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2013年11月17日 (日)

【DAI】Dragon Age Asunder (Epilogue)

 自室に戻ったロード・シーカー・ランバートの顔は満足げに紅潮していた。黒いクロークを手早く脱ぐと、付き従ってきたエルフの小姓に放り投げる。十五名の騎士団長たちが一堂に会していたが、誰一人反論する者はいなかった。皆何を為さねばならないかわかっていた。内心忸怩たるものを抱えている少数の者たちは黙し続けるか、そうでなければ他の者に置き換えられるだろう。

 大軍が召集され、アンドラルズ・リーチにたむろする惨めなメイジどもはそれによって一蹴されるか、あるいは籠城して餓死することになるが、どちらでも大差はなかった。彼らの死が後に続く者たちへの見せしめになる。サークル・オヴ・メジャイはなくなったが、真の平和をもたらす力を有した新しい秩序がすぐ代わりに生まれるだろう。チャントリーですらしくじった役割を、メイカーそのお方が見守られる中、シーカーズ・オヴ・トゥルースが代わりに成し遂げるのだ。

 「手紙の用意だ、小僧」彼がぶっきらぼうに告げる。
 小姓は怯えて悲鳴を上げそうになり、クロークと一緒に持ってきた紙まで床に落としてしまった。ロード・シーカーは小姓がそれらを拾い集める姿を苛立たしそうに見つめている。少年はクロークを壁に掛けると、小さな机に座って震える手でペンをインク壺に浸した。

 「メイカーズ・ブレス、小僧よ、もし読めもしないような出来栄えだったら、お前の皮を剥いでしまうぞ」
 小姓は息をのんだ。「畏まりました、閣下」彼の手の震えは止まったが、その息遣いは乱れていた。少年がその場で絶命することなく手紙を最後まで書き終えたなら、ランバートはそれを幸運と感じるべきだろう。もっとも手紙が今晩中に書きあがって届けられるのなら、それですらどうでも構わない。彼は手紙の内容を口述しながら鎧を脱ぎ始めた。

―――

 至聖なるお方。 

 シーカーズはあなたがこのたびの叛乱に果たした役割について十分承知している。あの夜中に、あなたが私を「緊急の」要件でグランド・カシードラルに召喚したのは、至極些末なことを伝えるためであったようだ。私が帰投したときホワイト・スパイアは混乱に見舞われており、しかもアポステイトたちの中には、あなたの手の者の姿もひとり含まれていた。 

 私が見過ごすとでもお考えだったのか? それらの所作の科(とが)も問われず済ませるお考えか? チャントリーがかかる無能な女性を日輪の玉座に頂いている今このときは不遇な時代である。長きにわたって伝統と正義が築いた成果をあなたが破壊する間、私が手を拱いて見ているようなことはない。

 ディヴァイン・エイジ二十年にネヴァラ合意が締結された。シーカーズ・オヴ・トゥルースは独自の旗印を下ろしてチャントリーの右腕の役割を担うことに合意するとともに、双方の組織がともにサークル・オヴ・メジャイを創設した。サークルがもはや存在していない今、私はここに、かかる合意の効力がすべて喪失されたことを宣言する。もはやシーカーズ・オヴ・トゥルースもテンプラー騎士団もチャントリーの権威に服することはなく、我々はメイカーのお勤めをそう期待されるとおり、我々がふさわしいと考えるとおりに担っていくことにする。

 ドラゴン・エイジ四十年の本日署名
 ロード・シーカー・ランバート・ヴァン・リーヴズ

――― 

 彼は机に歩み寄ると、小姓がちょうど書き終えた手紙を奪い取った。それに一通り目を通すと、彼は満足げに頷いた。「私の封蝋を押してサー・アーノードに直に手渡せ。これを彼自身がグランド・カシードラルまで届けるように告げよ。彼自身が、だ。わかったか?」

 「畏まりました、閣下」小姓はあまりにあわてて部屋から出ていこうとしたため危うく転びそうになった。扉をピシャリと閉めたランバートは思わず笑顔を浮かべた。彼はディヴァインが手紙を読んだときの様子を想像した。テンプラーなくしてチャントリーは牙をもがれたも同然である。口舌のみで身を守らざるを得ない老婦の集まりでしかない。彼女はどうするだろうか? メイジどもを恐れよ、囲い込めと長きにわたって教えてきたにも関わらず、今度は全てが変わったとでも告げて人々を説得しようとするのか?

 三日のうちにテンプラーの軍勢がアンドラルズ・リーチに向かって進軍する。うまく行けば彼が凱旋する頃にはチャントリーにも分別が生まれ、新しいディヴァインを選出していることだろう。今度は、シーカーズが手にするにふさわしいずっと強固な権限を与える新たな合意を望んで締結しようとする者に。

 ロード・シーカーは残りの鎧を脱ぎ去ると、照明石の灯りを消して寝台に潜り込んだ。今夜はよく眠れそうだ。間もなく彼は英雄になり、メイジどもは元の立場に引き戻され、この世は正しい姿に戻る。まさしく実りある一日であった。 

 ゆっくりと眠りに落ちそうになったとき、彼は何かがおかしいことに気が付いた。闇の中の音、彼の部屋の扉が開くときのような擦れる音。即座に彼は寝台の横に置いた剣に手を伸ばすが、それを掴む前に何かが彼に覆いかぶさって来た。男が彼を抑えつけ、その喉元にダガーを突き付ける。彼は凍り付いた。 

 窓を通したぼんやりした月明かりを手がかりに、侵入者のもつれた金髪を一目見た彼は相手が誰か即座に理解した。「ディーモン」と彼は唸り、肌に押し付けられた刃先の痛みのせいで低くうめいた。 

 若者の顔はすぐ近くにあり、その表情は恐ろしいほど真剣であった。「コールという名の者は現に存在していた」と彼は囁いた。「お前たちは牢の中に彼がいることを忘れ、誰の耳にも届かない彼の叫びを私だけが聞いていた。私は彼の元に赴き、闇の中で彼の手を取って、息絶えるまで見届けた。それからテンプラーどもが彼を見つけ、失態を隠すために痕跡を消し去った・・・、だが私は自分ではどうすることもできなかった」悲嘆と、それからおそらくは後悔が、若者の顔にほんの一瞬だけ往来した。「今はもう無力ではない」その言葉はランバートの心を冷たく突き刺した。

 「何が望みだ?」

 若者は冷たく笑った。

 「私の目を見るんだ」

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