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2014年6月21日 (土)

The Masked Empire 14(2)

 気に入ったところだけ訳して済むなら、それが最高なのですが、そうもいかない。
 わりと説明調のところが多い部分、長いけど省略は難しいですね。

***

 ミシェルは、ブリアラがセリーンに微笑みかけ、セリーンが微笑み返すのを見た。女帝は疲弊しているように見え、目の回りに隈をつくり、頭の傷も癒えていないが、その微笑みは心からのものに思われた。この奇妙な世界の不快さもお構いなしで、恋する女性として幸せそうに見えた。
 あなたは認めていないのだろう、とセリーンから言われるまで、ミシェルは自分が女帝をずっと見つめていたことにも気が付かなかった。

 ブリアラとフェラッサンは、はるか前方にいる。歩く速さは自分たちと違わないはずだが、ミシェルが目を向けるたびに、石だたみの紫の光の中に浮かぶ影にしか見えないエルフたちは遠ざかっていく。彼は瞬きし、目を逸らし、捻じれた光を目の前から振り払った。直接石だたみを眼にすれば、嵐の海で翻弄される船のように足下の世界がぐらぐら揺れるが、そうしなければそれほど問題ではない。 

 自分は口出しをする立場にはない、と答えたミシェルをセリーンが咎める。女帝は、エルフたちに追いつこうとするかのように足取りを速め、ミシェルも追従する。自分の心中を述べたからと言って罰を受ける心配の必要はない、とセリーンは言った。むしろこの忌々しい光から気を紛らわしてくれることになるかもしれない。
 ミシェルが具合を尋ねると、女帝の頭痛は嫌悪感を催すほどひどいと言う。ミシェルは、自分だけが責め苦を味わっているわけではないことを知り、ちっぽけで他愛もない満足を得たことを白状した。

 ふたりが歩き続ける間、ミシェルは黙考した。ブリアラとその弓、あきらかに彼女に誂えられた鎧、シルヴァライト製の一組のダガー。彼が全く知らなかった女帝のある一面。ふたりは毎夜褥を共にしていたのか? ならば部屋付きの衛兵が口外しないわけがない。召使いもまた秘密を守れない。
 だが、ブリアラがそうしていたのは明らかだ。 

「ブリアラは、自らの技倆を示しました」 しばらくしてミシェルは言った。
「あの娘は、わたくしの治世中のほとんどにわたり、わたくしの目であり耳でした」とセリーンが言って、ミシェルは彼女がまた愛に満ちた小さな微笑みを浮かべるのを見た。「あの娘は、いつも私のために側にいた」
「そして陛下は、彼女の民に自由を与えると約束した」とミシェルが言った。
 今度はセリーンが黙り込んだ。ミシェルは顔をあげ、ブリアラとフェラッサンがふたりを待っているのを見た。ふたつの影を取り巻く歪んだ光は、彼の目に痛みをもたらす。

「わたくしたちには彼女が必要でした」とセリーンが言って、ほんの少しだけ歩調を緩めた。「そして彼女には、わたくしがエルフたちを気にかけていると知らしめる必要があった」
「ハラムシラルの後で」
「そう」 彼女は躊躇なく告げたが、その声は小さかった。
「あれは必要なことでした、陛下、というのも、貴族たちは陛下があまりにエルフたちを気にかけていると恐れていたのですから」

 セリーンはため息をついた。「わたくしたちには彼女が必要でした」と彼女は繰り返した。「わたくしには彼女が必要でした、ミシェル。彼女の助けがなければ、わたくしたちはデーリッシュの逗留地で死んでいたでしょう」
「何人かの衛兵たちの気を引いただけです」とミシェルは言って、再び自分のブーツに目を落した。「彼女たちの手を借りずとも、あそこから脱出いただくことは可能でした、陛下」
「では、もしかしたら、わたくしがあの娘の信頼を必要としていたのかもしれません、チャンピオン」 セリーンは目をこすり、顔をしかめた。「こびへつらう廷臣たちや、足を引っ張り合う貴族たちはいくらでもおりますが、あの娘は幼い頃からわたくしに仕えてきました。わたくしにはあの娘が必要でした」

「そして陛下がヴァル・ロヨーにお戻りになられ、ギャスパードを打ち破る軍勢を招集し・・・」
「わたくしたちには奇襲できる有利さがあります、エルーヴィアンのおかげで」とセリーンが言葉を引き取った。「そして農奴のエルフたちは、ブリアラのおかげで、それが自分たちの自由のための戦いであると知ることになります」
「そして、連中を支配している貴族たちの支持を失う」とミシェルがぶっきら棒に言った。「拙者は、この身体から最後の血の一滴が流れ出るまで陛下のために戦いますが、どれだけの貴族が、エルフたちを支配下に置くことを欲してギャスパードに与することになるでしょうか?」
「何人かは」 セリーンはミシェルのほうに身体を寄せ、依然ゆっくりと歩いていた。「もしかしたらエルフたちの自由が実現するのは、ギャスパードが打倒された後になるかもしれません。エルフたちの間に囁き声が広がるのかも。それを貴族が耳にする必要はない」

「それで彼女が満足するとお考えか?」
「どうして満足しないことがあるのです、ミシェル?」
「陛下・・・」 ミシェルは言い澱んだ。「拙者は・・・」
「あなたは、口出しをする立場です」
「陛下は、陛下のためにブリアラが必要だと言われた。彼女もまた、同じように感じているのでしょう」 彼は、ブリアラがセリーンを利用している可能性を持ち出すことも考えていたが、女帝の怒りを呼ぶだけなのは間違いなかった。「今、陛下は彼女をひとりの人物として必要としているにも関わらず、まるで陛下にとって機嫌を取り続けなければならない貴族のひとりであるかのように、彼女との間で約束と当てこすりを交わさなければならない」

 セリーンはため息をついた。しばらくの間、彼女は彼の女帝ではなく、暗黒の土地から出る道を探して、彼の傍らで痛々し気に歩みを進めるひとりの女性だった。「それこそ、わたくしが常に行わなければならない選択なのです、チャンピオン」
「この見下げ果てた場所は、拙者の目を痛めつける一方で、陛下、彼女にとっては、エルフの偉大さが実現する夢の世界なのです。この場所から外に出た彼女が、再び召使いのマスクを身に着けるとお考えですか?」
「そうです」 セリーンは自信に満ちた様子で答えたが、それでもやはり、ブリアラとフェラッサンが歩むかなた遠くの前方を目を細めて見ていた。「ブリアは、長年にわたってわたくしの『ゲーム』の手助けをしてきたのです、ミシェル。たかが魔法の道ひとつでそれが変わるとは思えません」

 ミシェルは、モントフォートのスラムにいた一人の少年を思い出していた。ミシェルの母親が死んだ後、彼らは少数の他の仲間たちとつるんでいた。ちっぼけなギャングだったが、彼とその少年は他の仲間を守るため必死に戦った。
 ブレヴィン伯爵が彼を見つけた日、ミシェルは彼のその仲間が他のギャングに殴られているところを見つけた。ミシェルは仲間を救うため、長い棒切れのみを手に、年長の少年たちに戦いを挑んだ。
 その様子を見かけたブレヴィン伯爵は感銘を受けた。彼は箱馬車の中からミシェルを呼ぶと、好意を間違いなく示すため、コインの詰まった小袋を投げてよこした。
 ミシェルは箱馬車に乗った。 
 彼の仲間はようやく立ち上がったところだったが、彼を困惑した目つきで見つめ、ミシェルも気持ちの入らない手振りを返した。
 それ以来、彼はその仲間に会うことはなかった。その少年の名前さえ憶えていない。

「陛下、新しい生活を、新しい力を手にする機会を掴んだ者は・・・」 ミシェルは自分のブーツを見つめ、石だたみの光から受ける痛みを無視した。「それを手離さないためには、あらゆることを厭わないのです」

「セリーン! ミシェル!」 ブリアラの興奮した叫び声にミシェルが顔をあげた。さほど遠くないところで、彼女とフェラッサンが立ち止まっている。メイカーに誓って、目前の道は数マイルにわたって何もなかったはずだが、今や別の魔法の鏡のところで終わっていた。
 エルフたちは、セリーンとミシェルが追い付くのを待っていた。彼女たちがふたりとも、歪んだ光と耳に鳴り響く音のため、彼にはすでに頭痛をもたらしているこの不快な世界ではなく、公園の中で快適な散歩を楽しんでいるかのように気楽で落ち着いた様子なことにミシェルは戸惑った。

 彼らが近づくと、鏡は最初の部屋にあったもののように輝き、その表面の雲の間から赤い光がこぼれた。
「ここから一刻も早く立ち去りたい」とセリーンがつぶやき、ミシェルは不覚にもひとり笑いした。
 ブリアラとフェラッサンを追い越し、彼は躊躇なく鏡に踏み入った。不思議なちくちくするようなエナジーが肌を駆け抜け、過ぎ去り、それが消えたときには、彼が感じていた痛みの全ても消え去った。空気はひんやりとして、部屋は暗く、石と塵の匂いはしているが、ごく普通で、エルフの道で彼を苛んだ不思議な魔法はなかった。

 部屋の唯一の灯りはエルーヴィアンが発するものであり、ミシェルが振り向くと、ブリアラとフェラッサンが歩み出て来た。しばらく後にセリーンが彼らに続いた。

***

 本来の区切りではありませんが、都合がいいのでここまで。
 次回へ続く。

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