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2014年6月26日 (木)

The Masked Empire 15(2)

 ヒューマンが前、エルフが後ろ。倒れているメイジたちを除けば、そんな位置関係だったんですね。

***

 ブリアラは、フェラッサンの隣で石棺の上から、セリーン、ミシェル、そしてギャスパードがディーモン・メイジとレヴナントどもの屍の傍に立っているのを見ていた。彼女は弓を掲げ、引き手には矢を用意し、次に何が起きてもいいように構えていた。

 だが、次に来たのは話し合いだった。
 ブリアラは弓を下ろし、ヒューマンたちの馬鹿さ加減に顔をしかめた。「メイカーズ・ブラッド。さっきあそこで、彼女はあいつを殺せたのに」
 フェラッサンが小さく肩をすくめた。「ヒューマン」

 ブリアラは話し合っているヒューマンたちを見た。ギャスパードは堅苦しくしゃちほこばっており、まるで彼の戦場の名誉が、そもそも玉座を簒奪しようとした背信をいくばくかでも帳消しにしたかのようだ。セリーンは姿勢を変え、その小さな一歩が彼女を少し小さく、より従順に見せた。女帝の座に就く前、彼女のため少年たちに碌でもないことをさせようとするとき、彼女はその姿勢を用いていた。ミシェルは文字通り疲労困憊しており、足は動かず、ただ意志の力だけで立っていた。

「確かなことなんて何もないのに」と彼女は言った。彼女はこれまでの戦いでほとんどの矢を射ち尽くしており、戦場からいくらか回収する機会さえなかった。
「まさに」 フェラッサンは跳び下り、ブリアラも続いた。「だがこれは最初の危機に過ぎない。これから先にもあるのは確かだ。君がヒューマンに対して言いたいことは山ほどあるだろうが、死者を火葬にするというのはなかなかの知恵だな」

 ブリアラは頷いた。「それで、ここで互いに殺し合い、それからエルーヴィアンを守護するものが何であれ、その手に掛って死ぬ代わりに、ギャスパードと手を組み、中央の間に赴いて、そこで雌雄を決すると?」
「筋は通っている」
「そうね」 ブリアラは再びヒューマンたちを見た。セリーンはマスクの影であまりに長く暮らし過ぎた。彼女のかすかな微笑みは、彼女が望むものを手に入れたことを如実に示している。「でも彼らがそうするのは、筋が通っているからではない」
「違うだろうな」 フェラッサンはギャスパードの仲間たちを見た。「ミーリスについてどう思うか、教えてくれ」

 ブリアラは話題が変わったことに瞬きし、それからヴァーネーン部族のファーストのほうを見た。彼女はフェラッサンの魔法の攻撃から回復していたが、十数ヤードほど離れたあたりで、意識を失ったままのヒューマンのメイジの近くでまだ跪いていた。彼女の杖は側らの地面に落ちている。「彼女の杖は以前は白色に輝いたのに、今は赤色」と彼女は眉をしかめた。「それでも同じ杖。そんなことよくあるのですか?」

「いいや。だが彼女は、今は亡き自分の部族の魔法の装具でも盗んだのかもしれない」 フェラッサンは思慮深げに、下唇を噛んだ。「それなら、テルヘンの弟子が突如としてあんなとてつもない呪文を用いた、その説明がつくかもしれない

 その呪文も、フェラッサンが極めてあっさり跳ね返したことを、ブリアラは思い返した。「今まで、師匠が天候を操作するところしか目にしてきませんでした。あんなことができたなんて」
「そうかね?」 フェラッサンはこくりと頷いた。「君と一緒のときには、それほど多くのメイジと出くわさなかったからだろうな。あの呪文は、他には何の役にも立たない」 フェラッサンは首を振り、微笑み、だがその目は遠くを見ていた。「十分長く生きていると、ごく稀な場面にしか用いないような呪文も学ぶだけの時間が手に入る。ほとんどのヒューマンは炎と稲妻を放り投げていれば満足するのだろうが」 

 ブリアラがそれに応じようとすると、ミーリスが咳き込み、彼女たちを見上げた。
「ミシェル」と彼女は言った。
 セリーンとギャスパードは部屋の遠くの端にいた。そうであるならば、対処するのは彼女の役目だ。
 十数ヤードの距離なら、ブリアラの矢は十本のうち九本、そのメイジの片目を貫くことができるが、ふたりの間には石棺があって、ミーリスは一度の横転でその陰に身を潜めることができ、彼女たちを皆殺しにする呪文を唱える時間を稼ぐことができるだろう。

 ブリアラは弓を掲げ、矢をつがえて構えた。「セリーンとギャスパードは一時休戦したのよ、ミーリス。その杖に手を伸ばしたら、あなたは休戦を破ったとみなす」
 ミーリスは彼女を睨み付けた。「お前にはわからない、平ら耳。私の部族はミシェルのせいでみんな死んでしまった」
「そうね」とブリアラは弓を下げずに言った。「平ら耳のシティ・エルフに、愛する者をシェヴァリエに殺される気持ちなんてわからないものね?」

「ミシェルが君の部族をどうやって殺したというんだ?」とフェラッサンが尋ねた。「嵐と稲妻を呼んだのは私だ。とはいえ君の復讐の矛先を向けられても困るが・・・」
「イムシャエル」 ミーリスはその名を吐き出した。「ミシェルがイムシャエルを解き放ち、イムシャエルが私の部族を皆殺しにした」
「君の部族は、古代のディーモンを囚われの身にしていた」とフェラッサンが言った。「復讐を向ける相手は、そんな愚かな真似をしたテルヘンではないのだろうか」

 ミーリスは苦々しげに笑い、まるでフェラッサンが言葉を発しなかったかのように続けた。「私が生き永らえているのは、私を殺さなかったミシェルの選択を、イムシャエルが愉快に思ったからに他ならず・・・、そしてその代わりにあいつを殺すことにした私の選択を、あのディーモンが尊重したから」 彼女はミシェルを見て、指を杖に伸ばした。
「やってごらん」とブリアラが言った。「でも私には彼が必要なの。あなたが杖を手にする前に、あなたの心臓は矢に貫かれる」

 フェラッサンは面白そうにミーリスを見た。「それでもまだ、君には選択の余地がある。ブリアラの矢をしのぎ、君のスピリットの魔法でそこらの屍から少々のエナジーをかき集め、自らを癒すことができるかもしれない。先刻君が身に帯びた力からみて、私が君を殺す前に、君がミシェルを葬り去る間くらいは生き延びることができるかもしれない」
 ブリアラはフェラッサンに一瞥を投げ掛けた。「彼女をけしかける、何かわけでもあるのですか?」
「そうだ」 フェラッサンは片手で礼儀正しく身振りをし、もう一方の手で杖を掲げた。「ミーリス?」

 彼女はこの上ない憎悪の眼差しで彼を睨み、その目を杖に走らせ、次にミシェルに、そしてブリアラと、彼女が解き放たんばかりに構えている矢に向けた。
「ブリアラ、フェラッサン、待ちなさい!」 セリーンが部屋の向こう側から叫んだ。
「ミーリス」とギャスパードが続けた。「わしは休戦を受け入れた。わしらは彼女たちと同行して、このメイカーもお許しにならない墓場で出くわす敵が何であれ、協力して当たることにした」

「中央の間に辿りついたら、公正な戦いによってわたくしたちの争いに決着をつけることにします」とセリーンが言った。「その勝者がエルーヴィアンを手に入れる」
「お前は、私にあいつを殺させると言ったのに」 ミーリスはミシェルを指差した。
「そして、今は待てと言っておる」とギャスパードが言った。「さもなくば、シェヴァリエの誓いに従っておぬしの頸を刎ね、その胴体をおぬしの一族の他の者らのところに投げ捨てねばならん」

 ミーリスは歯を食いしばり、また緩めた。「お前を信じるべきではなかった」 彼女はゆっくり、注意深く杖を拾い上げ、収納帯の中に戻した。「お前たちシェムレンは、自分たち同士の約束以外は皆破る」
「いい娘だ」とギャスパードが言った。「そして、できれば、リエンヌとリマッチェの介抱をしてもらいたい」

 ブリアラがフェラッサンを見ると、彼は肩をすくめていた。
 彼女が予想したとおり、彼らは休戦した。そしてフェラッサンが指摘したように、筋は通っている。
 だがブリアラは、ミーリスに完全に異議を唱える気にはならなかった。

***

 前回のフェラッサンの魔法は、ファンタジーRPGファンご存じ「ディスペル」の強化版、原文では"enhanced dispelling"。「魔法消散」と苦しい訳ですが、確かにメイジ相手以外で役に立つことはないでしょうね。
 ブリアラが「師匠の天候を操る魔法しか目にしたことがなかった」。原文は"control the elements"で、RPGマニア的には例の「四大元素」、「エレメンタル」とやりたいところですが、ウィークス氏の遣い方ではここは「天候」、「自然の風雨などの猛威」のほうのようです。というのも後にフェラッサンは「ヒューマンたちは炎や稲妻を放り投げて喜んでいるだけ」("Most of the humans are happy enough just to throw fire or lightning.")と言ってますし。
 というか、このあたりのフェラッサンのセリフもいちいち奥深いんですよね。

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