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2013年5月 4日 (土)

RPG Archetypes (2) Magic-User

 二回目はマジック・ユーザー。

 DnDの由緒正しい(古式ゆかしい)呼び方はこちらで、昨今用いられるスペル・キャスターとほぼ同義。DnDには「門前の小僧お経を詠む」そのままのイメージで、例えば魔法の才能はからっきしのローグが見よう見真似でマジック・アイテムを無理やり使っちゃう、Use Magic Devices能力もあるのですが、そっちは含まれない。またパラディン、レンジャーもごく一部スペルをつかえるのですが、マジック・ユーザーには含まれず、スペル・キャスターというと含まれたり含まれなかったり。ところがバードなどはスペルの他に、また違う能力(歌唱・詩吟・舞踏)も用いるのですが、これは通常含む。境界はぼんやりしてますね。

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マジック・ユーザー (The Magic-User)

 「なんてこったい、あんた魔法使いかい!」"Blimey, 'arry, yer a wizard!"
 マジック・ユーザーは魔法を唱え、呪文を投げつけ、その間ローブだけ身に纏った「紙のように」脆弱な弱虫、というわけでは必ずしもない。

 DnDの着想はほぼすべて「指輪物語」から受けたと考えられるので、ゲイリー・ガイギャクス(Gary Gygax、DnD創案者)がマジック・ユーザーの構想を練っていた際には、岩を割ったり、巨大な獣を召喚する、あのガンダルフの雄姿からインスパイアされたのは間違いないだろう。超オールド・スクール時代のDnDでは、マジック・ユーザーは能力を発揮するため大変な労苦を強いられていた。限られた数の呪文をまず暗唱しなければならず、それらは一日に一回しか用いることはできないうえ、ひとたび唱えた呪文は忘れてしまうのだ! 実を言うと、昨今のマジック・ポイント制は、DnDルールの水割り、安直版に過ぎない。

・ウィザード(The Wizard)

 マジック・ユーザーの古典的モデルであるウィザードは、役に立ちそうないかなる鎧も身に纏うことができず、肉体的に極めて脆弱な立場に置かれている。だが、数限りないモブの大群が出現したり、ありえないほど高レベルの敵との戦いが酸鼻を極めようとしているときには、なんのてらいも躊躇もなくマジック・ミサイルを次々とぶっ放してくれる、よれよれのご老人が傍にいることほど心強いことはない。

・クレリック(The Cleric)

 もっとも初期の段階には、クレリックはDnDのプレイヤーが選べる三つのクラスのひとつであり、ウィザードとは別の存在であった。だがすぐあとに一般的メイジのカテゴリーに編入され、ウィザードの「黒魔法」に対して「白魔法」を司ることとなった。聖なる力を召喚し、生者には治癒を、死者には退散をもたらす。しかも武器にもそれなりに通じているので、殴り合いであっさりへたれることもない。

・バード(The Bard)

 特別なプレステジ(上級)クラスであるDnDバードは、芸の熟達のため人並み外れて修行に没頭しなければならない。だが、その結果生まれるのは、自身も戦え、他の援護を担うこともできる(歌って踊って戦える(笑))驚くべき才能に溢れたキャラクターだ。後期のルールでは、バードはメイジではなく、ローグの一部に分類された。いうなればローグライクだ。

・ヴィデオゲームRPGへの踏襲(レガシー) 

 驚くかもしれないが、シリーズを貫いて確固たるオールド・ファッション性を示しているドラゴンクエスト(DQ)が、DnDのマジック・ユーザーのコンセプトに最も近い後継者である。DQIVのソーサラー、Maya(おそらくマーニャ)は、直接攻撃に対してほとんど悲惨なまでに脆弱であるが、破壊的な攻撃呪文を用い、しばしば巨大な獣に姿を変える。一方でDQのクレリックは肉弾戦にも通じているが、治癒呪文能力とのトレードオフのため、肉体の強さと防御は限定的である。

 JRPGでは、メイジは一般に若い女性キャラクターであり、その肌も露わでほとんどの部分を隠していないのがしばしばである(おそらく、どうせ鎧が使えないなら服を着る必要すらないだろうと考えているのだろう)。通常、肉弾戦ではほとんど役に立たない杖かロッドを手にし、戦闘でぼこぼこにされないように後列に下がっている。

 一方、西洋RPGではガンダルフ・モデルがもっぱら好まれる。何世紀もかけて魔法を研究している老人や老婆は、ちっちゃくしなびれた(スターウォーズの)ヨーダのようになっているが、この現実世界の理(ことわり)を学究の力でことごとく解明することができる。ソードコースト(訳:DnDフォーガトン・レルムズ・キャンペーン設定に登場する一地方、合衆国ウエスト・コーストに地形などが酷似している)のどこに行っても、魔法の触媒の臭気と、関節炎痛み止め用軟膏(Ben-Gay)の匂いが同居しているのだ。

 ファンタジーの世界観を避けているRPGであっても、例えばMass Effectにもウィザードが登場する。魔法は「バイオティック」、メイジは「アディプト」と呼ばれるが、結局一緒だ。スペルを暗唱し、インプラントによって先天的な霊的潜在力を増幅するところなど、そっくりそのままである。

 一方で、より伝統的なRPGである「世界樹の迷宮」(エトリアン・オデッセイ、Etrian Odyssey)や「ファイナル・ファンタジー・タクティクス」ではバード(あるいは淑女版のダンサー)を古典的DnDのスタイルで用いている。機敏な剣士でもあるが、その持ち味はむしろパーティーを鼓舞し、敵の力を低下させる(デバフする)歌唱呪文の力のほうだ。

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"Sorcerers like DQIV's Maya are physically weak -- almost tragically so(.)"

 当初はマーニャーが「肉体的に悲惨なほど脆弱」ってやってましたがそれって誤訳ですね・・・。あれだけ豊満で、しかもプロ・ダンサーだし・・・。「脆弱」ってことはないな。もちろんITなどでいうところの"vulnerability"、「脆弱性」の意味ではいいんだけど、誰もそうは読まないですよね。「悲惨なほど打たれ弱い、直接攻撃に弱い」ですかね。DQIVのことは細かいところまで覚えてないなあ。

 それからなんですかね、マーニャはガイジンが発音できない? それともゲイダーさんの命名規約ではないが、あちらのローカライズ・スタッフの「誰か」が実例を元に嫌った?「マヤ」(Maya)になっちゃってんですね。

 ここでのポイントは、なぜJRPGでは、ウィザードの類型が「あられもない若い美女」であり、あちらでは「しわくちゃのご老体(男女)」であるかですか。
 確か、FFTでは男性魔法使い(メイジ?)がしわくちゃ爺、女性(ウィッチ?)が巨乳ねえちゃんでしたっけ? それから「ディスガイア」シリーズもそうかな。メイジとウィッチが別ものという設定?

 これはもう、ふたつ(あるいはみっつだが、結局根はひとつ)しか理由が思いつかない。

 ひとつは「萌え」。アニメ・コミック由来、日本のサブカルの影響。表面的にはそれですね。もちろんなぜ「魔法使いサリー」は女性(つうか人間じゃねえけど)でなければならなかったのか、は次の理由に通じる。

 もうひとつは、筆者が書いてあるとおり発生形態的背景でしょう。DnDは「指輪物語」であり、そちらのウィザードは貴重かつ希少で、長い修行を必要とする存在であります。ちなみに、一旦暗唱(メモライズ)しても一日一回使ったらすぐ忘れてしまうのは、バレット(弾丸)方式なんて呼ぶこともありますが、発明者であるアメリカのサイファイ・ファンタジー作家ジャック・ヴァンスにちなんで、ヴァンシアン方式と言います。

 一方で日本で「魔法使い」(っていうのはまさにマジック・ユーザーの訳語ですから当初なかったわけで)というか、魔性を有するのは常に女。常に魔女。

 「魔法」は訳語で日本語は「まじない」、「のろい」、「はらい」。「呪文」という言葉はあった。
 「祈り」と「呪い」は対になっていると以前書きましたが、祈祷(いのり)も呪術(のろい)も形式は「宣り」(のり)で一緒。お祓い(おはらい)も含め、日本では古来から女性の司る役目。その点はどうやら沖縄文化圏でもそうらしく、何らかの理由で隣接文化圏でスタイルを共有していたのかもしれない。

 あと日本古来でマジック・ユーザーっていったらせいぜい陰陽師ですか。それだって役割は占術、呪術、祭祀がいっしょくたですものね。 道教の呪禁(じゅごん)などが、日本ではあまり一般化・表面化してなかったんですね。
 「魔界転生」は・・・、違うでしょうしね(つかあれ南蛮渡来の黒魔術だし)。

 もちろん、ここの議論に性差別の文脈を持ち込むのも自由ですが、「日本(だけ)には性差別が」という議論は即座にバックファイアしますのでご注意ね。
 それも含めて文化的違いが興味深いです。

 ここらの話は書ききれないなあ。

 DDOマジック・ユーザーにはウィザード(ヴァンシアン方式準拠)とソーサラー(スペル固定、入れ替え制限あり、ただし回数はウィズより多め)の二種類があり、どっちが使えるかという割と不毛な議論が行われていた。どっちも同じくらい使えるので、致命的な差がないし、最大六人までのパーティーなので、マジック・ユーザーがふたりなんて編成はザラで、どちらかが職にあぶれることもない。なのに、なんだかんだ、ああでもないこうでもないと延々と口論している人たちがいた。
 ゲーム自体がメレー(接近戦)復権に傾いたときは、ウィズもソークも平等にナーフ(突然のルール変更による理不尽な弱体化)くってたしね。
 実際、ウィズとソークがまじめにケンカしたなんて話は聞いたことないし。ああルートの奪い合いとかは別よ? 欲しいものかぶるからね。

 DnDでいえば、ウィズの魔法はintelligence(一般に「知力」、「知識」)、ソークの魔法はcharisma(一般に「カリスマ」(笑)、あんまし良い訳ではないが「魅力」)が源泉とされている。老学者のイメージが「知識」の典型で、魅惑的美女が「魅力」の典型ですね。埃まみれの書斎・実験室、あるいは人里離れた荒野の小屋で一心不乱に魔法研究に没頭して身に着けるか、あるいは生まれつきなんらかの超越的力(神、精霊、龍、自然そのもの)のギフト(恩恵)として身についているかの違い。

 カリスマが力の源泉なのは、ソーサラーだけではなく、実はパラディン、バード、それからクレリックの力の一部もそう。神などに対して魅力的(寵愛や恩恵を受ける)でそれが故に俗人から神々しく見える魅力と、存在自体が他の人間などにとって誘引力を持つ魅力があるので、ただ「魅力」って訳は本当は違うのですね。DnDルール自体はこの曖昧なアトリビュートを結局最近は放棄しているようですし、これだけで記事が書けるくらい長くなるのでやめときます。

(ちなみにintelligenceも、ウィズとローグの両方に必要とされる「知力」を兼ねてしまっていた。全く別分野を同一視していた矛盾があったため最近のルールは変更されているはず)

 そういえばどうしてDnDクレリックには多彩な能力をいくつか選択できる非常に充実したルールセットがあるか(どんどん拡充されていったか)ご存知ですか?

 答え:あんなもの誰も好き好んでやろうとしないから。

 ナースでもあるまいし(いやナースなんだけど)何が愉しくて、誰がコンバット・ドリヴンのゲームで人様のお尻を拭いて回りますか。

 だから武装も拡充し、派手目な攻撃呪文を増やし、叩かれても簡単に死なないようになり、信仰する神によってすでに能力を授かっているのに、さらに信仰する領域(ドメイン)なるものを持ち込んで、特別能力のボーナスをいくつかもらえるようにした。デザイナー・サイドから不人気クラスへのギヴアウェイです。

 おかげで今度はバトル・クレリックなる「自分以外にヒールはしない」という、また事態を面倒にする類型まで誕生した。

 ある種のMMOでヒーラーを経験されればおわかりのように、カンペキなヴォランティアですよね。家計収支もきつきつだし、パラメディック扱い、ひどい時はヒールボット扱いされたら、愛他精神のある人(そう思い込んでいる人を含む)でなければやりませんよね。自分も一番最後にクレリックをやってみて、ひどいときは自分は幼稚園(保育園か)の保母か何かかと思った。

 DnDバードは上にあるように、もともとスペル・キャスターの位置づけ。しかもクレリックのできることは中途半端ではあるがほとんどできる。真似できないのはターン・アンデッドくらいかな。それいったらクレ様も歌も踊りもでけへんし。

 ただ、バードはナースのお仕事など気まぐれにやったりやらなかったりする。パートタイマー。だから家計も痛まない。仕事を横から邪魔されて取り上げられているようでもあり、この女(そうそう、ふたりとも女性のほうが話が面白い)無駄にちょろちょろしやがってと、フルタイムのクレ様の癪に障る(パラディンはそこまでクレリックを補完できないから争いようもない)。
 結局、目一杯はしゃいじゃったバードが余計なところまで迂闊にのこのこしゃしゃり出て行って、あげくモブからキツイ一発いただいて昇天。慣れないバードの王道です(笑)。

 「レイズ(蘇生)して! レイズして!」

 博愛主義者のクレ様もこの時ばかりは冷たく言い放つんですね。

 「自分でやればぁ?」

 いや、死んだらできへんて。

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