスケジュールはめちゃくちゃで、仕事の負荷は到底減るはずもなかった。 

 最後には、不安げに両手を握り合わせながら彼の肩の後ろから覗き込み、うちの赤ちゃんはどんな具合だと、あれやこれや口出しすることさえやめた。パトリックは、兵士のように忍耐強いので、ただの一回たりとも私に、「すっこんでろ」なんて言わなかったよ。

***

 ゲイダー節のひとつ、「うちの子に何してくれるねん」ネタです。

 これはライターたるもの皆そうなんでしょうね。DnDノヴェライズで知られているサルちゃん(サルヴァドール氏)も同じようなこと言っていた。一方では「キャラクターはライターだけが生み出すのではなく、アーティスト、アニメーター、シネマトグラファー、その他諸々のスタッフの共同作品だ」と言っていながら、その本心は最初に「無」から産み出したのは自分だという自負があるのでしょう。

 (特に人種差別的な目的で)キャラクターの肌や見かけを変更するModについて苦々しげに怒りを表明していたこともあった。ところが二次創作(ファンアート)には好意的。でもファン小説には否定的なことが多い。

 「RPGはファンのみんなと一緒に作る物語だ」と「うちの子に余計な手を出すな」は矛盾しているように見えて・・・、矛盾してますね。ま、前者はマイク・レイドロウ、リード・デザイナー以上の立場が言う発言、後者はライターやアーティスト個人の発言という違いですかね。

 キャラクターの誰それはおれたちが育てたようなものだ!
 んー。たかだか60USDか100USDくらいの出費では、誰も何も育たんぞ?

 まあ、このオーサーシップ(著者)とオーナーシップ(所有者)の問題は、右と左の両方から声の大きなわけわからん人たちが登場する話題#1なので、この辺で。

【DAI】アチーヴメント・リーク?

 ことBioWareゲームに関しては、Microsoftからのプリマチュアなリークが多く、またかと思ったが・・・。

 これはOriginからかな。ちなみに画像中のローカライズ言語はキリルのように見えるので、ロシアンかもしれない(私はロシアンは読めない)。

 【ご注意】 まず、フェイクの可能性がある。ひとつの根拠としては表示されている「アイコン」がいまいちプアなレヴェルであること。ただしOrigin自体がPoorなことに調和しているとも言えるでフェイクと断言はできない。もしそうだったら、まあ笑いごとです。

(フェイクでないとしたら)強烈なネタバレを含む恐れがあるため、ご覧になるにはそれなりの覚悟でお願いします。

 全アチーヴメント・リスト(とみなされるもの)が、全て「短文による説明入り」ポップアップで参照できる。一、二見てみたが、どうすれば獲得できるか完全にわかるものも(笑)。

http://forum.bioware.com/topic/510144-the-leaked-achievement-list-possible-spoilers/

 以下、いくつかタイトルだけ。ネタバレが気になるお方、心臓に不安のあるお方、身長が目安のバーに足りない方は、ここまで。

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 表題だけなら、大丈夫な感じもします。うっかりしていると説明のポップアップ画像のほうを目にすることになってしまいますが・・・。

 A Capital Occasion: いくつにも意味がとれますね。説明書き読んじゃうと一発でわかってしまう。お勧めしない。  

 A Dance to Remember: Eaglesの「ホテル・カリフォルニア」かと思った。 

 In Death, Sacrifice: むーん。 

 Stargazer: Mass Effect 3かよ。Deep Purpleは古いか。(失礼、Raingowか)

 Strength in Numbers: 数の勝利です、覚者様。

 Trial of Fire and Ice: これも色々なところで聞くフレーズ。"Trial of Fire"は「厳しい試練」

 Venturing Forth: BioWareファンにはわかる楽屋落ち。

 Well-Funded: "But not enough time."と続けてやりたくなるんだが、マイクさんよっ!

 

2014年7月23日 (水)

PQようやくクリア。

 以下、PQに関するネタバレがほんの少しだけ、微かに含まれている。トゥルー・ウィズダムの高い方ご注意。

 届いたのが6月はじめでしたから、なんと2か月以内でクリアできたことになる。しかもその間、The Masked Empireの翻訳記事もかなり書いたし、仕事で海外にも行ったのに・・・。ああ、そういえば旅客機の中でプレイしてたな(もちろん、ネットワークはオフにして下さいねっ!)。 

 そんなの普通じゃないか、むしろおそっ、と思われるかもしれないが、日中しょうがなく仕事をしなければならないおっさんにとって、これは容易に信じがたい短期間である。空いた時間があれば優先してやりたくなる、そのくらい出来が良い、ということを言いたいわけで。

 「世界樹」のファンには正直申し訳ないが、そちらにはあまりはまらなかった。やっていることはほぼ一緒なのに、どうしてここまで違うのだろう。
 もちろん、P3P、P4Gをプレイしたことがあるから、登場人物はほとんど顔馴染みだし、楽屋落ちもわかるし、プレイ・システムも専門用語もあらかたわかる。
 元々サッカーに興味ないし、選手を覚える気もないので、永久に馴染まない。それと一緒か。
 そんな理由ではないでしょう。

 そもそも迷宮部分は、(非常に完成度が高く、変化に富んだ様々な工夫がほどこされているが)「世界樹」とそんな大きく違うわけではない。個人的に、コンバットとか、マップ完成とか、ペルソナ集めとか、その部分が一番愉しいわけでもない。

 P3、P4(オリジナルはいずれもプレイしたことないが)に頼っていることは間違いないとして、一言でいうと「懐かしさ」なのでしょうか。
 誤解されないように急いで言うと、過去ゲームをプレイした頃を思い出しての「懐かしさ」ではない。もっと広い意味の、なんつうかなあ・・・(ここ考えるだけで三日かかって、かつDAI延期の報まで入りやがって)。つまり、会ったこともない人に初めて会ったのになぜか感じる懐かしさ。訪れたことのない国にはじめて訪れたのになぜか感じる懐かしさ。見たこともない絵画、聴いたこともない音楽、いただいたことのない料理に感じる懐かしさ。ああ、このそこはかとなく湧き上がる郷愁(ノスタルジア)。花よ! 枯れ葉よ! 舞い散るは君。心千々に乱れるは僕。 
(あんまりやってると、マリーのポエム(ちゃう、パトス!)みたいになってしまうのでやめよう)

 今までどこにもなかったし、これからもどこにもないだろう世界なのに、懐かしい。そういうことで。

 もちろん、PQの最大の難点は・・・。
 いや、これは作中でマリーちゃんがたった三行で解説しきっているのでそれを引用すれば足りる。

 で、なに?
 人多すぎ。 
 キャラかぶってる。
 ・・・犬ふさふさ。 

 三行ちゃうし。いや、犬のくだりは余計だろう。

 まー、そういうことで、スタローンの「エクスペンダブルズ」とか、何とかライダー大集合じゃないんだから、画面に入りきれないくらいの人数のキャラクターを一遍に登場させちゃいけない(映画「009 Re:Cyborg」で、ほとんど出番がないキャラがいると怒っている人がいたが、確かにそのとおりで「ひでえ」と思ったが、あれ実際は押井さんのだから・・・、仕方ない)。
 おそらく、この企画が生まれたとき(2012年からあったそうだが)、おんなじつっこみを受けていたんでしょうね・・・。正直、多すぎ。キャラかぶり倒しまくり。逆に、青い人たち(およびマリー)のキャラがたちまくりで受けました。

 装備やペルソナを交換するのがいまいち面倒なおかげで、出撃メンバーを取り変えるのが非常に億劫になってしまう。そして、実は(経験値稼ぎのため)メンバーを取り変える必然性も途中からなくなる。
 ここだけは正直何とか工夫してほしかった。会話のセリフ(バンター的なもの)を聞き逃しているペアも多そうだ。  

 ところが、この「キャラかぶり」が、なんともまた心地よいのですよね・・・。「おー、かぶってるかぶってる」と喜んでしまう。

 さすがにマップはコンプしてしまっているから、P4主人公クリア、P3主人公も夏休みあたりにクリアして、二周したらもういいかな。その後、9月には「なんちゃらの軌跡II」(こちらは完成度云々を期待しているのではなく、もう腐れ縁的な、毒を喰らわば皿まで的な感じ)も来ちゃうし。 よく考えたら、DAIも来ちゃうし(修正:こねえし!!)。

 作中、それぞれの作品のキャラクターたちが、「また会おう」と言い合う。
 それは、普通は「二周目」のことと思うし、現に二周目冒頭でそれを仄めかす会話もある。
 でもアトラスは、阿漕な商売で有名なセガ傘下となったわけで(いや、インデックスの場合は、阿漕どころか違法行為だから)、辻褄も何もめちゃくちゃだろうがなんだろうが、ずうずうしくPQ2をやると思うんだよね・・・。んー。それはP5次第か・・・。

アメリカン・サッカー

 サッカーに関して一切興味も知識もない私ですが、同じように興味も知識もないアメリカンが、またアメリカンらしいことを言っているのが面白かった。 

 「ニューズウィーク日本語版」に、アメリカのサッカー・ブームに関する記事が載っていた。

 かなり昔、ワールド・カップのアメリカ大会(1994年か、随分前だな)あたりから、教育ママがセレブなお子ちゃまに高級車送迎つきお弁当つきフォーションのお茶とクッキーつき(それは練習を眺めている主婦連が用いるものだが)で通わせるのは、サッカー・クラブになりつつあった(いわゆる「サッカーママ」ブームのはじまり)。それまでは北のほうではセレブの子はアイスホッケー(お金かかりますね)、南のほうはよくわからないが、お馬さん(うそです、きっと)とかかな。すなわち、アメリカではアマチュアリズム皆無なベースボール、フットボール(アメフト)、バスケットボールには手を出さない。わけわかんないくらい上手なやつがごろごろしてて、しゃれにならないから。あと、野蛮だから(サッカーも間違いなく野蛮なはずだが、頭突きとか足蹴りが野蛮でないはずがないが、なんとなく見てくれがスマートなんでしょうか)。

 だから下地はずっと育まれてきたはず。サッカーだって広いコートを用意しなければならないから、実際にはお金がかかったはずだが、アメフトのフィールドを流用させてもらったんだろうか(長さがぎりぎりかな)。ベースボール・フィールドは真ん中にお山があるし、一部剥き出しの土だから使えないな。

 記事をまとめるとこうだ。

・アメリカンの保守の評論家のおっさんが、今次ワールド・カップでのアメリカの(通に言わせると当然だそうだが)善戦によって巻き起こったサッカー・ブームを苦々しく感じてのたまったそうな。曰く、「社会の道徳的腐敗の兆候」であると。

・それを受け、あちらでネトウヨと呼ぶかどうかしらんが、まあ「お茶会系」みたいな連中が同調して「退屈」、「社会主義」、「リベラル・スポーツ」、「(不法)移民の嗜み」と怪気炎。

・それに反して、国民のサッカー熱はとどまるところを知らず、将来開催予定のカタールが汚職問題で開催資格剥奪されたら、代わりにUSが名乗りをあげようかとまで騒いでいる。

・保守のおっさんによれば、アメリカンなスポーツ(代表は上にあげた三つ、さらにアイスホッケーが加わる)に比べてサッカーは「個人の成果が大きな意味を持たない」。(な、あほな。この人、私よか知識がないんだろうか)

・またサッカーこそ人種差別の温床だそうだ(それをアメリカンが言うか)。

・一方、同じ保守派の別の論客は、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)にあるように、リーグ全体を繁栄させるための弱者救済制度のほうが社会主義的だと批判。サッカーのほうが(リーグ降格など日常茶飯事で)自由競争が徹底されているそうな。

 私はナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)の制度には疎いのですが、他のプロ・スポーツの「ドラフト」制度、成績下位チームを優遇するシステムとなっており、これを「非アメリカ的」であると批判する論客もいるのだそうだ。
 メジャー・リーグ(ML)、NFL、NBA、NHLにはチーム・エキスパンション(拡大)はあっても、チームの降格はない(もちろん選手個々人は下位リーグとの間で往来する)。 

 さらに興味深いのは、サッカー・ブームをけん引してきたのは、実はアメリカの保守系ビジネスマンたちだという指摘。USのプロサッカーを発展させた著名なネオコン実業家の名前が挙げられている(ベッカム夫妻のセレブ効果も大きかったようだ)。
 ネオコンってのは、アメリカン・リベラルが左からぐるりと一周して一番右に戻ったという説がある。ネオコンサッカー好き、そのブームを支援する様子は、まさにそんな感じですね! 

 社会主義かどうかは知らないが、少なくともアメフト、あるいはベースボールもかもしれないが、「近代以降の軍隊」をそのままコノートしたスポーツであることは隠しようもない。アメフトのスクリメージは「トレンチ」(塹壕)だし、ベースボールのベンチは「ダッグアウト」(地下掩蔽壕、バンカー、日本語のトーチカ)だし。

***

 傑出する男には、大抵情熱を燃やすものがある。情熱、情熱・・・、おれにとっては何だ? おれが称賛を惜しまないのは何だ? おれに喜びをもたらすものは何だ? ベースボール! 男は、ホームプレートの前にたったひとりで立つ。何が求められる? 個人の功績だ。そこでは、やつはひとりきりだ。だがフィールドでは、何だ? チームの一員だ。チームワーク・・・。見て、投げて、捕って、張り切るんだ。ひとつのでかいチームの一部。バットでその名を後世に留める、ベーブ・ルース、タイ・カッブ、他にもいる。だが、チームが守れなければ・・・、やつは何だ? わかるか? 名無しだ。よく晴れた日、ファンで一杯のスタンド。彼はなんて言う? そこに出ればおれは一人だ。だが・・・、チームが勝たなければ、何の意味もない。

 アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)、映画「アンタッチャブル」

 

 これだけは言っておく。どんな戦いでも死ぬ気でやるやつが勝利を掴む。そして、おれが人生を続けたいと思うのは、勝利を掴むため、戦い、死ぬつもりがまだあるからだし、それが人生ってやつだ。目の前の六インチなんだ。だが、お前たちに勝利を与えるのはおれじゃない。お前たちは自分の隣にいるやつを、その目を見なくちゃならん。お前が見ているのは、お前と一緒に勝利を掴み取る男だ。このチームのために身を挺することも厭わない男だ。なぜなら、その時がくれば、お前もまた彼のため同じように身を投げ出すことを知っているからだ。それがチームなんだ、諸君、そして、おれたちがチームとして癒されるか、ひとりずつばらばらに死んでいくかの瀬戸際なんだ。それがフットボールだ、みんな、ただそれだけなんだ。さあ、どうする?

 トニー・ダマト(アル・パシーノ)、映画「エニイ・ギヴン・サンデー」

 まあ・・・。今まで色々悪口書いてますけど、わたくし、筋金入りのアメリカかぶれです。すみません。

***

A man becomes preeminent, he's expected to have enthusiasms. Enthusiasms, enthusiasms... What are mine? What draws my admiration? What is that which gives me joy? Baseball! A man stands alone at the plate. This is the time for what? For individual achievement. There he stands alone. But in the field, what? Part of a team. Teamwork... Looks, throws, catches, hustles. Part of one big team. Bats himself the live-long day, Babe Ruth, Ty Cobb, and so on. If his team don't field... what is he? You follow me? No one. Sunny day, the stands are full of fans. What does he have to say? I'm goin' out there for myself. But... I get nowhere unless the team wins.

The Untouchables(1987)

I'll tell you this, in any fight it's the guy whose willing to die whose gonna win that inch. And I know, if I'm gonna have any life any more it's because I'm still willing to fight and die for that inch, because that's what living is, the six inches in front of your face. Now I can't make you do it. You've got to look at the guy next to you, look into his eyes. Now I think ya going to see a guy who will go that inch with you. Your gonna see a guy who will sacrifice himself for this team, because he knows when it comes down to it your gonna do the same for him. That's a team gentlemen, and either, we heal as a team, or we will die as individuals. That's football guys, that's all it is. Now what are you gonna do?

Any Given Sunday (1999)

【DAI】延期、大人の事情。

 EA日本語版のページ、翻訳にイライラしたくないため基本読まないので、そっちに出てるかどうか知りませんが、US版にはマークのエクスキューズが乗っていました。

http://www.dragonage.com/#!/en_US/news/dragon-age-inquisition-update

 EAのリーガルのチェックを受けているだろうから、身も蓋もない、味もそっけもない、木で鼻をくくったような、それでいて、おためごかしな、たかをくくったような、今まで何度聞かされてきたかわからないような心の一切こもっていない文章の羅列。

 いや、前回の記事でおかしいと思ったんだよね(これを後知恵、hindsightという)。
 「クラフティング・システムでまだ煮詰まっていないところがある」 

 開発アルファ・ステージでは、大幅な修正ができる手段は「カット」のみだそうだから、最後の微調整を繰り返してるのかなあ、でも、"A few things are still in flux."て変な答え方だよなあ、と思った。複数のシステムを用意してどっちがいいか決めかねてる? そんな無駄なことするわけないよね。 

 原則は製品移行版を提出しないといけない「レイティング」(アダルト指定とかそういうやつ)の手続きも、クリティカル・パスなうえに、無駄な時間がかかるそうだから、リリース三か月前でそんな悠長なことを言っていられるはずがなかったのかもしれない。

 わかっていたんですね・・・。Raptr Q&Aのときには、もう、MDもMLもCLも、「あかん、もう間に合わへん」ということが。
 そして、もうすぐSDCCもあるから、そこでぶっ放しちゃえ。それまではダマテンでよろしく。そういうことだったのか。謀ったな。

 思い返せば、BioWareゲームはリリース延期の歴史。DAOなんて、どんだけ待たされたか、何度延期されたか知ってます、奥さん? 最近では、ME3も(おそらくマルチプレイの導入が間に合わず)延期されたのも記憶に(んー、もうそんな新しくはないな)。DA2のように納期に間に合わせたら、そうしたで「ラッシュ」、「手抜き工事」、「マップ使い回し」、「敵が同じところから湧きすぎ」、「マイク・レイドロウいろんなところ出過ぎ」、「マイク・レイドロウいろんなこと喋りすぎ」と散々言われた。

 まあ、9月末発売予定の「なんちゃらの軌跡II」、いつやっぺ、と思っていた私にとっては、それで繋ぐので構いませんが(それまで延期になったらファルコム許さん、つか、どうせとっくにできてたんだべ)。
 でも私はいいとしても、明日をも知れないレミ(もういいって)

2014年7月21日 (月)

【DAI】Raptr Q&A お気に入りトーク (3)

 よく見たら、「クラフティング」も、「リターニング・キャラクター」も短いんで、やってしまう。

「クラフティング」

Q: How will the crafting mechanisms work? Will it be closer to origins crafting style or 2s?
A: It isn't really like either. It is deeper than either of those.
A bit hard to explain here.
We will have a deep dive at some point (MD)

Q クラフティングの仕組みはどうなる? DAOに近いか、DA2に近いか?
A どちらでもない。どちらよりも深いものになる。
A ここで説明するのは難しい。そのうち詳しく紹介することになる。(MD)

Q: Are we able to dye our followers clothes different colors?
A: More on crafting later. A few things are still in flux (MD)

Q フォロワーの衣服を別の色に染めることはできるか?
A クラフティングについてはそのうち話す。まだ確定していないことがある。(MD)

Q: Can we dye armor different colors?
A: More on crafting soon (MD)

Q 鎧を別の色に染められるか?
A クラフティングについては近いうちに詳しく話す。(MD)

Q: Can we craft Health/Mana/Stamina potions with the materials/plants we find?
A: You sure can! Plus lots of other potions too. (CL)

Q ヘルス、マナ、スタミナのポーションを見つけた素材・植物からクラフトできるか?
A もちろん! それ以外の沢山の種類もだ。(CL)

Q: Will we need a certain crafting skill to make better equipment for our Inquisitor?
A: We'll reveal more info on the crafting soon.  (CL)

Q インクイジター用の良い装備を作るためには、クラフティングのスキルが必要か?
A クラフティングについては近いうちに詳しく話す。(CL)

Q: Will we need a certain crafting skill to make better equipment for our Inquisitor?
A: We'll reveal more info on the crafting soon.  (CL)

Q インクイジター用の良い装備を作るためには、クラフティングのスキルが必要か?
A クラフティングについては近いうちに詳しく話す。(CL)

(最後の一つはコピペミスなのか。それとも本当に同じ質問が続いたのか。でも、状況を見事に示しているので、そのままコピペしました。
 まだ決まってないから答えられない。MDはついに途中で答えること自体やめてるみたいですね。部下のCLが代わりに答えています)


「プライア・リターニング・キャラクター」

Q: I think one of the most intriguing character of the entire DA setting is Flemeth. Are we going to know more about her, her daughters, her daughter's child (Old God Baby), and what are the links between her( or all of them) and the dragons? Even not explain entirely Flemeth's origin or purpouse, but a clue of those.
And... what about Thedas' divinities? The Maker, the Ancestors, elven Gods... they all seem to exist. Maybe there is a way to explain all  of them at the same time?
A: Spoilers
Flemeth will appear.
Spoilers (MD)

Q DAシリーズ全体で最も興味深いキャラクターはフレメスだと思う。彼女、彼女の娘たち、彼女の娘の子(古の神の子)について、さらにわかることになるのか、そして彼女(あるいは彼女たち全員)とドラゴンの関係は何かわかることになるか? フレメスのオリジンや目的について完全に説明されないとしても、なにか手がかりはあるか。
 そして・・・、セダスの神々についてはどうか? メイカー、アンセスターズ、エルフの神々・・・、全てが存在しているように思える。すべてが同時に存在している説明があるのではないか。
A ここからネタバレ。
 フレメスは登場する。
 ここまでネタバレ。(MD)

(フレメスは、少なくともDAの今のストーリー・アークには欠かせない存在でしょう。そしてそう、彼女の謎がそう簡単に解けるとも思えませんが)

(メイカー(創造主)はヒューマン、アンセスターズ(先祖たち)はドワーフが信奉する存在。エルフの神々含め、皆同時に存在していた・・・。 え?
 どれひとつ実際に存在はしていないのでは・・・。ドワ先祖はたしかにいただろうが、その時点ではただのドワで、ディヴィニティ(聖なる存在)ではなかった。
 そして存在してるかしていないかと信仰は関係ない。いや、正確に言えば、「存在していないかもしれない存在」への篤信こそ真の信仰であるわけで、「たしかに存在している」相手なら、信じるのになんの困難もあるはずない、お目にかかれたときのありがたみもないわけですよね)

Q: Will we see Fenris make a return or at least the voice actor (Gideon Emery).
A: You may indeed see Gideon Emery again. (MD)

Q フェンリスか、少なくとも声優(Gideon Emery)には再登場してほしい。
A Gideon Emeryは再登場するよ。(MD)

Q: How will look Teagan(more like Origins or II version)?
A. Can't say if he will appear. (?)

Q ティーガンの見かけはDAO寄り、それともDA2寄り?
A 彼が登場するかどうかは言えない。(?)

Q: I'm pretty sure that Loghain will return in cameo, but I need you to confirm that. Could you do that?
A. Can't say if he will appear. (?)

Q ローゲインが間違いなくカメオ出演すると思っているが、ここではっきり言ってほしい。言えるか?
A 彼が登場するかどうかは言えない。(?)

Q: Will Shale be in Inquisition, seeing that the dwarf inquisitor will be a Cadash?
A: Shale isn't in Inquisition. (CL)

Q ドワーフのインクイジターがカダッシュなら、シェイルがDAIに登場するのか?
A シェイルはDAIに登場しない。(CL)

(うおっ)

Q: Do we get to see what Meredith is up to?
A: Knight Commander Meredith? Er...she's not up to much. (ML)

Q メレディスがどうしているかわかるのか?
A 騎士団長メレディス? うー・・・、彼女は別にどうもしていないが。(ML)

(うひゃ)

Q: What is Morrigan's conection with the Inquisition?
A: tenuous (MD)

Q モリガンとインクイジションの関係は?
A 薄っぺらい。(MD)

Q: Will there maybe be Cameos by characters from the Books?
A: There will be some yes. I can't say who though other than Cole who's not only a cameo but a follower. (CL)

Q 小説のキャラクターがカメオ登場することはあるか?
A 何人かいる。カメオどころかフォロワーになったコール以外に誰がそうかは言えない。(CL)

Q: Any chance of seeing Nathaniel Howe, Velanna or Sigrun?
A: 100% chance of seeing all of them in Awakening. DAI? Not saying. (ML)

Q ナサニエル・ハウ、ヴェラナ、シグルーンに会えるチャンスは?
A DAOAなら100%会えるよ。DAI? それは言えん。(ML)

Q: Is it true that Sandal is actually the reason the fade is tearing?
A: Is it true that this is leading speculation?

Q  実はフェイドが裂けた理由はサンダルだっていうのは本当なの?
A それが一番言われている噂だってのは本当なの?

***

 まあ、あとは、武装とか、お馬さん(マウント)とか考証(ロア)とかなんで、とばしていいとして、問題は「ロマンス」。

 今のところ、読む勇気がありません。

2014年7月20日 (日)

【DAI】Raptr Q&A お気に入りトーク (2)

「キャラクター・アドヴァイザー」について。

Q: Is blackwall starting his calling?
A: I won't be giving out specific story spoilers here, sorry. (ML)

Q ブラックウォールは「コーリング」が始まっているのか?
A ここで特定のストーリーのネタバレはできない、申し訳ない。(ML)

Q: can I use the iron bull as a mount?
A: His armor's got all those pointy bits. Ill advised. (ML)

Q アイアンブルに乗って移動することは可能か?
A 彼の鎧には尖ったとげとげが一杯ある、とだけ忠告しておこう。(ML)

(まあ、軽いジャブからでしょうかね)

Q: Does Varric have a whole new set of nicknames for everyone, or is he more sombre and serious this time around?
A: Chest hair (MD)

Q ヴァリックは、今度の新しい仲間たちにもあだ名をつけてまわるのか、それとも今回は、堅苦しく真面目になるのか?
A 「胸毛」。(MD)

Q: Have any of our companions licked a lampost in winter?
A: Have you? (MD)

Q コンパニオンの誰かは、これまで「冬の街路灯」(the Lamppost in Winter、DAOAメイジの杖)を舐めたことがあるか?
A 君はあるのか? (MD) 

(超・超楽屋落ちネタ。これを説明できる人はDAエリート・オタクと呼んで良いでしょう。冬に街路灯を舐める(キスする)のは、人恋しくて寂しくて、いてもたってもたまらなくなって・・・、つうこと)

Q: Is it true Solas is married and has children?
A: I think that's a show from the 90s (?)

Q ソラスが結婚していて、子供たちまでいるって本当か?
A それって90年代のドラマの話じゃないの? (?)

Q: Will we be able to get Iron bull to throw sera?
A: But she would get a wedge up something fierce! (MD)
A: Think of the mayhem, Mark! MAYHEM. (ML)

Q アイアンブルに、セラを投げ飛ばさせることは可能か?
A だが、彼女はとても危ない楔形のもので蹴り上げるからね!(MD)
A 暴力はなしだよ、マーク! 暴力は。 (ML)

(靴かな? マイクの台詞はちょっとあってるかどうかわからない)

(追加:マイクの台詞は、作中セラとのバンターにおけるアイアンブルの台詞そのものでした。デモ映像に出ていた。アイアンブルがセラのことを敵の真ん中に放り投げてやる、そこで戦えと言っている。「考えてもみろ(敵の)大混乱を、大混乱だ」という感じですね)

Q: Which team members has the best banter in your opinion?
A: Depends on your mood (MD)

Q どのメンバーのバンターが最も優れていると思うか?
A その時の気分による。(MD) 

Q: Which companion will surprise the player the most?
A: That's unanswerable since I don't know what surprises you (MD)

Q どのコンパニオンが、プレイヤーをもっとも驚かせることになるか?
A 君が何に驚くかわからないから、答えようがないね。(MD)

Q: Will the advisors be available as party companions? At least one of them? Will we be finishing off the other two Old Gods? What will be the level cap for the characters? Are there character specific ultimate armor or weapons? Will it be inevitable to lose party members? What did you mean when you said that healing would not come as easily in this game? We know that Sera and Dorian are gender-specific romanceable but what about other characters? For example, will Vivienne be romanceable by both male and female or Cullen by both as well? And lastly, if you had to choose 3 members that introduce a good party dynamic as well as interesting banter while walking around, who would you choose?
A: No advisors will not join the party. (MD)

Q アドヴァイザーはコンパニオンになるのか? 少なくともひとりは? 残り二柱の古の神を退治することになるのか? キャラクターのレヴェルキャップはいくつか? キャラクター特有の究極装備はあるか? パーティー・メンバーを喪うことが避けられなくなることがあるのか? このゲームでは治療は容易くできないと言った意味は何か? セラとドリアンはロマンス対象となる相手の性別が決まっているが、他のキャラクターはどうか? たとえば、ヴィヴィアンヌは男女ともロマンス可能か、それともカレンも同じようにそうか? それから最後に、パーティー・ダイナミックを活かすため、および歩き回る間の面白いバンターを得られる三人選ぶとしたら誰か?
A アドヴァイザーはパーティーに参加しない。(MD)

(既出。こういうのが、私の最も嫌いなタイプのアメリカン・スポイルド・チャイルド。ああ、そうだよ、アメリカンに違いない。そうに決まってる。おかげでレヴェルキャップなど重要な話題の回答をもらう機会を逸している)

Q: Will there be an option to give Solas a full head of hair?   Bald elves make me queasy.
A: Inquisition does not support toupees. Consider putting Dorian in your party, as he is neither bald, nor elf! (ML)

Q ソラスに髪を生やすオプションは? 禿げエルフはむかつく。
A DAIはかつらを用意していない。ドリアンを代わりにいれたらどうだ、禿げでも、エルフでもないし! (ML)

Q: What's Scribbles' name? We need her name!
A: Definitely not Scribbles (MD)

Q スクリブルズの名前はなに? 名前を教えて!
A 間違いなく、スクリブルズではない。(MD)

Q: Can we get the 1st letter of scribble's name?
Pretty please? With a nug on top?
A: No (?)

Q スクリブルの名前の最初の文字は何か教えてもらえる? ねえねえ? お願いだから? 
A いやだ。(?)

(すでに名前はジョセフィーヌと明らかになった(それもこのチャットの途中でかな)が、以前はペンを手にしていた画像から、物書き、書士、メモ魔の意味でスクリブル、スクライブ(後述)と呼ばれていた。なお、本当に「ねえー、やってよー(教えてよー)」と言うときは、"Pretty please with a cherry on top."です。nugはDAファン以外には通じません)

Q: I'd like to register my disappointment that you've decided to disclose Scribe Lady's sexual availability to players before you shared *anything* else about her, including her name. As one of a handful of WOC characters, it's important to treat her with at least the same level of respect as, say, Varric and questions about his romance options. But by making the first thing we know about Scribe Lady be who gets sexual access to her, you're not treating her - or WOC who may identify with her - well at all.
A: There was no intention to slight her character, and I apologize if I did so. (ML)

Q スクライブ・レディについて、それ以外に名前を含む情報を「何ら」提供していなかったにも関わらず、性的指向のみ公開したことについて失望を表明しておく。数少ないウィメン・オヴ・カラー(WOC、有色人種女性)キャラクターのひとりとして、たとえばヴァリックと彼に関するロマンス選択肢の話題など、他のキャラクターと少なくとも同じレヴェルの扱いを受けることは重要である。だが、スクライブ・レディについて最初に知らされたのは、誰が彼女とセックスできるかだけであることからして、彼女は、あるいは彼女が代表するWOCは、まったく正当に扱われていないと言わざるを得ない。

A 彼女のキャラクターを軽視する意図はまったくなかった。もしそうなっていたのであれば謝罪する。(ML)

(なんで、マイクが謝らにゃならんのか。河野洋平か。他にもヴィヴィアンおるやん。そう思う人は、「日本人でよかったー」と思っておいてください。半島国とは話が違う。実際、何度かこういう場面に出くわしたことのある私は、つくづくそう思う)

Q: Can we ask Dorian if we can twirl his moustache?
A: I hope one of the animators made that!! (CL)

Q 髭をぐるぐる回してもいいか、ドリアンにお願いすることはできるか?
A アニメーターの誰かがやってくれてるかもね!(CL)

Q: Which companions are the funniest when put together in the party?
A: Anything with Sera :) (CL)

Q パーティーに入れたら、どのコンパニオンと一緒が一番可笑しい?
A セラと一緒のときはなんでも可笑しい(スマイル)。(CL)

Q: I heard somewhere that some companions could be missed. Will there be any reason why a particular companion would be missed?
A: Because you didn't find them, basically. (ML)

Q コンパニオンの中には見つからない者がいると聞いた。あるコンパニオンが見つからない理由は何かあるのか?
A プレイヤーが見つけなかったから、要するにそういうこと。(ML)

Q: Was Sera dead in the demo when that demon tossed her aside?
A: She certainly wasn't having a good day. (ML)

Q デモの中では、ディーモンから放り投げられたセラは死んでいたのか?
A きっと、その日はついてなかったんだろうね。(ML)

Q: Will we learn what Cullens surname is?
A: I think David Gaider gave out his surname a while back? I could be wrong though. (CL)
User: No, he just said the he knew what it was lol

Q カレンの苗字は?
A デヴィッド・ゲイダーがしばらく前に決めてなかった? 間違ってるかもしらんけど。(CL)
ユーザー いや、彼はただ、自分は知ってると言っていただけ。(笑)

Q: If you had to be stuck in a room for an entire day with one of the companions, who would you choose?
A: Not Cole. He'd freak me the *$%# out! (CL)

Q 一日中、コンパニオンの誰かとふたりきりで部屋にいなければならないとしたら、誰を選ぶ?
A コールは勘弁。彼は、*****してしまうくらいおっかない!(CL)

Q: Will Cole turn on me?
A: What are you doing to Cole? (?)

Q コールは私に襲いかかってくるかな?
A 君はコールに何をする気なんだ? (?)

Q: Will Josephine be harder to romance since she is antivan? And what did you guys have for lunch? Are you having a good day?
A: No
PB&J
This is a long chat (MD)

Q ジョセフィーヌはアンティヴァンだからロマンス相手としては難しい? みなさんランチは何を食べられた? 今日は楽しいですか?
A いいや。
 ピーナッツバターとジェリー(サンドウィッチ)。
 このチャット長いんだよ。(MD)

Q: Will Iron Bull be romancible by female Qunari Inquisitors?
A: Iron Bull likes bed time Olympics (MD)

Q アイアンブルは、女性クナリ・インクイジターとロマンスできる?
A アイアンブルは夜のオリンピックが好き。(MD)

Q: Are we going to still have the companion quests from Origens and 2?
A: Yep there's still companion quests in DAI. (CL)

Q DAOやDA2のように、コンパニオン・クエストはあるのか?
A もち、DAIにもある。(CL)

Q: How soon can we expect to pick up our party members? Similar to DA2 where we could recruit them fairly early? Or will we have to progress through the main plot as in ME2 for example.
A: It's throughout the game but it's more fluid than ME2 where you had specific quests to go recruit each companion. Companions in DAI may show up at the strangest of times :) (CL)

Q パーティー・メンバーはどのくらい早く集められる? DA2と一緒なら、随分早く? それともME2のように、ある程度メインプロットを進めないといけないのか。
A ゲームを通じて集めることになるが、各コンパニオンをリクルートするための特定クエストを要したME2よりはうつろいやすい。DAIのコンパニオンは奇妙なタイミングで現れるんだ。

***

 このあとも、やる気が続いたら他のセクションもやろうかと思っていたが、疲れる(おっさんら、ジョークが多すぎ)のと、腹が立つ(そういうのはあまり訳していない)ので、もういいかな。

 ちなみに文中WOCについては、あちら(主にUS)の実生活で本当に(普通に)「無視」、「軽視」されているから、BioWareはちと迂闊でしたね。(彼女のキャラクターがかっちり決まっていなかったとか)自分たちの都合優先したんだろう。
 ヴィヴィアンヌを一番最初に出したからいいだろう、と思ってしまったのかもしれない。人は、自分にとって良いことは忘れ(気にかけず)、悪いことしか見ない。だから言い訳しないマイクは偉かったのかもしれない(冷たく言えばそういう苦情に「慣れっこ」なのかもしれない)。

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【DAI】Raptr Q&A お気に入りトーク

 ようやく、Raptr Q&Aを読む時間ができたので、お気に入りのQ&Aだけ並べてみましょう。

 1. 残念ながら全部読んだわけでもなく、よって網羅的(exhaustive)でもなく、

 2.重要性の原則に従っているわけでもなく、

 なぜなら、(1)自ら「この質問は重要だ」、「これから重要な質問をする」というやつに限って、ゴミクズのような質問であるし、(2)本当に「重要な質問」であれば、BioWareがこの場で答えるはずがないからだし、そして、(3)私自身がゴミクズにはなりたくないからだ。

 3.ファンまたはBioWareのおっさんたちが愉しそうなものを選んだ。

 2.の(1)が「必ず」ゴミクズであるのは、本来何が重要かは、作り手(この場合BioWare)が予算(99%これと同義だが納期)制約下で選ぶことだったり、または、そもそも努力しても決められないことであるのに、質問者が「自分にはわかっている」と言っている時点で明らかでしょう。

 範囲としては、「ゲームプレイ」のところから読みはじめたので、以下その部分だけやります。気が向いたら「コンパニオン」もやるかも。

 次は、私の目を見開かせてくれたQ&A。 というか、このひとつのQ&Aを読んでいて、私にふいにマザー・メアリーかどちらの方のものかわかりませんが啓示が下りました。そう、"Let it be."と(ちがうやん)。ではなく、「意外に、ブログのネタ転がってんじゃねえの?」という俗物の啓示。

Q: Will all areas be available from the start or will they unlock as we progress along the main quest?
A: Some areas will be unlocked once you have a rational reason to visit them (MD)

Q すべてのエリアはよーいどんの時点で開かれているのか、メイン・クエストの進展にあわせて徐々にアンロック(開放)されるのか?
A いくつかのエリアは、そこに訪れる合理的な理由が生まれたときにアンロックされる。(MD) 

 「オープンワールド」の定義って、少なくともそのひとつはこれだったのですね。その定義の範囲においてDAIはそうではなく、Skyrimはそうであることにようやく気が付いた。 

Q: Will there be a good amount of side missions?  Will organizations like the Blackstone Irregulars, Friends of Red Jenny, The Mages' Collective, and The Chantry Board quests make a return?  Or at least something similar?
A: Yeah, there's a goodly dose of side missions, though we've tried to contextualize most of them to make sense as something the Inquisition would do to either win the hearts of people or otherwise grow the Inquisition's power.
Oh, and Red Jenny.  There will be some Red Jenny. Because I've wanted to answer "who ARE they?" for a while now. (ML)

Q サイド・ミッションは沢山あるのか? ブラックストーン・イレギュラーズ、フレンズ・オヴ・レッド・ジェニー、メイジズ・コレクティヴ、そしてチャントリー・ボード・クエストのように各組織が報酬を用意しているのか? 少なくともそれに似たものか?
A そう、サイド・ミッションはかなりあるが、我々はそのほとんどをインクイジションが民心を掴むためか勢力を増すために活動する文脈の中で関連付けられるように狙った。
 そうそう、レッド・ジェニー。レッド・ジェニーのもいくつかある。「彼ら一体誰なんだ?」と長い間持たれていた疑問に答えたかったからね、(ML) 

(サイド・ミッションがメイン・クエストにほぼほぼ関連づけられている。これは「オープン・エンド」の定義を教えてくれる(つまり、DAIはそうじゃない)。Skyrimでは、あまたのミッションやクエストがゲームの「世界観」だけに紐づけられていて、メイン・クエストとは無関係。そもそもSkyrimのメイン・クエストは、存在はしているものの、ゲームの中に占める割合は小さい。インクイジションがDAIの中に占める割合は、ほぼ全体と同義、となるのでしょう)

Q: Which other Dragon Age game does Inquisition play like?
A: Dragon Age 4 (MD) 

Q インクイジションのプレイは、どのDAゲームに近いのか?
A DA4。(MD)  

(大好きです(笑))

Q: Will there be cake?
A: Iron Bull already ate it. (?)
it is a lie (MD)
TOPICAL!

Q ケーキは出てくるか?
A アイアンブルがもう食べちゃった。(?)
  うそうそ。(MD)
  旬ネタ!(TOPICAL!)

Q: You've talked previously about non-combat based solution to quests. Can we assume that these alternatives still feature in the game?
A: Some quests (?)
 

Q 戦闘以外のクエスト解決策に言及していた。ゲーム内にその趣向は残されているか?
A いくらかは。(?)

Q: To what extent will we be able to customise the Inquisition?
A: Some extent (?)

Q インクイジションのカスタマイズはどのくらいまで可能か?
A いくらかは。(?)

Q: Without spoiling, could you elaborate on the number of endings available and how these will be presented (for example, a slide show like Origins or various cut scenes)?
A: Not without spoiling, no (?)

Q ネタバレなしで、エンディングの数と、どのように示されるのか詳述してもらえるか? (たとえばDAOのスライドショウのようなものか、様々なカットシーンを用いるのか?)
A ネタバレなしでは、無理だ。(?)

 上の三つ、いいっすねえ(笑)。

Q: Does the origin of a dwarf Inquisitor have to be in the deep roads like in Dragon Age: Origins, or can you be a surface dweller?
A: You are a surface dwarf if you are a dwarf in DAI (MD)

Q ドワーフ・インクイジターのオリジンはDAOのようにディープロードか、それとも地表の住民か?
A DAIのドワーフはサーフェス(地表)・ドワーフ。(MD)

(他の質問から読み取ると、ディープロードは舞台に用いられないようにも思われたが・・・)

Q: will we be revisiting orzammar or other dwarven citys
A: No Orzammar in DAI (MD)

Q オーザマーや他のドワーフの都市に訪れるか?
A オーザマーはDAIに登場しない。(MD)
 

Q: Will we see a dwarven settlement, camp or a thaig?
A: ... yes ...  (MD)

Q ドワーフの居住地、キャンプ、あるいはタイグは出てくるか?
A ・・・、出てくる・・・。(MD)

(ディープロードそのものは用いるのでしょうか。あるいは地表ドワーフの居住地を言っているのか。質問者はここまで追及しながら惜しいところでした)

Q: If you get into a fight/battle with friendly npc's around (that aren't your followers) will they come and help you?
A: If they are warriors, then typically, yes. (ML)

Q 戦闘時、付近の(コンパニオンではない)味方NPCは手助けするか?
A 彼らが戦士なら、普通そうするだろう。(ML)

(DA2でも、ほんのちらりと出て来た趣向。特にカークウォールのゲートを警護する衛兵たち。それを定番化したんだろうか)

Q: Hawke is main antagonist ?
A: Umm what? (MD)

Q ホークが敵のボスでしょう?
A んー、えっ? (MD) 

(この手のが、私は大嫌い) 

Q: Will some of the major choices in DA:I be very black and white like the Amaranthine choice where you have to choose one of the other, or will there be ways to have multiple outcomes on major choices if you do just the right things at the right time?
A: Little from column A, little from Column B. (ML)

Q DAIの重要な選択の中には、アマランティンの選択のように黒か白かハッキリわかれるものがあるのか、それとも、プレイヤーが適時に適宜なものを選べば重要な選択はさまざまな帰結を生むことになるのか。
A どちらもある。(ML)

(マイクの回答の意味はレストランのメニューによくある「Aからひとつ、Bからひとつお選びください」を想起すればよい。ことほどさようにマイクの言い回し(colloquialism)はあちらのローカル色がきつい)

Q: Is DA:I "only" going to be in Orlais+Ferelden or all of Thedas? Tevinter, Nevarra, Antiva, Seheron/Par Vollen? And will we get to visit famous locations such as Val Royeaux, Minrathous, Starkhaven, Weisshaupt?
A: Two countries isn't enough for you? (ML)

Q DAIはオーレイとフェラルデンだけが舞台か? テヴィンター、ネヴァラ、アンティヴァ、セヘロン/パー・ヴォレンは? ヴァル・ロヨー、ミンラサウス、スタークヘイヴン、ワイズホプトのような著名な場所に訪れることはないのか?
A 二つじゃ不満かい?(ML)

 (笑)。質問者はオタク知識をひけらかしたいだけである(しかもDAファンなら常識レヴェル)。

Q: What is the level cap of the characters?
A: 25-30 (MD)

Q キャラクターのレヴェルキャップは?
A 25から30(MD)

(まさにこれこそ、「重要な質問」ですね。RPGのお約束から考えて、エキスパンション、DLCなどが、もしかしたら複数、大いに期待できる)

Q: So Elven Inquisitors will be Dalish, Dwarven ones will be from the surface, Qunari ones will be Vashoth. Could you please tell us what background will Humans have? :)
A: Nobel for non-mage (MD)

Q エルフのインクイジターはデーリッシュ、ドワーフはサーフェス、クナリはヴァショス、では、ヒューマンのバックグラウンドを教えてもらえないか? 
A メイジ以外は貴族。(MD)

(これもどこかに出ていたかもしれないけど、「重要な質問」。原文はサイト管理のファンのミスタイポかな。Nobleでないと意味通じないね)

Q: What is the name of the little fox like creatures?
A: Fennec (MD)

Q ちっちゃいキツネのような生き物はなんていうのか?
A フェネック。(MD) 

(重要な質問が続きましたね(うそつけ!)。いーえ、キツネ様は重要です)

Fennec

Q: Depending on what we did in past games say get Dagna in to the Circle of Magi to study magic could there be any possibly that there could be a chance of dwarfen mages or dwarfen magic? (or what we do in future games)
A: No Dwarven mages

Q 過去のゲームのプレイヤーの選択によって、たとえばダグナを魔法の研究のためサークル・オヴ・メジャイに送り込んだとしたら、ドワーフ・メイジやドワーフの魔法が(将来のゲームを含め)生まれる可能性があるのか?
A ドワーフにメイジはいない。

(実は、ダグナの名前はDAIのデモ画像に登場します。なにかの発明をしたらしいが、それはエンチャントメントの分野だったような気がする)

Q: Will the demons be able to win?
A: Yes but that would suck (MD)

Q ディーモンが勝つことはあるか?
A あるけど、御免だね。(MD)

Q: Is there a fast travel system?
A: Yes but only to Inquisitions camps which you've setup in the world and which have your solders in them. (CL)

Q ファスト・トラヴェル・システムはあるか?
A あるけど、世界中にプレイヤーが設置し、兵士が逗留しているインクイジションのキャンプ(群)に向かうときのみ用いる。(CL)

(ファスト・トラヴェルにエルーヴィアンを用いたりすると無粋だし、小説と矛盾すると思っていたので、これは納得)

 とりあえずここまで。

こんなこというやつ、A型じゃね?

 読売のこの記事には驚きました、というか笑っちゃいました。

 血液型と性格「関連なし」…日米1万人超を調査

http://www.yomiuri.co.jp/science/20140719-OYT1T50087.html?from=ytop_main6 

 

 独自調査ではなく、他の意識調査にたまたま血液型のデーターが含まれていたからちゃっかり利用してコバンザメのように分析したと読めるし、実際そのとおりだろう(なぜなら、USでそんな独自調査はオカルト扱いされ相手にされない)が、そこはつっこむところじゃない。

 次の部分。

 日米の1万人以上を対象にした意識調査のデータを分析した。「A型の人は真面目」「B型は自己中心的」といった血液型による性格診断は、国内で広く信じられているが、就職や人事などで差別される「ブラッドタイプ(血液型)・ハラスメント」の問題も指摘されており、一石を投じそうだ。 

 さらに、最後の部分。

 血液型を巡っては、特定の血液型の人格が否定的にとらえられる例があり、問題視されている。厚生労働省によると、採用面接などで血液型を尋ねられるケースは後を絶たず、同省は「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」として、血液型を質問しないよう企業に求めている。大阪労働局によると、採用試験の応募用紙に血液型などの記入欄を設けていた企業に対し、是正するよう行政指導した例があるという。 

 血液型ハラスメント・・・? 
 しかも「企業に是正の行政指導」?

 オカルトもびっくりなそのものの言い方が堂々とまかり通っているなんて、やっぱ、日本人てA型多くね?(ちなみに私はA型)

2014年7月19日 (土)

【DAI】ローグ・コンパニオン

 君は、どのローグをパーティーに招くかっ?! 

Rogues_2

 んー、レリ・・・(そのネタ、メイジのとき使ったから!)
 まあ、ここは三者三様。個人的には馴染みでヴァリックかな。

【公式版】 MAZE OF LIFE- PERSONA Q SHADOW OF THE LABYRINTH ORIGINAL SOUNDTRACK

 以前(一部のみ)アップしてあったPQ主題歌の歌詞。

 PQオリジナルサウンドトラックに歌詞が掲載されていたので、答え合わせ。

 んー、自己採点で60点! ちゅうか、歌詞がわかってもそう聞こえないところあるんですけどね(笑)
 よく考えたら和文も直さなきゃならないのだった。

 なお、以前の歌詞予想は、Special Mix版のもの。
 今回はゲーム本編にも最初のコーラスだけ用いられているオリジナル版。
 個人的にはオリジナルのほうがシンプルでパワフルで百倍好き。歌詞もずっと聞き取りやすいかも(そりゃあ、答え見たからね)。
 このCDも、またヘヴィーローテ間違いない。ついにマイランキング一位がBABYMETALから変わるのか?

 (正式版とは、歌詞の区切りが違っています。本物知りたければCD買いましょう!)

***

みんなが出会えたなんてすごくない?
こんなでたらめでおかしな人生の回転木馬で
みんなの人生が変わったなんて素敵じゃない?
新しい冒険の旅立ちをくれたの

回転木馬でぐるぐる回る
この人生の迷宮
どっちが上か下かなんてわからない
超楽しすぎて
この別れ道がどこに続くか調べ忘れちゃった
でもほら、着いたよ

回転木馬があんまり回るから
この道でいいのか違うのか
ときには決められないことも
まだ始まったばかり
でたらめな人生の迷路にようこそ!

人生が与えるチャンスって楽しくない?
ヒーローにも悪魔にもなれるかも
選ぶなら一番いいものにしなくちゃ
生まれたとき授かった運命の中から

回転木馬は心の中で回る 
この人生の迷宮
何が悪いか正しいかなんてわからない
超楽しすぎて
ヘアピンカーヴの向こうの崖を見落としちゃったよ
でもほら、行くよ

回転木馬で高く高く上る
重力なんて
確かだなんて言えない 炎に比べれば
(それは) 心の中で燃えている
でたらめな人生の迷路にようこそ!

意味がわかったって思っても
どんな仕組みになっているか もう掴めたと思っても
(でもそれは)
君をぐるぐる回すから
(どっちが上か下かなんてわかるかい?)
君の心の中で回るから
(何が悪いか正しいかなんてわかるかい?)
そのまま受け入れて楽しむっきゃないんだよ!

回転木馬でぐるぐる回る
このおかしな人生の迷路
どっちが上か下かなんてわからない
超楽しすぎて
この魔法でどこに連れてかれるのか聞きそびれちゃった
でもほら、着いたよ

回転木馬がぐるぐる回る
どうしてかわからないけど
叫び出したくなっちゃう
「まだはじめたばかり
このでたらめな人生の迷路を楽しまなきゃ!」

***

Ain't it great,
How we met each other
On this wild & crazy carousel of life

Ain't it cool,
How it changed the paths of our lives
Set us off on new adventures

This carousel takes us round and round
This labyrinth of life
You can't tell up from down
Having so much fun
We forgot to check where this crossroad's taking us
But hey, here we come

This carousel spins us round so much
Sometimes you don't know
Should you stay on or get off
It's only just begun
Welcome to this wild maze of life!

Ain't it fun,
How this life is giving us
the chance to be a hero or a fiend
It's our choice,
So let us try to make the best of
What our fates have laid in our cribs

This carousel spins inside our minds
This labyrinth of life
You can't tell wrong from right
Having so much fun
Didn't see the cliff past that hairpin bend in the road
But hey, here we go

This carousel takes us higher and higher
The force of gravity's
No realer than the fire
(That's) burning in your heart
Welcome to this wild maze of life!

Thinking you got figured
Thinking you got a grasp on how it all works now

(But it's)
Spinnin you round and round
(Can you tell up from down?)
Spinnin inside your mind
(Can you tell wrong ftom right?)
Nothin' to do but let go and enjoy the ride!

This carousel takes us round and round
This crazy maze of life
You can't tell up from down
Having so much fun
We forgot to ask where this magic's takin' us
But hey, here we come

This carousel, spins you round and out
You really don't know why
But it makes you wanna shout:
"We've only just begun
Let's enjoy this wild maze of life!"

【DAI】ウォーリアー・コンパニオン

 君は、どのウォーリアーをパーティーに招くかっ?! 

Warriors_2

 聞くまでもない、キャス。

【DAI】メイジ・コンパニオン

 君は、どのメイジをパーティーに招くかっ?! 

Mages

 んー、インクイジター(主人公)(笑)。

 それかー、モリガン(いや、コンパニオンにならないから)。

2014年7月15日 (火)

【DAI】Raptr Q&A

 Raptr Q&Aに、マーク、マイク、キャメロンの三名が登場していたようです。

http://dragonage.wikia.com/wiki/User_blog:Lazare326/Raptr_Q%26A

 このDAWikiの記事から、Q&A全文掲載のファンサイトに跳べます。ま、そこから行き着けない人はその先も読めないので、気にしないでください。

 私は読んでいる暇がない。ゲイダーさんのTumblrによれば、ぜヴラン再登場(するしない)、アンダース処刑(が正典だったりするしない)など、またファンが騒いでいるようですが、それらへの答えは常識的なもの。

 

 ただし、妄想レヴェルはんぱないファンの質問も結構ありますので、頭がおかしくなったりしないように。 

 ご興味があればどうぞ。

 (例)このくらいわけわからん長い質問に、たった一言で返している(これはマーク)のとか、大好きです(笑)。とにかく一部ファンの妄想がすごい。そのうち、DAIが原因で銃乱射する奴出るんじゃないのか、アメリカで。夏だし。

 
Q: Will the advisors be available as party companions? At least one of them? Will we be finishing off the other two Old Gods? What will be the level cap for the characters? Are there character specific ultimate armor or weapons? Will it be inevitable to lose party members? What did you mean when you said that healing would not come as easily in this game? We know that Sera and Dorian are gender-specific romanceable but what about other characters? For example, will Vivienne be romanceable by both male and female or Cullen by both as well? And lastly, if you had to choose 3 members that introduce a good party dynamic as well as interesting banter while walking around, who would you choose?
A: No advisors will not join the party. (MD)

2014年7月14日 (月)

The Masked Empire、感想・グチその他(完)

 正直間に合うとは思っていませんでした。また今週これから仕事で海外、ちょくちょくそうやっているうちに、次のDA小説"The Last Flight"が手元に届く。なんだかんだで、すぐに発売開始になっちゃいますね、「なんちゃらの軌跡II」(DAIちゃうんかい!)。

 そろそろエンディングも近いはずのPQもあまりやらずに完了させた。

 パトリック・ウィークス氏の、多少饒舌にすぎるきらいはあるとはいえ、原文では流れるような、ときとして緩急を織り交ぜた見事な長文の連続。ハードボイルド調に慣れている私としては新鮮だった。ところが日本語文にしようとすると、日本の中学高校で教えているとおり、一番後ろから全部逆向きに訳さないといけなくなりそうな、この上ないイライラが募る書き方。

 私も今回学びました。描写の順番は意地でも変えない。さすがに日本語として意味が変になってしまうくらい許容範囲を超えるときは断念しましたが、極力、原文(センテンス)中のイベントやら、描写やらの順番を変えないように努めた。省エネルギー翻訳。
 日本語としては「こなれていない」とか、「もっと違う表現が」とか講釈つける輩が出てきても気にしない。目的はあくまで内容の紹介ですから。しかも理に適っているし。人間たる者、最初に提示した話題が一番大事なのがふつう(あるいは、場合によっては意図的な仕掛けがある)。この前の文の場合は、「人間」が大事。どの言語だってそれは変わらないはずという含意があるわけです。

 とはいえ、(大筋に影響ないとはいえ)センテンス丸ごと見落として抜けているところも今頃発見したので、こっそり直しておきますが。

 それと、固有名詞も最初のほうと後の方で若干揺らいでいたり、一人称、二人称もたまに統一を忘れていたりと、粗いままの部分ありますが、なにしろ今は気力が・・・。気が向いたらしこしこ剪定します(そう言って、やった試しがあまりないけど)。

 何が怖いって、DAIでたとえば主要登場人物である"Gaspard"の発音が、フレンチ寄りのガスパールだったり、ギャスパーだったりと判明したとき、どうすんだよ、ということ。ひとつづつ検索して全文修正(笑)。ココログはお金を払わないと一括修正できないのだ。

 中身については、もう途中でだいぶ書いちゃいました。ファンタジーの剣と魔法の戦いを描写するのって並外れた面倒くささなのでしょうが(と翻訳していて思いましたが)、(はるかにお金がかかるとはいえ)ヴィデオゲームや映像であっさりやられちまったら、辛いものがあるなあ、という虚しさもあり。映画「ホビット」のドラゴンは、あれがすべてのファンタジーRPGの原典であることをヴィジュアルで示すという、エポックな偉業であることは認めるとしても、もう、ドラゴンの造形があれで決まりになっちゃいましたね。

 途中でも書きましたが、レヴナントやディーモン・メイジはともかくとして、シルヴァン(木ね)、ヴァーテラル(虫ね)など、とてもお行儀よく原典に忠実、オリジナル・ゲーム準拠ではありますが、はっきり言ってシャビーな(正直個人的にはどうでもいいような)化け物との対決シーン。シルヴァンについては、ぜんぶすっとばそうかと真剣に思った(そうしてしまうと、いつの間にか馬が死んでしまうので、後の方で話がつながらなくなる)。 
 この小説、半分はエルフの物語なので仕方がないのでしょうし、シャビーだと感じるのは、私の個人的趣味でしかないのですが。

 エルーヴィアンの間の「道」については、訳していて二重の意味で頭痛がした。グチしか出てこないので、省かせていただきます。

 
 紹介中に、EAのDAI公式でいきなりばらされてしまったのですが、セリーンが復活することはあらかじめ決まっていた。よって(メタ的に見て)結末は、いかにしてセリーンに簡単な復活を許さないか、これにかかっていたわけです。
 そこから逆算してしまうと、おのずとこの小説の結末の答えが出てしまうのですが、一筋縄ではいかない粋な仕掛けもあって、ヒューマン(じゃなくて、エルフも)ドラマのほうはまあまあ、愉しめました。 

 私としては、どのキャラクターにも感情移入しにくい、アタッチメントの要素が少ない小説でした。きっと、セリーンかブリアラにぐっとくるかどうかにかかっているのでしょう。
 フェラッサンが感じたように、ミシェルは心があまりにも「少年」すぎる「ガキ」。逆にフェラッサン自身は、謎の隠者の「お約束」を避ける意味か、ウィークス氏の自己投影か、やたらと饒舌である。典型的「親分キャラ」であるギャスパードにアタッチする人はあまりいないだろうから、野郎キャラの場合も二人のどちらかにのめりこまなければ、突き放して見る(デタッチメント)しかないのかな。 

 リマッチェについて何か書こうと思っていたんですが、もういいかな。伝統主義、差別主義、剣の達人、さらには陰謀公家とか色々なキャラクターを背負わされて、ノブレス・オブリージュを示すこともありながら、最期は親分の手で殺されてしまう。色男だという描写が結局最後までどこにもなかったので、それは私の脳内生成物であることがはっきりした。でも、この小説を映像・画像にするなら、きっとそうするよね。セリーンに顔を傷つけられたから逆上したわけでもないのでしょうが。

 心に残るところ、すでに書きましたが、ミシェルがギャスパードの説教を聞き、ディーモン退治を心に決めるところがひとつ。
 後は、しいてあげれば、フェラッサンとブリアラの関係でしょうか。

 フェラッサンのブリアラへの恋慕は、そしてあるいは本人では気が付いていないブリアラの彼へのそれは、このくらい控え目でちょうどよいということなのだろうか。これじゃあ、気が付かない人がいそう。

 フェラッサンはドリーマーであった。彼はブリアラや、最後にはミーリスからも、彼の部族のところに連れて行ってほしいと何度か懇願されますが、その都度言を左右にはぐらかす。
 存在していないんでしょうね。はるか昔、おそらくハラムシラルの時代ではなく、もっと昔のアーラサンの時代に置き去りにしてきたのかもしれない。その場合彼は、長い歳月を経て再びこの世に現れた。
 あるいは、彼はすでに滅びた部族の生き残りで、夢の世界を駆け巡ることができるドリーマーであるがゆえに、エルヴェナンの時代に精通しているのかもしれない。「君と私でこの世界のあらゆることを何百回となく見て来た」というディーモンのセリフをどう解釈するかで変わりますが。

 彼は負け犬根性のデーリッシュは大嫌い。ブリアラは彼が本当にデーリッシュであるかどうか疑いを持つが、彼の思いがけない恫喝の前に、その答えを知ることを断念した。
 かつての彼は誇り高いエルフのメイジ、しかもドリーマーだった。貴族だったのかもしれない。ミシェルとの森の中の会話では、当時のことを何か仄めかそうとしていた。

 もはやこの世の者ではない、定命の者ではないがゆえに、彼のブリアラへの思いは成就しないことがはじめからわかっていた。
 彼がフェイドの存在に殺されるのを覚悟の上で、ブリアラにエルーヴィアンを託した理由は、理性ではなく感情、計算ではなく恋慕。私はそう思います。
 そしてそうすることで、フェラッサンはフェンハレルの教えにも背いた。身の安全を計らずに、感情や憐憫に流されるのはフェンハレルの行いから最も縁遠いこと。
 いや、果たしてそうでしょうか。
 

 彼は、ブリアラにエルーヴィアンを託し、そしてまたフェンハレルの教えも伝承した。
 たとえその身は滅しようとも、弟子であり、最愛の友でもあった娘がやがてその思いを継き、大願を成就するのであれば、彼こそ「ゆっくりした矢」の名に相応しいのかもしれません。

(なんだよ、しっかりアタッチメントしてんじゃん) 
 んー、おっさんだからねえ。そうなればわかると思いますよ。

The Masked Empire Epilogue(4)

 最後は、フェラッサン。

***

 その夜の暗闇の中、自らをフェラッサンと呼ぶエルフが、深い森の中で火を起こした。彼は宿営地の回りに結界を設け、何かが近づいてきたときに彼を目覚めさせるエナジーの円を慎重に描いた・・・、というのも、うろつく盗賊たちが、明らかにそのときの彼の最大の心配であったからだ。その考えに彼は自分で笑い、彼はかき消すように手を振って結界を消散させた。ともかく、それはいつものように空気の臭いを変わった感じに変えた。

 彼はその日の早い時分にウサギを捕まえていた。彼はそれを火の上で炙り、時間をかけてその煙臭い肉を賞味した。食べ終わると、彼は顔と両手についた汁を少量の雪で洗い流し、それから自分に、寒さを凌ぐための暖を取る魔法をかけた。
 彼は、濡れた枝がパチパチ、シューシューと音を立てている炎を見た。煙が木々の間に立ち上り、まるで遠くのダイアモンドのように夜空一杯に広がる、素晴らしい星々の中に消えていった。

 寝ずに起きているという考えが、突然ひらめいた。彼は、ほとんどの場合において夢の世界に入らないようにしておくことができる薬草を持っており、薬草がうまく行かなかった場合でも、フェイドからの影響を見事に遮断してくれる結界の準備があった。逃げつ隠れつ、彼の残りの人生にわたってずっと、肩の後ろを振り返り続ける暮らしは、うんざりするほど素敵な時間を過ごさせてくれるだろう、と彼は思った。
 だがサー・ミシェルは約束を守り、そしてフェラッサンは、自分の中に強情な少年の心が顔を出すことには我慢ができなかった。
 これ以上引き伸ばしても意味はない。

 彼はローブに手を入れて、薬草の束を取り出した。彼は胡坐を組み、その皮の下にある、彼の本当の正体を見つけ出すまで息を整え、そして薬草を火にくべた。
 焔が燃え上がり、鼓動何回分かの間緑色になり、それから煙の臭いが何か鋭く古いものに変わった。

 フェラッサンは目を閉じて、夢を見た。
 彼は焚火の前の森の中に依然として坐していたが、彼の回りのすべてのものが、フェイドのオーラとともにぼんやりと輝きはじめ、まるで夏の牧草地を歩いているように、薬草の匂いは豊穣で新鮮だった。

 彼の後ろから誰かが近づいてきて、枯れ葉が音を立てた。
「合言葉は知らないぞ」とフェラッサンが振り返らずに言った。
「ブリアラは私には伝えなかった」
 それは、嘘とも言えるものであった。彼が止めさえしなければ、彼女は彼に伝えたはずだ。そして彼の背後の影は、その嘘を聞き、嘘であることもまた知っていた。
「そう、わかっている。彼女は機会を与えるに相応しい」とフェラッサンが言った。「それで何の害があるのかね? どうしてあの娘にやらせてみないのだ?」

 彼の背後には、ただ沈黙しかなかった。口論はなく、論理的な議論もなく、熱のこもった歎願もなかった。フェラッサンは、彼が焚火の前に座ったときから、そのことを知っていた。 
 フェラッサンはため息をついた。「それは済まない。私は、彼女の手からエルーヴィアンを取り上げることはしない」
 再び枯れ葉が鳴り、背後の影は彼にさらに近づいてきた。

 フェラッサンは目を閉じ、背筋を伸ばし、最後に一度だけ、豊穣な香りを吸い込んだ。「彼らは、君が考えているよりも強いんだよ」 彼は微笑んだ。「だから、こういうのは君の気に食わないかもしれないけど、彼女を見ていると思い出すんだ、あの・・・」 
 彼は、自分を殺すことになった一撃の音さえ聞くことはなかった。
 彼の最期の思考は、エルフの娘が、ひとりきりで、魔法も用いず、家族もおらず、権力もなく、彼女の民を探し回っている姿だった。

*** 

 もしかしたら、フェラッサンが最大の犠牲を払ったことになるかもしれない。
 そして、敢えてそうした理由は・・・。 

 "The Masked Empire"(あくまで「要約版」)、これで終了です。ここまで読んでいただいた方は(数えるほどでしょうが)、ありがとうございました。
 感想、グチ、暴言などは、まとめて次回以降に書きたいと思います。

2014年7月13日 (日)

The Masked Empire Epilogue(3)

 シェヴァリエたち。

***

 ミシェルとギャスパードは、エルーヴィアンが彼らをヒューマンの世界に送り戻した、ちっぽけなエルフの廃墟から外に出て呻いた。彼らは雪で覆われた、何本かの低木の他は吹きさらしの平原に立っていた。日没が雪におぼろげな赤味のある色合いを与え、ミシェルにエルーヴィアンを思い出させた。その色には、もう二度とお目にかかれなくても構わなかった。

 氷のような風がミシェルの薄い外套を貫き、彼は身震いしたが、まだ本格的な冬ではなく、シェヴァリエとして、厳しい状況で生き残る訓練は積んでいた。
 もっとも、彼はもうシェヴァリエではないのだった。
「メイカーズ・ブレス」 彼の後ろでギャスパードが言った。「あの呪われた道のことを思うと、少々寒気を覚えるな」
「たしかに、閣下」 ミシェルは木々を見た。「ここがどこかおわかりですか?」
 ギャスパードは目を細め、それから笑った。「わからんのか? 記憶が正しければ、わしらはヴァル・シェヴィンから馬で一日ほどのところにおるはずだ」

 ミシェルは首をすくめ、 悔しそうな顔をした。「ブレヴィンが拙者の爵位を手に入れてから、何度か訪れたことがあるのですが、馴染みがあるとは到底言えません」
「ブレヴィン?」
 ミシェルは、その貴族の名前と名声を無傷のままにしておくべきだったかもしれないと思ったが、彼はとっくに死んでいる。それだけではなく、ミシェルはもう嘘をつくことに疲れていた。「そうです、モントフォートの。彼は、子供の頃に街で戦っている拙者を見かけた。彼は一族の衛兵とともに拙者に訓練を積ませ、最後には拙者に爵位を与えた・・・、見つけて来たというべきでしょう。彼は、拙者には見どころがあると言っていた」
「間違ってはおらんかった」とギャスパードが言って、頷いた。「彼がはじめてでもあるまいが」 彼は振り向いた。「隧道がわしらのすぐ後ろで閉まった。どこにあるかすらわからん」
「魔法の類であることに疑いはありません」 ミシェルは見ていなかった。冷たい空気の中、彼の傷は痛み始めた。

 彼らは、ふたりともゆっくりした足取りを維持していたが、それでもデールズからヴァル・シェヴィンまでわずか数日で到着しており、伝書の鳥が旅するよりも速かった。彼らは口数少なく、力を温存し、脅威に対して警戒を怠らなかったが、やがて脅威など来ないことがわかった。夜休む前には、おのおのが自分の傷の包帯を締め直した。

「なんとも惜しい話だ。ドレイケン皇帝がエルーヴィアンのことを知っておられたとしたら。オーレイの版図は一体どこまで拡大していたことだろう」 ギャスパードが首を振った。「それもわからなくなった。セリーンのエルフがどちらに与するか決めない限り」
 ミシェルは遠い西の地平線の下に、陽光の最後の銀の輝きが隠れていくのを見つめていた。「彼女はもうセリーンの手の者ではありません、閣下」
 ギャスパードがまた笑った。「そうだったな。そしておぬしもではないか、それを言うなら」

 ミシェルは彼の方を振り向いた。 「それで、これからどうなるのでしょう?」
「そんなこと知るか」 ギャスパードは身体の両脇に身体を回して筋を伸ばし、顔をしかめた。「おぬしから受けた傷のおかげで、わしの戦士としての日々は終わったらしい。しかもあれは、わしがおぬしの剣を砕いただった」
「拙者の身の上はどうなるかという意味でしたが、閣下」
 ギャスパードはミシェルのほうを振り向いた。「アカデミーがおぬしの籍を剥奪し、処刑を命じるであろう」
 ミシェルは頷いた。彼もギャスパードと同じだけ、規則を知っている。

「教えてくれんか」 しばらく後にギャスパードが言った。「なぜ、あっさりわしを殺さなかった?」
「約束をしたからです」とミシェルが言って、首を振った。あのヴァル・ロヨーの倉庫の外に出たときには、自分の秘密を守ることが最高に重要な問題だと思っていた。その約束の対価について知っていたなら、彼は違う決断をしたのだろうか?
「だがなぜ、それを守る?」 ギャスパードが詰った。「おぬしは真のシェヴァリエでもないのであろう、息子よ」
 ミシェルは剣に手をかけようとして、そこにないことに気が付き、代わりにダガーを手にした。「シェヴァリエたちが、拙者の名前を除籍したうえで殺すと言うなら、それは彼らの権利でしょう」と彼は言って、刃先を向けたギャスパードを睨み付けた。「だが、彼らにも拙者の名誉まで剥ぎ取ることはできない。そして拙者は、そのような侮辱を看過することもしない」
「ほらな?」とギャスパードが言って、微笑んだ。「だからこそ、わしはおぬしのことをアカデミーに伝える気にならんのだ」
 ミシェルは瞬きをした。「意味が分かりませんが」

「サー・ミシェル」 ギャスパードは首を振った。「おぬしはわしを正々堂々と打ち負かした。おぬしは、それ以外のすべてを失うことになっても名誉を重んじた。おぬしは、全きシェヴァリエの鏡だ、その身にどんな血が流れているかに関わらず」 彼はまた遠くの方、隧道があったほうを見やった。「二百年前、彼らは同じことをしたひとりの女性を殺したが、フレヤンが規則を変えたことで、彼女はサー・アヴェリンとなった」

 ミシェルは、大公が話すにつれてダガーを降ろした。彼はそれを鞘に戻しながら、静かに話した。「シェヴァリエに残れとおっしゃるのか」
「おぬしはシェヴァリエに相違ない。それをどう活かすかはおぬし次第だ」 ギャスパードがくっくっと笑った。「だが、セリーンのチャンピオンには戻れんだろうがな・・・」
「無理でしょう、閣下」 セリーンの処置は極めて明確だ。彼が裏切ったことにより、再び彼女の目の前に姿を現したなら、彼の生命はそこでおしまいだ。

「そしてわしは、わしの方に仕えよと申し出て、おぬしを侮辱するつもりもない」 ギャスパードが見やると、ミシェルは感謝を込めて頷いた。「とは言え、わしらはこの帝国の炎と死を目の当たりにすることになる。わしとセリーン、テンプラーどもとメイジども。オーレイが弱るのを見て、フェラルデンとテヴィンターがどう動くかはメイカーのみぞ知るところだ。事態は、良くなる前に一層悪くなる。わしがセリーンに叛旗を翻したのは、わしがその難事にあるオーレイを導くに相応しい男だと考えたからで・・・」 彼は言葉を止め、かすかに微笑んだ。「・・・そして、わしが玉座を欲していたから、というのが正味の話だ。だが何が起きようとも、この帝国には、肩書きなんぞを守ることよりも、名誉を重んじる者たちが必要なのだ」
 ミシェルは息を呑んだ。「かたじけない、閣下」
「わしへの感謝は、ここぞというときに何か役立つことをなして示してもらおう」とギャスパードは言って、手を伸ばした。ミシェルはそれをしっかり握りしめた。

 大公は、兵隊の行進曲を口笛で吹きながら、ヴァル・シェヴィンに向かって歩き出した。ミシェルは、彼が去るのを見送り、大公の姿が黄昏の中に消えてしまうと、しばらく立ったまま、星々を見上げていた。

 彼には、どこに向かうべきか見当もつかなかった。
 彼には鎧もなく、馬もなく、シェヴァリエであることを示す剣すらなかった。誰かが道で彼に出くわせば、逃散した農奴か何かと思うだろう。
 そして、それはそれで間違ってはいないのかもしれなかった。長い間で初めて、サー・ミシェルには、守るべき大いなる嘘もまたなかった。

 彼には、たったひとつだけ背負っている負い目があり、今や彼はそれに思いを馳せていた。それはセリーンに仕えていたが故に被ったものであったが、ミシェルは、自分ひとりでそれを背負うべきことは承知していた。
 ミシェルの行いによって、ディーモンのイムシャエルがこの世界に野放しになっている。やつがオーレイのどこにいるのか、世界のどこにいるのか見当もつかないが、どこにいるのだとしても、やつは混沌を巻き起こし、無辜の人々を危機に陥れている。

 ミシェルは隠密でもなければ、追跡者でもなかった。あのディーモンを発見するのは、一生の仕事になるかもしれないし、それさえも見つけることができればの話だ。
 だが、それも目的に違いはなかった。
 彼はでたらめに方角を選び、新しい人生に向かって歩み出した。

*** 

 やばい。馬鹿な野郎である私は、やっぱ、こちらのふたりのお話の方が好きだった。

 小枝を投げたり、コインを投げたりして、進む方角を決め、でたらめ(ランダム)に歩き始める。ハリウッド映画などのラストシーンで何度も使われたモチーフですが、好きなんだなあ。
 ミシェルは、ディーモン・ハンターとしての人生を選ぶことになった。遍歴の騎士(knights-errant)、本来の意味とは違いますが、結果的には同じことですね。というか、明らかに著者はそう思わせようとしている。
 「ドン・キホーテ」(いや、お店じゃねえから)のお話は長くなるのでやめますが、野郎たるもの、どうしてもロマンチック(ロマンスの意味ではないから)なお話には惹かれてしまうわけで、ましてや見つかるかどうかもわからないディーモン狩りなんて言ったら、もうそれだけで外伝書いて欲しい。

 この話、DAIに繋がるかどうか、ビミョーなところですが・・・。

 ここまでで、ブリアラ以外の登場人物たちは、すっからかんの状態から再スタートということになりました。セリーンは、まあ少なくとも僻地での返り咲きは果たしたとはいえ。

 フェラッサンだけが残っています。
 次回が最後。もう少しお待ちください。

The Masked Empire Epilogue(2)

 セリーン。

*** 

 この世のものではない光に顔をしかめながら、セリーンは道の最後の数歩を進み、エルーヴィアンから歩み出た。
 彼女はブリアラにヴァル・ロヨーに戻すように頼んだ。結局それが、彼女の当初の目標であり、その頃には愛する相手とチャンピオンがいた。ギャスパードの前にオーレイを手に入れ、ギャスパードの襲撃が失敗したことをはっきりと示し、それからオリージャン軍の総力を結集して、叛乱軍を打ち破る。
 そして、それはうまくいくはずだった。

 だがセリーンは、女帝の要求を聞いているブリアラの顔を見た。ブリアラの情熱的な目には、計算高さを示す些細なきらめきが見えた。彼女は、自身がブリアラの立場であれば、同じようにしただろうと思った。
 だから彼女が、強いエナジーの波に逆らって目を開け、エルーヴィアンから足を踏み出したとき、エルフの遺物で飾られた質素な食堂に立っていたことにも驚きはしなかった。

 そこには庭園が見下ろせる素敵な窓があるため、彼女はときたまそこで朝食を摂ることがあった。
 彼女は、ハラムシラルのすぐ外にある、自分自身の冬の宮廷にいた。
 セリーンはため息をつき、首を振った。よりひどい結末の可能性もあった。少なくともブリアラは、彼女をどこかの忘れ去られた霊廟に送り込み、死に至らしめるようなことをしないくらいには優しかった。彼女が振り返ってエルーヴィアンを睨んでいると、しばらくしてから、表面に現れていた深紅の雲が消え去り、鈍い青っぽい灰色になった。

 彼女にはチャンピオンもなく、軍もなく、隠密の手練れもなかった。権力の座から遠く離れ、ギャスパードが占領しているだろう街の近くにいた。
 彼女の心は引き裂かれ、後から泣き叫ぶことになるのはわかっていた。だが強情にも、彼女のある小さな一部は、心のずっと奥底の闇の部分では、笑っていた。彼女は、ヴァル・ロヨーに身寄りのない十六の頃に戻ったような気分がしており・・・、そして彼女が最後にそう感じたときには、勝利をその手に収めたのだ。
 当分の間は、たとえ一人寝するとしても、朝遅くまで何の苦も無く眠っていることができるだろう、そう彼女は気が付いていた。

 彼女は目を閉じ、耳をそばだて、それから大広間から回廊に忍び出た。幼い頃、冬の間はこの家族の宮廷で過ごしてきたため、裏手の廊下が人目につかないことは知っていた。
 しばらく後、彼女は自分の部屋に辿り着いた。彼女は寝台横の灯り台の傍にある銀の呼び鈴を手に取り、大きく鳴らし、そして待った。
 宮廷の召使いのひとり、がっしりした体格の威厳あるヒューマンの女性が、困惑した様子で部屋を訪れ、衝撃に目を見開いた。
 セリーンは、まだ盗んだ鎧を身に着けたままで、薄汚く、マスクも身に着けておらず、ただ待っていた。

 一呼吸の後、女性は深々と会釈した。「輝けるお方」 
 鍵は、他の全ての事柄と同様、自信だった。
「ハラムシラルについての報告、入浴、それから強いお茶を一杯」と彼女は言って、召使いがそれに従おうとしてあわてる様子を見せたときには、微笑みを隠した。

 入浴の準備が整ったとき、彼女は全裸になり、鎧は焼き捨てるように命じた。水に浸かって身体を洗っている間、彼女は、年老いた宮廷の家宰、背が高く痩せた男で、彼女が赤ん坊の頃から知っている彼が、目隠し用の衝立の後ろで、ピエール卿がギャスパードに降伏し、続いて彼がこの冬の宮廷の衛兵たちもまた軍門に降るよう要求していることについて話すのを聞いた。
「ハラムシラルのピエール卿に伝令を出して、降伏についての話し合いのため、彼ひとりでここを訪れるように伝えて頂戴」と彼女は言って、言葉なく身振りで、召使いたちにラヴェンダーの香りの石鹸をもっと沢山使うよう指図した。

 召使いたちが彼女にコルセットと夜会服を着つけている間、彼女は、茶の最初の一すすりを嗜んだ。夜会服は濃い紫で、金の獅子の飾りが施されており、いずれも彼女の家の象徴であるとともに、オーレイそのものの象徴でもあった。茶は熱く、強く、極上で、彼女は深く飲み下すと至福のため息をつき、それから年老いたエルフの侍女が化粧を施せるよう、顔の動きを止めた。

 召使いたちがピエール卿の到着を告げたのは、セリーンが丁度、代えのマスクを見つけたときだった。彼女がそれを身に着けると、顔に当たる感触と、視界の隅にある小さな壁に、一瞬不思議な感覚を覚えた。もう何十年もの長い間、それを被らずに過ごしてきたような気がした。

 彼女は、ピエール卿が招き入れられたとき、気楽に視線を避けていることのできる、白い螺旋階段のてっぺんで待っていた。彼女は、ピエールの進む足音と、それに伴う宮廷の衛兵たちと彼の兵士たちの金属の鎧が鳴る音を聞いていた。彼は誇り高きオリージャン貴族の礼儀正しさを示しながら、家宰に挨拶をした。

「お望みどおりここに参った」と彼は言った。「そして私は、そなたとそなたの手の者たちにできうる限りの寛大な措置を約束しよう。心配めさるな、今は我々皆にとって困難なときであり、私もハラムシラルそのものの惨状からそう学んだのだが、そのような強大な力に直面したとき、降伏することは何ら不名誉なことではない」

 彼が話し始めるのにあわせ、セリーンは階段を降り始めた。何年にも渡る実践のおかげで間合いは完璧であり、ピエール卿が話を終えた丁度そのとき、玄関の広間から彼女の姿を目にすることができた。

「そのような高貴なお言葉を耳にできてうれしく存じます、ピエール卿」とオーレイの女帝セリーンが言うと、ピエール卿はそこに立ったまま、口もきけないほどの驚きを露わにして見つめていた。 「そして皇帝が、貴族を不忠のあったその場で処刑するような暗黒のときであるとしても、あなたの言葉はわたくしの心を打ちました」 彼女は階段の下まで降りたときに微笑み、彼女の宮廷の衛兵たちが進み出てその脇を固めた。「であるから、あなたの降伏を受け入れることにいたします」

 ハラムシラルのピエール卿は、善人で、優しい男だったが、心の強い人物ではなかった。エルフの叛乱を自ら鎮圧するほどの度胸はなく、ギャスパードに逆らう勇気もなかったが、そのどちらもセリーンには驚くべきことでもなかった。
 長い間があってから、ピエール卿は片膝をついたが、それも彼女には驚くべきことではなかった。「女帝陛下」
 わずか二、三時間前に戻ってきたセリーンは、すでに最初の街を奪回していた。

***

 女帝セリーンは、愛人も、チャンピオンも、軍も、玉座も領土も失ってはいるものの、物語が始まった時より、何段もパワーアップしてしまった感じです。
 物語劈頭、口舌で相手を意のままに操っていた彼女が、最後にもまた同じように言葉のみで相手を籠絡する。
 でも、それにしてやられているのは常に野郎のような気もするのですが・・・。

 女性キャラクターには誰一人「甘い」人物がいなかったような気が。つうか一人残らず全員「デンジャラス」な、油断も隙もないキャラクターたちでしたね。

The Masked Empire Epilogue(1)

 エルフたち。

***

 ブリアラは、隧道から午前の陽光の中に歩み出た。
 地面は白い色で覆われ、蒼白い光をとらえてきらめいていた。彼女がエルーヴィアンの間を歩いていた間、この冬初めての積雪があったことのしるしで、今時分にはオーレイのほとんどの場所が雪に覆われているだろう。彼女の前には、葉の落ちた枝に雪を纏い、風の中に揺らしている木々があった。彼女の後ろには平原が広がり、遠くのほうがもやのように白くけぶっていた。

 木々の様子から見て、彼女はデールズの近くにいるようだ。彼女はフェラッサンの求めに応じてここに舞い戻ってきたが、本当は一刻も早くヴァル・ロヨーに向かいたいところだった。彼女にはなすべきことがあった。

 エルーヴィアンによって、彼女はオーレイ中を馬上のシェヴァリエよりも早く移動することができた。そしてそのシェヴァリエが彼女を目にすることは決してない。
「厳しい冬になりそう」 ミーリスが凍えながら、彼女の背後から言った。「ギャスパードでもセリーンでもいいから手早くことを済ませなければ、多くの者たちが死ぬ」
「戦争には、しばしばそんな結果がつきものだ」 光の中に出て来たフェラッサンが言って、目を細めた。

「飢えるっていう意味」 ミーリスがぴしゃりと言った。
「そして、あなたに何の関係があるの?」とブリアラが尋ね、彼女のほうを振り向いた。「デーリッシュが害を受けると? あなた、他の部族のことを心配しているの?」
「いつもよ」とミーリスが言った。彼女は木々を見ており、ブリアラには彼女が自分のいる位置を見極めていることがわかった。彼女の一族はこの近くに何年も暮らしていた。ブリアラには、ミーリスが生存者を探し出すつもりなのか、死者を埋葬するつもりなのか、それとも単にこの場を去るつもりなのかわからなかった。それはどうでもよかった。「あなたが気にかけているのは・・・、あなたのエルフたち」
「私の平ら耳たち、そうよ」 ブリアラは背後の隧道の入り口を振り返った。数ペース離れてみても、それは見事に紛れており、探そうとしていない限り見つけることはほとんど不可能だった。いずれにしろ彼女はそこにあることを知っており、いまだに彼女の身体の中に響き渡る魔法のおかげで、彼女の身体の一部のようにさえ感じることができる。「私は、私の民のことをとても気にかけているわ、ミーリス。そして初めて、私は彼らを救う手立てを手に入れた」
「もしその秘密をデーリッシュに手渡すなら」とミーリスが言った。「私たちは・・・」
 ブリアラが面と向かって笑うと、デーリッシュの女は黙り込んだ。

「どこのエイリアネイジであっても、そこに住むエルフ一人残らず、あなたたちは伝説の生き物だと考えている」 彼女はミーリスに言った。「ハラムシラルが陥落した時にさえ降伏しなかったエルフたち。彼らはあなたたちを恐れるか、あるいは感化される・・・、いまだ戦いをやめず、古い魔法を司る者たちとして。彼らは、あなたたちがここで、ディーモンと戯れ、古い遺物を探すだけではなく、自分たちを窮地から救おうとしていると考えていて、そしてもし、あなたたちが実際に彼らを救ってきたのなら、あなたたちは今頃、アーラサンをその手に奪還できるに足るだけの、忠義深い軍隊を手に入れていた」 彼女は微笑んだ。「でもそうはしなかった。あなたたちは、彼らは実際には自分たちの民ではないと考え、死ぬに任せた。だから、私が彼らを救うの。私が戦い続けるの」 彼女は隧道の入り口のほうを身振りで示した。「そして私が古の魔法を手にするの」

「私はあなたの敵じゃないわ、ブリアラ」 ミーリスは視線を落とした。「私はあなたの手助けをした」
「あなたが欲しがるものを私が手にしていたから」 ブリアラは微笑み続けていた。「そしてあなたの民は私の民でもあり、彼らがそれを忘れていてもそう。私はデーリッシュと一緒に働くつもりだけれど、それは彼らが全ての私の民を救うときのみ。次に出会った部族には、そう伝えておいて頂戴」

 ミーリスは息を呑み、頷いた。彼女はフェラッサンのほうを向いた。「あなたの部族に連れて行ってはくれないの?」
「君が私の部族の者たちに会いたくなるとは思えない、ダーレン」とフェラッサンは言った。「だが、どこの部族が受け入れてくれるとしても、幸運を祈るよ」
「どこに加わるにしても」とミーリスが言った。「ディーモンと取引するようなことのないところにするわ」 彼女は木々の中に歩み去った。彼女の杖は、新鮮な朝の雪と同じ色をしていた。

「彼女を殺すべきだったと思います?」 デーリッシュの娘の姿が木々の中に消えたとき、ブリアラは尋ねた。
 彼女の横で、フェラッサンが肩をすくめた。「それはこれから君が確かめることになるんじゃないのかな」 彼女はくすりと笑い、彼は彼女のほうを向いた。「本気なのか? 君はエルーヴィアンの道を、君の民を救うために用いるつもりなのか?」

 ブリアラはしばし黙考した。「セリーンとギャスパードは軍に用いようと考えていたけれど、それはあくまで彼らの戦いのためのもの。私はこの道を用いて、他には飢えるしか道のないエルフの住むエイリアネイジに食糧を送り届ける。私はこの道で、進軍する軍勢の先回りをし、標的に警告し、あるいは彼らの背後に回って、兵站線を叩く」
「どっちの軍の動きを邪魔するんだい?」

 ブリアラはフェラッサンのほうを見やり、冬の寒さに震えはじめながらも、微笑んだ。「勝ちそうなほう。なんでしたっけ? アナリスとアンドルイリ?」
 フェラッサンは微笑んだ。「君は彼らの戦いを長引かせ、その混沌の中で、君の民たちがその縛めから解き放たれるように企てる」
「うまくいく、そう思う」 ブリアラは腕で自分の身体を抱きしめた。
「ハラムシラルは、たったひとりの貴族のために蜂起した。私は、私の助けになるエルフたちをオーレイの全ての街で見つけることができるでしょうし、それだけじゃなく、あまりに戦いに怯えている者たちであっても、冬にその子らが飢えを凌ぐ手助けをしてあげることで、目や耳として働いてもらえるようになる」

「それは」とフェラッサンが言って、しばらく間を置き、そして言い終えた。「我々の民の古い遺産の類稀なる使い途だ、ダーレン」
「フェンハレルにも認めていただけるでしょう」とブリアラが言うと、フェラッサンがぎょっとさせるような笑い声をたてた。
「かもしれんな」 彼女の師匠が言った。「私にはとてもそうだとは思えんが」

「ああ、忘れるところでした」と彼女は言った。「エルーヴィアンを用いる合言葉。ふたりが離れ離れになったときのため、それは・・・」
 彼の指先が彼女の唇に当てられ、彼女は言い澱み、驚いて彼を見た。
 フェラッサンは再び微笑んだが、その目は悲し気で、ブリアラがこれまで思い描くこともできなかったほど、知恵に満ちていた。「よすんだ」

 彼女はしばらく静かに彼を見つめ、それから思い至った。「行ってしまうのですね」
「そうせねばならん」
「デーリッシュの元へ?」
 彼は鼻を鳴らした。「連中? 勘弁してくれ」 それから彼は真剣な顔つきに戻った。「だが、オーレイのエルフたちのことは心配無用のようだ。そうでない事柄は他に山ほどあり、私には他ですべきことがまだ残されている」

 彼女は頷いたが、その目はひりひりと痛んだ。彼に残って欲しいと乞い願ったとしても、意味がないことはわかっていた。彼女の心の奥底にある抗い、まだ学ぶべきことが残っており、彼抜きでそれがなしえないこと、それらが声になる前に彼女は押し殺した。今まで出会った中でもっとも賢き男は、彼女が彼女の民のため自由を勝ち取ることを信じていた。そして自分でも驚くことに、彼女は彼の見通しが正しいことを疑いもしていなかった。

「ならば、最後にひとつだけ教えて下さい、ハーレン。これは・・・」 彼女は身振りで隧道の方を示し、それから森を、ここから数日分の行程だけ離れているだろう、ヴァーネーン一族が死に絶えた場所を、さらには北の方、彼女の民が自由を手にするかもしれない戦いに揺れたハラムシラルのほうを示した。「これは、あなたがずっと目論んでいたことなのですか?」
 彼は最後にくすりと笑った。「そうじゃない、ダーレン。これは君が自分で成し遂げたこと」 彼は身体を寄せると、彼女の額に優しくキスをした。彼の唇は焼きごてのように熱く、彼女の頭はしばらくの間ぐるぐる回った。
 彼女が再び目を開けたとき、ひとりきりで、周囲のどこを見渡しても、フェラッサンが立ち去った痕跡を見つけることはできなかった。

 ブリアラは隧道を振り返った。彼女はもはや震えてはいなかった。おそらくフェラッサンがいくばくか残してくれた魔法の痕跡が、彼女を冬の寒さから守ってくれているのかもしれず、あるいは単に目的を思い定めたことで、身体が火照っているだけなのかもしれなかった。
 彼女は符牒を口にした。背後の隧道が、あたかも最初から存在していなかったかのように閉ざされた。

「フェンハレル・エナンサル」 恐るべき狼の恩恵。
 彼女は、それを無駄にはしない。

***

 おっさんとして、フェラッサンのブリアラに対する気持ちは痛いほどわかってしまう・・・。
 ま、おっさんちゅうか、ディーモンと「ダチ」になるくらい長い間暮らしてきたお方なんですけど。

 最後は、"She would make it count."、地の文は過去形ですから、"She will make it count."ということ。フェンハレル神から与えられた恩恵(blessing)を「大切にする」、「頼りにする」、「無駄にしない」というところでしょうか。

The Masked Empire 17(5)

 エピローグを除いて、最後となりました。

 前回の最後の台詞は違ったみたい。色々書いたので格好悪いんですが、直しておきました・・・。

***

 セリーンは彼女の回りの空気の動きが止まったように感じ、ブリアラのほうを振り向いた。
「何のつもりです?」
 ブリアラは答えなかった。彼女がミシェルを見つめると、彼は苦悩しているようにみえ、紅潮していた顔が蒼白に変わった。
「ブリアラ!」 セリーンは彼女の両肩を掴み、エルフに自分を見るように仕向けたが、違いはなかった。ブリアラの顔は無表情だった。まるで死んでいるかのように見えた。「どうして?」

 彼女たちの傍らで、セリーンの勝利の瞬間がわき道に逸れ、暗闇の中に消えようとしているとき、フェラッサンが笑い出した。
 セリーンはブリアラを押しやり、首を振ってその笑い声を頭から振り払おうとした。これが何であれ、どんなばかげた考えが彼女を捉えたかわからないが、セリーンは後から対処することができるだろう。彼女はミシェルの方を振り返った。「ミシェル、けりをつけなさい!」
 彼は彼女を見つめ、それからセリーンを見た。

「あなたはわたくしのチャンピオンでしょう」 だが彼女はそう言いながら、そうではないことがわかっていた。もしそれがまだ正しいのであれば、彼はすでに剣を振り降ろしている。そして彼は目をブリアラから逸らそうとしなかった。
「彼はシェヴァリエ」とブリアラが言って、セリーンが彼女のほうを向いたときも、まだミシェルを見ていた。「不名誉の前に死を」

 ギャスパードは、まだ膝をついたままで、セリーンを見て、それからブリアラを、最後にミシェルを振り返った。「ミシェル?」
 ミシェルは微動だにせず立ち、まだ剣を掲げたままだった。
「拙者は、サー・ミシェル・デ・シェヴィンに相違ない」と彼は言った。「だが拙者はまた、エルフの母親から生まれたあいの子」
 剣が地面に落ちるとき、ガチャンと鳴った。「負けを認める」

 充棟の書物で破裂しそうな図書館を有する沢山の大学。修復された街道に夥しく行きかう貨物を満載した荷車。微笑みを浮かべながら世界一偉大な帝国に仕える、市場のエルフたち。毎朝夜明け前に給される一杯の熱い茶。彼女の顔から優しくマスクを剥ぎ取る、小さくて強い指。
 彼女のチャンピオンが発したたった一言で、百もの夢が消え去った。

 セリーンはブリアラのほうに身体を回し、両手にダガーを握った。ブリアラは後ろに下がり、二歩で彼女の間合いから逃れた。彼女自身は剣を手にしていないが、今や彼女は間違いなくセリーンのことを見ており、そしてセリーンは自分が愚か者であることを呪い、愛する者の両目に浮かぶ怒りを見ていた。
「どうして?」 セリーンはダガーをあまりにも強く握りしめていたため、指が焼けつくように感じた。

「あなたが私の民をどのように解き放つか、もう一度言って」
「約束したではありませんか!」 セリーンが前に踏み出し、一本のダガーを掲げた。「そのとおり誓うわ!」
「そして、自分でそれを信じてさえいるのでしょうね」 ブリアラは息を呑んだ。「でも、貴族たちが抗ったら、それが帝国を弱めることになるときには、あなたは放っておくのでしょうね。あなたは私への約束を無視する、どうせ私が許すと知っているから。私がいつもあなたの側につくと知っているから」 そして彼女の剣が現れた。「とどのつまり、あなたが私の両親を殺した後でさえ、私はあなたを信じたのだから」

 セリーンは手を振って打ち消した。「あれはレディ・マンティロンよ! あなたが何を考えているのか知らないけれど・・・」
「ギャスパード!」 ブリアラが叫んだ。「レディ・マンティロンがあなたに指輪を贈ったのはいつ?」
 ギャスパードは、脇腹の痛みに耐えかねて、長椅子のひとつに寄り掛かっていた。
「わしに見どころがあることを示したときだ」
「そして、どうやって示したのです?」 ブリアラは目を向けもしなかった。彼女の両目はセリーンから離れない。
 ギャスパードは咳き込んだ。「わしは『ゲーム』の一部として、ある男の死を命じた」

 セリーンは、ブリアラの苦悩に苛まれた顔を見て、夜明け前の朝の時間に何度となくそうしたように、レディ・マンティロンとの会合のことを思い出した。

「あなたには感服いたします、姫様」とレディ・マンティロンが言ったが、彼女の表情は何層もの化粧の下に隠れていた。「わたくし自身の息子が、わたくしがあなたを援助すれば、あなたはあの子の求婚を間違いなく受け入れると信じております。ジェネヴィエ伯爵夫人のご子息もまた、奇遇なことに、あなたが彼の求婚を受け入れると信じております」 

 それは脅迫だったのかもしれなかった。セリーンは怯まなかった。愛嬌いっぱいの笑顔で、彼女は言った。「若い殿方たちのお考えになることにまで、責任を持つことはできません」
「フロリアンはもうおしまいです」とレディ・マンティロンが言った。「とはいえ、帝国があらゆる努力を尽くすことで、彼はあと数年生き続け、弱く、力もないまま、周囲に混沌をまき散らすことでしょう。わたくしがあなたをエティエンヌ侯爵に紹介したとして、あなたの叔父がメイカーそのお方の手を自らの身体に感じるその日まで、あなたはあなたの得る支援を、損なうことなく維持し続けることができますでしょうか?」 
 

 また別の試練。「もし、わたくしがそうできないのであれば」とセリーンは言って、微笑みを浮かべ続けた。「あなたからこの素敵なご招待を頂戴することはなかったでしょう、マンティロン侯爵夫人」 鼓動一回の後、貴族の女性を注意深く観察して、彼女は続けた。「ですが、帝国の裨益に思いを致せば、早く決めるに越したことはございません」 

 彼女は十六歳で、両親を亡くし、ヴァル・ロヨーでひとりぼっちで、そして今彼女は、オーレイの皇帝を弑するよう、この女性に求めたのだ。
「わたくしたちが動く前に見つかれば」とレディ・マンティロンが言って、優美に塗り上げられた一本の指の爪で、磨き上げられた椅子の手すりの木の上をこつこつと叩いた。「ことはしくじり、あるいはわたくしたちがなき者にされるでしょう。そのどちらも許すことはできません」

「では見つからないようにしなければ」 セリーンは、感じてもいない自信に満ちた様子でそういうと、レディ・マンティロンに会釈をした。「なすべきことをなしていただきましょう。準備は整っています」 
「そうでしょうか?」とレディ・マンティロンが尋ね、彼女を好奇に満ちた目で見た。「どれだけ用心深くことを運んできましたか? どれだけ用意周到に進めてきましたか? あるいは誰か、賄賂や脅迫や、それとも計略によって、あなたの意図を裏切る者はおりませんか?」 

 セリーンは思案した。彼女は完璧にことを進めてきており、レディ・マンティロンから教わったあらゆる手口を用いて、この最後の一手のため、手駒を配していた。他の全ての参画者たち、彼女が信頼する全ての者たちは、ことがしくじれば彼女同様に悲惨な末路を辿ることになる。彼女はレディ・マンティロンの子息と葡萄酒を酌み交わしていたときのことを、アンティヴァン産の珈琲をジョセフ・モントベリアード公爵と飲んでいたときのことを、彼らの全ての動きを観察し、行き交う召使いたちに目を向けるときの身体の動きから、ほんの些細な手がかりを掴んでいたことを思い出した。
 行き交う召使いたち・・・。
 彼女は息を呑んだ。

「わたくしの邸宅には、今誰もおりません」と彼女は言った。「召使いたちの他は」 彼女はレディ・マンティロンの凝視を正面から受け止めた。「わたくしを狙う暗殺者たちが襲ったなら、わたくしの目的により大きな同情を集めることができ、バードたちが市場で何の噂話も仕込むことができなくなるでしょう」
 レディ・マンティロンは、長いこと彼女のことを見つめていた。
 それから彼女は、完璧に化粧を施した顔を崩してゆっくりと微笑んだ。「それで結構です。女帝陛下」

「わたくしが召使いたちを殺すよう命じなければ、ブリア、レディ・マンティロンの力添えを得ることはできなかった。ギャスパードがわたくしを殺させていたわ」
 ブリアラはゆっくりと頷いた。「思ったとおり。そしてギャスパードが決闘に勝つ」
 依然として長椅子にもたれながら、ギャスパードは力なく笑った。「殺させなどせんかっただろう、セリーン。どこぞのフェラルダン貴族に娶らせて厄介払いしたかもしらんがな」

 ダガーを手にしたまま、彼女は彼のほうに近寄った。「あなたはこの決闘に勝ってなどいない、ギャスパード。あなたは放棄した・・・」彼女はサー・ミシェルのほうを見たが、彼は目を合わせようとしなかった。「・・・あなたの相手が負けを認める前に、あなたのメイジたちが詐術を用いたときに」
 「リエンヌの身に何が起きたのだろうと思っていた」とギャスパードが言って、セリーンの後ろ、倒れている娘のほうを見やった。
「彼女の背信により、この決闘は没収された」 セリーンはダガーを突き出し、襲う構えをした。
 ギャスパードは鼻を鳴らした。「没収とするためには、そのような背信をわしがあらかじめ認めていなければならん。シェヴァリエの名誉にかけ、そのようなことはしておらん」
「随分と都合の良い」とセリーンが言って、襲いかかった。
 彼の腕の鎧がその一撃を叩いて逸らし、大儀そうなうめき声をあげながら繰り出したひじ打ちがセリーンの腹をとらえ、彼女は後ずさりした。

「傷は負ったが、従妹よ。まだ死んではおらんぞ」 彼は長椅子に寄り掛かり、歯を食いしばった。「そしておぬしがチャンピオンに小奇麗な指輪を皆預けた今、まともな戦いの訓練を受けたことがないことがはっきりした」 彼がブーツに手を伸ばすと、刃先の短いダガーが現れた。不恰好だが実用的なくさび形の刃先は、ギャスパードが最後の手段として用いる武器として、アカデミーにいた時分から身に着けていたものらしかった。「勝ち目があると思うか?」

 セリーンは彼女のダガーを回転させた。彼は彼女の不意をつき、その一撃は彼女の革鎧のおかげで弱められていたとはいえ痛烈だった。「望むところよ、ギャスパード。女帝にとってそんな仕事は相応しくないとはいえ、この手であなたを殺し、エルーヴィアンを手に入れてオーレイを奪還します」

「ブリアラ?」とミシェルが言うと、セリーンは後退してギャスパードから間合いを取り、肩越しに彼女を振り返った。
 ブリアラは、ルーンの迷宮を歩いていた。彼女の歩幅は短く、慎重であったが、捻じ曲がった紋様を進む足取りは確かだった。彼女はすでに半分ほど歩き終えていた。
「そんな馬鹿な! あれを持っていなければ・・・」

 ブリアラが彼女に無理やりキスを強いたのは、わずか数分前のことであった。片手は彼女の首の後ろに固く押し付けられ、もう一方の手はセリーンの腰を抱いていた。
 セリーンは、キーストーンのルビーを入れてあった腰の小袋に片手を伸ばした。そこにはなかった。

 ギャスパードが笑った。「まったく、あやつは油断も隙もない」
 セリーンは向きを変え、ブリアラに向かって走り出した。ブリアラが手に握りしめているルビーが見える。ブリアラはもうすぐ迷宮を歩き終わるところだった。
 セリーンは片手をあげ、彼女に飛びつこうとしたが、身体を押し退けようとするエナジーに打たれ、苦痛に叫びながら跳び退いた。迷宮の周縁のルーンが、怒りの赤色に輝いている。

「ブリアラ!」
 彼女は振り向かなかった。
 セリーンはダガーを掲げ、投擲の構えをした。「ブリア、お願い。こんなことをさせないで」
 そのとき、氷の波が彼女の脇に浴びせられ、後ずさりするセリーンは、冷たい痺れと、それに続く凍てつくような冷気に見舞われ、神経の通わなくなった手がダガーを取り落した。
「どうやら」とミーリスが言って、今は立ち上がって、別の一撃を放つべく、その杖を構えていた。「もう一度選択する気が起きたみたい」

 セリーンは感覚を取り戻そうとして腕をさすりながら、彼女を見て、それからフェラッサンを見た。
「ギャスパードのことばかり気にかけて」と彼女は言った。「あなたたちのことは気にもしていなかった」 
「気にするな」と彼は言った。「誰であってもやりがちなことだ」

 もはや打つ手はなく、とっておきの策略もなく、セリーンはブリアラが台座のところに歩み寄るのを見ているしかなかった。彼女がルビーをその上に置くと、身を屈め、他の誰の耳にも届かないように何かをつぶやいた。 
 彼女は頭をあげ、セリーンの凝視に目を合わせ、それからルビーの紅色の光が部屋中を包み込み、彼女は言った。「私は、オーレイのエルフたちのため、エルーヴィアンを手に入れる」

***

 紅色の光の波が、部屋中のエルーヴィアンを、少なくともしばらくの間目覚めさせた。すぐにその全てが働きをやめたが、ブリアラがそれらに歩み寄ると、中空に残るエナジーを、力の鳴動を感じることができた。彼女が選べば、それらは目覚めるのだ。

 ギャスパードとミシェルは傷の手当をしながら彼女を見ており、彼女が気が付いていないと思われるときを狙って盗み見ていた。彼女は彼らを無視した。ミーリスは公然と彼女を見つめている。
 魔法が彼女の身体に流れ込み、台座の前に立つと、涼し気な風による震えが、彼女の両腕の毛を逆立たせた。エルーヴィアンは、ひとつ残らず今や彼女のものとなり、彼女と彼女の民を、彼女の望むところどこにでも送る用意ができていた。それらを踏破するには時間がかかるだろうし、彼女の民を悩ませるだろう憑依された屍どもや古代の罠にも対処しなければならない。だが、それらの脅威はどうにかなる。
 そしてそれが済んだら、彼女は彼女の民を救うために必要な全てを手に入れたことになる。

「わたくしが彼らを解き放つつもりだったのに、ブリア」
 セリーンは数ペース離れたところに立っていた。ミーリスとフェラッサンが台座にもたれかかっているが、セリーンが近づくのを妨げようとしているわけではなかった。
「確かにそう言ったけど」とブリアラは言った。「自由は与えられるものじゃない。勝ち取るもの」
「その両方なのよ」 セリーンは首を振り、瞳から流れる涙を拭った。彼女は、ヴァル・ロヨーにいた頃に比べてずっと小さく見える。「ずっと長い間わたくしの側にいたのに、何もわかっていなかったのですか? 変化は慎重な計画と、妥協を通じて得られるものなのです」
「あなたは、私の両親を殺すことに妥協した

 頷くセリーンの瞳には涙が溢れ、ブリアラは、化粧もマスクもない彼女の頬に赤味が差すのを目にした。「わたくしは十六でした、ブリア。『ゲーム』はわたくしの母を殺し、その復讐を目論んだ父も死んだ。レディ・マンティロンに見どころがあることを示さなければ、わたくしも殺されていた。おそらく、あなたたちも皆わたくしと一緒に死んでいた!」

「だからそう決めたの?」とブリアラが尋ね、その声は平板だった。「他を救うため、一部は犠牲にするの?」 彼女にはわかっていた、セリーンがそれを認めるのを聞き、ブリアラが世界とその中の自分の居場所について知っていると思っていた全てのことが剥ぎ取られ、心が引きちぎられる思いをするときが訪れるのを。もちろん今も、心が痛んでいるには違いなく、ブリアラはこれから先、ずっと長い間、それに涙することになるのだ。それでもブリアラは、これまでの人生でもっとひどい痛みに耐えて来た。

「わたくしは・・・」 セリーンは目を逸らした。「わたくしの手は、あなたの家族の血で汚れている。わたくしがどうして決断したかなど、どうでもよいこと」
 原因こそ大事、フェラッサンはそう言った。ブリアラは彼が、ときとして正しいことを知っていた。だが今は違う。
「あなたは、レディ・マンティロンからすでに十分に認められていた。私が彼女を殺したときにすら、彼女はあなたを手助けした」 ブリアラがそう言うと、セリーンは驚いてはっとした。「彼女は私を道連れにできたのに、そうしなかった。それはきっと、私の両親にした仕打ちに罪の意識を感じていたからだとずっと思っていた。でもそれは、私があなたに忠誠を続けると言ったから。彼女はあなたが私を騙しているのを知っていて、そして彼女は望んでいなかった、自分を殺した相手に復讐するためであろうと、あなたの手から使える道具を奪うことを」
「あなたは道具なんかじゃない、ブリア」
「今はもう違う」 恐怖と興奮のときは消え去りつつあり、彼女は心の中に大きな暗闇がぽっかりと口を開けているのを感じていた。

「ミシェルとギャスパードは行った」とフェラッサンが言った。彼はエルーヴィアンのひとつの前に立っており、ブリアラが見ると、鏡は暗くなっていた。
 ブリアラは、彼らに安全な道のりを与えた。彼女はまるで自分の両手のようにエルーヴィアンを感じることができ、彼女はセリーンに、彼女が出て行くために用いる鏡を示した。それは完全な姿で、傷ついておらず、奇妙な震えとともに、ブリアラはそこから新鮮な空気を感じることができ、それはセリーンがそこから地下深い霊廟へ死の歩みを踏み出すわけではないことを意味した。

「あなたの番よ」 彼女はセリーンに言った。「どこに行きたいの?」
「ヴァル・ロヨー」 セリーンは苦い微笑みを浮かべた。「帝国を取り戻さなくてはならない」
 ヴァル・ロヨーに送ることもできた。ブリアラは魔法が身体を引き寄せるのを感じ、それが彼女の意図に従って歪むのを感じた。だがヴァル・ロヨーはまた、セリーンをこの戦争を素早く容易に終わらせる立場に置くことになる。
 ブリアラには、これ以上セリーンを手助けするつもりはなかった。
「さあ、どうぞ」と彼女は言って、さりげない嘘を隠すため頷いた。「大学の、文化のために戦って。私は、その目的を手助けするチャンピオンなどいない者たちのため戦う」

 セリーンは息を呑んだ。「わたくしは、この帝国を救うために戦う、ブリア。そしてわたくしは、その民がわたくしの愛を見出すことに喜びを感じるでしょう、たとえあなた抜きで暮らす間、わたくしの鼓動のひとつひとつが鳴るたびに胸を痛めることになるのだとしても」
 セリーンがひとりきりで鏡に歩み寄ると、静かに符牒を告げたブリアラがそれを目覚めさせた。
「私だって」 セリーンが姿を消した後、彼女はつぶやいた。

***

(追加)かなりあせっていたみたいで、二カ所くらい一、二センテンスすっ飛ばしていたところありました。追加しました。(追加終わり)

 フェンハレルの物語の二柱の神は、セリーンとギャスパードのことをコノートしていた。これはわかりましたよね。ご丁寧に男女の神になっているし。ま、フェラッサンがブリアラに悟らせようとした物語なので。

 ミシェルを生かしておかないと未練たらたらだったディーモン、イムシャエルがフェラッサンに一言告げられたら、突然納得して去って行った。フェラッサンが(心の中で)提示したのは、ブリアラのこの企みだったのでした。

 ブリアラの両親を含め、邸宅丸ごとの召使いたちを殺させたのはセリーンでした。
 これは最初に読んだときは、「お、やられた」と思いました。後半にはヒントが散りばめられているから、後から読めばなるほどと思うのですが。
 これが、この小説のセンター・アイデアですね。
 お気づきになった方はリアル・ウィズダム(英語ではtrue wisdomと言うらしい)が高いと思ってよいのではないでしょうか。 

 エピローグは、生き残った者たち、それぞれのその後の話。続けてやります。

(蛇足)

 ギャスパードがブリアラを指して言う「油断も隙もない」奴というときは、"dangerous"。
 ここで三度目の登場となり(実は今訳すまで見落としていた)、我ながらこの意訳ははまったなあ、と思いました。「危険な」が芸がなく、「物騒な」ではちょっと違う。

 セリーンがブリアラとの約束を「放っておく」、今はやりの"let it go"。
「ありのままに」は、さすが世界征服を狙うディズニー帝国、翻訳にお金かけてるなあ、と思った。翻訳家を山ほど雇って、ものすごい数のドラフト作らせてるんだろうなあ・・・。

 "Frosen"、今なら、SPNで吹き替え版を買えば英語版がただでついてきてとってもお得!
 まあ、いたいけなお子ちゃまに英語を叩きこめばなんとかなると思っている親御さんが買うんだろう。無理やり見せても役に立つとは思えないんだけど。英語の読み書きは与えられるものではなく、勝ち取るもの? いいえ、ゲームで愉しみながら覚えるものです。

2014年7月12日 (土)

【DAI】 E3 Demo Part Two: Redcliffe Castle

 パート2。

https://www.youtube.com/watch?v=fCGJACVoMPI

 レリアナが、カイリー・ミノーグみたいで素敵(笑)。似てる似てないってところよりも、年齢を重ねてぜんぜん違う容貌になってしまっているところが。

I_should_be_so_lucky_2
 DAO時点でこれが

Kylieminoguefever_2
 DAIのときはこんな感じになるわけで。

 パート2でも、(全体のヴィジュアルのパワーアップを除けば)やっぱDA2から驚くほど変わっているわけではない気がします。タクティカル・コンバットの工夫そのものは以前からあったわけだし、コンバットの細かい部分にはニヤリとさせられるところありますが(セラが弓を射ちながら位置を変えるのは、新しいかな)、基本はもうできあがっていたんですね。 

 レッドクリフ城は、またしても異形の集団に襲われることになった(笑)。襲われ癖がついたのかも。

 

 

 

2014年7月10日 (木)

The Masked Empire 17(4)

 死闘、その三。

***

「あそこで仕留めたと思っていたがな」 ギャスパードは、彼とミシェルが身体を引き離すとき、荒い息をした。 
 ミシェルは答えなかった。ギャスパードの言葉のせいで、先ほどは危うくやられるところだった。

 彼の腿からは血が流れ、熱く絶え間ない痛みが走り、彼は鎧の下に徐々に血が溜まっていくのがわかった。彼の目は、ギャスパードが盾を用いたなりふり構わない奇策のため、今でも燃えるような痛みを感じ、脇腹と、尻のすぐ上の傷とが、ずっと長い間彼の動きを損なわせていた。彼の腕は疼き、肺には息をするたびに刺すような痛みが走る。彼はそれが単純な疲労によるもので、自分が考えているよりも傷が深いわけではないことを祈った。

 彼は自分の迂闊さを呪った。彼はアカデミーに入学したての頃からこのかた、これほどまで自分がずさんであると思ったことはなかった。その頃、全ての訓練が脅威で、全ての稽古が、自分がまがい物で、庶民に過ぎないことを暴露する危険を帯びていた。
 ペテン師。
 

 ギャスパードが打ちかかってくると、それを受け止める代わりにミシェルも突進した。激突のため鎧が鳴り、お互いがふらついたが、ミシェルは脚を踏ん張り、勢いを失わず、片腕をあげるとギャスパードの中途半端な短い突きを腕甲でなぎ払い、それから剣の柄でギャスパードの面頬を打ち据えた。大公は後ずさり、ミシェルは大上段から振りを浴びせ、ギャスパードの盾もろとも長椅子の一つのほうに向けて弾き飛ばした。

 彼はアカデミーにいた頃、恐怖を怒りで紛らわしていた。稽古の最中に癇癪を起こし、激しく猛烈に戦い、他の訓練生たちに喧嘩を売った。彼の教官たちは、その怒りはごまかしであり、彼がしくじりを恐れているのだと考えていた。年を経るにつれ、彼らは彼を上等な武器に仕立て上げ、喧嘩っ早さを規律ある憤怒に叩き直し、彼はそれ以来の全ての戦いにおいて、それを失うことはなかった。

 ギャスパードは長椅子に飛び乗り、ミシェルを見下ろした。「かかってこい、サー・ミシェル」
 ミシェルは、高所にいる者に突進するほど間抜けではなかったが、待っていれば、長くても数分のうちに、傷のせいで立っていられなくなるだろう。そしてギャスパード、くそ野郎はそのことを知っていた。

 ミシェルは自分も長椅子の上に登り、そこから次の長椅子に飛び移った。にやりと笑うと、ギャスパードが彼にあわせて、長椅子から長椅子へ跳び移り、ミシェルのほうに近づいてきた。
 ふたつの長椅子は一ペースほどしか離れておらず、戦いを交えるには十分に近かった。彼らは、今は慎重に、身体の均衡を保ちながら一振りごと計るようにして剣を交えた。ギャスパードが別の長椅子に跳び移り、ミシェルもまたそれを追い、彼らは斬りつけ、かわし、受け止め、そしてお互いの力を見極めていた。

 ミシェルは、ギャスパードがまた跳び移ろうとするのを見て、自分も実際に跳びあがりながらその中空で、ギャスパードの跳躍は見せかけで、ミシェルが着地したところを待って打ちかかろうとしているのを見てとった。身体を捻じったミシェルは盾をぐいとひねって持ち上げ、着地し、それから即座に長椅子から跳び降り、前方に突進した。ギャスパードの一撃はミシェルの傷だらけの盾のてっぺんを刈り取るが、ミシェルは全身の力を乗せてまっすぐギャスパードに体当たりした。

 彼は、もう十年以上の長きにわたり、ヒューマンのあいのこ、街のエルフのガキではなかった。彼はサー・ミシェル・デ・シェヴィンだった。
 その少年の部分がまだ残っているのは、拭い去れない恐れ、見捨てられるのではないかという恐れ、ごみの中に隠れ、エイリアネイジで乱暴な冒険を繰り広げるシェヴァリエの目に触れないよう祈るときの怖れ、かつてそこから姿を消した少年のことは誰一人覚えていないことを確かめるため、市場のひとりひとりの顔を見ているときの怖れ。
 それと、怒り。

 ギャスパードが後ずさると、ミシェルは強烈な突き上げを食らわせてギャスパードの盾を払いのけ、それから蹴りを浴びせて、ギャスパードの身体を長椅子から弾き飛ばした。
 大公は背中から地面に倒れ、無理やり立ち上がろうとしたが、打ちかかったミシェルの焔の剣が彼の盾に突き刺さった。ギャスパードはミシェルの片足に斬りつけ、ミシェルはそれを防ぎつつ、再び大上段から剣を振り降ろし、それはギャスパードの盾の上を通り過ぎた。

 それはギャスパードの右の肩を捉えた。その部分の肩甲はすでに傷ついていたが、今度の一撃は残りの部分も剥ぎ取り、鎖骨の丁度横の部分を深々と斬りつけた。ギャスパードは声なき叫びをあげ、後ずさり、傷ついた腕を抑えつけた。
 彼はサー・ミシェル・デ・シェヴィン、女帝セリーンのチャンピオン。彼は、長椅子から跳び下り、まだよろめいているギャスパードのところに駆け寄る間、その言葉を一人ごちた。

 彼は盾でギャスパードの盾を払いのけ、それから突き刺した。
 そしてギャスパードは、実は見かけほど傷を負っておらず、長椅子の上に跳び乗り、着地した途端に盾を振り降ろし、鎧を身に着けたシェヴァリエの全体重をそれに乗せて、突き出された剣にのしかかった。

 彼は、ミシェルの剣の小さな傷、最良のシルヴァライトの剣であっても台無しにしてしまう、ほんの些細な欠陥に完璧に狙いを定めた。
 盾と大理石の間に挟まれ、ミシェルの剣は折れ、二つに割れる金属が悲鳴を上げた。
 ギャスパードは長椅子から跳び下りると、自らの剣を振りかざし、ミシェルは折れた剣の残りの部分を突き上げた。

 彼はギャスパードの胸板に残っていた長い傷を狙い、ぎざぎざのシルヴァライトが滑り、それを捉え、貫いた。
 大公ギャスパードはミシェルの上に降り立ち、ふたりは一緒に地面に転がり、それから横転して離れた。

「ああ、メイカー、今度こそ仕留めたと思ったが」 ギャスパードが言葉を吐き出し、ミシェルの剣を見下ろした。折れた剣ではあったが、ミシェルはそれをギャスパードの脇腹にほぼ柄元あたりまで埋め込んでいた。「おぬしの剣の傷を完璧にとらえたが。わしがおぬしの剣を見ていたように、おぬしが昨晩、わしの鎧に気が付いていないわけがなかった」
 ミシェルは思わず微笑んだ。「かつて偉大なシェヴァリエが教えてくれたとおり、名誉は妨げない、戦術を」
 ギャスパードは無理に笑い、その動きで顔をしかめた。「なぜそんな、年寄りの間抜けの話を真に受けたのだ?」
 ミシェルは膝をつき、彼の剣を、ギャスパードが呻くほど力をこめて引き抜き、それから立ち上がって大公を見下ろした。

 彼は剣を見て、それを投げ捨てると、地面に転がったままのギャスパードの剣を手にした。大公には苦しみのない死が相応しく、そしてミシェルは、自分のぎざぎざの剣でそれがかなうとは思えなかった。
 ギャスパードは彼がしていることを目にして、ミシェルが近づいてくると感謝を込めて頷いた。無理をして、大公は自分の手と膝で身体を回し、半身を押し上げ、膝をついて頭を高くもたげた姿勢を取った。「良く戦った、シェヴァリエ」
「貴方もです、シェヴァリエ」 ミシェルは剣を掲げた。

「サー・ミシェル!」 彼の背後から叫び声がして、ミシェルは振り向いた。
 それはブリアラだった。
「借りを返すときです」

 とてつもない恐怖の冷たい両手がミシェルの心臓を包み込んだとき、ブリアラが彼を見て頷いた。
「負けを認めて」

***

(色々書いていましたが、最後の台詞、"Yield."の意味違いました・・・。これは直に「降参しなさい」でないど、後に繋がらなかった。申し訳ない) 

 さて皆さま、謎は解けていますでしょうか? 原文読んだ方は黙ってましょうね。
 物語はクライマックスへ。

【DAI】ジョセフィーヌ

 なのか、ジョセフィンなのか。Josephine は、アンティヴァンのディプロマット、外交官だそうだ。

 (ここで「ヴィヴィアン」(Vivianne)と書いていたキャラクター。EA日本語では「ヴィヴィアンヌ」と書いてあった記憶がありますが、フランス語読みですよね。BioWareは英語読みじゃないの、と思っていたら レイドロウ氏はE3のデモの中で、いきなり「ヴィヴィアンヌ」と発音していた・・・(5:35)。 節操ないなあ。それに、彼の発音だと「サークル・オヴ・マジャイ」だし。

 公式的には、ヴィヴィアンヌ、ジョセフィーヌ、になるんでしょうかね?

 役割の予想は外れました。私はインクイジションのストロングホールド(砦)の家宰だと思っていた。

Josephine

 おおかた、ライスあたりをモデルにしてるんだろうか。
 同様のへっぽこ外交官にならなければいいのだが。 

 ライターはMass Effectチームで長くリアラを担当されていたSylvia Feketekutyさん。それなら興味がわくかもしれないと思ったが、この容貌が。
 んー、私は、パス。

 

【DAI】 E3 Demo Part One: The Hinterlands

 私も今見始めたところですが。E3デモ、パート1。

 プラットフォームはXOneですか? なかなか美麗ですね。

https://www.youtube.com/watch?v=WdXvFEEBZeo

 

 んー。ただマイク・レイドロウ氏が話しているからかもしれないが、ハイドラゴンとの戦いなど、本質的にはDA2とあんまし違わないような気がしてしまう。もちろん、ドラゴンの身体の各部位に「あたり判定」が別々に設定されたことなど、MHとかDDのパクリは目で見てわかりますが、

The Masked Empire 17(3)

 十七章は少し回数が増えます。今回を入れて後三回かな。

***

 ブリアラは戦いの趨勢が変わるのを見守っていた。ミシェルが優勢に見えたが、いつしか彼の全ての攻撃が敢え無く大きく逸れ、ギャスパードの攻撃はことごとく的を捉えた。
 彼女は以前にも戦いの趨勢が変わる様を見たことがある。彼女は、決闘者たちが卓抜したけん制や弱点を仄めかす手口で敵をおびき寄せる様子を目にしてきた。彼女は、負け戦の瀬戸際にありながら、最後に驚くべき力を振り絞って敵の不意を突く戦士たちを見て来た。
 これは違う。

 ミシェルがよろめきながら立ち上がり、その途端にまた別の一撃を鎧に受けた。彼は必死に受け流し、彼の鎧はギャスパードが次々と打ち付ける攻撃のため火花を散らした。
 ブリアラの傍らで、セリーンが拳を握りしめていた。彼女は鋭く息を呑んだ。
 もう一方では、ミーリスとリエンヌが静かに立っていた。
 ブリアラが気づいたのはそのときだった。
 彼女は向きを変え、彼女たちの傍らに歩み寄った。「やめなさい」と彼女は、声を荒げずに言った。
「何をやめろと?」 ミーリスは、彼女を見もせずに言った。

「ミシェルに呪いをかけている」 ブリアラはリエンヌにそう言い、相手は微笑んだが何も言わなかった。彼女はミーリスに言った。「そしてあなたはそれを隠している、魔法がもたらす輝きを覆い隠している」
「なんですって?」とセリーンが振り向き、リエンヌの微笑みを見たとき、ギャスパードに叫んだ。「ギャスパード! 今すぐやめさせなさい!」 ギャスパードとミシェルは剣を合わせていたが、ギャスパードはミシェルを荒々しく突き放し、セリーンのチャンピオンを再び長椅子の一つに激しく打ち付けた。

「聴こえやしないわ」とミーリスが言った。
「大公閣下は、少なくとも彼の知る限り、正々堂々勝つの」 リエンヌが依然微笑んだまま付け加えた。「そしてあなたが抗議する頃には、彼はあなたがただ負けを認めることのできない、名誉にもとる女だと思うのみ」
「フェラッサン」とセリーンが言った。「ふたりともやってしまって」

 フェラッサンの唇が歪んだが、彼が杖を掲げるや否や、ミーリスも自分の杖を掲げた。その先端は煤けた赤色に輝いている。「本当にやる気?」と彼女は尋ねた。彼女が微笑むと、顔の刺青が歪んだ。「リエンヌの呪いを覆い隠すため、私はこの場所丸ごとをエナジーで埋め尽くしている。お前がそのささやかな浄化の術を講じたら、その結果招いた爆発はヴェイルに大変な傷を負わせるでしょう。今度は、一体どんな奴がやってくるのかしら?」
お前にはわかっている」とブリアラが言った。「なぜなら、お前はそこからやってきたから、違う?」

 ミーリスはにやりと笑い、何も言わなかった。リエンヌは杖を掲げたまま、近い方にいるブリアラと、ギャスパードとミシェルの間に等しく注意を払っていた。
 貴族の娘、とブリアラは思った。才能はあっても訓練は知らず、溺愛する両親たちの手によってサークル送りを免れ、強行軍にも、その他の労苦にも不慣れ。彼女が弱点だ。彼女がきっかけだ。

「どうしてわかった、ダーレン?」 背後からフェラッサンが彼女に尋ねた。
何がわかったですって?」とセリーンが尋ねた。 
 ミシェルは剣を激しく振ったが、その攻撃はギャスパードの盾に敢え無く弾かれた。ギャスパードの反撃は金切り声をたてながら鎧を切り裂き、ミシェルの脇腹に突き刺さった。
「山ほどの些細なことから」とブリアラは言った。「野営地では、ミーリスは癒し手だったけど、真に腕の立つメイジの片鱗さえ見せず、杖の魔法を変えることができるだけの才能はなかった。以前は白かったのではなかったかしら?」

 リエンヌはミーリスの赤く輝く杖に目をやったが、それはそのような問いかけの後では誰しもしがちな自然な動きであり、とりわけ緊張に見舞われているときにはなおさらだった。彼女の注意が、ほんのわずかの間だけブリアラから逸れた。ブリアラの企みどおりだった。
 ブリアラは注意を招くことなく気軽な優雅さでもう一歩近づき、手にしたダガーをリエンヌの腹に滑らかに沈めた。
 若い貴族の女は喘ぎ、彼女の顔が死人のように蒼ざめ、そしてよろめいた。
「癒しの腕は確かなんでしょう、リエンヌ」 貴族の娘が崩れ落ちるのを、ブリアラは抱き留め、静かに地面に横たえた。「そうしようと思えば、自分のことも癒せるのでしょう。でも、自分を癒しながら、同時にミシェルを呪うことまでできると思う?」

 リエンヌは毒気を帯びた視線を彼女に浴びせ、苦痛にあえぐような息をした。「私が・・・お前を・・・殺してやる・・・、このナイフ耳の売女」 
 それは貴族の恫喝だった。ブリアラは、リエンヌの母親であるレディ・モンツィマードが料理にけちをつけ続け、とうとうシャトレインが鞭打ちを与えると召使いたちを脅す羽目になったことを覚えていた。リエンヌはそこから学んだのだろう。大声で喋り、召使いを脅しつけ、なんの仕返しも恐れることなく、自分の思うままの仕打ちを与えることができると知らしめる。
 だが、ふたりが今いるのはヴァル・ロヨーではなかった。

「あら、そう? じゃあ、あなたに慈悲を与えた私が間抜けだったということね?」とブリアラは尋ね、彼女の喉を掻き切った。
 それは決闘のためだったが、刃先が肌を切り裂くときに浮かんだ彼女の笑いの一部は、レディ・マンティロンの死に際を見つめ、この世に多少の正義がもたらされたときのものと同じだった。

 大理石の長椅子の間で、ギャスパードの剣が振り降ろされたが、今度はミシェルの盾がそれを真っ向から受け止め、突き出されたミシェルの剣がギャスパードの兜をかすめた。大公はたじろいで後ずさり、ミシェルが立ち上がると、血だらけだが生き生きとして、再び全力で戦いはじめた。
「ミシェルは生かしておかない」 ミーリスが杖を掲げた。
「それはお前の選択でしょう」とブリアラが言った。「イムシャエル

 ミーリスは動きを止め、セリーンはブリアラに疑いの目を向けた。フェラッサンが頷く。
「言ったように」 彼女は、つい先ほど貴族の女を殺したばかりではないかのように話し続けたが、彼女の心が驚くべきほど平静なため、思考はまるで巨大なドワーフのパズルに水晶の欠片が次々と嵌められていくように感じられた。「お前の魔法への理解は以前より増し、ただのデーリッシュの癒し手が知りようもないほどの知識を踏まえて魔法について語った。そして今、ミシェルとギャスパードの心を曇らせて私たちの姿が見えないようにしているのは、一番はじめに、あのディーモンがミシェルを誘惑して、石の輪の中に連れ出したときと同じこと。そもそも、もしお前が言った通り、イムシャエルが一族の他の者を皆殺しにしたのだとしたら、どうしてひとりのデーリッシュの娘だけ命を救ったのだろうと疑問に思っていた」

「なぜなら、彼女が選択をなしたから」とフェラッサンが言った。「彼女はイムシャエルを一族のただ中に解き放ったミシェルへの復讐を望み、それを実現するために、自分自身が憑依されることに同意した」
 セリーンは嫌悪に満ちた顔でミーリスを見た。「ディーモンに憑依された?」
「スピリット」とミーリスが正し、自分で思わずそう口にしたことに気が付いて、くすくす笑った。彼女が再び話し出したとき、彼女の声は深まり、あの輪の中に立っていた男のものになった。「ああ、つまらん。君も見かけよりは多少狡猾だと思っていたが。そのとおりだ、女帝よ、私はこの若きミーリスと一緒に動き回れるようになる見返りに、彼女にちょっとした力を与えることを申し出た」 ミーリスの身体の中の存在が微笑んだ。「そのどれもが、私があの厚かましいサー・ミシェルをたった今殺し、取引きした約束を果たすべきではないことの説明にはならない」

 ミシェルとギャスパードは再び真剣にぶつかり合い、ふたりの剣の達人が手を変え品を変え繰り出す二振りの剣の音が鳴り響いたが、ブリアラは無視した。ミシェルの命と彼女の企ては、彼女がどれだけ早く考えを巡らすかにかかっている。

「前にも彼を殺すことはできた、最初に戦ったときに。でもそうしなかった。なぜ?」
「なぜなら、ミーリスが選択しなければならなかったからだ」 フェラッサンが答えると、ディーモンは面白そうに微笑んで、彼の方を向いた。「そいつはミーリスに、私たちに殺されるのを覚悟で攻撃するか、それとも身を引いたまま休戦に従うか、その選択を与えた。彼女は従うほうを選択した
「では、彼女は選択をなした」とブリアラが言って、イムシャエルを見た。「それでお前は取引きどおりに約束を果たした」

 ディーモンは肩をすくめた。「かもしれん、娘よ。だが、君と君の可愛い女帝がエルーヴィアンを手に入れたら、どうするつもりだ? 私が望むのは、この世界を旅し、自暴自棄になるあまり衝動にかられる者たちを弄ぶことだけだ。君の帝国は私に何を手渡すのだ、ギャスパードからは手に入らない何を?」

「わたくしはエルフたちを解き放つ」とセリーンが言った。「その混沌、その機会に思いを馳せるがよい。力の均衡が・・・」
「慎重に維持されるのをか、いつものように」 ディーモンは見透かしたような視線をセリーンに送った。「君は準備が整ってから、安全になってからエルフを解き放つ。君が私に与えるのは上品な晩餐だ」と彼は言い、ミーリスの杖を所在なさげに振り動かした。「ところが私が欲しているのは、飢えた者が素手のままでがつがつと食らいつくような暴食だ。エルフたち、テンプラーたち、メイジたち・・・、彼らは何千もの者たちを殺すかもしれないが、それは炎と剣によるものに過ぎない。炎と剣はつまらん」 彼の瞳が輝いた。「この素晴らしき世界には、もっと数多くの事柄があり、人の度量を示すもっと数多くの方法がある」

「お前にわたくしの帝国を脅かさせはしない」とセリーンが冷たい声で言った。「お前を野放しにすることで、わたくしの民を危険に曝すくらいなら、わたくしはギャスパードの剣先に身を投げるでしょう」 
 イムシャエルは驚いて彼女を見た。「本当にそうする気だな? そして私は、君が玉座以上に重きを置いているものは何一つないと考えていた」

「まあ、確かに言う通りだ」とフェラッサンが言った。「炎と剣は確かにつまらん。だが、より大きな何かが訪れるとしたらどうだ?」
「言うがよい、ゆっくりした矢」とディーモンが言った。「一体、君に何ができるのだ、汗まみれの定命の者たちが渇望し、しがみつき、血を流し、その命を無駄にしてきた間に、君と私はあらゆることを何百回となく目にしてきたではないか?」
 フェラッサンは何も言わず、ただ微笑み、その顔中の刺青が歪んだ。
「なんとまあ」 イムシャエルは息を吐いた。「それは約束か?」 
「まあ、私はむしろ脅しのつもりだったのだが」

 イムシャエルは、彼をおぼつかなげに見るセリーンの方を向いた。「女帝よ」と彼は言った。「君の幸運を心から祈ろう。きっとそれが必要になるだろう。何が起きようとも、この先しばらくの間、オーレイがとてつもなく刺激的な場所になるには違いないのだから」
 そしてミーリスの身体の回りに光が輝き、彼女は膝から崩れ落ち、杖の輝きが氷のような白い色に戻った。しばらくの間、煙のような姿、彼女の身体に纏わりつく靄がミーリスを取り巻き、それからそれが壁の鏡のひとつに向かって矢のように部屋を横切り、その鏡がまばゆい赤色に燃え上がり、それから再び働きをやめて動きのない澱みに戻り、ディーモンが去って行った。

 ギャスパードとミシェルがお互いの身体を離し、ふたりともリエンヌとミーリスのほうに一瞥を加えた。そして言葉を発することなく、彼らは戦いに戻った。
 ブリアラはルーンの迷宮を見た。その紋様は複雑だが、セリーンとミシェルが見えないと言っていたそれが、ブリアラの目にははっきりと見えた。
 次に彼女がセリーンを見やると、彼女は優し気な頷きを返し、再び決闘に目を向けた。
 そして最後に、彼女はフェラッサンを、木に縛られたフェンハレルの物語を彼女に教えてくれた彼のほうを見た。

*** 

 ここはなかなか面白く、気に入っている場面ですが・・・。まだ決闘が終わっていない。
 話が非常に込み入っているので、別のときにしましょう。

2014年7月 9日 (水)

The Masked Empire 17(2)

 決闘の開始。

***

 お互い合意のうえで、ミシェルとギャスパードはヴァーテラルと戦った場所から離れたところで決闘をはじめることにした。散らばる瓦礫は滑りやすく、ミシェルもギャスパードも、岩に足をとられるような恥ずべき形で決着をつけることは望まなかった。

 大広間の大きなすり鉢の底近くでは、迷宮の入り組んだルーンが平らな部分の大半を覆っていた。しかしながら、ルーンの輪の外縁と大理石の長椅子の一番先頭の列の間には、おおよそ幅十ペースほどの開けた場所があった。ミシェルが見たところ、迷宮のほうに向かって僅かに傾斜していたが、足で踏んでみると、戦いの構えにさほど影響を及ぼすほどではなかった。

 長椅子の列は彼の左手にある。ルーンの輪の縁は右手だ。ルーンの輪の丁度前には、他の者たちが立っていた。リエンヌとミーリス、セリーンとブリアラ、そしてフェラッサンは彼女たち皆より少し離れたところに。

 彼の前には大公ギャスパードが立っていた。彼の盾はミシェルのものと同様、依然酸で爛れたままで、彼の鎧には、彼があれほど必死に消し去ろうとしていた引っ掻き傷の跡が残っていた。ミシェルが正確に狙えば、その傷を剣で貫くことができるだろうし、そしてミシェルの打撃は弾かれることなく、多少容易に盾を捉えることができるだろう。

 彼は以前にもシェヴァリエたちと戦ったことがあるが、それは名誉ある決闘のときもあれば、セリーンの不興を買った者たちとの戦いのときもあった。それらは、このエルフの遺跡に足を踏み入れるまでではあったとはいえ、彼の戦歴の中でもっとも困難な戦いであったが、同時にまたもっとも単純な戦いでもあった。

 彼らは皆アカデミーの訓練を受けていた。彼らは同じ稽古を、同じ技術を知っており、同じ教えを学んでいた。不意打ちはなかった。戦いは、より真剣に訓練を重ねて来た者が勝った。
 そしてそれは常にミシェルだった。

 ミシェルが剣を抜くと、焔がその刃に揺らめき、そして流れた。ギャスパードは焔に気づいて微笑み、彼の剣を抜いた。「不名誉の前に死を、サー・ミシェル」
「不名誉の前に死を、サー・ギャスパード」 ここでは、そしてただここでは、シェヴァリエの身分こそが、他のどの身分よりも重んじられる。

 彼らは剣を捧げて敬礼した。
 それから彼らは動き出した。
 ギャスパードは盾を高く構えて動いた。ミシェルはそれに一撃を浴びせ、低く突き出されるギャスパードの剣を後ずさりしてかわした。その剣に盾を振り降ろして弾き、肩から体当たりしてギャスパードの盾を脇に逸らすと、上段から斬りかかった。
 ギャスパードのほうが間一髪早く、大公が身をかわすとき、ミシェルの刃先の焔がギャスパードの兜の羽根飾りを舐めた。
 盾同士がぶつかり合い、ふたりの身体が押し合い、そして離れ、円を描くように動いた。

 ギャスパードがにやりと笑い、その口ひげが歪み、それから上段の逆手打ちを打ち込んできたが、ミシェルはあっさりと受け流した。即座にギャスパードが再び打ち込んでくるのを受け流そうとしたとき、ミシェルはそれがけん制であることに気付き、代わりに身体の向きを変え、突然逆向きに繰り出された下段の突きに盾の正面を当て、片足を貫かれるところを防いだ。ギャスパードの盾が横腹に叩き付けられたが、彼はそれを無視し、低い蹴りでギャスパードの片膝の裏を打った。

「くそ」 大公が足を滑らすと、ミシェルは身体を回して離れ、踏み込み、踵で向きを変え、次に身体を回し、逆手の一撃に全身の体重を乗せた。ギャスパードは盾を掲げたが、焔の剣は酸で弱った金属を切り取り、ギャスパードの鎧の胸板、丁度肩の下の部分に叩きつけられた。
「はっ、見切れていたものを」 大公は後ろによろめき、顔をしかめ、身体を素早く回転させるにあわせ剣を振り回し、ミシェルが追い打ちをかけるのを防いだ。その動きの最後に、彼はしかめ面で頷き、再び剣を捧げた。「おぬしはあっぱれなチャンピオンだ」

 ミシェルが戦いの間に口を開くことはめったになかった。それは常に気を散らせるものだと彼は思っており、そうする者たちは、自信をひけらかそうとする間抜けか、言葉を別の武器として用いようとするずる賢い者だと考えていた。

 ギャスパードが、激しい振りで再び打ち込んできた。ミシェルは盾で受け止めたが、ギャスパードが身体を押し付け、ミシェルに反撃の暇を与えなかった。盾同士がぶつかり、ギャスパードはさらに近くに踏み込んで、踵でミシェルの足を踏むと、乱暴に押しやった。

 アカデミーの訓練生たちの多くは、その動きによって背中から地面に押し倒され、喉に剣を押し付けられる羽目になった。ミシェルは片膝をつき、押し倒す力を頭上に逸らし、それから高い突きを繰り出した。再び金属が悲鳴をあげる音とともに、彼の焔の剣がギャスパードの鎧を切り裂き、こんどは大公の肩甲の半分を切り落とした。
 ミシェルは、間違いなくギャスパードに、たとえ致命傷ではないとしても、戦いを続けることができないほどの深手を負わせた手ごたえを感じ、大公はよろめき後ずさった。 

 その瞬間、ミシェルは大公のことを見損なっていたことに気が付いた。いくらかの貴族は、ほんの最小限の訓練のみをこなし、シェヴァリエの黄色の羽根飾りを手にした後は学んだことを忘れてしまうのだが、ミシェルはギャスパードが、戦いのための最良の状態をずっと維持してきていたと思いこんでいた。彼は長く続く戦いの過酷さには不慣れだったのかもしれず、あるいは優れた鎧にあまりに頼りすぎていたのかもしれない。どちらにしろ、決闘は終わった。

 ミシェルは立ち、戦いを終える慈悲の一撃を与えるため身構えた。
 その瞬間、ギャスパードのよろめいていた身体がくるりと一回転し、大公の片足のブーツがミシェルの胸板を蹴り上げた。
 ミシェルは、ふらつき後ずさりする間にも盾を掲げ、続く追撃を逸らした。だが、ミシェルが当然次には突進が来ると予想している間にも、盾でしのぐはずだった一撃は、彼の守りの斜め上に逸れた。かぎ形を描くような繊細な剣の動きで、ギャスパードは鎧の腿当てを貫いてミシェルの腿を鮮やかに切り裂いた。
 あるいは彼は、ギャスパードのことを見損なってなどいなかったのかもしれない。 

 彼は依然としてよろめき、足全体に走る熱いナイフで切られたような痛みのため、危うく地面に倒れそうになった。彼は自分を奮い立たせて剣を振り降ろしたが、ギャスパードは横跳びしてその一撃をあっさりかわした。力を込める唸り声をあげると、大公は、ぎざぎざになって依然くすぶり続けている盾の上端をミシェルの面頬に打ち付けた。

 目もくらむような痛みがミシェルの目を襲い、彼は本能的に跳び退ったが、次の一撃は彼の盾を貫いて、鎧の胸板を切り裂いた。それが当たったのは丁度腿の上の部分の、あのデーリッシュの戦がしらがまぐれで彼の鎧を貫いたところであり、ミシェルはのけぞり、再び胸板に打ちつけられた蹴りの強烈な威力を感じると同時に倒れた。

 背中を何か固いものに打ち付けられたミシェルの鎧は、きしむような悲鳴を上げた。それは大理石の長椅子だった。彼は方向を見失い、心の中に描いていた戦場の位置関係もわからなくなったが、かつての訓練では、それは鞭打ちの罰を受けるべき過ちだった。彼は無理やり目を見開き、何もかもが赤い幕を通して見える熱さと痛みのため激しく瞬きした。まだ目は見えた。面頬が打撃のほとんどを受け止めていた。彼はギャスパードがとどめの一撃を繰り出そうとしている姿を見た。

 彼は盾を掲げ、一撃を逸らし、代わりに胸板にまたもう一度蹴りを、肺の息を根こそぎ吐き出させるような痛打を浴びた。次の一撃で盾が脇に弾かれ、彼がそれと一緒に身体を横転させると、さらなる一撃は、彼がさっきまで寄り掛かっていた大理石の長椅子から石の固まりを削り取った。

 痛みに翳む視界の中、ミシェルはギャスパードを見た。
 大公は再びにやりと笑い、勝利を確信しており、ミシェルはその男の見通しに異を唱えることはできなかった。

*** 

 "Death before dishonor"は決まり文句のようですね。不名誉のそしりを受けるくらいならその前に死ぬ、という意味。

 続きます。

2014年7月 7日 (月)

The Masked Empire 17(1)

 最終章。ここまで読まれた方には(ごくわずかでしょうが)感謝します。要約とか面倒くさくなってきたので、ここからベタで。

***

 胸の鼓動の高まりは激しかったが、セリーンは、氷のような冷静さをギャスパードに見せつけながら立っていた。「わたくしのチャンピオンが負傷しており、あなたは癒し手によって完璧な状態を保っている今このとき、戦いをはじめるというのですか?」

 ギャスパードは笑い、その声太い高笑いは、独特の美しさを保つ大広間の壁の中にこだました。「セリーン、もしわしがそうするつもりだったなら、リエンヌにおぬしのエルフの手当てを命じたりしなかっただろう。メイカーズ・ブレス、わしがただ単に、ああまで強く押し退けなければ、あの娘はあの忌々しい化け物の下敷きになって死んでおった」 彼は死んだヴァーテラルのほうを身振りで示した。

 セリーンは息を止めた。あの巨大な生き物が襲いかかったとき、彼女の心臓は一瞬とまった。彼女はできうる限りのことをしたが、自分自身を餌にして化け物の気を引き付け、まかり間違えば殺されてしまう危険を冒すことだけはできなかったし、自分の愛する女性の姿が化け物の爪の下に消え去る様子をただ見守るしかなかったことは、一生忘れることができないだろう。「では、裏切りは企んでいないのですね、これまですでになしたもの以外は?」

 ギャスパードはため息をつき、首を振った。「そのほうが楽だったろう。そして地上の誰ひとり知る由もないのだから」 それから彼は微笑んだ。「だが、わし自身が知ることになる。そしてわしは誓いを立てた身。よって、わしらは名誉にかけてこの決着をつけるのだ、セリーン」
「あなたがわたくしのチャンピオンと対決することによって?」とセリーンが尋ねた。「そして魔法は、おのおの身に着けているもの以外は用いずに?」 彼女は、敢えて強調するためリエンヌを見た。

 オーレイの正式な決闘では、持ち込む装備の種類、許容される魔法、そして用いられる戦いの方法についてまで決まりがあった。この地下の穴倉の中には決闘用の剣がない以上、セリーンが望みうるのは、リエンヌがその魔法でギャスパードを強化したり、ミシェルを呪ったりすることがないよう、確かにすることのみだ。

「それでよかろう」とギャスパードが頷いた。「そしてわしが勝てば、おぬしのエルフたちに害は加えないとさえ、ここで誓おう」
 セリーンは、ブリアラが彼に力ない笑顔を送るのを目にし、まるで恋人を取られたかのように怒りがこみあげて来るのを感じた。「あなたが勝てば、わたくしは死ぬわけですから、あなたがナイフ耳と呼ぶ者たちへの誓いを守るなど、到底信じがたいこと」

 ギャスパードは肩をすくめた。「どうとでも受け取るがよい、セリーン。サー・ミシェル、リエンヌの癒しが必要なら、ぜひ申し出られよ」 彼は死んだヴァーテラルのほうを振り返り、顔をしかめた。「あのような不気味な怪物に危うく食われるところだったのだ、まさか必要ないなどということはあるまいな」
「かたじけない」とミシェルが言った。「ご厚誼に預かります」

「そしてわしのほうは、しばらくの間、あの化け物の忌々しい酸を鎧と盾からこすり落とすことにする」 ギャスパードはミシェルに頷き、やや距離をおいて、まだいくつかの長椅子が壊れず残っていた別の場所に引き取った。ミーリスが彼に付き従い、依然首を振りながら用心深く歩を進めた。リエンヌはとどまり、しばらくの間その輝く両手をミシェルの身体にかざし、それから後に続いた。

 ギャスパードも、彼に忠実な者たちも聞き耳を立てることのできないところに去った後、セリーンは長椅子に再び腰を下ろした。今、寝台で眠ることができるなら、帝国の半分でもくれてやったことだろう。「そして全てが、たった一度の戦いにかかっている」と彼女はつぶやいた。
 『ゲーム』。彼女の全ての業績。何年にもわたって異なる派閥からの忠誠を集め、セダス大陸最大の帝国を文明化の時代に導こうと努めてきて、そのあげく、今この地中深いエルフの墓地の中のたった一度の戦いで全てが決する。
「ミシェル」と彼女が優しく言うと、彼が近寄ってきた。ブリアラとフェラッサンも近寄ったが、この瞬間は彼女と彼女のチャンピオンのためのものだとわきまえ、少し離れたところに立った。 

「女帝陛下」 彼はお辞儀した。
 彼女は気を強く持った。「彼に勝てますか?」
 彼は背筋を伸ばした。「彼はシェヴァリエです、女帝陛下。十分に訓練を積み、優れた装備に身を固め、そして死を賭して戦う覚悟です」 彼は息を継いだ。「しかし拙者は、彼に勝つことができ、勝つつもりです」
 セリーンは、自分でも止めていたことに気付かなかった息を吐き、そして微笑んだ。「そして勝てそうになかったとしたら、それを認めたのでしょうか、ミシェル?」
「認めんでしょうな、陛下」 彼は微笑んだ。「しかし、拙者がその言葉に偽りなき男であると、是が非でも示してご覧にいれましょう」
「示すまでもありません。そしてわたくしが玉座を取り戻したなら、それはあなたのおかげです、わたくしのチャンピオン」
「滅相もない」 彼は微笑んだまま首を振った。「玉座にお戻りになられたなら、それはご自身のお力によるものです、陛下。死者たちの鎧を身に纏い、敵なすものの喉を掻き切る姿を目にした者が、陛下が統治者として相応しいお方であることに疑いを挟むことなどありえない」
「ありがとう、ミシェル。武運を」 彼は再びお辞儀をし、数ペース離れたところまで行くと、両肩を回し、両腕を伸ばした。

 セリーンが振り返って見ると、ブリアラとフェラッサンがまだ近くに立っていて、彼女が何か言うのを待っていた。「フェラッサン」と彼女は言った。「ギャスパードは名誉ある決闘を行うことに同意しましたが、ハラムシラルでわたくしを最初に襲ったとき、あれは裏切りでした。彼を信じるわけにはいきません。彼のアポステイト、あの娘リエンヌは、戦士たちに力を貸し与え、敵を弱める魔法を用います」

「そうですな」 フェラッサンは、リエンヌが今はギャスパードの手当てをしているほうを見た。「クリエイションの魔法。彼女の治癒の力と似たようなもの」
「それとも、あなたが身に着けている指輪のようなもの」とブリアラが言った。「レディ・マンティロンがあなたに贈ったもの」
 彼女の声は強張っていた。セリーンは、彼女がまだ傷の痛みに堪えているに違いないことに気が付いた。「そう、黒き狼の指輪も似たような魔力を有しているのでしょう」 彼女は自分の指の古い指輪をくるくると回した。
「実を言えば・・・」 フェラッサンが言いかけ、肩をすくめた。「まあいい、似たようなものだ。しかしながら、彼女の呪いの技・・・、敵を弱める技こそ、君が気に病むべきものだ。あの娘はやたらと腕がたつ」
「もし彼女が試みたら」とセリーンが尋ねた。「阻止できますか?」

 フェラッサンは頷いた。「できるでしょう」 彼は首をかしげて、面白そうににセリーンを見た。「私が、ミシェルに力を貸す魔法を使えるなら、あるいはギャスパードを呪うことができるなら、君はそれを使うよう望んだのだろうか?」
「ミシェルはギャスパードに勝てると言いました」とセリーンは言った。「彼の自信を信じましょう」 フェラッサンはかすかに微笑んで頷き、それから歩み去った。

 そしてセリーンとブリアラだけが残った。彼女は片手を差し出し、ほんの少し躊躇した後、ブリアラはそれを取って腰を下ろした。彼女の鎧は化け物に切り裂かれたまま身体に引っかかっており、その下の彼女の衣服は引き裂かれ、血だらけだった。

「あの化け物が・・・」 セリーンの言葉は途切れた。「危うくあなたを喪うところでした」 彼女の目前にはまだ、化け物が彼女の上に立ち、今まさに襲い掛かろうとしている様子が見えた。彼女の目前にはまだ、ブリアラが射かけ、巨大な化け物の怒りを大胆にも真っ向から浴びている姿が見え、その間セリーンは、激しい動悸に見舞われながら、ただ立って見つめているだけで、ヴァーテラルが自分のほうに倒れかかってくる危険を冒すことなく手助けすることもできなかった。

 ブリアラの手がセリーンの手の中で強張ったが、彼女は顔をあげなかった。「それでも、私はここにこうしている」
「あと少しです、愛しい人」 セリーンが囁いた。彼女はディーモンから受け取ったキーストーン、子供の拳ほどの大きさのルビーを取り出し、しばらく握りしめた。「ギャスパードが死んだら、わたくしたちはエルーヴィアンを手に入れる。それらを用いて、わたくしたちはオーレイを手に入れる。そしてそれによって」 彼女は後を続けた。「わたくしたちは、あなたの民に新しい生活をもたらす」 それがどれだけかかったとしても、エルフたち自身の安全と、オーレイの安全のために。 

 ブリアラは頭を下げ、その瞳から一筋の涙が流れ落ちた。「そんな素晴らしい贈り物を私に」 彼女の指はまだセリーンの指に絡めてあり、セリーンの指輪を弄んでいた。「贈り物・・・、レディ・マンティロンは、これをいつあなたに?」

 セリーンは手を離した。彼女はキーストーンを腰の小袋の中に仕舞い込み、それから片手を掲げ、彼女が決して目で追うことができないほど謎めいた形に縒り合されたパズルの指輪を見た。「本当に、よく覚えていないの。父が死んだ後で、わたくしは一人ぼっちだった。彼女が憐みを感じたに違いない、宮廷の孤児であるわたくしに。ああ、思い出したわ、彼女はこの指輪が、わたくしがいつも抜け目なく振る舞うために役立つだろうと言った、いずれ必要になるだろうと」
 ほろ苦い物語。また別の人生では、それが真実でさえあったかもしれない。

 ブリアラは頷き、また一筋の涙を流し、それは彼女の足を覆う青いドレイクスキンの鎧の上で弾けた。「確かに必要だった」 彼女はセリーンを見上げ、瞳を潤ませながらも微笑んだ。「あなたが抜け目のなさを失うなんて考えられなかった。それがいつも愛していた理由のひとつ」

 彼女は身体を近付け、驚くべき力でセリーンを引き寄せてキスをした。彼女の柔らかい唇は今は荒々しく、ブリアラがセリーンの顎から喉にかけて唇を滑らす息は熱かった。ブリアラは強い腕の力でセリーンを包み込み、セリーンがキスを返すときには近くに引き寄せ、両手でセリーンを固く抱きしめ、セリーンの首と腰を支えていた。
「このことは決して忘れない」 ブリアラが囁き、身体を離した。「ギャスパードに返さなくてはいけないものがある」
 彼女は立ち上がり、今はぼろぼろになっている鎧を照れくさそうに両手で引き下げ、戦いの後まだ立ち直れずにいることを示すように、足を引きずり、疲れ切った様子で立ち去った。

 しばらくして、セリーンはミシェルのところに出向いた。「支度は済みましたか?」
「むろんです、陛下」 彼は以前より力強く、再びくつろいでいるように見え、息遣いは穏やかだったが、ただその鎧はへこみ、酸で爛れたままだった。セリーンは、ギャスパードの鎧もまたさほど違わない姿であることを祈った。

「ならば受け取りなさい」 彼女は二つの指輪を差し出した。「あなたとギャスパードの戦いでは、最良の武器と魔力を有した装備を用いることが認められています。身に着けることのできる全てのものを用いるのは、不名誉なことではありません」
 しばし躊躇した後、ミシェルは頷いた。「稽古用の剣で打ち合うわけではありませんからな」と彼は言い、上質のシルヴァライトの剣を掲げ、素早く回した。ルビーの指輪を小指にはめると、刃全体にたちまち焔が踊った。彼はレディ・マンティロンの贈り物の指輪を別の指にはめると、瞬きして、その重さを確かめた。

 それから彼は、へこみと傷だらけの盾を手にした。「かたじけなく存じます、陛下。命あればいつでも」
「あなたはシェヴァリエであり、サー・ミシェル、そしてわたくしのチャンピオンです。わたくしのために勝利を」
 彼女がギャスパードのほうを向くと、彼もまたオーレイの運命を決する戦いの備えを終えていた。

***

 続きます。

【DAI】コンパニオン、アドヴァイザー

 EA公式(英語版)のほうでは、コンパニオン(含むアドヴァイザー)ほぼ出そろったのかな?

 いずれ日本語版に訳されるでしょうから、ここご覧になっていても、いつまでたってもグチとか感想しか書きませんけど。最近やたらアクセスが増えていてうれしいけど、The Masked EmpireやAsunderをお読みになっている人はほとんどいないと推量されるので、老婆心ながら。

 インクイジション集合写真に登場しているキャラクターで言えば、あとは、(コンパニオン・アドヴァイザーではないだろうモリガンなどは除いて)「スクライブ」とされているまだ名前のわからない女性ひとりかな。きっと彼女は、ストロングホールド(砦)の家政(家宰)役だろうと思っているのですが・・・。過去のBioWare作品にはだいたいそういう役目のキャラクターが配置されていたので。

 そうなると興味の対象は、小説"Asunder"、"The Masked Empire"の登場人物が、どのように扱われるかですが、後者は小説紹介記事のほうもまだ終わっていないので、端的に言えば最後に誰が生き残るか、まだここに書くわけにはいかない(EA公式でカンペキにばらされた人物もいるのですが・・・)。

 DAシリーズでは、コミックは(ヴィデオゲームに影響を及ぼさない)外伝扱い、小説とアニメ映画は(本編に影響を与える)正史扱い、とされているので、小説からゲーム本編に登場したキャラクターを見てみましょう。
 アニメ映画からは、もちろんカッサンドラがDA2重要人物、DAIコンパニオンとして再登場します。

 The Stolen Throne 
 後のコンパニオン:(はっきり明記されてはいないが)シェイル
 重要人物: ローゲイン、ケイラン、アノーラ(生誕している)、イーモンなど 

 The Calling 
 後のコンパニオン:なし(フィオナの息子はアリスターではないとされた)
 重要人物: ダンカン、ウーサ、ジ・アーキテクトなど
 (残念ながら、ウォーデン/グランド・エンチャンター・フィオナは本編に登場していない)

 Asunder
  後のコンパニオン: コール
 重要人物: ?

 The Masked Empire:
 後のコンパニオン: ?(DAIでは、なし)
 重要人物: ?  

 DAIの全容がはっきりしない現時点では、表にするほどでもない! 先に気づけよ・・・。
 とはいえ、小説版から本編の「コンパニオン」になった例は稀である、と言いたかったのも事実。シェイルはともかくとして、コールが事実上「初」と言っていい。(ダンカンはDAOで一度もパーティーに入っていない)

 今後も小説から登場するとしたら、コンパニオン以外の役回りと考えたほうがいいでしょう。
(ゲーム本編に登場して、次に小説に登場したケース、レリアナやディヴァイン:ジャスティニアなどは除く)

 なお、「フィオナの息子がアリスターではない」、となってしまったのは、ライターであるゲイダーさんの単純な(時系列的矛盾を招いた)ミスのせいで、本来はそのつもりだったはずです。

 ま、それでもフィオナはグランド・エンチャンターとして登場するのかなあ。アリスターと共演するような事態(アリスターがまだいる場合)になったら、楽屋落ちネタでもありそうです。

 The Masked Empireからはあの人かなあ。

 なにしろ疑似オープン・ワールドRPGと銘打っているわけだから、DAO、DAOA、DA2のコンパニオンたちは(生き残っていれば、生き残っている可能性があれば、DA Keepのアプリで生き残っていることにしちゃえば)、ほとんど全員出てくるんじゃないか、と期待したいのですが、甘いかな? 

 ベサニー・・・。(プレイヤーによって顔が違う場合あるから無理かあ)
 エヴァンジェリン・・・。
 (自分の趣味で牽強付会してるだけじゃん)

2014年7月 6日 (日)

The Masked Empire 16(3)

 第十六章ラスト。

***

 セリーンを押しやってどかすと、ミシェルは掴みかかる爪に打ちかかり、化け物の腕に必死に斬りつけた。攻撃はヴァーテラルの石のような肌を削り取ったが、化け物はミシェルを掴み、シェヴァリエの身体を苦も無く地面から持ち上げた。
 牙の生えた口蓋を大きく開き、ミシェルがうめき声をあげる間にも、ヴァーテラルは彼を顎の近くに引き寄せた。
 だが、下から叫び声が聞こえると、そいつは動きを止めた。「戦いなさい、チャンピオン!」
 オーレイの女帝セリーンはヴァーテラルの脚の下に飛び込み、跳ね上がり、化け物の膝の内側を蹴ると、両手のダガーを再び下腹に埋めた。

 ブリアラはセリーンを信じており、ふたりが子供の頃からずっと愛していたが、彼女が自分に仕える者のために命を懸ける姿を目にするなどとは、夢にも思っていなかった。
 苦痛の叫びをあげ、ヴァーテラルはミシェルを地面に放り投げた。彼は地面に叩き付けられてうめき声をあげたが生きており、セリーンは転がり出てきて、彼女を潰そうとする化け物から身をかわした。彼女の顔は紅潮していたが歓喜に満ちており、次に狼狽えた表情になって、彼女に執拗に斬りつけるリマッチェ公爵から身体を離した。

「リマッチェ! おぬしの名誉はどこにいったのだ?」 ギャスパードは、リエンヌの魔法の力を受けながら、まだヴァーテラルの後ろ脚に斬りつけていた。ヴァーテラルは彼のほうに向きを変えたが、身体の側面に冷気を浴びて尻込みした。
「間抜けな化け物。やつを掴んでいたのに」 ミーリスは、さらに再び冷気を浴びせかけ、自分が立っていた長椅子をヴァーテラルが叩き壊す前に、別の長椅子に飛び移った。
 その攻撃は、ヴァーテラルの脆弱な部分をブリアラの立っている場所に曝すことになり、彼女は矢を地面に反射させ、ヴァーテラルの柔らかい下腹に突き刺した。そいつはまた吼えると、ブリアラが飛び退いた地面を叩き壊した。

 ヴァーテラルは、近くの長椅子のほとんどを瓦礫に変えていた。ブリアラは崩れかけたそのうちのひとつの影に滑り込み、彼女の回りに石のかけらが飛び散るにあわせ、回転して身をかわした。立ち上がった彼女は、石の鎧で守られた巨大な脚が襲い掛かるのを目にし、その一撃を受けた彼女の身体は錐もみした。衝撃は彼女の肺から空気を奪い、彼女の身体はしばし宙を舞い、それから破壊で荒らされた石の上を滑り、大理石の長椅子にしたたかに身体を打ち付けてようやく止まった。頭がくらくらし、なんとか息をしようと苦労しながら、わずかの間、ただそこに横たわって事態を見ているしかなかった。

 ヴァーテラルは彼女を追いかけてくると思ったが、ミーリスの冷気を牙の生えた口蓋に受けて注意を逸らされたそいつは、エルフの癒し手のほうを向いて、怒りの叫びをあげた。
 一方の端では、リマッチェが円を描くように動きながら、セリーンをヴァーテラルのほうに押しやろうとして剣を掲げ、彼女を後ずさりさせていた。
 セリーンとリマッチェの間に割り込んだ大公ギャスパードが、盾でリマッチェの一撃を受け流した。

「貴公の忠誠には感謝しておる、リマッチェ」 ギャスパードは悲しげにそう言って、公爵の兜を殴りつけた。
「だがこれは・・・」 彼は盾を放り投げると、空いたほうの手でリマッチェの面頬をこじ開けた。
「・・・とても・・・」 彼は剣先を覗き口の間に乱暴に差し込み、ブリアラは、リマッチェの兜の後ろから剣先が飛び出すのを見た。
「認められん」 リマッチェが膝から崩れ落ちると、ギャスパードは男の身体を蹴り、自分の剣を引き抜いた。「セリーンよ、わしの手の者の不名誉な行いを謝罪する」

 ブリアラには、セリーンが何と答えたのか聴こえなかったが、自分がようやく息を継げるようになると、どうにかして膝立ちになり、それから立ち上がった。近くに落ちていた弓を手に取り、矢をつがえる。彼女の両手は震えていた。戦いはあまりに長く続き、さっきの一撃が戦意を喪なわせていた。

 彼女がヴァーテラルのほうを見た丁度そのとき、倒れるミーリスが目に入り、逆手の一撃を浴びたエルフの癒し手は瓦礫にまみれた床の上を滑って行った。
 ようやく立ち上がったミシェルは、のろのろとだが動いており、ヴァーテラルの毒液を浴びた鎧は酸で爛れていた。彼は大声で吼え、歯切れよく、手際よい攻撃を繰り返した。だが怒りは帯びていなかった。戦いで動揺していたのはブリアラだけではなかった。

 そのとき、ギャスパードが彼女の前に立った。ギャスパードは盾を拾い、片方の小手を外したが、彼の指輪を目にするまで、ブリアラにはその理由がわからなかった。
「後で返すんだぞ」 ギャスパードはぶっきら棒に言うと、指輪をはずして彼女に放り投げた。彼女は反射的に受け止めた。
 男の指のサイズは少々大きめだったが、それはブリアラがレディ・マンティロンから贈られて身に着けているものと同じ、複雑なパズルの形をしていた。

「これをどこで?」と彼女が尋ねる間、セリーンがヴァーテラルの脚に斬りつけ、ミシェルから注意を逸らそうとしていた。
「レディ・マンティロン」 彼女の問いに片方の眉をあげて、彼は言った。「わしが彼女をはじめて『ゲーム』で感心させたときだ」
 ヴァーテラルは目の前にいて、怒りの咆哮を上げ、石を砕いていたが、しばしの間、ブリアラの目前には、床に血が流れる読書室しかなかった。セリーンが彼女を隠れ場所から連れ出したとき、セリーンの指には新しい指輪があった。

「おい!」 ギャスパードは両手で彼女の肩を荒っぽく叩いた。 「しっかりするんだ。おぬしの矢と、セリーンのダガーが、わしらの剣よりもあやつを痛めつけることができる」 彼はセリーンとミシェルの方を向いて、声を張り上げた。「ミシェル、このエルフを守るのだ!」 ミシェルはたじろぎ、それから頷いた。「あやつが死ぬまで、ブリアラが矢を下腹に埋め続ける。セリーンは機会を見て、また下に潜り込め。リエンヌ?」 彼は、自分のメイジの方に振り返り、彼女は最初からずっと同じ長椅子の上に立って、ギャスパードに魔法で力を与え続けていた。「わしのことはいい。あやつに方向を見失う呪いをかけろ」 

 リエンヌが微笑むと、ヴァーテラルがギャスパードのほうを向いた。「木や石や空気から生まれたスピリット、汝は今は亡きこれら死者たちを守るため生み出された。汝はかつてその役目にしくじった」 彼女が片手をあげると、杖は蒼白い光に輝いた。「再びしくじるがよい

 ヴァーテラルがよろめき、蒼白く不確かな光がその周りをしばし包み込んだとき、ブリアラは指にギャスパードの指輪をはめた。彼女の周囲の空気が静かになり、弓を掲げると、その狙いが違(たが)わないことがわかった。彼女が矢を放つ前でさえ、ヴァーテラルがどう動き、その脚をどう持ち上げて、無防備な下腹をほんの少しだけ曝すことになるのかがわかった。
 彼女の矢は化け物が持ち上げた爪をくぐり抜け、無防備な下腹に刺さった。
 そいつは吼え、彼女の方を向いたが、ミシェルとギャスパードが前に立って、巨大な爪のついた脚に対して盾を掲げ、その力の衝撃に後ずさりしたものの一撃を脇に逸らした。 ミシェルとギャスパードはよろめいたが立ち直り、ヴァーテラルが怒りに任せて降り注ぐ酸は盾を掲げてしのいだ。

 ブリアラが再び矢を放つと、それは開いた口蓋の中に飛び込み、巨大な化け物は脚を蹴り上げ、金切り声をあげ、激怒して地面を叩いた。石の塊がそこらじゅうに飛び散り、ギャスパードとミシェルは跪いた。一瞬の後に、ヴァーテラルは彼らの傍らを通り過ぎ、ブリアラのところまでやってきて、彼女の立っているところ目がけ、二本の脚を槍代わりに持ち上げた。

 ギャスパードの指輪は、依然としてブリアラに魔法の力を与えている。彼女は、彼女のことを叩き殺そうと心を決めているヴァーテラルが、まだはっきりと彼女の居場所がわからない様子であることがわかった。前脚を持ち上げたときの体重を支えねばならない後ろ脚は、セリーンの前に無防備なまま曝されている。彼女がそれを切り裂けば化け物はたじろぎ、ブリアラへの攻撃を阻止できる。彼女は、セリーンが計算深く機会を覗い、ダガーを構えている姿を見た。

 そう見て取ったブリアラは再び射かけ、放った矢はヴァーテラルの掲げた両脚の間を抜けて柔らかい下腹に命中した。
 ヴァーテラルは再び悲鳴を上げた。
 セリーンは躊躇し、動かず身を守った。

 ヴァーテラルの脚が振り降ろされ、ブリアラが横っ飛びして避けても間に合わなかった。再び彼女は打撃の力に打ちのめされたが、今回は地面に叩き付けられたときの一撃で引き裂かれるような苦痛を覚え、息を継ごうとすると身体が燃えるように感じ、動き、戦い、その他何をしようと試みても、星々が目の前に踊った。

 セリーンは動かなかった。彼女はミシェルを救うために危険を冒し、彼女を救うことは躊躇った。
 ブリアラは咳き込み、無理やり頭をあげ、そして赤くかすむ視界の中で、ヴァーテラルが自分の上に立っているのを見た。
 そしてそのとき、セリーンがやってきて、彼女の両手のダガーが、繰り返しヴァーテラルの下腹に突き上げられるたびに輝いた。ヴァーテラルは悲鳴を上げ、前のめりに倒れ、ブリアラはその場から逃れようとしたが、脇腹に刺すような激痛が走り、頭上に押し潰すような重みが降り注ぐことから身を守る術はなかった。

 彼女が最後に見たのは、セリーンが安全な場所に飛び去る姿だった。
 それは一瞬のことだったように思われたが、ブリアラはほとんど同時に、自分が気を喪っていたことに気がついた。彼女は倒れていたところにそのまま横たわり、ヴァーテラルの巨大な身体が傍に倒れていた。ミシェルとギャスパードがその側らに立って荒い息をしており、そして彼女は、ふたりが化け物の屍を彼女の身体の上からどかしたに違いないことに気が付いた。

 彼女の胴体に温かさが広がり、見下ろすとリエンヌがブリアラの腹に手を当てていた。「次に巨大な化け物が上に来たら」と彼女は静かに笑いながら言った。「避けたほうがいい」
「私は・・・」 ブリアラは言い澱み、何を言っていいかわからないことに気が付いた。
 セリーンが、彼女が目にしたのと同じ隙に気づき、それにつけ入ろうとしていたのは間違いない。とどのつまり、セリーンもまたブリアラと同じ種類の指輪を身に着けていたのだし、その指輪は敵の隙と攻撃の機会を示すものだ。
 セリーンがレディ・マンティロンから贈られた指輪。

「ミーリスとフェラッサンは?」 答える代わりに、彼女はリエンヌに尋ねた。
「ふたりとも無事だ」とギャスパードが言った。「ひどい怪我は負っていない。おぬしのほうは、むしろ、よき鎧職人を見つけねばならんだろうな」

 ブリアラは、リエンヌが差し出した手を取って立ち上がった。固い石の床に打ち付けられた痛みが残り、レリアナが今も癒している胴に負った傷からはしぶとい痛みを感じていた。彼女の鎧は奇妙な形でぶら下がっており、見下ろすとギャスパードの言葉の意味が分かった。良質の青いドレイクスキンの鎧の胸はずたずたになっており、ヴァーテラルの棘のついた爪によって、丁度真ん中のところから裂かれていた。

 その鎧がいかに頑丈な守りをもたらしていたとしても、それほどの被害を被ったうえで、彼女を救うことはできなかっただろう。彼女はリエンヌのほうを見た。「ありがとう」
 若い女性は再び微笑んだ。「皆、天賦の才によってできることをするまで」
 「たしかに」 ブリアラはミシェルを見た。「そしてあなたも無事だった?」
 ミシェルは頷いた。「だが今日この日は、女帝のチャンピオンが女帝によって救われ、面目を失った日になった」
 「そうね」 ブリアラは息を呑んだ。彼女は彼のために命を懸けた。

 ギャスパードがにやりと笑った。「メイジ三人、シェヴァリエふたり、それ以上の者たちが戦って、あやつをようやく倒すことができた。おぬしが正しいのかもしれん、セリーン。わしがエルーヴィアンを手にしたとき、エルフを用いるべきかもしれん。少なくともこのメイカーも呪われる化け物は連中を襲うことはない」
「今、気にすることではない」 フェラッサンがわずかに足をひきずりながら、ヴァーテラルの屍の脇を歩いてきた。他の者たちのことよりも屍のほうに興味があるようだった。「こいつは死んでいる。まあ、死んだようなものだ。やつらはむしろゴーレムに近い」

「惜しいな」とギャスパードが言った。「良き守り手はなかなか見つからん。近頃では、誰かの忠誠を信じることさえほとんどできん」 彼はリマッチェの斃れた姿を見やってため息をついた。
「貴族は殺さないのではなかったの?」とブリアラが言うと、ギャスパードは首を垂れた。
「彼はわしの手の者だった」と大公が言った。「そしてわしらの休戦を破り、戦いのさなかに味方の背中から襲い掛かった。あやつは死んで当然なのではない。死ななければならなかったのだ」 彼は心から悲しんでいるように見えた。「宮廷では、あやつは類稀なる助けになったはずだ。ここに連れて来るべきではなかった、あやつが掟を受け入れられない世界に」
 ブリアラは、今このときも、自分自身がその掟を受け入れているかどうか定かではなかった。

 彼女がセリーンを見ると、彼女はヴァーテラルの怒りによって瓦礫に変えられなかった、数少ない長椅子の一つに腰掛けていた。セリーンは荒い息をしていたが、ブリアラの見る限り怪我を負ってはおらず、彼女の顔は奮闘の余韻で紅潮したままだった。そのため彼女の顔は薔薇色になっており、それはブリアラがヴァル・ロヨーではほとんど目にすることのなかったもので、その頃セリーンはいつも蒼白い顔色をして、マスクを身に着けていた。 

 それは彼女に、ふたりで愛を交わし合った後の、いつものゆっくりした怠惰なひとときを思い出させたが、そのときにはあらゆることが可能に思え、そしてブリアラは、なされた約束はきっと守られると信じることができた。
 セリーンはブリアラの視線を捉えて微笑みかけた。彼女の目はブリアラの鎧の惨状に見開かれたが、それでも彼女は、ブリアラが生き延びたことを心から喜んでいるように見えた。

「そして、ついに」と、ブリアラが何をすべきか思いつく前にギャスパードが言った。「残念なことだが、エルーヴィアンを手にするのが誰か、決めねばならんときがやってきた、セリーン・・・、そしてわしらのうちどちらが、ここで死者たちとともに過ごすことになるのか」

***

 リマッチェの最期については、また別途・・・。

 戦闘シーンはできるだけ長く。ベストセラー小説を狙う際のルール・ナンバー・ワンだそうですが・・・。The Masked Empireの戦闘シーンは、それでもまだ「ぜんぜん短いほう」にも関わらず、なんでこんなに訳するの面倒なんだろう。
 ウィークス氏の癖(ほぼ一緒に起きたことは、なにもかもひとつの文(センテンス)にぶち込む)もありますが、ヴァーテラルのような「空想上の、多くの読み手が知らないと想定される」化け物との戦いのせいかもしれない。

 ハラムシラルの戦いのように、騎兵同士、弓兵や歩兵同士の戦いは、やはりやりやすい。様式があるからでしょうね。ヴァーテラル、あるいはシルヴァンとの戦いの描写で非常に困惑するのは、それら化け物についての同じ表現が何度も何度も繰り返されること。
 「炎にたじろぎ」とか、「悲鳴をあげ」とか、原文では多くてもニ、三種類の表現のヴァリエーションしかない。

 それと、セリーンがブリアラを救わず躊躇したくだりで、ヴァーテラルに「hamstringを仕掛ける」とあるんですが・・・。ファンタジーRPGファンならおなじみの「ハムストリング」、相手の腱を傷つけて歩けなくする、ローグ系の技としてよく描かれますが、どー考えても、外殻(外骨格)を有する「虫」に「腱」はないのでは・・・。剥き出しの関節をなんとかするべきでしょう。

 ギャスパードが、リエンヌに指図するとき、"Hex the bastard blind."と言ってますが、「あいつに目を見えなくする呪いをかけろ」ですよね。でも、ヴァーテラルには最初から目がないんですけど! んー。blindにはもちろん、目が見えない以外に色々な意味があって(べろんべろんに酔っぱらっている、もそう)、そっちかなあと思いつつも、あまり意味が通じないですね。リエンヌは以前グレーター・シルヴァン相手にも同じ(相手に致命的な暗示をかける)呪文を用いていた。「我を忘れさせる、狼狽させる」が近いのかな。

 また、ようやく気が付いたのは、ギャスパードがよく口にする、「メイカーも呪われる(呪いになられる)」化け物(だったり、このエルフの世界)。"Maker-damned"を愚直にそう訳していましたが、これ"god-damned"のことですね。あーっ、やっちまったよ! ガッデム・イット!(いや、そうじゃなくて!)
 後でこっそり直しておきます。 

 他にも小ネタは数えきれないくらい色々ありますが、ついに最終章。グチはまとめて終わってからやることにしましょう。

2014年7月 5日 (土)

The Masked Empire 16(2)

 キリの良いところまで。 

 ***

 ブリアラは大音声を耳にした途端に動き出し、最寄りの大理石の長椅子の下に間髪おかず潜りこんだ。彼女は、そこまで素早く身を隠せず、落下する石に打ちのめされた者たちの苦痛の悲鳴を耳にした。
 長椅子の下に籠もりながら、ブリアラは耳を澄ませた。
 石が地面に激突する振動は彼女の腹に響き、身体を揺さぶった。
 だが、彼女にはそれが崩落でないことはわかった。崩落が起きる範囲が狭く限られるなどということはない。
 そして崩落は歩いたりしない。

 彼女は身体を横転させ、弓を構え、巨大な石柱のようなものが、天井に描かれた空想上の生き物から落ちて来るのを見た。だが、大理石の長椅子を叩き割ったそれが再び自ら持ち上げられたとき、はじめて彼女は、その柱の底に大きな爪がついているのを目にした。よくよく見れば、それは彼女の背丈よりも長い、石の鎧を纏った脚だった。

 生き物は巨大だが、その大きさに似合わないほど痩せた身体をしており、ほっそりした胴体を支える五本の長い脚からは棘が突き出し、昆虫のそれのように節があった。人のそれとさほど変わらない長さの、爪の生えた二本の前脚が突き出されている胸の部分は目の無い頭に続いており、石の牙の生えた口を開き、シューと言う声をあげ、空気を嗅いだ。

 ブリアラは一瞬にしてそれらすべてを見てとり、飛び退けると、他の部分より脆弱と思われた生き物の胸に矢を一本見舞った。その矢は石の皮に弾かれて砕けた。
 それほどの巨体に似つかわしくない素早さで、そいつは彼女のほうを向き、大きな甲羅付きの脚を振り上げると、ブリアラが先ほどまで身を隠していた大理石の長椅子を叩き割った。「フェラッサン、あれは何?」

「ヴァーテラルだ!」と彼は叫び返し、ブリアラはリマッチェとミシェルがその生き物に突進していくのを見た。「たちが悪い、ものすごく、たちが悪い!」

 フェラッサンはまだ攻撃をしていない。何か理由があるのか、それともあまりに敵が強すぎると知っているためなのか。鎧付きの脚が再びブリアラの側に振り降ろされ、彼女は身をかわし、転がり、最寄りの脚の関節部を狙って矢を放った。またしても矢は石の鎧に敢え無く弾かれる。ミシェルとリマッチェが遠い方の他の脚をめがけてそれぞれ斬りつけるが、実りはなかった。

 ヴァーテラルがその脚を地面に叩き付けると、ブリアラの身体の足の下の石が浮き上がった。ミシェルとリマッチェは弾き飛ばされ、地面に倒れるときに鎧の金属音を鳴り響かせ、ミーリスは、刺青の下で死人のように蒼ざめた顔をしながら、前に出て杖を掲げた。ギャスパードはその傍らで首を振り、後ろに立つリエンヌの杖は魔法に輝き、その唸るような音は、ギャスパードをも包み込んでいる。

 「待つんだ!」とフェラッサンが叫んだ。ブリアラは彼の方を一瞥する危険を冒し、長椅子の上に立っている彼の姿を見た。「高いところに登って、やつに手を出すな!」
 ギャスパードは仰天したような顔を向けた。「正気か?」
 「早く!」 ヴァーテラルはシューと声を立て、その顎をギャスパードのほうに向け、空中に酸の霧を吐き出した。盾を持ち上げてその危険な霧を防ぐと、大公は長椅子の上に素早く跳びあがり、手を差し伸べてリエンヌを持ち上げた。彼の盾の酸を浴びたところからは煙が出ており、シューシューと音を立てている。
 ブリアラは後ろに回転して生き物との間の距離を取り、長椅子の上に跳び乗った。横ではセリーンも同じようにしており、ブリアラはミシェルとリマッチェもよじ登っているのを見た。

 しばしの間、誰も動かなかった。ヴァーテラルはその場で向きを変え、不気味な口を大きく開き、空気を嗅いだ。驚くべき素早さで五本の脚の向きを変え、地面を掻きむしった。そいつは困惑しているように見えたが、その瞳の無い顔のため、ブリアラはその感情を想像するしかなかった。

 そうか。
「見えないんだ」と彼女は囁いた。
「そのとおりだ、ダーレン」 フェラッサンの声も静かだった。「我々の動きを、蛇のように地面から察し、この場所を貶める者の罪の意識を味わう。やつは、ヒューマンたちがエルーヴィアンの聖なる場所を侵すのを防ぐためにいる。エルフと戦うのは、自分の身を守るときだけだ」

「そいつはいい」とリマッチェが言った。「だが、ここにいるのは皆が皆エルフではない!」 彼の言葉に、ヴァーテラルが身を屈め、あり得ないほど高く、素早く宙を舞い、リマッチェから数ペースも離れていないところに着地して、爪の下の地面の石を叩き割った。公爵は蒼ざめ口を閉じたが、巨大な化け物はまだ静かにシューという声を立て、前後に動きつつ、彼のことを探していた。

「やつはブリアラを殺そうとした」 ギャスパードは責めるような口調もなくそう言った。ブリアラは、大公が意識を集中しようとして目を細めているのを見た。
「彼女が攻撃した。彼女が平和裏に振る舞っていれば、彼女のことは無視した」
 ギャスパードは頷き、まだ考えていた。「だからエルフならやつには匂いでわかり、攻撃を受けることはない」
 「まあ、こいつに限ってはそのとおり。他のがどうかは、フェンハレルのみぞ知る」

 ヴァーテラルはまだ探しており、リマッチェは長椅子の上で凍り付き、絶望した顔つきで他の者たちを見ていた。怒りの音を立て、化け物が巨大な爪を地面に突き立てると、リマッチェはよろめき、激しく身体を揺らしながら態勢を保った。

「ミシェル、熊を襲う狼の群れだ」とギャスパードが告げ、ミシェルが頷いた。ギャスパードは他の者たちに叫んだ。「皆はやつを惑わせ、引き付けろ! エルフはわしらが仕掛ける間、やつの気を逸らせ!」 ヴァーテラルがリマッチェから離れ、ギャスパードの声に引き付けられると、大公はにやりと笑った。「そうだ、このでかぶつの化け物! わしにかかってこい!」

 ヴァーテラルは再び宙を舞い、巨大な脚の爪が地面から石の塊を剥ぎ取り、ギャスパードが先ほどまで立っていた長椅子を打ち砕いた。飛び跳ねて身をかわした彼が着地すると同時に、ミシェルが化け物の後ろ脚に剣先を何度も降り注いだ。

 ブリアラは、今度は頭を狙って矢を放ち、それは代わりに化け物の肩に当たった。そいつが吼え、彼女のほうを向いたとき、凍り付くような冷気の波を浴びて苦痛の悲鳴を上げた。ミーリスの杖は再び白く輝いており、彼女はしかめ面をしながら、ヴァーテラルの脚に再度冷気を浴びせかけ、薄い氷の層で覆った。化け物がミーリスのほうを向くと、部屋の向こうから岩が飛んできて、弱った脚に命中した。

 ヴァーテラルは苦痛に叫び、フェラッサンのほうを向いたときには、その傷ついた脚を引きずっていた。ブリアラの師匠に逃げる暇はない。ヴァーテラルが攻撃を仕掛けようとする寸前、地面から剥がされた岩が彼の回りを覆い隠したが、一撃を受けたその岩は砕け散った。フェラッサンは地面にひどく打ち付けられ、動かなくなった。

 ヴァーテラルはフェラッサンの身体の上で立ち止まり、棘の生えた脚を一本持ち上げてとどめを刺そうとしていたが、ギャスパードの叫び声を聴いて動きをとめた。「脚の具合はどうだ、化け物?」 彼はそいつの傷を負った脚に斬りつけ、その一撃は石の鎧を貫いて、体液をほとばしらせた。「痛そうだな!」 ギャスパードは力に満ちているように見え、繰り出す攻撃はどれも生身の人間が振る剣よりも激しかった。彼の後ろではリエンヌが杖を掲げ、凄まじい集中力でギャスパードを見つめながら、魔法の力を送り続けていた。

 ブリアラは、ヴァーテラルがギャスパードのほうを向いた途端に、リマッチェとミシェルがそいつの後方に回るのを見た。そいつがリマッチェのほうを向いて爪のついた脚を振り上げると、ブリアラはその剥き出しの下腹を垣間見た。逡巡することなく、彼女は別の矢を放った。
 ブリアラの矢はヴァーテラルの横腹の一本の脚の関節近くに突き刺さり、彼女はそこから体液が溢れ出るのを見た。化け物はまた悲鳴を上げた。「下よ!」とブリアラが叫んだ。「下に潜るのよ!」

 そいつが彼女のほうに向いたとき、彼女は自分がいかに無謀なことを叫んだのか気が付いたが、自分が立っていたところに爪が突き刺さり、石を叩き割る直前に飛び退いた彼女の後ろの地面には、怒りにかられたそいつが吐き出す酸の霧が吹き付けられた。

 そのときセリーンがブリアラの前に飛び込み、宙返りしてヴァーテラルの下に潜りこんだ。
 ブリアラは、怒りとともに追いかけてくる化け物からまだ逃げ続けていたが、視界の端には、セリーンが身体を起こし、両手に輝くダガーが焔を引いているのを見た。彼女は電光のような素早い精確さで跳び込み、ダガーを突き出し、化け物の下腹に埋めた。レディ・マンティロンの指輪が導いたのかどうか、ブリアラにはわからなかったが、ヴァーテラルは苦痛のためつんざくような悲鳴を上げた。

 身体で押し潰そうとする化け物から、身体を回転させて逃れたセリーンは、リマッチェからさほど遠くないところで立ち上がると、ダガーを構えた。ヴァーテラルは彼女のほうを向き、目のない顔を激怒で歪め、牙を向き出し、酸を振りまいていたが、その後ろではギャスパードがそいつの傷ついた脚にまた斬りつけはじめた。

 ブリアラは攻撃のリズムを見てとった。リマッチェ、ミシェル、そしてギャスパードが等間隔に化け物を取り囲む。セリーンが下腹を攻撃し、ブリアラとミーリスが遠方から攻撃を仕掛け、リエンヌはできうるかぎりの支援をする。
 危険で、正気の沙汰ではなく、ミシェル自慢のシェヴァリエたちでさえ備えのない戦いであったが、ブリアラにはうまくいくように思えた。

 ヴァーテラルは、ブリアラが予想したとおりに向きを変え始めた。
 そのとき彼女は、リマッチェ公爵がセリーンの背中に盾を叩き付けるのを、恐怖とともに見た。
「ライデスのために」 彼が静かに言った。彼の目前に倒れ伏したセリーンは、ヴァーテラルの前脚に身体をしたたかに打ち付けた。

「リマッチェ! 馬鹿なことを!」 ギャスパードが叫び、化け物の後ろから執拗に斬りつけ続けたが、手ひどい傷を負った恰好の獲物が目の前に倒れているそいつは、彼を無視した。そいつは身体を屈め、小さいほうの、人と同じくらいの大きさの両腕でセリーンを掴もうとした。

 絶叫しながら、ブリアラが矢を一本、二本と放った。それらは敢え無く的を外れ、ヴァーテラルの爪が得物を掴み上げた。
 サー・ミシェルの身体を。

***

 続くっ。

【DAI】これも誰だよ?

 誰だよって、まあ候補が限られているのでわかるでしょうけど・・・。

Cullen

 んー。

Cullenda2

 DA2のこの人かな?

Cullen1

 こちらは名前入りでわかりますが、なかったら果たしてわかったか。

 DA2の映像はザ・ラスト・ストローからなので、そこからDAI冒頭までの間は何年も経っているわけではない。まあ、それ言ったらレリアナの変貌ぶりも同じことだが。

Cullenda22
 これはエネミーズ・アマング・アスの頃ですから、上のDA2の画像から確か7年前くらいか? 

 いずれにしろDAIの髪型違うやん。

Cullenscreenshot1_v1

 うー、これ見て思いました。
 ジョージ・クルーニーとか、メル・ギブソンとか、誰か俳優のスナップショットから顔の造形したんだな、きっと。

 

The Masked Empire 16(1)

 第十六章、いよいよラス前。とはいえエピローグもあるので作業的にはラス前の前なのですが。

 そういえばディックの「最後から二番目の真実」"The Penultimate Truth" をもじった題名の話が受けているとかいないとか。エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」"The Beast that Shouted Love at the Heart of the World"の題名をもじったものといい、安易かつ無意味なパクリにサイファイ・ファンとして純粋な憎悪しか感じません。

 あー、ここの表題のRain Dancing Vanityは、別に筒井先生の「ダンシング・ヴァニティ」を安易かつ無意味にパクったのではなく、「ヴァニティの雨乞いブログ」をただ訳しただけなんですが、全く気付かず、かぶってました(笑)。

***

 サー・ミシェルの計算では四日が経っていた。ギャスパードが用意した乾いた食糧と、フェラッサンがデーリッシュの野営地から持ってきた固いパンで四晩過ごした。鎧を着て一日中歩いた後、固い石の上に四晩寝ていては、ミーリスから受けた痛みから完全に回復することはできなかった。ギャスパードから命じられて彼の治療を行うミーリスの手は身を切るほど冷たく感じられ、彼女の視線は燃えるような憎悪を孕んでいた。
 四晩にわたり、ブリアラと一緒の毛布で寝る女帝を、彼は感情を押し殺して見守った。

 他の者たちと同様、女帝たちが誰かと寝床をともにするのは奇妙だと思わないか。その夜、ギャスパードが静かに問いかけてきた。彼は自分の鎧の胸板についた小さな傷を、手持ちの道具で可能な限り慎重に均していた。その傷はミシェルの鎧のへこみと異なり、修理しないままでは剣に貫かれてしまう。剣を研いでいたミシェルは、多少はそう思う、と答えた。

 彼女に何の思いも抱いていないのか、とギャスパードは軽く笑いながら尋ねた。彼女のことを気にかけているが、そのような感情は抱いていない、とミシェルも笑いながら答えた。そして、悲惨な恋に堕ち、嫉妬や激情ゆえに身を滅ぼしたシェヴァリエの話は、若い頃数えきれないほど耳にした、と付け加えた。

 呪われたダークスポーンの手にかかったほうがましだ、とギャスパードが胸板の汚れを落としながら言った。磨き油が欲しければ分け与えるという彼の申し出にミシェルは礼を言い、剣の傷を見つけ、その修理に取り掛かった。ヴァル・ロヨーなら、傷んだ剣は投げ捨ててしまうか、刀鍛冶に修理させるところだが、ここエルフの死者の間でそんな贅沢は許されない。しばらく作業を続けた後に彼は、自分も農奴の娘と寝床を共にすることがある以上、女帝に偉そうなことは何も言えない、と言った。
 もっともだ。ギャスパードは唸りながら全身の力をかけて鎧を磨き上げ、出来栄えを検分した。ただそれだけの話であれば。

 ミシェルの剣についた傷は、次に何か固いものに当たった途端にそこから折れてしまいそうだった。彼は顔をしかめ、砥石を取り出した。シルヴァライトはとても固いため、一度傷がついてしまうと研ぐのは難しく、誤ったやり方では刃先を台無しにしてしまう。「そして、拙者が疑念を抱いていることを認め、閣下の側に付くべきだとお思いか?」
「そんなことをすれば、今この場で叩き斬る」 ギャスパードはためらいなく答えた。「わしらはシェヴァリエ、名誉と任務に誓いを立てた身だ。そしておぬしは、チャンピオンとして誓いを立てた」
「彼女に対して噂を流しはじめたとき、閣下が名誉を気にされているようには思えなかった」
「帝国にとって必要なことをしたまで」 ギャスパードは胸板を一本の指先でなぞり、顔をしかめた。「わしは勝つために戦った。アカデミーでは何と教わったのだ? 名誉は妨げない・・・」
「・・・戦術を」 ミシェルが古い教訓の後を引き継いだ。「そして、栄光は手に入らない、愚直さからは。そうです、閣下」

「セリーンは常に『ゲーム』の達人だった。メイカーズ・ブレス、そもそも、だからこそ玉座を手に入れたのだ。わしは彼女の定めたルールの範疇で動いていたに過ぎん」 ギャスパードはため息をついた。「正直に言えば、わしの最大の後悔は、あのバードをおぬしに差し向けたことだ。つまり、彼女におぬしの名を貶める材料を探させたのだ」

 あの倉庫の中でメルセンドレに挑発されたときの記憶は、彼の血を凍りつかせた。だが彼もまた長い間にわたって『ゲーム』を見てきており、ギャスパードが何を知っているか尋ねれば、自分が恐れているということを暴露してしまうことはわかっていた。そうする代わりに、彼は肩をすくめた。「言われるとおり、閣下は『ゲーム』を手掛けていた。それは噂と当てこすりによるもの。その点からいえば、退屈な人生を送ってきた拙者は幸せだったのでしょう」

「たとえそうであっても、サー・ミシェル、シェヴァリエが同輩になすべきことではなかった以上、わしに謝罪させてくれ」 ギャスパードは微笑んだ。「中央の間を見つけたとき、休戦は終わり、わしらふたりは全力で命のやり取りをすることになる。そのことはおぬしも、わしもわかっておるが、わしらは名誉にかけて、『ゲーム』にも、噂にも、嘘にも邪魔されることなく戦う。自らの分別を知り、その知識を誇りとともに抱くことを世界中に示すふたりの男として」

 ギャスパードは真実を知らなかった。知っていれば大公はその情報をもっと早く、ハラムシラルで自分たちを攻撃する前に用いていたに違いなかったが、彼の心の一部は、ギャスパードがいつかそれを攻撃に用いるのではないかと待ち受けていたのだ。

 彼は、あの忌々しいメルセンドレが、彼女が見つけた秘密を材料に彼を脅迫したとき、その息の根を止めようとして自分の血がたちまち沸き立ち、力が湧き上がったことを覚えていた。彼の頭蓋の底のほうにあった小さな緊張、あまりに長い間そこにあったため、あることさえ忘れていたそれがほぐれ、彼の心の中から爽やかな救われた思いとともに洗い流された。彼は解放された。彼はサー・ミシェル・デ・シェヴィンとして生き、そして死ぬことができる。
「いいでしょう、閣下」と彼は言い、剣の傷を修理する作業に戻った。

 翌日、メイカーさえも呪う道をまたひとつ歩いた後、彼らはエルーヴィアンを通り抜け、今までのどれよりも大きな円形の部屋に出た。
 その部屋は、昨晩ブリアラがパンを焼くのに用いた小さな火と似た、大きな黄金の火鉢に灯る魔法の炎に照らされていた。周囲の壁には、鎧姿か、または杖を手にした姿のエルフが彫り込まれた数えきれないほどの支柱があって、何十ものエルーヴィアンを両脇から挟み込み、それら巨大な鏡のてっぺんの上の天井には、数多くの化け物たちの姿が彫り込まれていた。ミシェルが目にしたのは、ディーモン、ドラゴン、そして呼び名も知らない化け物たちだった。

 大広間の床は、緩やかな傾斜をもつ鉢の形になっていた。斜面の高いところには、良質の大理石でできた長椅子が内側に向けて並んでいる。低いところには、床に描かれたルーンが、ミシェルには理解できない紋様を形作っており、歪んだ蜘蛛の巣の形がそれぞれ重なり合い、一部は様式化された生き物のように見え、また炎や稲妻のように見えるものもあったが、それ以外には単純な図形もあり、何の意味があるのか不明な方向に曲がりくねっていた。それらは彼に、途中の道にあったルーンを思い出させたが、眩い光で燃えるように見えてもいなければ、どことなく形も異なっているようだった。

 広間の中央、ルーンの巨大な円の中心には石でできた大きな台座があり、表面には何の飾りもなかったが、その真ん中ただ一か所だけ、セリーンがディーモン・イムシャエルから渡されたルビーが丁度嵌められるような形になっていた。 そのときまでミシェルは、ディーモンはただ単に彼らを死に導くためここに送り込んだのではないか、と半信半疑であった。

「驚いたな」とギャスパードが言った。彼の声は部屋中に響き渡り、壁にこだました。「支柱に彫られた耳の先を削り落とせば、ヴァル・ロヨーにあってもおかしくない」
「ここは霊廟ではないですね」とブリアラが言い、彼女の声が響き渡らないことに、ミシェルは小さな不安の疼きを感じた。「フェラッサン、ここは何? 葬儀の間?」
 エルフたちは、ミシェルや他の者たちよりもずっと前に部屋に入っており、ブリアラとミーリスはその豪華さに見とれているようだった。フェラッサンだけが無感動に見える。
「一部は」と彼は言った。「だが信者たちは、歎願のためにここを訪れてもいた」

「何に対して? お前らの野蛮な神にか?」とリマッチェが尋ね、冷笑した顔の頬の傷が歪んだ。
「私たちの先祖、ウーセナラに就いた者たちに」 リマッチェが口を挟んだことにフェラッサンが腹を立てていたとしても、その素振りは見せなかった。
「歎願者たちは迷宮を歩き」と彼は言い、歪んだルーンの塊を指し示した。「そして、彼らが価値ある者であれば、欲している答えをその夜の夢の中で見出すことになる」
「歩くと言っても・・・」 リマッチェは台座を取り巻くルーンを見た。 「何か手がかりがあるのか?」
「なんだ、見えないのか?」とフェラッサンが言って、微笑んだ。「では、君は価値ある者ではないのだ」
 リマッチェは剣に手をかけたが、ギャスパードの素っ気ない身振りを見て思いとどまった。

「ならばおぬしには、あのごちゃごちゃの中に道が見えるのだな?」 フェラッサンが頷くと、ギャスパードはセリーンに顔を向けた。「ではどうやら、従妹よ、わしらの休戦もそろそろ終わりに近い」 彼は彼女から歩み去り、まだ剣を手にしてはいないものの、戦いの構えを取っていた。「わしらはエルーヴィアンを目覚めさせる鍵を手にしておる。もしわしが勝てば、わしのエルフが道を開く。おぬしが勝てば、おぬしのエルフがそうする。ただひとつの問いは、決着をつける方法だ。再び魔法を解き放って、また別の、メイカーに呪われしディーモンがわしらを殺しにやってくる危険を冒すのか、それともおぬしのチャンピオンとわしが、男と男として戦うのか」 

 ミシェルは、自分の身をセリーンとギャスパードの間に置き、肩から振り返りもせずに言った。「陛下?」 ミーリスは、すでにギャスパードの側に歩み寄ってミシェルのことを熱烈な期待に満ちた瞳で睨んでおり、一方ブリアラは間合いをとって、リエンヌとミーリス両方への視界を確保していた。
 リマッチェは、セリーンからギャスパードに移した目を細めて考え込んでおり、それに気づいたミシェルは、戦いがはじまったらできるだけ早くリマッチェを始末しておくことを銘記した。公爵の剣の腕前はたち、シェヴァリエの掟に縛られることもないので、戦いが始まったら、もっとも効果的な瞬間に意表をついて攻撃してくることは疑いようもない。

 だが、セリーンが口を開く前に、リエンヌが割り込んできた。
「違う。違う、私たちはエルーヴィアンを手に入れてなどいない何も手にしていない。何かが目覚めている。何か古くて怒れるものが」
 ギャスパードが一瞥を浴びせた。「リエンヌ、何か言いたいのなら・・・」
「発動することを強いられた魔法がある。感じるのです、閣下、それが・・・」 リエンヌの目が見開かれ、何かを探しているように周囲を見回した。それから彼女は顔をしかめた。「回り中にいる。それとも・・・」 彼女は上を見た。
 石が砕ける大きな騒音とともに、一行の頭上に天井が落ちてきた。

*** 

 シェヴァリエ、騎士の恋についての話題ですが、アーサー王朝の時代、騎士ランスロットと王妃グィネヴィア、騎士トリスタン(トリストラム)と王妃イゾルデ(イスールト)の世から、悲恋と決まっている。騎士の淑女への思いはプラトニック・ラヴに限るというのは、実は後付けのフィクションの「ルール」であるようです。まあ、考えてみれば当然でしょうね。

 ミシェルが、自分はセリーンの「庇護者」役であると強調しているということは、逆に言えば自分の彼女に対する恋愛感情を押し殺していることを意味するわけで、そのことはギャスパードの目にも明らかでしょう。そうでなければ小説は、セリーンほどの妙齢の美女に、似たような年恰好の男性がそんなにも始終側に付き従っているにも関わらず、恋慕の念を抱かない「理由」を示さなければならない。シェヴァリエという身分も、チャンピオンという職責も、エルフとのあいのこという出自も、ブリアラという恋敵の存在も、すべて「恋愛感情を吐露しない、できない」ことの理由であって、恋愛感情を持たない理由にはならないわけですからね。

2014年7月 2日 (水)

The Masked Empire 15(5)

 十五章ラスト。

***  

 一日の終わりに差し掛かると思われる頃、ギャスパードが休息を言い出したときには、セリーンの頭は傷んでいた。小さな円形の部屋には粗末な寝台が円状に並んでいた。部屋の中央には大きな金属の鉢の中で炎が勢いよく燃えていたが、セリーンの目には、その燃料が見当たらなかった。

 壁際の箱の中から食糧を発見した、と告げたブリアラのほうをセリーンが見ると、彼女が新鮮なパンと思われるものを火で炙っていた。フェラッサンによれば、魔法によって保存されていたものだから安全だという。
 携行食の補充になる、と戦いで傷だらけになった鎧を脱ぎ捨てながらギャスパードが言った。

 火の側に腰掛けたセリーンは、この部屋の目的を尋ねた。たとえ魔法に由来するものであっても、自然の炎はあの道の光とは違って目に心地よかった。とはいえその炎の上で調理するのは、古代のエルフの慣習に反しているのではないだろうか。
 フェラッサンは、何の問題もないと上機嫌な様子で言った。
 この部屋では、ソムニアリが偉大な儀式を行った、とミーリスが言ってブリアラとフェラッサンを睨んだ。神聖な薬草が永劫の焔に投げ入れられ、その煙がエルフのドリーマーをフェイドに導いた。
 素敵な話だ、とフェラッサンが微笑み、だが単に調理する場所だったかもしれず、寝台で召使いに寝首を掻かれることなく、眠りに就く間のドリーマーを守る場所だったかもしれない、と付け加えた。

 そのほうが分別がある、とギャスパードが言って、鎧の胸板を脱いだ。
 セリーンは自分の魔法のポットを思い出し、それは自分の地位に相応しい優雅さを加えるものとしか思っていなかったが、数ある墓を渡り歩き、あまりに多くの古代エルフの謎を見て来た今では、そのような小物ですら農奴たちが恐れる理由がわかった。玉座に戻ることになっても、セリーンはもはや魔法を容易く信用することはないだろう。

 それはともかく、彼女は両手を炎のほうに伸ばして暖を取った。
 ブリアラが隣にやってきて、何を考えているのかと尋ねた。セリーンは彼女に身体をもたれかけた。多くの戦いを経た鎧の匂い、汗と血、調理の煙、雨ざらしにされた衣服。そんな姿であってもブリアラが美しく見えるとは思いもしていなかったが、長い一日の道のりの後、ふたりで身体を丸め、すべてを忘れることにした。

 この驚くべき世界のことを考えていた、とセリーンが言った。ブリアラのようにエルフの目で見ることはできないが、数多くの可能性が見える。セリーンは笑って、オーレイを取り戻してからの話だが、と付け加えた。
 当たり前だ、とリマッチェが言ってふたりを睨んだ。彼は、ギャスパードやミシェルと同様、自分の鎧の応急修理に勤しんでいる。セリーンは彼を無視し、これからどれだけ素晴らしい世界が待っているかわかるか、とブリアラに尋ねた。貴族たちはヴァル・ロヨーまで何週も何か月もかけずとも、数日で到着することができる。女帝の命令が伝令の馬の速さでしか行きわたらなかったせいで、どれだけ多くの政策が行き届かず終わったことか。

 エルフをスラムから解放する政策もそうか、とブリアラがパチパチ音を立てている炎を見つめながら尋ねると、セリーンは、そんな話よりもっとずっと大きなことだ、と答えた。交易。大学への知識の集積。エルーヴィアンを安全に行き来できるなら、それらを各都市に配置することで、帝国のどこであってもヴァル・ロヨーからあっという間に到達することができるようになる。

 ブリアラのくすくす笑いが無理に作られたものであることが、セリーンにはわかった。 ブリアラの大きく黒い瞳は笑っていなかった。セリーンの指輪はレディ・マンティロンからの贈り物で、敵の弱点を教えてくれると同時に、小さな細部も見逃さないくらい知性を鋭くもしてくれる。ブリアラは、自分がエルフの民以外は何も気にかけていないことを白状した。

「ああ、女帝にはおぬしの民について計画があるぞ」 脛当ての紐を締めながら、顔をあげずにギャスパードが言った。「エルフどもをスラムから外に出し、この隧道に連れてきて、女帝自身の密偵の組織を作るのだ」
 セリーンが鼻を鳴らした。「長くスラムの生活を続けて来たオーレイのエルフたちは、今行動をともにしているエルフたちのように、古代の先祖の歴史を見て喜ぶかもしれません。エルフにとってそれほど喜ばしいのであれば、そのような計画は誰に取っても実りあるものになりうるのです」 セリーンは、部屋の向こう側でフェラッサンとミーリスが壁の古いルーンを検分している姿と、その傍らで飽きて暇そうにしているリエンヌの姿を見た。

「まあ、あなたにとってはそうでしょうな、陛下?」 リマッチェが尋ね、ブリアラを見た。
「エルフどもをスラムから外に出すのは、単に女帝の個人的な暗殺者にするためだ」 ギャスパードが微笑んで首を振った。「それを知って、わしのほうにつく貴族も何人かおるに違いない」
「その頃には、あなたはメイカーの腕に抱かれて安らかな眠りに就かれているわけですから、気にかける理由はございません」とセリーンが冷たく言い放つと、ギャスパードは笑いながらパンに手を伸ばした。

 ブリアラは自分が焼いた一切れを差し出した。「女帝陛下が帝国の全ての都市の全てのエルフに愛と支援をお与えになるなら、貴族たちは彼女に逆らおうとはしないでしょう」 彼女はギャスパードに微笑みかけた。「私たちはただの虫けらかもしれませんが、大公、ハチもまたそうです。賢き者はハチの巣には近づかないものです」
 ギャスパードはパンを手に取った。「もちろんだ。賢き者はハチを燻って殺す。あるいは炎で」
 彼はパンをがぶりと噛み、頷いた。「なかなかうまい」

「私が、ハラムシラルの件を忘れたとでもお思いか」と言うブリアラの声は固く、怒りを帯びていた。「思い出させて、セリーンと私の仲を違えようとするおつもりか。ハラムシラルの焼き討ちは、あなたが引き起こしたのだと思っています」
「女帝セリーンは、閣下がそう強いなければあの街を攻めることはなかった」とミシェルが言い、作業から顔をあげ、ギャスパードに視線を合わせた。 
「そのとおりだ。だがブリアラがあの街の外の馬車の中で告げたことはそれとは違うぞ」とギャスパードは言って、パンにもう一度かぶりついた。「記憶が正しければ、彼女はわしらの企みに気が付いていながら、それをセリーンに伝え損なったのだ」

「どのみち、わたくしは聞く耳持たなかったでしょう」と言うセリーンのブリアラを見る目は驚きに満ちていた。「問題なのは、わたくしたちがここで決着をつけた後、エルフたちはより良い暮らしを送ることになるということです」
「より良い暮らし」とリマッチェが顔をしかめた。「あなたはどぶのゴミと取引きするつもりか」
「問題は」とギャスパードが、リマッチェを無視しながらセリーンに言った。「ほとんどのエルフがどう考えるか? デーリッシュは含まず、おぬしの侍女は含まず、だがほとんどの連中はどう考える? 連中は、エイリアネイジの暮らしぶりなんぞ気にしておらん・・・、あるいはハラムシラルのスラムの生活なんぞを。連中は、大公や女帝が自由と呼ぶことなんぞ気にしておらん。連中は頭の上に屋根があって、食卓の上に食事があるかどうかのみ気にしておるのだ。おぬしがその大胆な声明を出したとしても、貴族たちはのらりくらり身をかわしながら、エルフどものことを忘れる方法を探すだけだ」

「では、私たちが忘れないようにして差し上げましょう」 ブリアラがギャスパードを見て、それからセリーンを見た。
 セリーンは躊躇することなく彼女の手を取った。「わたくしはあなたの民を悪いようにはしない、ブリア。誓います」
 ブリアラの手が彼女の手の中でこわばり、セリーンが彼女のほうにさらに身体を寄せると、ギャスパードとリマッチェは不快そうに顔を背けた。ミシェルは自分の鎧の作業に戻り、気が付かない素振りをした。

 火の光の中に、セリーンは、飢えたエルフたち、暴動を起こす庶民たち、彼女の制止する暇さえなくシェヴァリエを繰り出す怒れる貴族たちの姿を見た。 帝国の兵士たちが、エルフたちが商売敵となることに抗議する商人たちの家を焼く姿を、はじめての自由の味を知り、その他も早く味わいたいあまりに先走り、盗賊と化し、叛乱を起こすエルフたちの姿を見た。
 彼女は自分の帝国が燃える姿を見た。火はすでに放たれた。彼女が祈ることができるのは、その火で焼かれることになるのが誰か、自分自身が決められるようになることのみであった。

***

 大公と女帝の間の論争は、格好良く言えば、現実主義と理想主義、保守と変革の争いと言えるものでしょうか。弱者の意見を聞け、という一方に対し、弱者はそもそも意見など有していない、というもう一方。「弱者」を「大衆」と置き換えれば、まあたった今現在でも繰り広げられている不毛な論争に通じることになる。

 そして「野蛮」にもふたりは、その論争に決闘で決着をつけようとしている。
 いや、果たして「野蛮」なのか。戦いに敗れれば死ぬことが、敗れたほうの「少数意見を尊重する」などという子供でもわかる欺瞞に塗り固められた愚民主義の今の世界より、どうして劣っていると言えるのか。 

 小説Asunderのエイドリアンは(同じくリバタリアンズ寄りであるグランド・エンチャンター・フィオナと並んで)過激な変革派、「独立主義」、ともすれば「無政府主義」とも呼べると思いますが、子供同然であったコールですら見抜いたように、「彼女が『自由』という言葉を口走るとき、彼女本人にも自分で何を言っているのかまったくわかっていないようだった」。

 現実主義と理想主義の双方から無視され続けるリマッチェは、過激な守旧派、「伝統主義」ということになるのでしょう。意外にもギャスパードのほうが、格段に柔軟な発想の持ち主。

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