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2014年4月20日 (日)

The Masked Empire 3(4)

 記事数を稼いでいると思われるのもしゃくなんで、各章三回くらいに留めたかったが、それも諦めた。ひとつの記事が長くなると、このブログ(ココログ)が具合悪くなって、長文が平気で消え去ったりするのも怖いのです。

 貴族間の人間関係がややこしく、またちらっと登場した人物が後で重要な役割を担ったりするといけないので、なかなか省略できません。(実は、チャントラル伯爵の登場は晩餐会で終わりだと思っていましたし(笑))

*** 

 ブリアラはフェラッサンに続いて外に出たが、二人とも無言だった。彼女は彼の沈黙には信頼を置いている。平穏と忍耐は、デーリッシュたちがシェムレンと呼ぶヒューマンの社会の外側での生き方の一部である。少なくともフェラッサンに言わせればそうだ。

 ブリアラは、変装と髪留めを売って手に入れた代金のおかげで、ハラムシラルまで逃げることができた。その都市は古代エルフの本拠地で、郊外に広がるデールズがデーリッシュの名の由来だ。フェラッサンがいなければ、一人きりで街道を歩いていた彼女はヒューマンの盗賊たちの餌食となっていただろう。盗賊たちは彼の手で皆殺しにされたが、ブリアラにとって、エルフがヒューマンを攻撃するところを見たのは初めてだった。

 彼女はそのとき、お辞儀もいらず、愛想笑いの必要もない世界を知った。「ウサギ」が「ナイフ耳」よりましだと覚えておく必要のない人生を知った。貴族が自分の両親を殺す暗殺者を放ったりしない世界を知った。

 鹿肉と茶色のパンを夕食に、ブリアラの話を聞いたフェラッサンは、その世界を手に入れたいのなら、彼女はセリーンのところに戻る必要があると告げた。彼女はついにデーリッシュの駐留地までたどり着くことはなかった。

 フェラッサンは、商業地区の真ん中にある公園で足をとめた。彼はベンチを無視して芝生に腰掛けると、樹木に寄り掛かった。
「野生ではない」と彼は言った。「だがみじめな建物を眺めているよりはましだ。君たちは、どうしてあの中に一日中いて平気なんだ?」
「習慣。芝生に座っちゃいけないの」とブリアラは言って、不安げに周りを見回す。「誰かが気づいたら・・・」

「何とけしからんことをするのかと」 彼が微笑むと、顔の刺青が菫色の両目の回りで歪んだ。「ゲームの具合はどうだい、君の女帝殿と、彼女の、えー、従兄弟? 兄弟?」
「従兄。ええと、従兄に近いけど、実際は・・・」
「細部はいい、ダーレン」 フェラッサンは上の空で手を振った。「私が細々した話をどう思うか、知っているだろう」

「知っています」 ブリアラは息を吸った。フェラッサンの態度は、彼女が期待していた古代の知恵を司る者というよりも、宮廷内のめかし屋に近いように見えたが・・・、出会ってからは、彼からもセリーンからと同じくらい学んでいた。「セリーンがエルフ商人を手助けするように、エルフを大学に入学させるように仕向けました。でも彼女は、テンプラーとメイジの間の緊張を解くためチャントリーを介入させようとしていて、そのために立場を危うくしています」

「案外と愚かな女だな」 フェラッサンは木の樹皮を指で突いた。「どうして宗教の連中に権力を委ねようとする? シェムレンにすら、いかにひどい考えかわかりそうなものだ」
「彼女は、内々に抑え込めると考えています」とブリアラが言った。「サークル・オヴ・メジャイとテンプラー騎士団はどちらもチャントリーの支配下にあるから」

「それもまたひどい考えだ」 フェラッサンは樹皮を少し剥ぎ取ると、口に入れて噛んだ。
「何をしているのです?」
「デーリッシュは、ヒューマンが忘れてしまった薬効を数多く知っている」 フェラッサンが言って、噛み続けた。「ある種の樹皮を噛むと頭痛が治まる」 彼は間を置いた。「これは違う。残念ながらただの樹皮だ」

 ブリアラは首を振った。彼がこういう雰囲気のときにやり合っても無駄だ。「では、メイジとテンプラーの問題をどう解決すればいいと?」
「お互い殺し合いに疲れ果てるまで、待つんだな」 フェラッサンは噛んでいた樹皮を取り出し、目を細めて矯めて見ると、また樹木に戻した。
「それでは、時間がかかりすぎます、敬愛する師よ」
「だがいずれそうなるのだ、ダーレン」 フェラッサンは目を見開いた。

「私の名は、我々の民の間では『ゆっくりした矢』を意味する。フェンハレル神が、とある村から巨獣を退治するよう頼まれた物語に由来するのだ。彼は夜明け頃に巨獣のところまで出向き、その力を見て、戦えば殺されることを知った。その代りに矢を一本、上空に向かって撃ち放った。村人たちがフェンハレルに向かって、どのように村を救っていただけるのか尋ねると、彼はこう言った。『お前たちを救うなどと、いつ言った?』 それから彼は立ち去り、その夜巨獣が村に暴れこみ、戦士たち、女たち、老人たちを殺した。だが、巨獣が子供たちに向かって巨大な口を開いたとき、フェンハレルが放った矢が空から落ちてきてその口に突き刺さり、巨獣を殺した。村の子供たちは親たちや老人たちが死んでしまったことを嘆き悲しんだが、それでも村人が願ったとおりのことをしてくれたフェンハレルに感謝の貢物をした。彼は巨獣を退治した。その狡猾さと、巨獣が決して気づくことのなかったゆっくりした矢によって」

 ブリアラはその物語について、しばし思いを巡らせた。彼女が答えに飛びつくことを師匠は許さない。「トリックスターのフェンハレル、決して誰の味方でもなかった」
「フェンハレルはそのとおりに卑劣なクソ野郎だった、古い物語によれば」 フェラッサンが言った。
「そしてあなたが、ゆっくりした矢?」

 フェラッサンは微笑んだ。「そうありたいものだ」 彼は肩をすくめた。「君の女帝殿は戦を食い止めることができないかもしれない。メイジとテンプラーがお互いを滅ぼし合い、愚かで避けられない戦が始まれば、シェムレンは弱体化して、エルフがデールズを奪還できるかもしれない。それもいつの日にかわかる。今のところは、君はこの帝国の掟に従って生きているエルフたちの力になっている。それで満足するしかない」

「私はセリーンのチャンピオンのことが心配なのです」 ブリアラは立ち上がった。「彼は姿を消し、私には見つけることができない」 ブリアラは周囲を見回し、声を潜めた。「力を貸していただけますか?」
「いくつか手口はある」 フェラッサンは笑った。「彼の持ち物を用意しているか? 手に持っていたり、身に着けていたりしたものだが?」
 笑顔とともにブリアラは、背の高い黄色い羽根飾りを取り出した。

 
 
*** 

 第三章はここまでで終わり。
 
 
 

 さて、どうやら重要人物になりそうなひとり、デーリッシュ・エルフの男性が登場してまいりました。実はここまで、サー・ミシェル以外に碌な野郎キャラが登場していなかったんですよね。でもDAファンならご存知の、エルフの神にしてトリックスター、恐るべき狼、フェンハレルの化身、あるいはワナビー(志望者)。一癖ありそうです。

 

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