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2014年4月28日 (月)

The Masked Empire 4(4)

 白状せねばならん、ラマッチェ。まだくすぶり続ける倉庫の前に止めた馬車の中で大公ギャスパードが言った。狩りの不作だけで、今日一日のとてつもない失望には十分だと思っていたが、スラムに足を運んでそれを上塗りすることになろうとは思ってもいなかった。 

 建物は、ここスラムの他の場所と同様のごみ溜めになっていた。市街のほとんどから油まみれの黒煙を目にすることができたが、日が暮れてからも燃えさしの火が広場の回りを松明のように照らしている。

 ギャスパードは馬車から降り、無傷のほうの腕で上着を正すと、広場中央の大木のほうを目を細めて眺めた。付き従うラマッチェ、ライデス公爵がこの訪問の意図を尋ねる。ギャスパードがメルセンドレから受け取った自画自賛に溢れた謎めいた手紙には、セリーンのチャンピオンをこの倉庫に捕えたと記されていた。昼間痛めたほうの腕で倉庫を指し示そうとした彼は顔をしかめ、無傷なほうの腕を突き出した。だが今やチャンピオンは宮廷に帰還しており、彼はその理由を知りたがっていた。そして大公自身は男やもめだが、公爵には立派な女帝となるに相応しい娘がいることが彼をここに伴った理由だった。

 ラマッチェが微笑み、それから人気のない広場を見渡すと、身が汚れるのも厭わずに残骸を自ら掘り返すつもりでもなかろうと言った。大公が口笛を吹くと、物陰から彼の家のマスクと揃いの衣服を身に着けた者たちが現れた。その者たちが鎧を身に着けていないことをラマッチェが指摘する間に、男たちの後ろから、つぎはぎだらけの商人の皮服姿のエルフがひとり続いてきた。 

 鎧姿は惨めなナイフ耳どもを怯えさせ、身を潜めさせてしまう。今宵は彼らから話を聞きにきたのだ、とギャスパードが笑い、男たちが馬車のそばの明るい部分にやってくるのを待って、エルフの男に挨拶をした。
 エルフはジーリグと名乗った。ギャスパードは焼け落ちた建物のほうに頷いて、自分の手下たちは、ここで起きたことを知っているエルフに大枚払う用意があるそうだと告げた。生唾を飲んだエルフは、そこが自分の倉庫で、市場に店を出す金が払えない商人たちに貸し出していたが、ヒューマンの歌い手が借り切りたいと言ってきた、と答えた。

 彼女は大公のために働いていると言っていた、と続けるエルフを遮り、ギャスパードは笑顔を絶やさずに、彼女はそんなことは一言も言わなかった、と決めつけた。聞き間違えたようだとエルフが言うと、ギャスパードはさらに、お前は目の前の人物が誰かも知らない、と続けた。

 エルフ商人は、今日の午後二人のエルフが倉庫に入って行くのを見た。ギャスパードの・・・、歌い手に雇われていたどこかの兵士たちが入って行った後に。戦いの物音がして、鎧を着ていないヒューマンの男がエルフたちと一緒に出てきた。三人は広場で話をし、ヒューマンがエルフ女に怒っていたが、それを黙って見ていたエルフ男が倉庫の方にとって返すと、一瞬にしてそこが燃え上がった。エルフ商人は首を振りながら続けた。エルフ男の顔には、古いデーリッシュの言い伝えに出てくるような刺青が彫ってあった。

 デーリッシュのお出ましとは、まさか騙りではあるまいな、とギャスパードが笑った。エルフの商人は慌ててそれを否定する。そして彼は、上等な衣装を着たエルフ女と捕らわれていたヒューマンの男が一緒にスラムを出た先までその後を追ったと告げ、自分は商人地区への通行証を持っているのだと言った。彼は、建物の燃えかすの光で輝くギャスパードの瞳をちらりと見上げ、それから自分の懐を探った。ギャスパードは続けるよう促した。

 エルフ商人は、ふたりが商人地区も越えて進んでいったこと、エルフ女のほうは、売れば帝国金貨一枚以上は手に入るレッド・シダーの弓をあっさり捨て、それからふたりは宮廷の方に向かい、そこで女はマスクを被ったことを告げた。
 マスクを被るエルフ女はさほど多くない、とギャスパードが首をひねり、息を吐いた。それからエルフ商人の名を呼び、良い働きではあったが、自分は報酬を払うことはしない、なぜならそうすれば、お前の背中にナイフを突きたてるのと同じことになるからだと告げた。そして、向こうにいる者たちから倉庫を再建してもお釣りが来るだけの銀貨を受け取れるだろうと言った。感謝の言葉を口にして深くお辞儀をするエルフ商人を、大公の手の者たちが連れ去った。

 本当に支払うつもりかと疑うラマッチェ、将来の大公に対して、ギャスパードは微笑んだ。背中にナイフのほうが安全だが、今はエルフたちの衆目を集めすぎている。女帝の手先が放火した倉庫を再建するため手を貸す役目を演じておいたほうが、後の役に立つかもしれない。

 ラマッチェは金と銀のマスクの陰で無表情なまま頷き、そのエルフたちを利用するつもりか、と尋ねた。ギャスパードは、メルセンドレが手当てしたものが一体何であったか知る術もなくなり、用いることもできなくなった、と言った。だがデーリッシュの密偵とエルフの暗殺者がセリーンの手先として働いているとしたらどうだ。ギャスパードは馬車に乗り込みながら、そう尋ねた。

「メイカーズ・ブレス、それを利用する手口も見つけられないのなら、わしには玉座に収まる資格などないというわけだ」

*** 

 第4章はここまで。これで全体の四分の一です。

 お気づきのとおり、例によって要約でもなくなってきたし、要約の部分とベタ訳の部分も見分けがつかなくなってきたのではないでしょうか。 

 商業出版でもされない限り、ここ以外で紹介されることのまずないだろうDA小説を、慷慨(あらすじ)レベルだけおざなりになぞって済ませる気はない一方で、(実はずーーっと楽な)ベタ訳がそのままネットでコピペされ、知らないところで使われるのは勘弁である。

 このように、土台無理筋な命題を満足させることを試みていますので、「読みにくい」とか、「味わいが損なわれている」とか、「全訳しろ」などというご不満、ご注文はあるでしょうが、なにとぞご容赦のほどをよろしくお願いいたします。
 言ってみれば、再利用不可能なように、わざわざ翻訳に「欠陥」、いわば「毒」を埋伏させているようなものですから、オリージャンの陰謀物語には相応しい仕掛けとも言えるのではないでしょうか。 

 なーんて、文中の(今は亡き)メルセンドレのギャスパードへの手紙は、"self-congratulatory mysterious notes"、「自己愉悦(自己満足、自画自賛)に浸った謎めいた手紙」と表現されているのですが、それと似たようなことしてるだけかもね。

 サー・ミシェルまで颯爽とした野郎キャラという風情ではなくなってきました。 どうも最近のあちらの小説では、ヘタレまでいかなくとも、野郎キャラが弱いよねえ。それとも「あちら」だけじゃないのかあ。

 

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