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2014年4月14日 (月)

The Masked Empire 2(2)

 第二章の続き。次がいつになるわからないのでアップしときます。細切れですんませんが。

*** 

 ギャスパードは、ヴェランのチャントラル伯爵の会釈を受けて座席を示した。モンツィマード侯爵はすでに着座してブランデーを口にしている。ギャスパードがヴァル・ロヨーに用意している邸宅の喫煙室は暗紅色の壁で囲われ、上質なアイアンウッドのテーブルが配されており、ウェアウルフの頭部、ダークスポーンの巨大な大剣など沢山のトロフィーが掲げられていた。クリスタルの壺に飾られているのは、巨大な琥珀の塊から削り出された薔薇の飾りで、ギャスパードが若い時分に武術試合で勝ち取ったものだった。  

 三人とも室内着ではなく、皮の乗馬服を身に着けている。今日遅くにはヴァル・ロヨーの貴族たちが女帝主催の狩りに招かれているのだ。

 乗馬が控えていることを理由に、ギャスパードからのブランデーの誘いを断ったチャントラルを、ヴェランくんだりでは酒も飲まずに何をして過ごすのだ、とモンツィマードが茶化す。彼は大男で、若い頃は優秀な兵士だったが、大混乱の白兵戦で利き腕に傷を負い、以来剣を手にすることもできず鈍った身体も太ってしまっていた。とはいえ、レリウム結晶を配したマスクの羽根飾りはシェヴァリエの資格があることを示している。 

 ギャスパードはモンツィマードの冗談をたしなめると、チャントラルに昨夜の舞踏会の感想を求めた。困った事態であったと意見を述べたチャントラルは、ギャスパードが新しい黄色の羽根飾りをマスクに取り付けていることを指摘する。戦争の時代には、シェヴァリエの羽根飾りが戦いの後に無傷で残っているほうが稀なのだと、モンツィマードが口をはさむ。

 ギャスパードは、昨夜は真剣な決闘の場であったにも関わらず、セリーンがフェラルデンに対して卑屈にも見えかねない態度をとったことを非難する。シェヴァリエの名誉の印を玩具のように弄んだ、とモンツィマードが付け加える。いずれ皇帝の冠も弄ぶつもりではないのか。 

 チャントラルはシェヴァリエではない。おそらく戦場で血を流したこともないだろう。だが彼は、オーレイを愛する気持ちは他の者たちと同じであると主張した。彼の父親はフェラルデンとの戦争で戦死していた。

 ギャスパードは、国を愛する気持ちを共有する者は多く、女帝が敵国に媚を売るのを皆許せないと感じていると指摘した。
 そこに謀叛の意味を感じ取ったチャントラルが動揺する。ギャスパードは、まるで貴族の娘のように気弱なこの男を何とか味方に引き入れる必要があった。

 ギャスパードは、セリーンが二十年にわたる統治の間、国力を増すために必要な結婚もせず、フェラルデンに媚を売り、チャントラルの気持ちを弄び、メイジとテンプラーの抗争に対してすら無策を貫いてきたことを糾弾する。彼によれば、むしろ謀叛を働いているのは女帝のほうだ。 

 長い沈黙の間、ギャスパードがモンツィマードに目配せして制止する。チャントラルが共謀を断っても、彼が沈黙を守るようにやんわり脅すことは造作もない。喫煙室で男を斬り倒すのは、シェヴァリエであるギャスパードにとって沽券に係わる。

 ついにチャントラルはブランデーを所望し、モンツィマードが渡したグラスを震える手で受け取る。ギャスパードは微笑んだ。

 セリーンは昨夜の会戦で勝利を手中に収めたと思いこんでいるだろうし、宮廷の気取り屋どもやめかし屋どももそう感じているかもしれない。だがギャスパードにとって、来るべき戦争でオーレイが必要としている男は、そんな連中ではない。

 ギャスパードは、今日の狩りの場で女帝に協力を申し出るつもりであると打ち明ける。もし彼女が受諾すれば、ここでの話は酒席の戯言で終わるだろう。

 貴族の衆目が集まるところで事をなすのは難しい。また自分のグラスに酒を注ぎ直したモンツィマードが指摘する。ましてや、あのチャンピオンが常に女帝のそばにいるのだ。

 女帝とは内密に話をするつもりだ、とギャスパードが告げ、にやりと笑う。そして、チャンピオンについて言えば、今日の午後は具合を崩して病欠するだろう、と付け加えた。

***

 「喫煙室」、Smoking Roomってのは、虐げられた喫煙者が狭い空間に押し込められている現代日本のガス室とは全く関係ない。

 あちらの正式なディナーの後、野郎連中だけが集まって、パイプ煙草、または葉巻(巻きたばこも大抵許されるが軽く軽蔑される)とブランデー(今はブランデー以外も用意されているのかな)に興じる部屋のこと。原則女人禁制。

 現代でもあちらの高級ホテルや会員制クラブには用意されているが、女人禁制かどうかは国柄や、その場所の伝統による。一見、女性差別と勘違いされるが、むしろ女性に煙害(健康面への配慮というより、あのパイプタバコや葉巻の強烈な香りのほう)を与えないため紳士道としてはじまったという言い訳もあるようだ。
 かつては正餐の際に着用していた燕尾服を脱いで、喫煙室用のガウン(室内着)に着替えていた。

 本文でいう暗紅色とはバーガンディー色のこと。室内着もそういう色が多い。赤いヴェルヴェットも多用される。室内も通常そういった極めてマンリーな内装になっています。一説ではタバコの発祥地となったトルコ風の造りがデフォルトとか。 

 ボーイズ・クラブですから、そこで交わされるのは如何わしい話題であることも多いでしょう。
 現代アメリカン作者の小説なんで、敢えて喫煙シーンを描くことはしないんでしょうね。

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