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2014年6月 1日 (日)

The Masked Empire 12(3)

 ようやく"Ender's Game"(2013)をSPNで観て、いまいちだとの評判に反して意外にも楽しめました。CGがいうほど素晴らしくない(はるか昔の”Indepenence Day"(1996)、"Starship Troopers"(1997)に追いついていない)のは些末なこととしても、人類の命運をかけた戦いをあまりに端折りすぎてしまっている。元からベタなプロットなので、それやっちゃうとやっぱりすっからかん。重い家父長制(への反抗)とか、それに通じる女性嫌い(ミソロジー)、その裏腹としての(シスコンなどという水準を超えている)異常な姉弟間の愛、皆殺しにしてから相手に絆創膏を貼る戦争(byコッポラ)、ガキんちょを戦争に駆り出しておいて後からそのメンタルヘルスを気にする出鱈目さ、などいかにもアメリカンなテーマ群が、ちらり垣間見せるだけで終わったのはもったいない。

 なによりも、映画化が類似品「ハリポタ」の後になってしまったことが、不運だったと言えます。あちらは「シリーズ」だけど、こっちの続編は(原作を考えても)まず無理でしょう。

 エンダーたちの操作パネルに「ベルキンの左手」がくっついているところは笑ってしまいましたが・・・。
 そして自分自身は、「エンダー」(Ender)という「変な」名前の(二重の)意味に今頃ようやく気が付いたという情けなさ。

***

 少し前に陽は落ちたが、雨は降り続き、デーリッシュの逗留地は闇の中に濡れている。ほとんどの民が荷車の中に留まり、作業のため外に出る者たちも億劫そうで、悪天候に毒づいていた。

 サー・ミシェルは、衛兵たち、荷車の灯りなど、全てのことを目にしていた。衛兵たちから手渡された毛布は薄く、ものの数分でずぶ濡れとなった。セリーンは毛布をその場しのぎの雨避け代わりに用っていたが、ミシェルは身に纏った。 彼を縛ったときの衛兵たちは驚き、怒っていたため、縄の結びはおざなりで、ミシェルは毛布の下でそれを緩めながら、陽動を待っていた。

 計画は特になく、ブリアラとフェラッサンの企みを全く知らされずに立てたところで、行動の妨げになるだけだ。シェヴァリエは、長年の訓練で培われた直観に従い、予期すべきときと、単に反応すべきときを見極める。

 彼の鎧袋と武器、セリーンの鎧は戦がしらの荷車の傍にある。 視野に入っている三人の衛兵とも、彼が剣を手にする前に取り押さえることができる位置にいる。彼は腕を捻り、引っ張りして、雨で滑る肌を結び目からすり抜けさせて両手の自由を取り戻すと、フェラッサンの起こす行動に備えた。
 

 ほんの一瞬の間だけ雨が途切れた。それ以外何の予兆もなく、大きな稲妻が豪雨とともにいくつも降り注ぎ、そのひとつが逗留地の縁にある樹木を真っ二つに引き裂いた。雷鳴が荷車とミシェルの歯を激しく震わせ、木の割れる激しい音さえ、ミシェルの耳に届かなかった。

 デーリッシュが叫びながら周囲を走り回っているとき、セリーンが彼の名前を呼んだ。逗留地の向こう側で、キーパーが荷車から飛び降りて森の中に駆け込み、その杖の残り火の赤い色が闇の中で輝くのが見える。

 別の稲妻が落ちてきて、もっとも大きな荷車のひとつが炎に包まれ、中から悲鳴があがる。三対一でこちらには鎧も武器もなし。ミシェルは女帝にしばらく待つように伝えて、毛布にくるまったまま立ち上がり、衛兵たちのほうに歩み寄った。炎に気を取られていた彼らのすぐ側まで近づくと、最初の衛兵がミシェルの姿に気づいて叫び声をあげた。

 ミシェルは相手の顔に毛布を投げつけてその膝を蹴り、毛布を首の回りに巻き付け、押し倒した顔に膝蹴りを浴びせて始末した。
 デーリッシュたちはよく訓練されており、残りのふたりはすでに剣を手にして振り返っていた。ミシェルは毛布を盾を持つように構えた。

 シェヴァリエは鎧を身に着けて戦う方を好む。鎧一具を所有していることは裕福さと高貴さの証明であるからだし、バードたちの冗談に反して、訓練された戦士は、身体にあわせて仕立てられているのなら、重い鎧を装備していても素早く優雅に立ち回ることができるのだ。

 だが、セダスで最も偉大な戦士を生み出すという評判を維持したいどんな集団も、異なる戦闘様式の相手と戦うことを余儀なくされる。たとえばアンティヴァとリヴァインの剣闘士は軽い剣を用いるし、袖なし外套以外の一切の鎧を身に着けないことを好む。

 右側の衛兵が彼に突きを入れる。毛布を捻って剣に絡め、相手の顔に肘をくらわせ、剣を奪い、身体を引き離しざま、その喉を切り裂いた。
 左の衛兵は叫び声をあげながら、何度も激しく斬りつけて来た。ミシェルは屈み込み、毛布を振り回して衛兵の顔の前を覆い、それ越しに剣を繰り出し、アイアンバークの鎧を貫いて衛兵の身体を荷車に縫い付けた。

 剣を引き、死んだ衛兵の剣を左手に握ると、彼はセリーンの元に戻って彼女の縛めを切った。そして女帝に森への径に向かうよう促し、自分は鎧を取り戻してからすぐに後を追うと告げた。メイカーのご加護を、立ち上がった女帝がそう口にした。

 ミシェルは頷くと、豪雨と落雷、水と煙に覆われたデーリッシュの逗留地を横切り、戦備え用の荷車に近づいた。縛られていた手首は痛み、デーリッシュたちに殴打された唇と四肢は回復していなかったが、彼は闘志満々であった。

 フェラッサンに言われたとおり、彼は丁重に、侮辱を抑えて接したが、見返りにデーリッシュは彼を攻撃し、侮辱し、汚らわしいディーモンの魔法の虜にさえした。
 サー・ミシュル・デ・シェヴィンは、デーリッシュに対して、オリージャン・シェヴァリエの何たるかを思い知らせるつもりだった。

 傍の荷車から出てきた最初の戦士を躊躇なく突き刺す。そのエルフが倒れるとき、荷車の中の別の戦士が叫び、ミシェルはその戦士の素早い突きから二度ほど身をかわした。
 それは子供たちに稽古をつけていた戦士だった。降りしきる雨の中に浮かぶ暗い形でしかなかったが、ミシェルにはその動きからわかる。彼の腕前は良く、強く早い打ち込みは黄昏の中辛うじて見えるほどだった。  

 エルフの戦士が斬りつけ、ミシェルは横に踏み出した。相手もそれに合わせて動き、足を地面の泥に滑らせる。早朝ミシェルが目にしたとおりだ。
 素早く跳びかかると、ミシェルは戦士に打ち込み、剣を競り合わせる。相手はよろめき、態勢を崩し、足を滑らせた。ミシェルは左手の剣でその足を骨ごと斬り飛ばした。右手の剣の柄を相手の顔に素早く短く突き出し、エルフの悲鳴を途絶えさせ、一歩下がると、慈悲の一振りでその喉を鮮やかに切り裂いた。

 ミシェルは待ったが、それ以上戦士は荷車から現れず、逗留地の回りのエルフたちは消火のため狂ったように動き回っている。誰も彼には気づいていない。
 邪魔されたときの用心のため、まず剣と盾を手に取り、濡れた下着を無視して鎧を素早く手際よく身に着けた。それからセリーンの鎧と武器を掴んで、デーリッシュの逗留地を急いで横切りはじめた。

 最後の荷車の横を通り過ぎ、径まで間もなくというところで、ミシェルは左から飛んでくる青白い閃光に気が付いて飛びのいた。ミシェルの肋骨全部がパチパチと音を立て、鎧を通して痺れるような悪寒が走った。セリーンの装備を手離すと、彼は攻撃が来た方向を見やる。
 セリーンの看病をしていたエルフの娘、キーパーの弟子が立っており、白く輝く杖が周囲の雨粒を雹に変えている。その顔は恐怖と怒りでひきつっていた。

 叫び声とともに、ミシェルが剣と盾を掲げて突進する。たじろいだ彼女は杖を見下ろし、再び彼を見て冷気の玉を放った。ミシェルは盾で受け、この世のものではない冷気から身を守る。
 彼女に取りつこうとする寸前、右の径から叫び声がし、ミシェルは繰り出された一撃を受け流した。続く剣を盾で受けたが、反撃の暇もなく鎧姿の相手が体当たりしてきたため、後ずさりした。

 鎧を手に入れたのは結構、と鎧姿の戦士、戦がしらが言った。シェムレンのシェヴァリエと最良の姿で戦える。彼の突きを盾で受けたミシェルは、続く膝への蹴りによろめいた。
 女帝に対する無礼は貴様の死で償ってもらう。ミシェルが激しく打ちかかり、戦がしらは彼の盾で受け止めた。ミシェルは相手の蹴りを予測し、盾を低く打ち下ろして戦がしらの足の鎧に打ちつけた。

 それを見た戦がしらは突きを高く繰り出し、剣で受け流すしかなかったミシェルの横腹に盾を打ちつける。そしてお前自身への侮辱はどうなのだ、シェムレン。
 答えを口にしようとしたミシェルは、またしても癒し手の娘が打ち込んできた冷気の一撃を盾で受け損ない、脇腹を氷の杭で打たれたような感覚に見舞われて息を奪われた。彼は後ずさりして喘いだ。
 ミーリス、手を出すな、と戦がしらが叫んだ。こいつは自分がやる。 

 彼は踏み込み、ミシェルの盾をはねのけ、激しく打ち込んだ。一撃がミシェルの鎧をかすめ、彼の肋骨の下あたりを切り裂く。
 そのほんのわずかの間、戦がしらは自分の一撃に満悦しているかのように手を止めた。
 

 この程度で。ミシェルの剣が打ち上げられ、戦がしらの剣を持つ手を内側から切り上げる。激痛に喘いだ相手は剣を取り落し、ミシェルはその顔を盾で張り飛ばした。その盾をぐいと引くと、彼は残忍な一撃で相手の鎧を切り裂き、戦がしらの喉骨を打ち砕いた。男は地面に崩れ落ち、痙攣しはじめる。

 貴様にシェムレンと呼ばれても、自分には侮辱にならないのだ、ナイフ耳。ミシェルの最後の一撃が戦がしらのアイアンバークの鎧を貫き、その心臓を突き刺す寸前で止まった。そして女帝が命じたとおり、貴様には助太刀をひとり許した。

 戦がしらが震えながら死んでいく間、ミシェルは肋骨のすぐ下の燃えるような痛みを無視しながら歩き続けた。訓練では様々な苦痛の種類を学んでおり、この種の痛みは、何日もしないうちに彼を死に至らせるものかもしれなかったが、そのせいで今夜足止めされるつもりはなかった。

 癒し手の杖を盾で弾きとばすと、冷気の玉は雹の跡を残しながら森の中に逸れた。ミシェルは剣で杖を叩き落とす。
 お願いだから殺さないで。娘は後ずさりした。
 お前は自分を殺そうとした。ミシェルは剣を掲げた。
 彼女は目を閉じ、ミシェルが彼女の愛する男を殺した仇だからだ、と言った。

 衛兵のひとりだったのだろうか。剣を奪った後に喉を切り裂いたあの若者だったのだろうか。その男も自分を殺そうとした。そしてお前はアポステイト。サークルの外にいるメイジだ。
 娘は目を開けた。その顔を濡らすのが雨か涙か、ミシェルにはわからなかった。無抵抗の者を殺めるお前の、シェヴァリエの名誉はどこにあるのだ、シェムレン。
 ここにある。ミシェルは剣を振り下ろした。

 彼は、自分の脇腹を確かめた。鎧は修復できそうだが、それまでは強打に耐えられない。傷は痛む。かつて教官からは、鎧を脱いで傷の手当をするよう教わっていたが、同時にまた任務優先であるとも教わっていた。彼女の女帝が待っている。

 ミシェルは、剣技の検分と呼ばれる動きをいくつかこなすことで妥協することにした。賢い剣士が、苦痛に耐える能力で無視していた、自分の身体の裂けた筋肉や伸びた靭帯を探すための一連の動きだ。いくつか試してみて、自分の傷はしばらく放置できると判断した。傷は出血しているが、エルフの戦がしらは、必殺の一撃となるように致命的な器官を傷つけることはできなかったのだ。

*** 

 戦うときは相手に「助太刀を許す」とか、剣士の「足を引きずる癖」とか、細かいところが伏線として張られていたわけで、なかなか容易に省略できないんですよね。

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