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2014年6月 1日 (日)

The Masked Empire 12(4)

 映画「ハーロック」は、有紀螢が(キャラはともかく)可愛かったので許す。
 でも、「一対いっぱい」でもふつうに勝つような話は、松本零士先生がやるのは米帝への恨みつらみとしてまだわかるけど、今どき冴えませんね。

***

 彼は、ディーモンのいる石の輪に向かう途中の径で女帝に追いついた。セリーンが木々の間から踏み出し、その蒼白い肌を見て、ミシェルは剣を振り上げるのをようやく思いとどまった。「陛下」と彼はほっとして言った。「陛下の武器と鎧をお持ちしました」

 「ありがとう、ミシェル」 セリーンは両腕を差し出し、ミシェルは手早く鎧を着せて留め金をはめていった。
 それがほとんど済む頃に、ブリアラとフェラッサンが森の中から現れた。フェラッサンは杖に深く寄り掛かり、ブリアラは弓を手にしている。「どうだった?」と彼女が尋ねた。

「予期せぬことは何もなかった」 ミシェルは女帝の鎧の留め金をはめ終わり、立ち上がった。「そちらは?」
「連中の偵察の目をかすめてきた」とブリアラが言った。「そして、フェラッサンはキーパーに一泡食わせてやったわ」
「では急ぎましょう」とセリーンが言った。

 ミシェルは丘を下る道を先導した。闇の中、雨と暗闇で径さえ辛うじてわかるほどなのに、彼はあたかも道を知っているかのように、ごく自然に足取りを進めた。
 丘のふもとの小さな鉢状の窪みの中では、石が魔法で輝き、ミシェルが目を細めなければならないほど明るかった。そして石の輪の中ではディーモンが黒い外套姿で立っており、完全に照らし出されている全身には雨粒一つ落ちていなかった。

「サー・ミシェル」と彼は言って、ミシェルが窪地に踏み入る間にやついていた。「そして、お友達もご一緒ですな。その中の誰かが私たちの・・・」 彼は躊躇し、ミシェルを見て回りくどい言い方をした。「取り決めのためお連れになった方かな?」
「イムシャエル」とフェラッサンが言った。感銘を受けているような声だった。

「やあ、『ゆっくりした矢』」 ディーモンが微笑んだ。「久方振りではないか。どうしていたのかね?」
「よせ、知っているだろう」
「エルーヴィアンを目覚めさせてくれ」とミシェルが言った。

 イムシャエルが瞬きした。「そういう話では・・・」
「エルーヴィアンを目覚めさせろ」とミシェルが言って剣を抜いた。「さもなくば、この石のルーンを叩き潰してやる。貴様は今日の昼、そうすれば貴様が傷つくと口を滑らした」
「まあ、確かに痛いし、それから・・・」 イムシャエルは言い澱んだ。「君たちは何故にエルーヴィアンを欲するのかね?」

「彼の言うとおりにおやりなさい、ディーモン」 ミシェルの背後からセリーンが言った。
「スピリットだ!」 イムシャエルは憤慨したように言った。「一体何度断らなければ・・・、まあ良い、まあ良い! 君たちはエルーヴィアンを欲している」 彼はミシェルのことを探るように見た。「ああ、君の女帝のためにか、彼女が暗殺者たちを帝国中に放ち、ギャスパードに気づかれることなく、彼を骨抜きにできるようにか。そしてその代りに、私が欲するものをよこすのだろうね?」
 ミシェルは躊躇することなく、戦がしらから受けた傷の血でまだ赤く染まっている片手をあげた。「拙者がなさればならぬことをしよう」

 イムシャエルは目を細め、それから笑った。「よかろう。取引成立だ」 彼が両手を合わせると、巻き毛状の赤い光がその指の間から輝いた。男が両手を広げると、子供の拳ほどの大きさのルビーがひとつ、彼の手の中に現れた。「キーストーンだ」と彼は言った。「もっとも近くにある鏡を目覚めさせる。一たび踏み入ったなら、道に従って進んでいけば、やがて道が交わるところに出る。そこからはキーストーンが導いてくれる。その宝石ひとつだけを欠いた台座がある部屋までの道のりを教えてくれるであろう。そこに宝石を置き、なんでも好きなことをつぶやけば、全てのエルーヴィアンが目覚め、旅に用いることができるようになる」 彼は微笑んだ。「だが、同じ言葉を口にした者たちしか用いることはできない。古の魔法だ。名誉ある守り手たちは招かれ、墓あらしどもは締め出される」

「それだけ?」とセリーンが尋ねた。
「それだけ」とイムシャエルが微笑んだ。「それだけだ。ああ、中心となる部屋に続く道ではちょっとした面倒に行き当たるだろうが、オーレイの女帝の手に負えないはずもないだろうね」 彼は指でルビーを回し、それを地面に置き、後ろに退くと、手招きするように身振りした。
「さて、それは君たちのものだ・・・、私が望むものを手に入れたらすぐに」
「いいだろう」とミシェルが言った。

 彼は唸り声をあげると、剣の柄頭で一番近い石に彫られた輝くルーンを打ち据えた。
「おい!」 イムシャエルが叫んだ。「話が違うぞ! 君は選択をしたはずだ!」 彼は宝石に突進した。
 ミシェルが渾身の力で再び柄頭を打ちおろすと、ルーンがプツンと輝きをやめ、シューと音をたてて暗くなった。輪の形になっていたすべての石が、ガラスが割れるように粉々に砕けた。

 ディーモンはこの世のものとは思えない叫びをあげ、両膝をつき、自分の胸に爪を立てた。彼の回りの空気が赤い光に染まってパチパチと音を立て、まるで彼の像が映った池の水面に誰かが石を投げ込んだかのように、その姿が消えたり、歪んだりした。

すっかり済んだのかな?」 フェラッサンが目を回しながら尋ねた。
 そして小さな雷鳴が響き、灯りが消え、イムシャエルが立ち上がった。
 彼が跪いていた草の上には足跡が残っている。
「ありがとう、そう、そうだと思う」とイムシャエルが言って、輪から歩み出た。

 ミシェルは、首の回りに突き刺すような恐怖がゆっくりと広がるのを感じて、歯を食いしばった。「貴様は死ぬんじゃなかったのか」
 イムシャエルは自分の姿を見下ろし、次にミシェルのほうを見た。「ならば君のことを、かなりがっかりさせてしまったに違いない」
「実のところ、エルガラルラ、スピリットの罠が彼を縛りつけていたのさ」とフェラッサンが言った。「参考のために言っておくと、君が叩き壊した石が、それだ」
 ミシェルは、両手を震わせながらフェラッサンのほうを振り返った。「知っていたんだな?」
「そして、あなたは彼を解き放ったわけ?」とブリアラが尋ねた。

「まあ、こう考えたらどうだろうか」とイムシャエルが言って、近づいてきた。ミシェルの回りの空気が鉄のように重くなり、彼は両膝をついて喘いだ。ブリアラとセリーンも同様に崩れ落ちる。フェラッサンだけが平気なようだ。「もし君が本当に私の取引を受け入れていたのなら、私は君に憑依していた。セリーンはチャンピオンを失い、君の愉快な数少ない仲間たちは、エルーヴィアンの旅を生き残ることができなかっただろう。ところが今は、皆が欲するものを手に入れている」

 ミシェルはなんとか立ち上がろうとしていた。「しかし貴様は言った・・・」
 イムシャエルは片方の眉を吊り上げた。「そう、私は、君がエルーヴィアンのことを忘れるべきだと言ったが、君は執着した。私は、君が取引きを受け入れ、石を傷つけないようにと言ったが、君は戻ってきて石を壊した」 彼は微笑み、さらに近づいてきた。「君は、私が言ったことについて、ことごとくまったく逆のことをしたのだ、サー・ミシェル・デ・シェヴィン。そして今、完璧に予測のつく選択を君が続けた結果、君は君の帝国に、その・・・、スピリットを解き放ったのだ」
 ミシェルが剣を掲げると、イムシャエルが視線を投げた。ミシェルの回りの空気が再び固まり、感覚のない指が剣を取り落す。

「一番近いエルーヴィアンは?」とフェラッサンが尋ねた。
「そちらのほうに数百ヤード、三つの四角い岩の真ん中にある」とイムシャエルが指し示す。「すぐにわかる。キーストーンを忘れるなよ」
「助かる」とフェラッサンが頷いた。「楽しんでくれ」
「言われなくとも」とイムシャエルが外套のしわを正し、デーリッシュの逗留地のほうへ続く径を歩き始めた。

 しばらくの間、空地の中の四人ともが黙り込んでいた。ミシェルは肺一杯に空気が戻ると何度か震えるような息をして、苦労して立ち上がった。
 あのディーモンは、礼儀正しく話し、お喋りをし、冗談を言うが、ディーモンに違いはない。そしてミシェルは世界にそいつを解き放った。彼は咳き込み、肺の回りを締め付けて彼に息をさせなかった力の記憶を振り払おうとした。

「何かできることはないのですか?」と、まだ両膝をついたままのセリーンが尋ねた。
「あるとも」 フェラッサンが、イムシャエルが姿を消した方を身振りで示した。
「追いかけるんだ。君に何ができるか試すといい」 セリーンに睨まれ、彼はため息をついた。「今のところ、彼はデーリッシュのことしか気にかけていない。もし私たちが面倒をかけるなら、どちらの方がよりうるさいか気づいた彼に、皮を剥がれてしまうだろう」
「そうなっても我らが自業自得」 ミシェルは視線を落とし、剣の柄を握る両手の拳の痛みを確かめた。「あいつを倒すか、フェイドに送り返すか、それとも・・・」

「オーレイを奪還するか」とブリアラが引き取った。 
 セリーンはおぼつかない足取りで、石の輪の方によろよろと進んだ。彼女はルビーを取り上げ、咳き込み、それを握りしめることで力が戻ったかのように姿勢を正した。ミシェルが視線を合わせると、彼女の顔はまるで大理石でできているかのように見えた。

「オーレイを奪還します」と彼女は言った。「来なさい。ディーモンのことは自分たちで召喚したデーリッシュに任せましょう」 

 四人は空地を離れ、闇と雨の中に戻った。

*** 

 いかがでしょうか。イムシャエルとミシェルの取引き。私は愉しめましたが。
 デーリッシュの部落丸ごとが悲惨な目に会うことになる「選択肢」は、DAO、DA2ともありましたね。DAIにももちろんあるでしょう。どうしていつもそうなのか、何か理由がありそうです。

 イムシャエルが「ミシェルがスピリットをこの世界に解き放った」と告げるとき。次のようにおもいきり「ディーモン」と言いそうになっています。「ディ・・・、スピリット」とやるのも稚拙ぽいので、ここは悩みました。

 "And now, by the entirely predictable choices you have made, you've freed a ... spirit ...upon your empire."

 第十二章まで終わりました。全体の四分の三とはいかないですが、七割まで来ています。次回はまた、ここまでの個人的感想を。

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